業務委託で給料未払いのトラブルが起きる主な原因は?対処法や事前にできる対策を詳しく解説
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目次
はじめに
フリーランスや個人事業主として業務委託契約を結ぶ際、給料未払いのトラブルは誰にでも起こり得る厄介な問題です。
特に、初めてのクライアントとの取引では、報酬が支払われないリスクを常に頭に入れておく必要があります。
本記事では、業務委託契約における給料未払いが発生する主な原因と、その対処法を具体的に解説します。
<この記事のメリット>
- 給料未払いが発生する原因を理解し、事前にリスクを回避できる
- クライアントとの契約時に押さえるべき重要なポイントが分かる
- 万が一トラブルが発生した際の具体的な対処法を学べる
最後までお読みいただければ、業務委託契約における未払いリスクを大幅に軽減できるので、現役のフリーランスの方やフリーランスを目指している方はぜひ参考にしてください。
業務委託契約で給料未払いはよくある?
日本において業務委託契約で給料未払いのリスクは比較的高いとされています。
特に業務委託は「雇用契約」ではなく、「請負契約」や「委任契約」として取り扱われ、法的に保護される範囲が限定されているため、トラブルが発生しやすい契約形態です。
令和2年度の調査によると、フリーランスのうち約37.7%が取引先とのトラブルを経験したことがあると回答しており、近年急激にフリーランス人口が増えていることから、現在ではさらに多くの方がトラブルを経験していることが予想されます。
しかしながら、こういった背景もあり、2024年11月1日から「フリーランス保護法」が実施されることになりました。
フリーランス保護法では、増加するフリーランスを法的に保護するものであり、これが施行されると給料未払いトラブルは減少していくことになるかもしれません。
フリーランス保護法については、エンジニアスタイルマガジンでも数多くのトピックを取り扱っています。
関連記事に関してはこちらのリンクから一覧を確認できるので、ぜひあわせてご確認ください。
給料未払いのトラブルが起きる主な原因
給料未払いのトラブルが起きる主な原因は以下の3点です。
- クライアントの財政状況の悪化
- 納品物の受け取りや評価に関する認識のズレ
- 契約書の不備
以下で詳しくみていきましょう。
クライアントの財政状況の悪化
フリーランスの未払いトラブルで最も多い原因の一つが、クライアントの財政状況の悪化です。
クライアントの資金繰りが悪化すると、報酬の支払いが遅れたり、最悪の場合は全く支払われないことがあるのです。
特に、スタートアップ企業や新興企業では突如として経営が悪化するケースが多く、売上が見込めない状況に陥ると支払いを先延ばしにしたり、倒産してしまうことも少なくありません。
なお、事前にクライアントの財務状況を把握するのは難しいため、契約時に分割払いや前払いを条件に組み込むことでリスクを分散できます。
また、クライアントの支払い履歴を確認できる場合は信用性を必ずチェックしましょう。
納品物の受け取りや評価に関する認識のズレ
フリーランスが業務を完了して納品した後、納品物の受け取りや評価に関するトラブルが発生することは少なくありません。
この問題は、主に以下の2つのケースに分けられます。
納品物に満足せず報酬の支払いを拒否
一つ目の理由は、「納品物に満足せず報酬の支払いを拒否」するケースです。
フリーランス側は納品物を完成したと考えていても、クライアントは品質や内容に不満を持ち、それを理由に支払いを拒否することがあります。
特に具体的な評価基準がない場合、主観的な判断に依存することが多いため、こうしたトラブルが発生しやすくなります。
納品基準を事前に明確に定めていない
二つ目の理由は、「納品基準を事前に明確に定めていない」ことです。
納品物がどのような状態で完成と見なされるのかを事前に細かく取り決めていないと、双方で完成の定義にズレが生じることがあります。
これにより、納品物が完成しているか否かの判断が異なってしまい、支払いが滞る原因となります。
こうした問題を防ぐためには、契約書の中で納品基準や完成の定義を明確に設定することが重要です。
例えば、納品物のクオリティや細かい仕様を具体的に記載し、双方が合意した形で評価基準を共有することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
契約書の不備
業務委託契約において、契約書はフリーランスとクライアントの間で取り交わされる最も重要な文書です。
しかし、この契約書に不備があると、報酬未払いなどのトラブルが発生しやすくなります。
特に初心者の場合、契約書の細部に目が行き届かず、重要なポイントを見落とすことが多いです。
報酬の支払い条件が明確に記載されていない
業務委託契約書において、報酬の支払い条件が明確に定められていない場合、支払いトラブルのリスクが高まります。
支払い条件には、報酬の額、支払う時期、支払い方法、そして納品物に対して報酬を支払う条件などが含まれるのが一般的です。
これらが不十分または曖昧な場合、クライアント側が報酬の支払いを遅らせたり、支払いを回避する口実として利用する可能性があります。
例えば、「納品後すぐに支払う」といった曖昧な表現では、クライアントが「すぐ」をどの程度の期間と解釈するかにより、支払いが大幅に遅れることがあります。
さらに、分割払いのタイミングや支払いが遅れた場合のペナルティについても明記していないと、報酬の受け取りが保証されません。
給料未払いのトラブルへの対処法
では、業務委託契約における給料未払いトラブルを避けるための対処法はないのでしょうか?
ここからは、給料未払いのトラブルへの対処法をご紹介します。
契約内容の確認
クライアントからの給料未払いの可能性がある場合、まずは契約書の内容をしっかりと確認しましょう。
業務委託契約書で報酬の支払いについての内容を確認
給料未払いのトラブルが発生した場合、最初に確認すべきは業務委託契約書です。
契約書には報酬の支払い条件や支払い期限が明記されているはずです。
支払いがいつ行われるべきか、どのような条件で支払いが行われるかが具体的に記載されているかを確認しましょう。
例えば、納品後何日以内に支払いが行われるか、支払い方法(銀行振込やクレジットカードなど)はどうなっているかなど、細かい条件を確認することが重要です。
契約書が明確であれば、クライアントに対してそれを根拠に支払いを求められます。
業務委託契約書がない場合はメールやチャットのやり取りを保存
もし業務委託契約書が存在しない場合でも、クライアントとのやり取りを証拠として使用できます。
メールやチャットで報酬や支払い条件についての確認していたのであれば、それを保存しておくことが非常に重要です。
これらのやり取りは後に証拠として使用でき、未払いトラブルの際に役立ちます。
契約書がないことは不安に思うかもしれませんが、しっかりとした証拠があれば法的に対処する際の助けとなります。
クライアントに支払いを催促
契約書の内容をしっかりと確認した後は、実際にクライアントに支払いを催促する必要があります。
催促もせずに法的手段に訴えても、信義則の原則により、仮に訴訟に発展した場合の裁判所側の心証が悪くなってしまいます。
(※信義則の原則:契約当事者が誠実に行動するべきという民法上の原則)
普段使用している連絡方法で支払いを督促する
給料未払いが発生した場合、まずはクライアントに支払いを催促しましょう。
普段から使用しているメールやチャットツール、電話など、クライアントと日常的に連絡を取り合っている方法を使って支払いを促しましょう。
相手が忘れている場合や手続きが遅れているだけのことも多いので、まずは丁寧に確認する姿勢が大切です。
なお、クライアントとの信頼関係に亀裂が入らないためにも、この時点ではなるべく強い口調を使うのはやめましょう。
感情的にならず冷静に話をする
催促する際に気をつけたいのは、感情的にならず冷静に話をすることです。
未払いの状況に腹を立てるのは当然ですが、感情的に攻撃的な言葉を使ってしまうと、クライアントとの関係が悪化して支払いがさらに遅れるリスクが高まります。
冷静かつ礼儀正しく、事実に基づいて話を進めることが重要です。
「報酬がまだ支払われていないことを確認しました」「いつまでにお支払いいただけますか?」といったように、具体的でわかりやすい言葉で話すことが効果的です。
支払いがない場合は督促状を送付
ここまでの手順を踏んでも給料未払いの問題が解決されない場合は、相手方に対して「督促状(とくそくじょう)」を送付しましょう。
催促しても支払ってもらえなかった場合は督促状を送る
督促状とは、正式に支払いを求める書面であり、単なる口頭での督促よりも強い効果を持ちます。
督促状を送ることで、クライアントに対して法的な対応を視野に入れていることを伝え、支払いが遅れている事実を再確認させられます。
なお、督促状は自分で全てを作成する必要はありません。
無料のテンプレートでも構わないので、給料未払いが確定した時点ですぐに送付しておきましょう。
督促状は内容証明郵便で送付
督促状を送る際には、内容証明郵便を利用することをおすすめします。
内容証明郵便は、送付した文書の内容と送付した日付が公的に証明されるため、後に法的手段を取る際に有力な証拠となります。
内容証明郵便を受け取ることでクライアントは法的な責任を強く認識し、支払ってくれる可能性が高くなります。
なお、督促状には支払いが遅れている具体的な金額や支払期限、支払いが行われない場合に取る可能性のある法的手段についても明記しておくと効果的です。
督促状で効果がない場合は法的手段を検討
督促状でも効果がでない場合は、最終手段ではありますが、法的手段を検討する他ありません。
支払督促
法的手段を検討する際に、最も簡便な法的手段の一つが「支払督促」です。これは、裁判所を通じてクライアントに対して正式な支払い命令を出す手続きです。
支払督促は通常の裁判よりも手軽で迅速に対応できる方法であり、クライアントに対して強いプレッシャーを与えられます。
費用も比較的安く済み、相手が支払いを拒否する場合でも効力があるのが特徴です。
民事調停
もし支払督促で解決できない場合や、話し合いで解決したいという場合は「民事調停」を検討できます。
これは裁判所の調停委員を通じて、当事者同士が話し合いで解決を図る手続きです。
調停委員が双方の意見を聞き、公平な解決策を提案してくれるため、法的手続きに進む前にお互いの納得のいく形で解決する可能性があります。
少額訴訟
報酬の金額が60万円以下であれば、「少額訴訟」を利用することも考えられます。
少額訴訟は迅速に裁判を行い、短期間で解決を目指す手続きです。
通常の訴訟よりも手続きが簡単で費用も低く抑えられるため、少額の未払い報酬に対して効果的な手段です。
なお、判決が出るまでの期間が短いことも大きな利点です。
通常訴訟
最終的に、支払督促や少額訴訟で解決できない場合は「通常訴訟」をすることになります。
通常訴訟は裁判所での本格的な訴訟手続であり、時間や費用がかかりますが、未払いが多額であり法的に完全な解決を目指す場合には避けられない方法です。
なお、通常訴訟を起こす際には必ず弁護士に相談し、確実に法的なプロセスを進めていくことが重要です。
以上が、業務委託契約における給料未払いの対処法です。
法的手段に訴える前にまずは冷静に状況を確認し、段階的に対応を進めることがトラブル解決の鍵となります。
報酬未払いを防ぐためにできる対策
ここまで、業務委託契約における報酬未払いの対処法について詳しく解説してきました。
しかし、そもそも未払いが発生すること自体が大きな損失です。
なるべく報酬未払いを防ぐために、常日頃から以下に紹介する対策を意識しておきましょう。
クライアントの信頼性や財務状況を見極める
クライアントの信頼性や財務状況を事前に確認することは、未払いリスクを軽減するために非常に重要です。
具体的な方法は以下の通りです。
- クライアントがこれまでに取引した相手からの評判やレビューを確認します。フリーランスプラットフォームや口コミサイト、SNSでの評判などをリサーチするのが効果的です。
- 法人であれば、決算書などの公開情報を確認できます。特に売上や利益の安定性をチェックし、財務面での安定性が高いかどうかを確認しましょう。
- 最初のやり取りでの対応や態度が誠実であるかどうかも重要な判断材料です。支払いに関する質問に対して誠実に答えてくれるかどうかを見極めましょう。
報酬額や支払い条件などを明確に定めておく
報酬額や支払い条件を曖昧にしておくと、未払いの原因になりかねません。
具体的に取り決めておくべき内容は以下の通りです。
- 契約時に作業内容に対する報酬を具体的な金額で明記します。特に税金や経費が含まれているかどうかも確認しましょう。
- 「納品後30日以内」や「プロジェクトの進捗に応じた分割払い」など、支払いの時期や方法を詳細に定めておきましょう。
- 銀行振込、PayPalなど、どのように支払われるのかも明確にしておき、支払い遅延時のペナルティについても契約書に記載すると安心です。
仕事は契約書を交わしてから行う
契約書を交わさずに業務を進めると、未払いの際に法的対応が困難になってしまいます。
契約書の作成時には、報酬・納品物の内容・納品期限・支払い条件・著作権の取り扱いなどを盛り込んだ契約書を作成しましょう。
可能であれば、契約書のひな形や無料フォーマットを使って、自身の業務内容に合わせてカスタマイズすると効果的です。
また、契約書は紙媒体だけでなく、オンライン上での電子契約も有効です。
電子契約は手間が少なくて法的にも効力があるため、スムーズに取引を進められます。
契約書がない状態で仕事を進めることだけは絶対にしないように注意しましょう。
業務上のやりとりを記録に残しておく
メールやチャットでのやり取りを適切に記録しておくことは、後にトラブルが発生した際の重要な証拠となります。
例えば、納品内容や仕様変更に関するやり取り、報酬の支払いに関する確認など、すべてのやり取りはなるべく保存しておきましょう。
なお、GmailやSlackなどのプラットフォームでバックアップを自動的に取る機能を活用すると便利です。
また、作業進捗を定期的に報告して相手が把握している状態を作ることも、未払いリスクを回避するために効果的です。
進捗に対するフィードバックをもらうことで認識のズレを防げます。
クライアントと円滑なコミュニケーションを心がける
コミュニケーションの不足が報酬未払いの原因になることもあります。
以下の点を意識して、クライアントと常に円滑なコミュニケーションを心がけましょう。
- 報告・連絡・相談(報連相)を徹底し、作業進捗や問題点が発生した場合はすぐにクライアントに連絡を入れ、解決策を相談します。
- 支払期日が近づいてきたら丁寧にリマインドを行い、期日内に支払いが行われるよう促すことも有効です。感情的にならず、冷静かつ丁寧に話を進めましょう。
これらの対策を実行することで、業務委託契約における報酬未払いのリスクを大幅に軽減できます。
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まとめ
本記事では、給料未払いが起こる主な原因として、クライアントの財政状況や契約書の不備、納品物に関する認識のズレなどを挙げ、その対処法や未然に防ぐための具体的な対策を解説しました。
給料未払いを防ぐためには、クライアントの信頼性を見極めることや、報酬の支払い条件を明確にし、契約書を交わすなどの基本的な対策が欠かせません。
また、トラブルが発生した際には冷静に対応し、適切な手順を踏んで解決を図りましょう。
今後、業務委託契約においては、オンラインでの契約や国際的な取引が増加する中で、より一層慎重な準備が必要となるでしょう。
法的リスクやトラブルに備え、事前の対策を強化することが求められます。
「エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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