フリーランスが知っておきたい納品書の書き方を徹底解説!
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目次
はじめに
フリーランスとしてクライアントとの取引を円滑に進めるためには、納品書の書き方をしっかりと押さえておくことが重要です。
しかし、「何を記載すれば良いのか」「形式はどうするべきか」など、意外と迷いやすいポイントも多く、悩んでいる方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、フリーランスが知っておきたい基本的な納品書の作成方法から、相手にとってわかりやすく、安心してもらえる内容やフォーマットの工夫、トラブルを防ぐための注意点までを分かりやすく解説していきます。
主な書類の役割
フリーランスの業務では、納品書や請求書といった書類が欠かせません。
次に、それぞれの書類の具体的な役割と、作成時のポイントについて解説していきます。
納品書とは
納品書とは、依頼された業務が完了し、成果物が無事にクライアントへ届けられたことを証明する書類です。フリーランスが担当する仕事はさまざまですが、納品書の役割は共通して「納品内容を明確にし、後々の確認を容易にする」点にあります。
例えば、デザイン案件の納品であれば、納品書には「トップページデザインデータ」「ロゴデザインファイル」などの具体的な項目を記載します。また、納品日をはじめ、数量・単価・合計金額・納品先などを明記することで、後からの確認が簡単になるだけでなく、クライアントが受け取った成果物の詳細についても、容易に把握できます。
さらに、納品書はトラブル防止の観点からも重要です。例えば、クライアント側で「納品がされていない」といった認識のズレが生じた場合でも、納品書があれば、すでに納品済みであることを証明できます。納品がオンラインで行われるデータや資料など、物理的に手元に残らない成果物の場合に、納品書の存在は非常に役立ちます。
請求書とは
請求書は、納品した業務に対する対価として報酬を請求するための書類です。一般的に、請求書は納品書の後に発行され、支払いに必要な情報をクライアントに伝える役割を持ちます。
なお、請求書の内容には、請求日、請求金額、支払期日、振込先情報などが含まれます。加えて、仕事内容や料金の内訳が明記されていると良いでしょう。
例えば、ウェブサイト制作の請求書であれば、「トップページデザイン:55,000円(税込)」「バナー作成:10,000円」といったように、作業ごとの料金を記載することで、クライアントが納得しやすく、誤解を避けやすくなります。
また、入金遅延のリスクを減らすためにも、請求書には振込先や支払い期日を明確に記載しておきましょう。
請求書と納品書の違い
請求書と納品書は、フリーランスがクライアントとの取引を進める上でどちらも重要な役割を果たしますが、どのように違うのか分からない方もいるでしょう。
納品書は納品内容の詳細を示し、納品が完了したことを証明するものであり、請求書はその納品内容に基づき、報酬の支払いを請求するためのものです。
先述の例でいうと、フリーランスでデザインの仕事を行った場合、納品書には「トップページデザイン」「ロゴデータ」「バナーデザイン」などの納品物と納品日が記載され、クライアントが受け取った内容を確認するために利用されます。その後に発行される請求書には、「トップページデザイン費用:50,000円」「ロゴデザイン費用:10,000円」などの報酬額と支払期日、振込先情報を記載します。
このように、納品書と請求書はそれぞれの目的に合わせて発行されるため、役割が異なります。両者を適切に使い分けることで、取引の記録が明確になり、クライアントとの間でトラブルが生じにくくなります。
納品書の役割
納品書には、納品の完了を証明する役割だけでなく、報酬の請求に向けた基盤づくりや経費管理を支援する機能もあります。
ここでは、納品書が果たす具体的な役割について詳しく解説します。
商品やサービスの納品が実際に行われたことを証明
納品書の最も基本的な役割は、フリーランスが提供した商品やサービスが実際に納品されたことを証明することです。
納品内容や数量、納品日などの詳細を明記することで、取引の事実が記録として残り、双方にとっての安心材料となります。この証明としての機能が、クライアントとの信頼関係を構築し、後々のトラブルを防ぐ要素となるのです。
例えば、ウェブサイト制作の案件であれば、納品書に「トップページのデザインデータ」「コンテンツページのHTMLファイル」など具体的な成果物の内容を記載します。これにより、クライアントは実際に受け取った内容が、契約で合意されたものと一致しているかを簡単に確認できます。また、納品がオンラインで行われる場合でも、納品書を提出することで納品の完了が正式に記録されるため、後に「納品が行われていない」などの誤解が発生するリスクを低減できます。
さらに、納品書があることで、クライアント側も納品内容を正確に管理できるため、社内での記録やプロジェクト管理がスムーズになります。
つまり、納品書はフリーランスとクライアント双方にとって、「確実に納品した」という証拠となります。
報酬依頼
納品書は、報酬請求の基礎となる書類でもあります。納品書によって納品が完了したことが証明されると、次のステップとして報酬を請求するための請求書を発行する準備が整います。
納品書と請求書が一貫性を持っていることで、クライアントも報酬の支払いを安心して行うことができるため、納品書には業務の内容や金額、納品日などを正確に記載することが求められます。
納品書を通じて報酬請求の準備ができるため、クライアントが金額の確認や社内手続きを行う上で、納品書が重要な役割を果たします。また、納品内容に変更があった場合や特別な割引が適用された場合も、その旨を記載することで、請求書発行時の混乱を避けることができます。
経費管理
納品書は、フリーランスにとって経費管理や会計処理にも役立ちます。
自身の業務がどのように展開され、どのような成果物が納品されたのかを明確に記録することで、経費管理が簡単になります。納品書の内容をもとに、プロジェクトごとの収支を把握し、業務にかかる費用や報酬を一元管理できるため、経営状況を把握するのにも役立ちます。
例えば、フリーランスのデザイナーが月ごとに複数の案件を受けている場合、それぞれの納品書を記録することで、どの案件がどれだけの収益をもたらしたかを容易に把握できます。
また、納品書があれば経費計上の根拠としても利用できるため、会計処理の際に納品内容や金額を確実に把握しやすくなります。納品書の管理は確定申告や税務申告時にも重要な役割を果たし、納品と報酬が明確に分かれていることで、税務上の根拠としても信頼性が高まります。
経費管理を効率化するために、納品書には納品内容の詳細だけでなく、発行日やプロジェクト名などを記載しておくと良いでしょう。
納品書に記載するべき項目とは
納品書は、業務や商品の納品が完了したことを証明するための重要な書類です。
クライアントが納品内容を正確に把握できるように、記載項目をしっかりと整えることが求められます。以下では、納品書に含めるべき基本的な項目について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
納品書番号
納品書番号は、納品書を他の書類と区別するための固有の番号です。取引ごとに番号を付けることで、過去の納品書を簡単に参照できるようになり、記録管理がスムーズになります。
例えば、「2024-001」「2024-002」のように年度と連番を組み合わせて番号を付けると、いつ発行された納品書かが一目でわかるため便利です。納品書番号は、会計処理や税務管理の際にも役立ち、納品履歴を追跡する際に必要な情報をすばやく見つけることができます。
番号の重複を避け、体系的に管理しましょう。
作成日
作成日は、納品書を発行した日を示す項目です。
作成日を明確に記載することで、納品のタイミングを把握しやすくなり、取引の進行状況を確認するのに役立ちます。また、支払期日やクライアントの処理タイミングと連動することが多いため、正確な日付を記入することが重要です。例えば、「2024年11月15日」と記載することで、納品日から報酬の支払いまでの期間を把握しやすくなります。クライアント側でも処理スケジュールの確認がしやすくなり、支払い手続きがスムーズに進むというメリットがあります。
宛先
宛先は、納品書を受け取るクライアントの情報を記載する部分です。
通常は、会社名や担当者名を明記し、場合によっては部署名も記載することで、納品書が適切に届くようにします。たとえば、「株式会社〇〇 経理部 〇〇様」のように記入すると、担当者が受け取りやすく、スムーズに処理してもらえるでしょう。
特にクライアントが大企業の場合は、支店や部署、チーム等まで正確に記載しておきましょう。
発行元
発行元は、納品書を発行するフリーランス側の情報を記載する部分です。
フリーランスの個人名または屋号、住所、電話番号、担当者名などを記入し、何かあった場合にクライアントが発行元に迅速に連絡できるようにします。
請求金額
請求金額は、納品に対して請求する金額を明確に示す項目です。
請求金額欄では税込金額や税抜金額の区別を明確にし、場合によっては消費税額も記載します。たとえば、「請求金額:110,000円(税込)」と記載すると、クライアントが支払うべき金額が一目でわかります。
また、業務が複数に分かれる場合は、項目ごとに料金を記載すると、報酬内容が詳細にわかりやすくなり、クライアントとの間で誤解が生じるのを防げます。
源泉徴収額の記載に関する注意点
クライアント側から「源泉徴収額も記載してください」と指示があった場合、請求書には源泉徴収額と請求額を区別して記載する必要があります。なお、源泉徴収額は、請求金額に対して支払うべき所得税の額で、通常は10.21%が差し引かれますが、請負業務の内容によって異なることもあるため、必ず正確な金額を確認しましょう。
例えば、「請求金額:110,000円(税込)、源泉徴収額:11,231円、支払金額:98,769円」と記載すると、源泉徴収後の手取り金額が明確になります。源泉徴収の有無をあらかじめ確認した上で適切に記載することで、クライアントが適正な金額を支払う上での混乱を防げます。
納品日
納品日は、実際に納品が完了した日を記載する項目です。
納品日を記載することで、納品したタイミングが明確になり、支払期日などの計算基準としても利用できます。たとえば、「納品日:2024年11月20日」と記載すると、クライアントが納品確認を行う際の基準になります。
また、納品日を記載しておくことで、支払いのタイミングを管理しやすくなります。
納品場所
納品場所は、商品の受け渡しやサービスが提供された場所を記載する項目です。物理的な商品の場合には、具体的な住所を記載することで、納品が確実に行われた証拠となり得ます。
例えば、「納品場所:東京都渋谷区〇〇ビル3階」などとすることで、取引履歴としても残り、後々の確認がしやすくなります。
また、オンラインでの納品であれば「オンライン納品」と記載し、クライアントとの共通認識を持つことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
納品内容
納品内容は、納品した商品やサービスの詳細を記載する項目です。
クライアントが納品物を確認しやすくするためにも、具体的な作業内容や数量を明記しましょう。例えば、ウェブ制作の場合、「トップページデザイン」「バナーデザイン3点」「ロゴデザイン」などの項目と、それぞれの数量や仕様を詳しく記載することで、納品内容に対する認識のズレを防げます。
納品書に記載するべき注意事項とは?
納品書を作成する際には、次に解説する4つのポイントを押さえることで、内容が正確でわかりやすく、信頼性の高い書類になります。
特に、納品日や連絡先の記載、電子データとしての発行の可否、押印の必要性といった要素は、トラブルを未然に防ぐために重要です。
納品書に記載する日付は納品日を記載する
納品書の日付には、商品やサービスの「納品日」を記載するのが基本です。
なお、納品日とは、クライアントが納品物を実際に受け取った日を指します。特に月をまたぐ取引では、納品日が翌月になることで、会計処理や税務処理に影響が出る場合があるため、正確に記載しましょう。
ただし、到着日が不確定な海外配送や特別なケースでは、クライアントと日付の基準について事前に認識を合わせておくと安心です。取引内容によっては、あらかじめ「発送日をもって納品とする」などの合意を得ておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
また、納品書を再発行する場合でも、日付を変更しないことが基本のルールです。納品日自体が変わるわけではないため、再発行が必要な際は元の納品日を保持したまま「再発行」と明記するなどして透明性を確保しましょう。
連絡先は必ず記載する
納品内容や書類に不明点がある場合にクライアントが迅速に問い合わせできるようにするためにも、納品書には発行者の連絡先を必ず記載しましょう。
なお、連絡先には、通常、氏名または会社名、電話番号、メールアドレスなどを記載します。
電子データでも可能
納品書は、紙だけでなく電子データとしても発行が可能です。オンラインでのやりとりが増えている現代において、PDFやエクセル形式の納品書をメールで送付する方法が一般的になりつつあります。電子データでの発行は、紙の保管スペースが不要なうえ、クライアントがデータを簡単に保存、検索できるといったメリットがあります。
例えば、ウェブデザインの納品であれば、デザインデータと一緒にPDF形式の納品書をメールで添付し、クライアントに提出します。この場合、ファイル名には「納品書_(自身の名前・屋号など)_2024年11月.pdf」のようにわかりやすい名前を付けると、クライアントも管理しやすくなります。
ただし、クライアント側の社内ルールによっては紙の納品書が求められる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
押印は必須ではない
納品書に押印が必要かどうかは、取引の慣習やクライアントの社内ルールによって異なりますが、法律的には必須ではありません。
特に、フリーランス業務では押印を省略することが多く、電子データでの納品が主流となっている現代では、押印の必要性が薄れつつあります。ただし、クライアント側から押印を求められた場合は対応するのが望ましいでしょう。
例えば、PDF形式の納品書であれば、署名や電子印を追加する方法もあります。「電子署名により発行者が本人であることを保証する」といった形式で、フリーランスにとっても便利な手段です。
ただし、書類の信用性や形式にこだわるクライアントもいるため、必要に応じて押印の有無を確認することが、双方にとって安心できる対応になります。押印が不要な場合は、その旨をクライアントと共有しておくと良いでしょう。
フリーランスが納品書を発行するメリット
納品書を適切に発行することで、クライアントの安心感を高め、取引をより確実なものにできます。
ここでは、納品書を発行することで得られるメリットについて、それぞれの視点から解説します。
クライアントに安心感を与えることができる
スムーズかつ正確に納品書を発行することは、クライアントに対して「この方(フリーランス)はきちんとした業務遂行ができる」という信頼にもつながります。
納品書には納品内容、数量、金額、納品日などが記載されているため、クライアントは取引内容が明確であると安心できます。特に初回の取引において、納品書は信頼感を深めるうえで大きな役割を果たすでしょう。
また、納品書を発行することにより、クライアント側での経理処理も円滑に進みます。納品書は、クライアントが外注費を経費として計上する際の必要書類の一つであり、業務の完了と対価支払いの適正さを確認する証拠として役立ちます。
加えて再発注や追加依頼の際にも納品書があれば、過去の取引内容を迅速に確認できるため、クライアントにとってもメリットが大きいでしょう。
クライアント側も提供側も客観的に納品物を把握することができる
納品書は、クライアントと提供者が共通の理解を持つために役立つ書類であり、取引の客観的な証拠として機能します。
例えば、イラスト制作の依頼であれば、「表紙イラスト1点」「キャラクターカット3点」と具体的な項目を記載すると、クライアントは納品物が依頼内容と一致しているかを一目で確認できます。
こうした客観的な確認手段があることで、双方にとって安心感が生まれ、必要に応じて書類を基に意見交換や確認を行うことも容易になります。
また、記録として残すことで、将来的な確認にも役立ち、信頼性の高い取引を築けます。
納品物の型番や品名を正確に伝えられ管理できる
納品書を利用することで、納品物の型番や品名を正確に伝えられるため、管理が非常に簡単になります。
特に、製品や部品の納品においては、型番や品名を詳細に記載することにより、誤品配送や認識違いが発生するリスクを大幅に減らすことができます。
例えば、商品開発のプロジェクトで、デザイン素材を納品する際に「デザイン素材型番:DS-001」「品名:製品ロゴデザイン」のように記載すれば、クライアントが求めている素材が正確に納品されたことがすぐに確認できます。
つまり、納品書に正確な情報を記しておくことで、納品物をクライアント側で管理しやすくなるだけでなく、フリーランス側でも複数のプロジェクトを同時進行する場合に役立ちます。納品物の内容が正確に記録されるため、後の問い合わせや修正依頼においてもスムーズに対応できるようになります。
納品書を作成する際の注意点とは?
納品書を作成する際には、正確さがクライアントの信頼を左右し、今後の取引継続にも影響を与えます。
ここでは、納品書作成時に気をつけるべきポイントについて、具体例を交えながら詳しく解説します。
納品書の記載漏れ
納品書を作成する際に最も注意したいのは、記載漏れです。
納品書には、納品日、納品内容、数量、請求金額、発行元といった基本的な項目が必要です。これらの内、1つでも情報が欠けていると、クライアントが納品内容を確認しづらくなり、誤解や確認作業の手間を生む原因となります。
例えば、「納品内容」として「デザインデータ一式」とだけ書かれている場合、どのファイルが含まれているかが不明確です。「トップページデザイン」「バナー作成」「アイコンデザイン」のように具体的に記載することで、クライアント側も明確に把握でき、確認の手間を省けます。
納品書を提出する前に、内容が過不足なく記載されているか、しっかり確認することが大切です。
納品書の書式やレイアウトに指定があるか確認する
納品書の書式やレイアウトについて、クライアントからの指定があるか確認することも重要です。
特にクライアントが企業の場合、社内で統一された納品書のフォーマットが求められる場合があるため、事前にクライアントに確認を取ることで、書式やレイアウトの違いによる手戻りを防げるでしょう。
例えば、「納品内容は左揃え、金額は右揃えに統一」「社内用コードの記載が必須」などの指定がある場合、フォーマットが違うと再発行を求められる可能性があります。
企業によっては、社内のシステムにデータを取り込みやすくするため、特定の項目や並び順が求められる場合もあるので、納品書の形式について確認を取ることで、スムーズな取引を進めることができます。
納品書における税金について
納品書には消費税の記載義務はありませんが、取引の明確化を図るために税額を表示することが一般的です。特に、納品書の記載方法により、クライアント側の経費処理が円滑になるため、税金の扱いは丁寧に行うと良いでしょう。税込・税抜どちらで記載するかはクライアントによって異なるため、事前の確認が大切です。
例えば、「請求金額:100,000円(税抜)」とし、消費税を別途「消費税(10%):10,000円、合計:110,000円」と併記することで、クライアント側が最終的な支払額を把握しやすくなります。税抜価格だけを記載する方法もありますが、クライアントの処理に支障が出ないよう、記載方法について事前に相談しておくと安心です。
また、2023年10月より施行されたインボイス制度により、納品書を適格請求書(インボイス)として発行することが可能です。インボイスとして発行する場合、登録番号や税率ごとに分けた金額、消費税額など、法で定められた項目を記載する必要があります。
インボイスの形式で納品書を発行する際には、クライアントとの事前取り決めを行い、どの書類を最終的な適格請求書とするかを確認しておくと良いでしょう。
税金に関する記載が必要な場合、金額は税込・税抜が混在しないように統一すると誤解を防げます。また、インボイス対応や記載項目の統一が必要な場合は、会計ソフトや納品書作成ツールを利用するのも効率的です。
納品書送付のタイミング
納品書の送付タイミングにも注意が必要です。納品書は、納品と同時か、納品後すぐに送付するのが基本です。納品書が遅れると、クライアント側での支払い手続きが遅延する可能性があるため、迅速に送付することで、取引全体の流れを円滑に保てます。
例えば、ウェブデザインの納品が完了したら、すぐにPDF形式の納品書をメールで送付し、クライアントが確認しやすいように配慮します。また、納品物が複数に分かれる場合は、納品ごとに納品書を送るか、一括で送るかもクライアントと事前に相談すると良いでしょう。
タイミングを逃さずに納品書を提出することは、クライアントへの信頼性を高め、後の報酬支払いを確実に進めるためのポイントです。
納品書保管の期間
納品書は、フリーランスの収支管理や税務申告の際に重要な記録となるため、適切な期間保管することが推奨されます。日本の税法では、納品書などの取引記録を7年間保管することが義務づけられています。
例えば、紙での保管が必要な場合はファイルを用意して年代順に整理し、デジタルデータで管理する場合はクラウドやハードディスクに定期的にバックアップを取るとよいでしょう。
納品書に関するよくある質問とその回答
納品書を実際に運用する際、さまざまな疑問が生じることがあります。
ここでは、納品書にまつわる代表的な質問について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
納品書の再発行は必要か?
納品書の再発行は、クライアント側から求められた場合や、内容に誤りが見つかった場合には必要になることがあります。再発行が求められるケースとしては、原本を紛失した、もしくは初回に送付した納品書の内容に修正が加えられたなどが考えられます。再発行する際には、「再発行」「訂正済み」などと表記を加え、初回の発行日や発行番号がわかるようにしておくと混乱を防げます。
例えば、納品書の金額に誤りがあった場合は、修正した納品書を再発行する際に「再発行済み」と表記し、新たな発行番号を付与するとともに、誤りのあった内容を記録に残しておくと良いでしょう。また、電子データで納品書を管理している場合には、再発行の納品書が過去の納品書と混在しないようにファイル名を工夫し、管理しやすくすることも大切です。
クライアントとの信頼を維持するためにも、再発行が必要になった際には迅速かつ正確に対応することが求められます。
内容に誤りがあった場合の対処法は?
納品書の内容に誤りが見つかった場合には、速やかに訂正の手続きを行い、クライアントに報告することが基本です。特に金額や納品物の数量など、取引の核心にかかわる誤りがある場合は、訂正の連絡を早急に行うことで、クライアントに混乱や誤解を与えずに済みます。
具体的な対処法として、まずクライアントに電話やメールで誤りを報告し、訂正済みの納品書を速やかに再発行します。この際、訂正箇所がわかるように「訂正済み」「再発行」と記載するのが望ましいです。
また、再発行の納品書には新たな発行番号を付けるか、訂正箇所に色や下線で目印をつけるなど、誤った内容と区別できる工夫を行いましょう。誤りがあった際に迅速で誠実な対応を心がけることで、クライアントの信頼を損なわずに取引を円滑に進めることができます。
小規模案件でも納品書は必要?
小規模案件の場合でも、納品書を発行しておきましょう。
例えば、短時間の作業や少額の仕事であっても、納品書があれば「業務が完了したこと」を証明できるため、後からトラブルを防ぐ効果があります。納品書を発行することは、クライアントに対しても誠実な姿勢を示す一環として役立ち、プロフェッショナルな印象を与えます。
たとえば、1時間ほどの修正作業や小規模のデザイン案件であっても、「〇〇修正作業完了」「デザインバナー1点」と記載した簡易納品書を発行することで、クライアントは業務の完了を確認しやすくなり、報酬支払いの手続きもスムーズに行えます。
小規模案件では、「納品書は不要では?」と思われがちですが、どの規模であっても業務の記録として残すことは、フリーランスとしての信頼性を高め、長期的な取引関係の構築にもつながります。
納品書はエクセルで作成するのがいい?
エクセルやGoogleスプレッドシートで納品書を作成するのも、シンプルかつ良い方法です。
エクセルには計算機能が備わっており、数量や単価を入力すれば自動で金額を計算できるため、特にフリーランスや小規模の事業者にとって効率的です。また、自分でテンプレートをカスタマイズできるので、取引の種類やクライアントの要望に応じてフォーマットを変更しやすいという利点もあります。
ネット上には、エクセルやGoogleスプレッドシート用の納品書フォーマットも共有されているため、利用してみるとよいでしょう。
なお、エクセルでの作成は手軽で柔軟ですが、発行業務が多い場合やインボイスの適用を考える場合は、会計ソフトの活用も検討してみましょう。
まとめ
今回は、「フリーランスが知っておきたい納品書の書き方」をテーマに、納品書の役割や記載項目、作成時の注意点などについて詳しく解説しました。
納品書は、取引の完了を示し、信頼関係を築くために欠かせない重要な書類です。クライアントに安心感を与え、業務の透明性を高めるためには、正確でわかりやすい納品書の作成が求められます。また、書式の確認や税金の取り扱い、送付のタイミングといった細かな点にも注意しましょう。
結論として、フリーランスが納品書を作成する際には、記載内容を正確にすること、クライアントの要望を尊重することが重要です。
納品書の活用により、スムーズな取引や、クライアントとの関係強化が期待できるでしょう。
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