jQueryは終わったといわれる3つの背景と学ぶべきフレームワークとは
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目次
jQueryとは?
エンジニアであればjQueryという言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、そうでない方にとっては聞き馴染みのない言葉かもしれません。
jQueryの概要とできることについて解説していきます。
jQueryの概要
jQueryは、ウェブ開発において広く使われているJavaScriptライブラリの一つです。2006年にJohn Resigによって開発され、その目的はJavaScriptのコーディングをより簡単に、効率的に行うことです。
このライブラリは、DOM(Document Object Model)の操作、CSSの操作、アニメーション、AJAX通信など、ウェブページにおける多くの一般的なタスクを簡潔なコードで実行できるように設計されています。
jQueryは「Write less, do more(少ないコードで多くを達成する)」というフィロソフィーに基づいています。例えば、複数のHTML要素に対して一括で操作を行ったり、ユーザーのアクションに応じて動的にページを更新したりすることが、わずかなコードで可能です。
さらに、多くのブラウザに対応しているため、クロスブラウザの問題も最小限に抑えられます。多くのプラグインも存在し、その機能を簡単に拡張することができます。このようにして、jQueryはウェブ開発を劇的に効率化し、初心者からプロフェッショナルまで幅広く利用されています。
jQueryでできること
1. DOM Manipulation(DOM操作)
jQueryを使うと、HTML文書内の要素(DOM要素)を非常に簡単に操作できます。例えば、特定のテキストや画像を動的に変更したり、新しい要素を追加したり、既存の要素を削除したりすることが可能です。
具体例としては、ショッピングカートのような動的な要素を操作する場合、ユーザーが「追加」ボタンをクリックしたときに新しい商品をリストに追加するといった操作が考えられます。
// 商品を追加するボタンがクリックされたら
$(“#addButton”).click(function() {
// 新しい商品のHTMLを作成
var newItem = “<li>New Item</li>”;
// 商品リストに新しい商品を追加
$(“#itemList”).append(newItem);
});
このようにして、jQueryを使用すると、少量のコードで高度なDOM操作を行うことができ、ウェブページをよりインタラクティブにすることが可能です。
2. Event Handling(イベント処理)
jQueryでは、ブラウザで発生するさまざまなイベント(クリック、マウスオーバー、キープレスなど)を簡単にハンドリングできます。
例えば、ユーザーが特定のボタンをクリックしたときにポップアップメッセージを表示するといったことが簡単にできます。
// “helloButton”がクリックされたら
$(“#helloButton”).click(function() {
// ポップアップメッセージを表示
alert(“Hello, World!”);
});
このようなイベントハンドリングは、ウェブページがユーザーの操作に柔軟に反応できるようにするために不可欠です。
3. AJAX Operations(AJAX操作)
jQueryを使用すると、ページの再読み込みなしにサーバーと非同期通信を行うことができます。
例えばユーザーがフォームに入力したデータをサーバーに送信して、その結果をページ上に動的に表示する場合などに非常に便利です。
// “submitButton”がクリックされたら
$(“#submitButton”).click(function() {
// フォームデータを取得
var formData = $(“#myForm”).serialize();
// サーバーにデータを送信
$.ajax({
type: “POST”,
url: “/submit”,
data: formData,
success: function(response) {
// 成功時の処理(サーバーからのレスポンスを表示)
$(“#result”).html(response);
}
});
});
このように、jQueryを使用すると、非同期通信によるデータの送受信を簡単に行い、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
jQueryを使うメリットとデメリットとは
jQueryを使うメリットとデメリットとが存在しますが、それぞれ詳しく解説していきます。
jQueryを使うメリット
1. コードの簡潔性と可読性
jQueryの一番のメリットは、コードの簡潔性と可読性が高まることです。
たとえば、DOM要素の取得や操作、イベントハンドリングなど、JavaScriptでよく行う処理がjQueryではわずかなコード行で実現できます。
この簡潔性が新しいプロジェクトを速くスタートさせる助けになるだけでなく、既存のコードベースも容易にメンテナンスできます。
具体例として、複数のチェックボックスがあり、それら全てを一括で選択・解除する機能を実装するケースを考えましょう。JavaScriptだけでこの機能を実装すると複数行にわたるコードが必要ですが、jQueryでは以下のように短いコードで実現できます。
Copy code
$(“#selectAll”).click(function() {
$(“.checkbox”).prop(“checked”, true);
});
2. クロスブラウザ対応
jQueryは多くのブラウザで動作するよう設計されています。これは、各ブラウザのJavaScript実装の違いによる問題を気にせずに済むという大きな利点です。
例えば、Internet Explorerで特有の問題が出たとしても、jQueryがその問題を抽象化してくれるため、開発者は各ブラウザでの挙動の違いに悩まされることが少なくなります。
具体例として、Ajax通信を行う場面を考えると、古いバージョンのInternet ExplorerではXMLHttpRequestオブジェクトの扱いが特殊です。しかし、jQueryを使えば、そのようなブラウザ特有の問題を意識せずにAjax通信を実装できます。
3. 豊富なプラグイン
jQueryは非常に人気があり、その結果として多くのプラグインが開発されています。これらのプラグインを使用することで、スライドショー、タブ切り替え、ドラッグ&ドロップなど、高度な機能を簡単に追加することができます。
具体例として、DataTablesというプラグインを使えば、HTMLテーブルに対してページングやソート、フィルタリングといった高度な機能を簡単に実装できます。このようなプラグインを活用することで、開発速度を大幅に向上させることが可能です。
jQueryを使うデメリット
1. パフォーマンスのオーバーヘッド
jQueryは非常に便利ですが、その便利さが裏目に出る場合もあります。
具体的には、jQueryのメソッドが内部で行っている処理が多いため、大量のDOM操作を行う場合などにはパフォーマンスのオーバーヘッドが発生する可能性があります。
例えば、大量のリストアイテム(数千〜数万)に対してjQueryの.each()メソッドで操作を行おうとすると、ブラウザが非常に遅くなる、もしくはフリーズする可能性があります。
このような場合、ネイティブのJavaScriptで最適化されたコードを書いた方がパフォーマンスが向上する可能性が高いです。
2. 依存関係とバージョン管理
jQueryは多くのプラグインやフレームワークと組み合わせて使用されることが多いです。これにより、依存関係が複雑になることがあります。特に、古いプラグインが新しいjQueryバージョンと互換性がない場合、アップデート作業が困難になることがあります。
具体例として、jQueryの古いバージョンに依存しているプラグインを使用しているプロジェクトで、セキュリティの問題からjQueryを最新バージョンにアップデートする必要が出た場合、プラグインが正常に動作しなくなる可能性があります。
このような依存関係の問題は、メンテナンスが難しくなる一因です。
3. JavaScriptの基本を疎かにするリスク
jQueryは非常に便利で簡単に使えるため、JavaScriptの基本的な概念やメソッドについて学ぶインセンティブが減少する可能性があります。これは、フロントエンド開発が進化していく中で、新しいフレームワークやライブラリを習得する際に障壁となることがあります。
具体例として、ReactやVue.jsなどの現代のフレームワークはJavaScriptのES6以上の機能を積極的に使用しています。
これらの基本的なJavaScriptの概念に不慣れな場合、新しいフレームワークへの移行が難しくなる可能性があります。
jQueryは終わった技術?3つの背景を紹介
jQueryは終わった技術なのかについて3つの背景を紹介して、それぞれ詳しく解説していきます。
JavaScriptが進歩し、jQueryを使う必要がないケースが増えた
近年のJavaScript(特にES6以降)の進化により、かつてjQueryでしか実現できなかったような多くの機能が、ネイティブのJavaScriptでも容易に使えるようになりました。
例えば、DOM操作やイベントハンドリング、非同期処理(Promises、 async/await)などがJavaScript自体の進化で簡単に扱えるようになっています。
これにより、小〜中規模のプロジェクトや、特定の機能だけを簡単に追加したい場合に、jQueryを避けてネイティブJavaScriptを使用するケースが増えています。
具体的には、fetch APIが標準化されたことで、jQueryの$.ajaxメソッドなしでも簡単に非同期通信ができるようになっています。また、querySelectorやquerySelectorAllメソッドによって、CSSセレクタを使ってDOM要素を簡単に取得できるようになったことも要因の一つです。
Web標準に対してjQueryが遅れをとっているケースが増えた
jQueryは2006年に登場して以来、多くのWeb標準が進化しています。これに対して、jQueryは独自の方法で多くの機能を提供していたため、新しいWeb標準に即応できない側面があります。
例えば、Web ComponentsやShadow DOMといった新しいWeb標準には、jQueryからは直接対応が難しい場合があります。
具体例として、Custom ElementsといったWeb Componentsのスペックは、jQueryのDOM操作メソッドとは異なるアプローチでDOMを扱います。このような新しい機能を積極的に取り入れたい場合、jQueryは選択肢から外れる可能性が高くなります。
IEが終わりブラウザ間の差が少なくなった
jQueryの初期の成功の一因は、各ブラウザ(特にInternet Explorer)間のJavaScriptの動作の違いを抽象化し、開発者が同じコードで複数のブラウザに対応できるようにした点です。
しかし、MicrosoftがInternet Explorerを終了し、EdgeをChromiumベースにしたことで、ブラウザ間の差異は大幅に減少しました。この結果、多くのケースでjQueryを使用する必要がなくなっています。
具体的には、CSSプロパティの取得や設定、イベントハンドリングなど、多くの基本的な機能について、現代のブラウザは標準化された方法で動作するようになりました。これにより、jQueryなしでクロスブラウザ対応のコードを書く障壁が低くなっています。
jQueryの将来性とは
ここからはjQueryの将来性について解説していきます。
jQueryは現在どのように使われている?
jQueryは、2006年に登場して以来、Web開発における主要なJavaScriptライブラリの一つとなっています。
主にDOM(Document Object Model)の操作、イベントハンドリング、AJAX通信などを簡単に行うことができます。現在でも多くのWebサイトやプロジェクトで使用されており、特に既存の大規模なプロジェクトやレガシーコードのメンテナンスにおいては重宝されています。
具体例としては、WordPressのようなCMS(コンテンツマネジメントシステム)ではjQueryが広く使われています。また、BootstrapなどのフレームワークでもjQueryは依然として採用されている場合が多いです。
さらに、小規模なWebサイトやランディングページを素早く開発する際にも、jQueryは便利なツールとされています。
jQueryの将来性
近年では、React、Angular、Vue.jsなどのモダンなフレームワークが台頭してきており、これらが多くの新規プロジェクトで採用されています。
これらのフレームワークは、コンポーネントベースのアーキテクチャや状態管理など、より高度な機能を提供しているため、新しいWebアプリケーションの開発においてはjQueryよりも優れた選択肢とされています。
そのため、jQueryの新規採用率は減少傾向にありますが、既存の多くのWebサイトがjQueryを使用しているため、完全に時代遅れになることはないでしょう。メンテナンスが必要な既存プロジェクトでは、今後もjQueryのスキルは求められる可能性が高いです。
jQueryをこれから勉強するべきか
jQueryは学習コストが比較的低く、初心者にとっては非常にアクセスしやすいライブラリです。基本的なJavaScriptの知識があれば、短期間でDOM操作やイベントハンドリング、AJAX通信などの基本的なWeb開発スキルを身につけることができます。
特に、Web制作に携わるデザイナーやフロントエンド開発者は、少なくとも基本的なjQueryのスキルを持っていると、既存プロジェクトのメンテナンスや小規模なプロジェクトで大いに役立つでしょう。
しかし、長期的なキャリアを考える場合、モダンなフレームワークの学習も避けては通れない道となるでしょう。
jQueryの代わりに学ぶべきモダンなフレームワークとは?
jQueryの代わりに学ぶべきモダンなフレームワークについてそれぞれ解説していきます。
React
Reactは、Facebookが開発し、2013年に公開されたJavaScriptライブラリです。主にユーザーインターフェースの構築に用いられ、コンポーネントベースのアーキテクチャを採用しています。Reactの最大の特長は、仮想DOM(Virtual DOM)を用いて高速なレンダリングを実現する点です。
具体例として、Facebook自体がReactを用いて構築されています。また、多くの大規模なWebアプリケーション、例えばAirbnbやNetflix、InstagramなどもReactを採用しています。ReactはJavaScriptのECMAScript 6(ES6)以上の機能と組み合わせて使うことが多く、HooksやContext APIなど、状態管理やライフサイクル管理を効率的に行えます。
Reactは大規模なコミュニティと豊富なサードパーティライブラリがあり、学習リソースも多く存在します。これにより、多様な問題に対して柔軟に対応できるため、新規プロジェクトやスタートアップ企業でよく採用されています。
Vue.js
Vue.jsは、元GoogleエンジニアのEvan Youによって開発されたJavaScriptフレームワークです。Vue.jsは、簡潔なAPIと高い柔軟性が特長で、小規模から大規模なシングルページアプリケーション(SPA)の開発に適しています。
具体例としては、AlibabaやXiaomiなどの大企業がVue.jsを採用しています。また、LaravelというPHPフレームワークと組み合わせて使われることも多いです。Vue.jsは、コンポーネントベースのアーキテクチャを持ち、状態管理にはVuex、ルーティングにはVue Routerが用いられます。
Vue.jsは、初心者にも学びやすいとされており、ドキュメントが非常に充実しています。また、ReactやAngularに比べて学習曲線が緩やかであるため、初めてフレームワークを学ぶ人にもおすすめです。
Vanilla JS
Vanilla JSは、フレームワークやライブラリを使用せずに、純粋なJavaScript(ECMAScript)だけで開発を行うアプローチを指します。このアプローチは、ページの読み込み速度を高める、依存関係を減らす、より細かいコントロールが可能などの利点があります。
具体例としては、小規模なプロジェクトやウェブサイト、ウィジェット、プラグインなどでよく用いられます。また、大規模なプロジェクトでも、特定の部分でVanilla JSを用いることで、パフォーマンスの最適化を図ることがあります。
Vanilla JSを学ぶことは、JavaScriptそのものの理解を深める上で非常に有用です。フレームワークやライブラリが提供する便利な機能を使わずに、自分でコードを書くことで、プログラミングスキルが向上します。
Alpine.js
Alpine.jsは、近年人気を集めている軽量なJavaScriptフレームワークです。VueやReactのような大規模なフレームワークが提供するような機能を、よりシンプルかつ軽量な形で提供しています。特に、DOM操作や状態管理を簡単に行えるように設計されています。
具体例としては、簡単なTODOリストアプリや、ドロップダウンメニュー、タブ切り替えなどのUIコンポーネントを作成する際に便利です。Alpine.jsは、CDN経由で簡単に導入でき、特別なビルドプロセスや依存関係を必要としないため、小〜中規模のプロジェクトで特に有用です。
Alpine.jsは、その軽量性と簡易性から、特にLaravelのLivewireと組み合わせて使われることが多いです。この組み合わせによって、サーバーサイドとクライアントサイドの両方で簡潔なコードを書くことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
jQueryは終わったといわれる3つの背景と学ぶべきフレームワークについて解説してきました。
技術革新による進歩があることでjQueryが終わったと言われてしまうことはありますが、既存のシステムでも多数採用されており、今でもなお便利なツールとして幅広く活用されています。
これからのエンジニアはjQueryを学びつつ、新たに台頭してくる技術の知識を取り入れながら学習していくことが必要となりそうです。
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