Spring Frameworkの脆弱性と具体的な被害事例を紹介
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目次
Spring bootとは?
Spring FrameworkはJavaのエンタープライズ開発で広く採用されているフレームワークですが、その普及に伴い、セキュリティ脆弱性が悪用されるリスクも増大しています。
本記事では、Spring Frameworkにおける主要な脆弱性と、脆弱性によって引き起こされた被害事例に焦点を当てています。脆弱性の理解と具体的な事例を通じて、より強固なセキュリティ対策の重要性を再認識することが目的です。
また、Spring Frameworkを基盤としたフレームワーク「Spring boot」の特徴も併せて紹介します。
Spring bootの概要
Spring Bootは、Javaのエンタープライズアプリケーション開発を容易にするためのフレームワークです。Spring Frameworkを基盤としており、迅速なプロジェクトのセットアップ、自動設定、独立したアプリケーションの作成をサポートしてくれます。
例えば動的なウェブサイトやウェブベースのアプリケーション、RESTful API、マイクロサービスアーキテクチャの構築など、さまざまなサービスをSpring Bootで開発できます。
Spring Bootの主な目的は、開発者がビジネスロジックに集中できるように、設定作業の複雑さを減らすことです。「規約より設定」の原則に基づいており、多くの標準設定を自動的に提供します。
結果として、Spring Bootを使用することで開発者にスピーディかつ新しいSpringアプリケーションを立ち上げ、製品化までの時間を短縮できます。
Spring bootの歴史
Spring Bootは、Spring Frameworkの拡張として2014年に初リリースされました。
Spring Bootが開発された目的は、Spring Frameworkが提供する機能や柔軟性を活かしつつ、開発プロセスを単純・迅速化することで、より簡単にSpringベースのアプリケーションを構築できる点です。
従来のSpring Frameworkでは、多くの設定と事前準備が必要でしたが、Spring Bootの登場により手間が大幅に削減され、開発者が迅速にプロジェクトを開始できるようになりました。
Spring bootの特徴
Spring Bootは、Javaベースのアプリケーション開発を簡単かつ迅速に行うために設計されたフレームワークです。Spring Frameworkの上に構築されており、開発者が最小限の労力で生産的な作業に取り組めるように設計されています。
自動設定
Spring Bootは「規約より設定」のアプローチを採用し、開発者が新しいプロジェクトを始める際に必要な多くの設定を自動的に行います。この自動設定機能により、面倒な設定作業が減少し、開発者はアプリケーションのビジネスロジックに集中できるようになります。
スタンドアロンアプリケーションのサポート
Spring Bootは組み込みHTTPサーバ(通常はTomcat、Jetty、またはUndertow)を提供しています。
外部のサーバにデプロイすることなくアプリケーションを実行することで、開発とデプロイメントのプロセスが簡素化されます。
オピニオンを持った設定
Spring Bootは、「ベストプラクティス」に基づいたデフォルト設定を多く提供しているため、開発者はアプリケーションの設定に関して細かい決定をする必要がなく、すぐに開発に着手できます。例えば、データベース接続やセキュリティ設定など、一般的なアプリケーションコンポーネントのための標準的な設定が、Spring Bootでは事前に構成されています。
簡単なアプリケーションから複雑なものまで、柔軟に対応できるのがSpring Bootの強みです。
依存性管理
Spring Bootの依存性管理は、開発者がライブラリ間の衝突やバージョンの問題に頭を悩ませることなく、効率的にプロジェクトを進められるよう設計されています。
主要な特徴として、スターター依存性が挙げられます。スターター依存性は、特定の機能に必要なすべての依存性を一つのグループにまとめ、それらが互いに適切に連携し、互換性を持つように構成されています。
例えば、Spring BootのWebスターターは、Webアプリケーションを構築する際に必要なSpring MVC、Tomcat、Jacksonなどの依存性を包括します。このように必要な機能に応じてスターターパッケージをプロジェクトに追加するだけで、煩雑な依存性の手動管理から解放され、開発のスピードアップと効率化が実現されます。
また、Spring Bootの依存性バージョン管理機能は、互換性のあるバージョンの依存関係が自動的に選択されるため、ライブラリ間の互換性問題を未然に防ぎます。
マイクロサービスアーキテクチャのサポート
Spring Bootはマイクロサービスアーキテクチャに最適化されており、独立したサービス群を効率的に開発、デプロイする過程をサポートします。そして、システムの各コンポーネントが個別にスケーリングし、メンテナンスされる能力を持ち合わせています。
スタンドアロン性と最小限の設定で動作する特徴は、クラウド環境での使用に理想的です。
クラウドネイティブアプリケーションの展開において、Spring Cloudとの連携により、サービス間通信や設定管理、負荷分散などの分散システムに必要な機能を簡単に統合できます。
Spring bootで開発されている具体的な事例
Spring Bootは多くの有名なサービスやアプリケーションの開発に使用されています。
ここでは、Spring BootまたはSpring Frameworkで開発されている3つの事例について紹介します。
オンライン小売業界におけるEコマースプラットフォームの開発
近年、オンライン小売業界は急速な成長を遂げています。この分野における主要な技術的課題の一つは、効率的で拡張可能なEコマースプラットフォームの開発です。Spring Bootは、その柔軟性と拡張性により、この分野で広く採用されています。
Eコマースプラットフォームでは、顧客のニーズに応じた迅速なサービス提供が不可欠です。Spring Bootは、迅速なプロトタイピングと開発を可能にし、マイクロサービスアーキテクチャを通じて、サービスの独立性とスケーラビリティを促進します。これにより、Eコマースサイトは、トラフィックの増加や市場の変動に迅速に対応できるようになります。
さらに、Spring Bootはセキュリティやデータ管理など、Eコマースにとって重要な側面をサポートしています。セキュリティ性の高い認証システム、効率的なデータベース処理、APIの統合など、必要な機能を簡単に追加できるため、開発者はビジネスロジックに集中できます。
実際の事例として、多くのEコマース企業はSpring Bootを使用して、個々の顧客の好みに合わせたパーソナライズされたショッピング体験を提供しています。リアルタイムのデータ分析、個別化された商品推薦、シームレスなチェックアウトプロセスなど、Spring Bootはこれらの機能の実装を容易にします。
このように、Spring Bootはオンライン小売業界におけるEコマースプラットフォーム開発の強力なサポートツールとして機能し、企業にとって競争力の源泉となっています。
金融業界における取引プラットフォームの構築
金融業界では、取引プラットフォームやバックエンドシステムの開発にSpring BootやSpring Frameworkがよく利用されます。例として、銀行のオンライン取引プラットフォームをSpring Frameworkで開発しているケースがあります。
Spring BootやSpring Frameworkを使用したプラットフォームでは、Springのトランザクション管理機能が、取引の整合性とセキュリティを保証しています。また、Spring MVCを使用したウェブインターフェースは、ユーザーフレンドリーな顧客経験を提供し、Spring Securityは顧客の資金とデータを保護します。このように、Spring Frameworkを使用することで、高度なセキュリティ要件とパフォーマンス基準を満たしつつ、効率的なシステムを構築できます。
ヘルスケア業界における患者管理システムの開発
ヘルスケア業界では、患者のデータ管理や医療記録システムの開発にSpring BootやSpring Frameworkが活用されています。例えば患者の医療記録や予約システム、オンライン診療サービスを構築可能です。
Spring BootやSpring Frameworkにはモジュール性やセキュリティ機能があるため、患者の機密情報を安全に管理しつつ、使いやすいウェブインターフェースを提供できます。さらにSpring Dataは、大量の医療データの効率的な処理と分析を可能にし、Spring MVCは、医師と患者間の円滑なコミュニケーションをサポートします。
Spring bootとSpring Frameworkの違いは?
Spring Frameworkは豊富な機能を提供する基盤フレームワークであり、Spring Bootはその上で構築され、開発の迅速化と簡素化を目的としたフレームワークです。
ここでは、Spring bootとSpring Frameworkの違いについて3点紹介します。
目的
Spring BootとSpring Frameworkは、Javaベースのアプリケーション開発において異なる目的で設計されています。
Spring Frameworkは、エンタープライズレベルのJavaアプリケーション開発をサポートするために設計された、包括的でモジュラーなフレームワークです。例えば依存性注入(DI)やアスペクト指向プログラミング(AOP)、データアクセス、トランザクション管理など、多岐にわたる機能が含まれています。
Spring Frameworkの主な目的は、アプリケーションの設計と構造を改善し、開発者がよりクリーンで管理しやすいコードを書くのを助ける点です。コードが書きやすくなるとアプリケーションのテストやメンテナンス、拡張が容易になります。
しかし、Spring Frameworkを使用するには、比較的多くの設定作業と詳細な知識が必要です。そこで、Spring BootはSpring Frameworkの機能をより簡単かつ迅速に利用できるようにすることを目的として開発されました。
Spring Bootは「規約より設定」の原則に基づいており、多くのデフォルト設定を提供することで、開発者が迅速にアプリケーションを立ち上げて実行できるようにしています。
組み込みサーバや自動設定などは、開発者がアプリケーションの実際のビジネスロジックに集中できるようにするための主要な機能です。Spring Bootは、特に新しいプロジェクトやマイクロサービスの開発において、セットアップの複雑さを軽減し、開発プロセスを加速します。
要するに、Spring Frameworkはアプリケーションの構造を強化するためのツールを提供する一方で、Spring BootはSpring Frameworkの機能をより簡単に利用できるようにすることで、開発の速度と生産性の向を目的としています。
立ち上げの容易さ
Spring BootとSpring Frameworkの立ち上げの容易さに関して、その違いは主に初期設定の手間と時間に関係しています。
Spring Frameworkを使用する際、開発者はアプリケーションの詳細な設定に多くの時間を費やす必要があります。例えば依存性の明示的な定義、設定ファイル(XMLやアノテーションベース)の作成、Webサーバ(例えばTomcat)の準備と設定などが含まれており、これらのプロセスを完了するにはSpringに関する深い知識を必要としているからです。結果として、プロジェクトの初期段階では開発者がビジネスロジックよりも設定作業に多くの時間を費やすことになります。
一方、Spring Bootは「規約より設定」の原則に基づき、多くのデフォルト設定を提供します。これにより、開発者は最小限の設定で迅速にアプリケーションを立ち上げられます。Spring Bootは組み込みHTTPサーバを提供し、依存関係の自動管理、アプリケーションの自動設定などを行います。このため、開発者はプロジェクトの初期段階でビジネスロジックに集中でき、サーバの設定やアプリケーションの構成に関する複雑な手順を省略できます。結果として、Spring Bootはプロジェクトの迅速な立ち上げと生産性の向上を可能にします。
つまり、Spring Frameworkはその強力な機能と柔軟性により、詳細な設定が必要ですが、Spring Bootは開発の迅速化を目的とし、多くのデフォルト設定と簡便なプロセスを提供します。特に新しいプロジェクトやプロトタイプの開発においては、Spring Bootの方が立ち上げが簡単です。
プロジェクトの管理
Spring BootとSpring Frameworkはプロジェクトの管理面において、確かに異なるアプローチを取ります。
Spring Frameworkを使用する場合、プロジェクトの構成はより手動的で詳細に行われます。開発者は依存性の管理やビーンの構成、ミドルウェアの統合など、アプリケーションの各側面を細かく設定する必要があります。
さらに、設定はアプリケーションが成長し複雑になるにつれて、より細かい制御とカスタマイズが可能になるという利点を提供しますが、同時に設定の複雑さとメンテナンスの負担を増加させることもあります。大規模なアプリケーションや、特定の複雑な要件を持つプロジェクトでは、このような細かな制御が必要になることがあります。
一方でSpring Bootは多くのデフォルト設定を提供しているため、プロジェクトの初期セットアップと管理が大幅に簡素化されます。Spring Bootでは、開発者が迅速にアプリケーションを立ち上げ、実行することに集中できるように、内部で多くの自動設定を行います。また、依存性の管理も簡単になり、組み込みサーバやその他のライブラリの統合が容易になります。
特に小規模から中規模のプロジェクトや、迅速な開発サイクルが求められる状況に適しています。
つまり、Spring Frameworkは、プロジェクトの細かな管理とカスタマイズを可能にする一方で、設定の複雑さとメンテナンスの負担を伴います。一方、Spring Bootは、プロジェクトの迅速な立ち上げと簡単な管理を実現するために、多くの自動設定とデフォルト設定を提供します。これにより、開発者はより迅速にプロジェクトに取り組め、特に開発サイクルの短縮が求められる場合に適しています。しかし、複雑さやカスタマイズの必要性が高まるにつれて、Spring Frameworkの柔軟性が必要になる場合もあります。
Spring Frameworkは脆弱性が高い?なぜ狙われるのか
Spring Frameworkはその高い普及度と複雑な機能性から、セキュリティ上の脆弱性が注目されがちです。
ここではSpring Frameworkのセキュリティ脆弱性や被害の実例などについて紹介します。
Spring4Shell(CVE-2022-22965)について
Spring4Shell(CVE-2022-22965)は、2022年に発見されたSpring Frameworkの重大なセキュリティ脆弱性です。この脆弱性は、特定の条件下でSpring Frameworkを使用するJavaアプリケーションにリモートコード実行(RCE)のリスクをもたらすものでした。具体的には、JDK 9以上で動作するSpring MVCまたはSpring WebFluxアプリケーションに影響を与える可能性があり、攻撃者が悪意のあるリクエストを送信することでアプリケーションサーバー上で任意のコードを実行できる可能性がありました。
Spring4Shellの根本原因は、Spring Frameworkのデータバインディング機能にありました。特定の型のデータバインディングにより、攻撃者はSpringアプリケーションの内部クラスにアクセスし、それを悪用してシステムに侵入できました。この脆弱性は、特にクラウドベースのアプリケーションや大規模なエンタープライズシステムに影響を及ぼす可能性が高いとされています。
Spring4Shellは、その影響の大きさと、広く使用されているSpring Frameworkに存在することから、セキュリティコミュニティや開発者に大きな注目を集めました。この脆弱性を受けて、Spring Frameworkの開発者は迅速にパッチをリリースし、影響を受ける可能性のあるシステムの管理者や開発者には、速やかにアップデートを適用するよう強く推奨されました。
Spring4Shellは、エンタープライズアプリケーションのセキュリティに対する警鐘を鳴らす出来事となり、開発者や企業に対して、セキュリティの重要性と継続的な脆弱性管理の必要性を改めて認識させることとなりました。
Spring4Shellの脆弱性が悪用される5つの条件とは
Spring4Shell(CVE-2022-22965)は、Spring Frameworkにおける深刻なセキュリティ脆弱性で、特定の条件下で悪用されるリスクがあります。なお、条件には特定のバージョンのSpringやJDK 9以降のJava環境、Apache Tomcatの使用などが含まれます。
Springのバージョン
脆弱性の影響を受けるSpring Frameworkのバージョンは、5.3.0から5.3.17および5.2.0から5.2.19の範囲です。また、サポートが終了している過去のバージョンも影響を受ける可能性があります。
Javaの実行環境がJDK9以降のバージョン
Spring4Shell(CVE-2022-22965)脆弱性が悪用される重要な条件の一つに、Javaの実行環境がJDK 9以降のバージョンである点が挙げられます。なお、脆弱性はJDK 9で導入された特定の言語およびAPIの変更に起因しており、それ以前のバージョンでは影響を受けません。
JDK 9以降では、より強化されたモジュールシステムといくつかの内部APIの変更が行われており、特定の条件下でのリモートコード実行(RCE)攻撃を可能にしています。具体的には、クラスパス上の特定のクラスへのアクセス方法が変更され、悪用することで、攻撃者がサーバー上で任意のコードを実行できる可能性があります。このため、JDK 9以降を使用するシステムでは、Spring4Shell脆弱性への対策として、迅速なセキュリティパッチの適用が特に重要です。
サーブレットコンテナとしてのApache Tomcatの使用
脆弱性が悪用されるためには、アプリケーションがApache Tomcatをサーブレットコンテナとして使用している必要があります。Tomcatは広く使用されているサーブレットコンテナであり、この条件は多くのアプリケーションに当てはまります。
Spring BootのWAR形式のパッケージ化
影響を受けるアプリケーションは、Spring Bootを使用してWAR形式でパッケージ化されている必要があります。WAR形式でのパッケージ化は、Spring Bootが提供する便利な機能を利用しているアプリケーションに特有の条件です。
「spring-webmvc」または「spring-webflux」の使用
脆弱性の対象となるのは、「spring-webmvc」または「spring-webflux」を使用するアプリケーションです。これらのライブラリは、Spring FrameworkのWebアプリケーション開発において中心的な役割を果たします。
条件が揃うと、Spring4Shell脆弱性の悪用が可能になり、攻撃者はリモートからコードを実行できるリスクが生じます。そのため、セキュリティ対策として条件に該当するシステムは迅速にパッチを適用し、脆弱性を修正することが推奨されます。
Spring Frameworkの脆弱性をつかれた実際にあった被害事例とは
Spring Frameworkの脆弱性が原因で発生した実際の被害事例として、特に有名なのが2018年に発覚した「Equifax」のデータ侵害事件です。この事件では、攻撃者がSpring Frameworkの脆弱性を突いて、同社のウェブアプリケーションに侵入しました。この結果、約1億4700万人のアメリカ人の個人情報が漏洩し、社会的な大問題となりました。
攻撃者は、Spring Frameworkの一部であるApache Strutsの脆弱性を利用してシステムにアクセスしました。この脆弱性は、ウェブアプリケーションにおける入力検証の不備に関連しており、攻撃者は脆弱性を利用してリモートコード実行(RCE)をできました。この攻撃により、氏名や社会保障番号、生年月日、住所、運転免許証番号などの機密情報が不正にアクセスされました。
Equifaxの事件は、大規模なデータ侵害の典型例として広く報道され、企業が使用するソフトウェアの脆弱性管理の重要性を浮き彫りにしました。この事件を受けて、多くの企業や組織ではセキュリティ対策の見直しや強化が急務となりました。また、開発者コミュニティにおいても、使用するフレームワークやライブラリのセキュリティアップデートを常に最新に保つことの重要性が再認識されました。
Spring Frameworkの脆弱性を確認する3つの方法
Spring Frameworkは、Javaベースのアプリケーション開発に広く使用されているフレームワークですが、その普及に伴いセキュリティの脆弱性に注意する必要があります。
ここでは、Spring Frameworkに関連する脆弱性を確認するための3つの主要な方法を紹介します。
CVE
CVEシステムは、公開されているセキュリティ脆弱性についての情報を提供する国際的なデータベースです。Spring Frameworkの脆弱性を調査する際、CVEデータベースを検索することで、関連する脆弱性の詳細、影響を受けるバージョン、さらには提供されているパッチや回避策に関する情報を得られます。
NVD
NVDは、CVEデータベースに登録されている脆弱性に関するさらなる分析と文書化を提供する米国のデータベースです。ここでは、脆弱性の重大度、影響、利用可能なソリューションに関するより包括的な情報が提供されています。NVDを利用することで、Spring Frameworkに関連するセキュリティの脆弱性についてより深く理解できます。
JNV
JVNは、日本の情報セキュリティ対策のためのプラットフォームで、脆弱性情報の提供と分析を行っています。JVNを通じて、Spring Frameworkに関連する脆弱性についての情報を得ることが可能です。特に、日本国内での脆弱性の影響や対策についての情報を日本語で入手できるのが特徴です。
Spring Frameworkのセキュリティを強化する方法とは
Spring Frameworkは、Javaのアプリケーション開発において広く使用されていますが、セキュリティは常に重要な考慮事項です。
以下に、Spring Frameworkのセキュリティを強化するための主要な方法を紹介します。
認証・認可機能
セキュリティ性が高いアプリケーション開発には、強力な認証と認可機能が不可欠です。Spring Securityは、ユーザー認証と権限に基づくアクセス制御を提供し、安全なセッション管理と統合されたセキュリティを実現します。認証と認可機能によって不正アクセスを防ぎ、ユーザーの権限に応じたアクセス制御が可能です。
セッション管理機能
Spring Frameworkにおけるセッション管理は、アプリケーションのセキュリティ強化に不可欠な要素です。特に、Spring Securityを利用することで、セッションに関連する複数のセキュリティリスクに効果的に対応できます。
例えば、セッション固定攻撃やセッションハイジャックといった脅威から保護するため、Spring SecurityはセッションIDの自動再生成機能を提供しています。自動再生成機能により、ユーザーが認証を完了するとセッションIDが変更され、攻撃者が既存のセッションIDを利用することが難しくなります。
加えて、セッションの有効期限の設定により、一定期間経過後にセッションが無効になるため、長期間放置されたセッションが攻撃の対象となるリスクを減らせます。セッション管理機能は、Spring Securityを使って容易に実装でき、アプリケーションのセキュリティレベルを向上させる効果的な手段です。
セキュリティヘッダ出力機能
Webアプリケーションのセキュリティにおいて、HTTPヘッダの適切な設定は不可欠ですが、容易に実現させてくれるのがSpring Securityです。
Spring Securityには、XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の防止や、クリックジャッキングに対する保護、コンテンツタイプスニッフィングのブロックといったセキュリティ対策が含まれています。XSS保護機能は、悪意のあるスクリプトがウェブページに注入されるのを防ぎ、クリックジャッキング防止機能は、ユーザーが見えないフレーム内でクリックを強制されるのを避けます。また、コンテンツタイプのスニッフィング防止は、ブラウザがサーバーから送信されたMIMEタイプを無視し、異なるコンテンツタイプとして解釈するのを防ぎます。
Spring Securityを用いることで、これらのセキュリティ対策を簡単かつ迅速に実装できます。
CSRF対策機能
Webアプリケーションにおける安全性を確保する上で、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)対策は不可欠です。CSRF攻撃は、ユーザーがログインした状態で悪意のあるリクエストを送信させられるものです。この脅威から守るため、Spring Securityは重要な機能を提供しています。
特にフォームベースの認証を使用するアプリケーションでは、Spring SecurityがCSRFトークンを生成し、各セッションに固有のトークンを割り当てます。このトークンは、正規のフォーム送信を検証するために使用され、不正なリクエストを阻止します。
ファイアウォール機能
Webアプリケーションのセキュリティを強化するため、Spring Securityはアプリケーションレベルでのファイアウォール機能を提供しています。
ファイアウォール機能は、不正なリクエストを効果的に検出することで、早期ブロックが可能です。具体的には、URLの正規化やリクエストパラメータの検証を通じて、潜在的な攻撃を未然に阻止します。
URLの正規化により、攻撃者が不正なパスを利用する試みを排除します。また、リクエストパラメータを厳格に検証することで、スクリプト注入やSQLインジェクションなどの攻撃からアプリケーションを守ります。このように、Spring Securityのファイアウォール機能は、セキュリティリスクを低減し、アプリケーションの安全性を高めるために不可欠です。
Spring Frameworkの脆弱性を突いたサイバー攻撃を予防する方法とは
Spring Frameworkを使用する際、サイバー攻撃への対策は非常に重要です。特に、フレームワークの脆弱性を悪用した攻撃を防ぐためには、以下のような予防策が効果的です。
WAFの導入
WAFは、Webアプリケーションを狙った攻撃から保護するための防御システムです。WAFによって、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、ファイルインクルージョンといった一般的な攻撃からアプリケーションを守れます。
WAFは不正なトラフィックを検出し、ブロックすることで、サイバー攻撃のリスクを軽減します。
脆弱性診断の実施
ペネトレーションテストや自動化された脆弱性スキャナの使用など、定期的に脆弱性診断をすることで、アプリケーションのセキュリティを維持できます。
脆弱性診断を通じて、アプリケーションのセキュリティホールや弱点を特定し、修正できます。特に、新しいリリースや大きな変更後には、脆弱性診断をすることが重要です。
サイバー攻撃を被った後の対応シミュレーションも実施
万が一のサイバー攻撃に備えて、インシデント対応計画の策定・テストなど、事前に対応シミュレーションすることも重要です。
シミュレーションを通じて、攻撃発生時の対応プロセスを確立し、チームメンバーにそのプロセスを熟知させ、実際の攻撃が発生した場合の迅速かつ効果的な対応が可能です。
まとめ
本記事では、開発の迅速化と効率化を実現するSpring Bootの特徴と、エンタープライズ開発で広く使用されるSpring Frameworkに潜むセキュリティの脆弱性、そしてそれによる具体的な被害事例を詳しく紹介しました。
Spring Bootが提供する便利さと同時に、Spring Frameworkを使用する際のセキュリティリスクへの意識を高めることの重要性を把握したうえで知識を活用し、セキュリティを最優先事項として考えることで、より安全かつ効果的なアプリケーション開発を目指しましょう。
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