1. TOP
  2. エンスタマガジン
  3. フリーランス
  4. 業務委託でできる節税対策は?各種税金の計算方法もご紹介!

業務委託でできる節税対策は?各種税金の計算方法もご紹介!

はじめまして、エンジニアスタイル編集部です!

コラムページでは、ITフリーランスに向けてお役立ち情報を発信します。Twitterではホットな案件を紹介してまいりますので、ぜひフォローをお願いいたします!
本記事が、皆様の参考になれば幸いです。

経験がまだ少ない方にもわかりやすく説明するために、初歩的な内容も記載しております。記事も長いので、実務経験豊富な方は、ぜひ目次から関心のある項目を選択してください。

エンジニアスタイルは、最高単価390万円、国内最大級のITフリーランス・副業案件検索サービスです。ITフリーランス・副業案件一覧をご覧いただけますのであわせてご確認ください。

はじめに

「業務委託で働いているけれど、税金が高くて困っている…」そんな悩みを抱えていませんか?

業務委託で働くフリーランスや個人事業主は、給与所得者とは異なり、所得税や住民税、消費税などを自分で計算・申告する必要があります。しかし、その分、適切な節税対策を講じることで税負担を軽減できる可能性があります。

この記事では、業務委託でできる節税対策について詳しく解説した上で、さらに所得税や住民税、消費税などの計算方法についてもご紹介します。

税金の仕組みを理解して、賢く節税しましょう。

業務委託契約とは

業務委託契約は、業務を外部の専門家や企業に依頼する際に結ばれる契約形態です。

エンジニアの世界でも、この契約を通じてプロジェクトが進められることが多く、労働契約とは異なり、業務の遂行方法や時間について柔軟性があります。

ここでは、業務委託契約の種類である「委任契約」「準委任契約」「請負契約」について、IT職の具体例とともに詳しく見ていきましょう。

委任契約

委任契約は、結果よりも過程が重視される契約形態です。

例えば、エンジニアが企業のITシステムの監査や評価を委託された場合、委任契約に基づいて仕事を行います。ここでは、システムの問題点を洗い出し、改善策を提案することが主な業務となります。このような契約では、業務遂行自体が重要視され、最終的な結果が必ずしも求められるわけではありません。

なお、委任契約は、クライアントが内部の問題を解決したいが、解決方法が不明な場合に有効です。エンジニアはクライアントの要望を理解し、問題を解決するための分析や提案を提供する役割を果たします。そのため、結果よりもエンジニアの業務遂行能力やプロセスが報酬の対象となることが多いのが特徴です。

準委任契約

準委任契約は、委任契約と同様に業務遂行が求められますが、より具体的な作業や日常的な業務が含まれることが多い契約形態です。

エンジニアの例で言えば、ソフトウェア開発プロジェクトの一部をサポートする業務が準委任契約に該当します。例えば、企業が開発中のアプリケーションのメンテナンスやバグ修正を委託する場合、エンジニアは日々の業務として発生する問題に対応しつつ、サポートします。

また、準委任契約では、クライアントが特定の成果物を求めない代わりに、エンジニアが日常的な業務に柔軟に対応することが求められます。そのため、ソフトウェア開発におけるサポート業務や、定期的なシステムメンテナンスの委託に適しています。

つまり、準委任契約では、エンジニアが業務を通してプロジェクトを支える役割を担い、プロセスやスキルが評価の対象となります。

請負契約

請負契約は、最終的な成果物の完成が求められる契約形態です。エンジニアが特定のプロジェクトに参加し、具体的な成果物を納品する場合、請負契約という形がとられます。

例えば、ウェブサイトの開発やモバイルアプリケーションの作成など、完成された製品やサービスを納品することが目的となります。

請負契約の特徴は、エンジニアが指定された要件に基づいて、最終的なアウトプットを納品しなければならない点です。成果物の完成が報酬の支払い条件になるため、納期や品質が重要になってきます。

請負契約では成果物に対して高い責任を負うため、プロジェクトの管理能力や品質保証のスキルが重要となります。

副業でも業務委託契約が増加傾向にある

エンジニアの副業においても、業務委託契約が増加しています。

特に、リモートワークの普及に伴い、エンジニアが本業の傍らでフリーランスとしてプロジェクトに参加するケースが増えています。例えば、本業の外でスタートアップ企業のアプリケーション開発に参加する場合、週末や平日の夜間を活用した開発やサポート業務が可能です。

副業として業務委託契約を選ぶメリットとして、柔軟な働き方が挙げられます。業務委託契約では、働く場所や時間に縛られず、エンジニアが自分のペースで業務を進められるためです。

また、副業としての業務委託契約は、エンジニアにとっても新しいプログラミング言語やフレームワークに触れるなど、本業では得られないスキルや経験を積む機会にもなります。

業務委託に関わる4つの税金

エンジニアとして業務委託で仕事をする場合、雇用契約とは異なり、所得税や住民税など、さまざまな税金の支払いが必要です。税金を正しく理解し、適切に申告することで、税負担を軽減できるのみならず、節税対策も講じることが可能です。

ここでは、業務委託に関わる4つの税金について解説します。

所得税

所得税は、個人が得た収入から経費などを差し引いた所得に対して課される税金です。

業務委託で働くエンジニアの場合、収入から必要経費を引いた金額に応じて税額が決まります。例えば、フリーランスエンジニアが年間で500万円の売上を得た場合、パソコンの購入費や通信費、ソフトウェアのライセンス料、出張時の交通費などが必要経費として認められます。仮に200万円の経費があった場合、所得は300万円となり、この金額を基に所得税が計算されます。

所得税の計算には累進課税制度が採用されており、所得が多いほど税率が高くなります。例えば、300万円の所得に対する税率は10%ですが、所得が700万円を超えると税率は20%になります。

なお、課税される所得に対する税率と、控除額は以下の通りです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

所得税額=課税所得×税率-控除額という計算式で算出できます。

上記の表にある「控除額」とは、納税者の生活状況や支出を考慮して、課税対象となる所得を減らすために設けられている金額です。

なお、所得税は経費として計上できません。その代わり、青色申告の活用や必要経費をしっかり計上すること、ふるさと納税、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用によって節税が可能です。業務委託契約で働くときは、節税のためにしっかりと経費を管理し、正確な所得を計算しましょう。

住民税

住民税

住民税は、居住する市区町村に支払う地方税です。前年の所得に基づいて計算されます。

業務委託で働くエンジニアも、所得税とは別に住民税を支払う必要があります。住民税は、所得に関係なく一定の均等割と、所得に応じた所得割で構成されています。例えば、前年に300万円の所得があった場合、その所得に基づいて翌年の住民税が計算されます。

住民税の計算は、基本的に所得税の計算に似ています。所得税のように経費を差し引いた後の所得に対して課税されます。年に300万円の所得があれば、約30万円が住民税として課されることになります。

給与をもらっている場合は「特別徴収」で企業が代わりに住民税を支払いますが、業務委託契約では「普通徴収」として自分で支払う点にも注意しましょう。

なお、住民税は経費として計上できません。

節税対策として、さまざまな所得控除の適用が挙げられます。例えば、ふるさと納税制度を活用することで、住民税の一部の還付・控除が可能です。

個人事業税

個人事業税は、一定の業種に従事する個人事業主が支払う税金です。

フリーランスエンジニアは、個人事業税の対象となり、年間所得が290万円を超えると課税対象となります。

個人事業税の税率は業種によって異なりますが、フリーランスエンジニアが所属するソフトウェア業やシステム開発業では5%です。ただし、個人事業税には事業主控除として290万円が適用されるため、所得が290万円未満の場合は個人事業税が免除されます。

例えば、フリーランスエンジニアが年間500万円の所得を得ていた場合、個人事業税として約10万円を支払うことになります。

なお、個人事業税は、事業を運営する上で必要な支出とみなされるため、経費として計上できます。個人事業主が負担する経費は、事業に直接関連する支出が対象となりますが、個人事業税はその一部として認められます。会計処理の際は、個人事業税を「租税公課」という勘定項目で記録し、正確に経理処理を行うことが求められます。事業に不可欠な税負担であるため、他の経費と同様に、所得を計算する際に差し引くことができます。

消費税

消費税は、商品やサービスの提供に対して課される間接税(税金を直接納める人と、実際に負担する人が異なる税金のこと)です。

業務委託契約で働くエンジニアも、一定の条件を満たせば消費税の納税義務が発生します。具体的には、課税売上高が年間1000万円を超える場合、消費税の課税事業者となり、消費税の申告と納税が必要になります。

消費税率は現在10%であり、例えば1200万円の売上に対しては、120万円の消費税を納める必要があります。しかし、エンジニアは取引先に対して請求書を発行する際、消費税を上乗せして請求できるため、実質的に取引先が消費税を負担する形になります。

フリーランスエンジニアが自分で消費税を支払う必要は必ずしもありませんが、請求書の記載や申告を正確に行うことが大切です。

消費税の申告は、年間の売上や経費を正確に計算する必要があり、特にインボイス制度が導入されたことで、適切な書類管理が求められるようになりました。また、消費税は経費として支払った消費税額を控除できる「仕入税額控除」があるため、エンジニアが仕事で購入したパソコンやソフトウェアに対する消費税は差し引くことができます。

消費税の申告は複雑な場合があるため、税理士に相談したり、会計ソフトを活用して正確に管理するのがおすすめです。

業務委託の税金は高い?

業務委託で働くエンジニアは、所得税や住民税、個人事業税、消費税など、複数の税金を自分で申告・納付する必要があります。そのため、雇用契約と比べると税負担が高いと感じるかもしれません。

しかし、適切な経費を計上したり、控除を活用することで節税も可能です。

ここでは、業務委託で課される税金の計算方法や、各種税金に対する対策についてエンジニアの具体例を交えて解説します。

所得税の計算方法

所得税は、収入から経費を差し引いた所得に対して課税されます。エンジニアが業務委託で働く場合、得た収入に対して必要経費(パソコンやソフトウェアの購入費、インターネット通信費、勉強会参加費など)を差し引いた金額が課税対象です。

例えば、フリーランスエンジニアが年間700万円の収入を得て、300万円の経費が発生した場合、所得は400万円になります。

所得税は累進課税方式が採用されており、所得が高くなるほど税率が上がります。400万円の所得に対する税率は約20%(上記の表を参照)で、この金額に基づいて所得税が計算されます。

さらに、青色申告特別控除(最大65万円)や基礎控除(48万円)などの各種控除を適用すると、課税所得が減少し、税負担を軽減することが可能です。

具体的な計算式は以下の通りです。

所得=収入-経費

課税所得=所得-各種控除

所得税=課税所得×税率

節税のポイントは、経費を正確に把握し、適切に計上することです。例えば、ソフトウェアのライセンス費やデバイスの購入費、外注費など、業務に必要な支出を経費として認められるものは積極的に記録しておくと良いでしょう。

住民税の計算方法

住民税は、前年の所得に基づいて計算される地方税で、エンジニアのように業務委託契約で働く個人も支払う義務があります。

住民税は均等割と所得割で構成され、均等割は所得にかかわらず定額(数千円程度)、所得割は所得に応じた割合で課税されます。

例えば、フリーランスエンジニアが前年に400万円の所得を得た場合、所得割として約10%が課税されるため、40万円程度の住民税が発生します。この金額に均等割が加算され、住民税の総額が決まります。住民税は基本的に所得税と同様に経費や控除を適用した後の課税所得に基づいて計算されるため、所得税を節税することで住民税の負担も軽減されます。

個人事業税の計算方法

個人事業税は、業務委託契約で働くエンジニアが「ソフトウェア業」や「システム開発業」といった業種に従事している場合に課されます。個人事業税は、年間の事業所得が290万円を超える場合に課税され、その税率は業種によって異なりますが、エンジニアの場合は5%です。

例えば、フリーランスエンジニアが年間で500万円の事業所得を得ている場合、個人事業税は以下の計算式で求められます。

課税対象所得=所得-事業主控除(290万円)

個人事業税=課税対象所得×税率(5%)

具体的には、500万円の所得から290万円を引いた210万円に対して5%の税率が適用されるため、個人事業税は10万5千円となります。この税金は、年に2回に分けて支払うのが一般的です。

個人事業税は、青色申告や必要経費の計上によって所得を抑えることで、税負担を軽減することが可能です。また、エンジニアとして働く際には、事業所得がどのくらい発生するかを常に把握し、必要に応じて節税対策を講じることが重要です。

消費税の計算方法

消費税は、事業者が商品やサービスを提供する際に顧客から預かった消費税を、仕入れや経費で支払った消費税との差額を納税する仕組みです。事業者はこの差額を計算し、国に納税します。

消費税の計算方法には2つの方法があり、それが「本則課税」と「簡易課税」です。課税売上高や業種に応じて、どちらの方式が適用されるかを選択します。

本則課税

本則課税は、課税売上から課税仕入れにかかる消費税を差し引く「仕入税額控除」に基づいて計算される標準的な消費税の計算方法です。事業者が取引ごとに支払った消費税と、顧客から預かった消費税をそれぞれ記録し、納税時に差し引きます。

例えば、エンジニアが100万円の売上に対して10%の消費税を受け取り、30万円の経費に対して3万円の消費税を支払った場合、受け取った10万円から3万円を引いた7万円を納税することになります。

この方法のメリットは、支払った消費税を全額控除できる点ですが、取引ごとに正確に記録しなければならず、事務作業が煩雑になりがちです。特に、事業にかかる経費が多い事業者にとって有利な計算方法です。

簡易課税

簡易課税は、年間の課税売上高が5000万円以下の中小事業者が利用できる消費税の簡便な計算方法です。実際に支払った消費税を記録する必要がなく、売上に対して業種ごとの「みなし仕入率」を基に仕入れにかかる消費税を計算します。

例えば、エンジニアリング業は第5種事業に分類されるため、「みなし仕入率」は50%とされており、100万円の売上に対して10万円の消費税を受け取った場合、仕入税額は10万円の50%で5万円とみなし、最終的に5万円を納税します。

簡易課税のメリットは、経費の消費税を詳細に記録しなくても済むため、事務作業が軽減される点です。ただし、実際に支払った消費税額がみなし仕入率よりも多い場合には、節税効果が低くなる可能性があります。

経費が少ない事業者には有利ですが、経費が多い場合は本則課税の方が有利になることがあります。

業務委託と経費について

業務委託契約で働く方にとって、経費の管理は非常に重要です。

業務にかかった必要経費を正しく計上することで、所得税や住民税、個人事業税などの負担を軽減できます。経費として認められるものにはさまざまな種類があり、それを適切に差し引くことで、最終的な所得を抑えることが可能です。

ここでは、経費として認められる費用と、業務の履行に必要な費用について具体例を交えて説明します。

必要経費は差し引くことができる

業務委託契約で得た収入からは、業務に直接関わる経費を差し引くことができます。

エンジニアの場合、業務に必要なソフトウェアライセンス費用やハードウェアの購入費、クラウドサービスの利用料などが必要経費に該当します。例えば、フリーランスエンジニアが年間で100万円のパソコンやソフトウェアに投資している場合、その費用は所得から差し引き、最終的に課税される所得を減少させられます。

他にも、仕事で使用するインターネットの通信費、技術書籍の購入費、セミナーやカンファレンスへの参加費も経費として計上できます。新しいプログラミング言語を学ぶために参加した勉強会の参加費用が3万円だったとすると、その費用も経費として差し引くことが可能です。

経費を適切に差し引くためには、領収書や請求書などの証拠書類をしっかり保管しておくことが重要です。帳簿を整理しておくことで、税務調査の際にも問題なく対応できます。

特にエンジニアの場合、技術的なツールやサービスに多くの費用を投じることが一般的なので、経費として認められる範囲をしっかり理解しておきましょう。

業務の履行に必要な費用は受託者

業務委託契約において、業務を遂行するために必要な費用は、基本的に受託者(エンジニア)が負担します。なぜならば、エンジニアが自主的に業務を遂行するための道具やソフトウェア、インフラを整える必要があるからです。

例えば、フリーランスエンジニアが企業からウェブアプリケーションの開発を依頼された場合、プロジェクトを進めるためにGitHubなどのソースコード管理ツールや、AWSなどのクラウドインフラを利用することがありますが、これらのサービスにかかる費用は受託者であるエンジニアが負担し、収入から経費として差し引くことが可能です。また、業務で使用するパソコンや外付けハードディスクなども、業務履行に必要な費用として扱われます。

さらに、業務遂行において発生する交通費や打ち合わせの際の飲食費なども経費として計上可能です。例えば、クライアントとリモートではなく直接打ち合わせを行うためにオフィスを訪れた場合の交通費や、打ち合わせ後のコーヒー代なども業務の一部として経費に含められます。

ただし、プライベートの費用と業務に必要な費用は明確に区別することが必要です。例えば、個人的に使用するパソコンと仕事専用のパソコンが混在している場合、業務で使用した部分のみを経費として計上しなければなりません。こうした区別が曖昧になると、税務上問題になる可能性があるため、慎重に扱う必要があります。

業務委託で経費と認められるものと処理方法

業務委託契約で働くエンジニアにとって、経費の適切な処理は節税の基本です。パソコンや交通費など、業務に必要な支出は経費として認められ、収入から差し引くことで税負担を軽減できます。ただし、経費として計上する際には、証拠となる領収書や請求書をしっかり保管し、適切な処理を行うことが求められます。

ここでは、具体的な経費の例と処理方法をエンジニアの観点から解説します。

パソコンや事務備品代

エンジニアが業務に使用するパソコンやモニター、キーボードなどの事務備品は、必要経費として認められます。例えば、新しいプログラムを開発するために高性能のノートパソコンを30万円で購入した場合、その費用は全額経費として計上できます。また、ペンやノート、ファイルといった日常的な事務備品も経費の対象です。

パソコンなどの高額な備品は、通常「減価償却資産」として扱われ、数年にわたって少しずつ経費として計上します。具体的には、取得金額を資産の耐用年数で割り、毎年一定額を経費として処理します。

減価償却の計算は会計ソフトを利用するか、税理士に相談することをおすすめします。

旅費交通費

エンジニアがクライアントとの打ち合わせや出張のために使う交通費も、必要経費として認められます。

例えば、システムの導入作業のためにクライアントのオフィスへ行く際の電車代や、技術セミナーに参加するための飛行機代が該当します。

また、遠方への出張が発生した場合、ホテルの宿泊費やレンタカー代も経費に含められます。出張費を経費として処理する際には、発生した交通費や宿泊費を正確に記録し、出張報告書を作成しておくと、税務上も安心です。

飲食費や接待交際費

クライアントとの打ち合わせや商談に伴う飲食費、接待交際費も一定の範囲で経費として認められます。

例えば、システム開発の提案時にクライアントとのランチミーティングが行われた場合、その飲食費は経費に含まれます。令和6年度の改正で、10,000円以下であれば、飲食費を会議費として経費計上可能になりました。

接待交際費として認められるのは、ビジネスのための飲食費であり、プライベートな食事は含まれないため、注意しましょう。

また、エンジニアが接待交際費を経費として計上する際は、必ず領収書に参加者や目的を記載しておくことが重要です。また、接待交際費には一定の制限があるため、上限を超えないように注意が必要です。

会計ソフトで経費の種類ごとに管理することで、上限を把握しやすくなります。

火災保険や自動車保険

業務に使用しているオフィスや作業場の火災保険、自動車を使用している場合の自動車保険は、経費として認められることがあります。

例えば、自宅の一部を事務所として使用している場合、その分の火災保険料を経費にすることが可能です。また、仕事で使用している車の自動車保険料も、業務に関係している部分については経費として計上できます。

火災保険や自動車保険の経費計上においては、プライベートと業務使用の割合を正確に計算し、業務に使用する部分だけを経費として申告することが重要です。業務割合がはっきりしない場合、トラブルになる可能性があるため、心配な方は税理士のアドバイスを受けましょう。

家賃やガソリン代など

自宅をオフィスとして使用している場合、その家賃や電気代、ガソリン代なども業務に使用する部分を経費として計上できます。例えば、自宅の30%を業務スペースとして使っている場合、その30%分の家賃や光熱費を経費として申告できます。また、業務に使用する車両のガソリン代も、業務で使用した分だけを経費にできます。

家賃やガソリン代などを経費として正確に計上するためには、プライベートと業務の使用割合を明確にしておくことが必要です。家賃や光熱費については、業務スペースの面積を基に按分するのが一般的ですが、ガソリン代についても、業務に使用した距離を正確に記録し、その分を経費として申告します。

経費率とは

経費率とは、売上に対する経費の割合を示す指標で、エンジニアが業務委託でどれだけの経費を必要としているかを把握するために重要です。例えば、年間1000万円の売上があり、経費が300万円の場合、経費率は30%となります。この割合をもとに、経費が適正かどうか、また、経費をどの部分で削減できるかを分析できます。

なお、エンジニアやプログラマーなどのIT業界では、業務にかかる経費が比較的少ないため、経費率は20%~40%程度が目安とされています。例えば、フリーランスエンジニアの場合、パソコンやソフトウェアライセンス、インターネット費用が主な経費ですが、事業規模が大きくない限り経費はそれほど高くなりません。

経費率が高い場合、節税効果は大きいですが、利益が圧迫されるため、バランスを取ることが重要です。フリーランスエンジニアの場合、ソフトウェアやハードウェアへの投資が大きくなる傾向があるため、適正な経費管理を行い、経費率を意識することが、安定した経営につながります。

業務委託で経費計上の注意点

業務委託契約で働くエンジニアは、経費を適切に計上することで税負担を軽減できますが、計上する際にはいくつかの注意点があります。経費を正しく処理しないと、後で税務上のトラブルが発生する可能性があります。

ここでは、経費を計上する際に注意すべきポイントを具体例とともに解説します。

領収書やレシートの管理

業務に必要な経費を計上するためには、領収書やレシートを適切に保管し、税務調査の際に証拠として提出できるようにすることが重要です。さらに、日常的に使用する交通費やソフトウェアのサブスクリプション費用も、領収書がなければ経費として認められないことがあります。

また、領収書をデジタルで管理する方法もおすすめです。クラウド会計ソフトなどを利用して、レシートをスキャンし、日付や内容を整理しておくことで、後の経理処理がスムーズになります。特に、エンジニアが出張やクライアントとの会議で発生した費用は、経費の種類ごとに分類して保管することが重要です。

経費率が高くなりすぎない

経費率が高くなりすぎると、利益が圧迫されるだけでなく、税務署からも不自然に見られる可能性があります。エンジニアとして業務委託で仕事をしている場合、パソコンやソフトウェアライセンス、サーバー使用料などが大きな経費になることが多いですが、それでも経費率が高くなりすぎると注意が必要です。

例えば、年間の売上が1000万円で経費が700万円を超えるような状況では、税務署から「本当に必要な経費なのか」と疑われることがあります。エンジニアの業務においては、自宅の家賃や通信費など、仕事とプライベートで共用するような支出は業務に使用した分だけを経費として申告するようにしましょう。正確な経費計上を行うことで、節税効果を得ながらも、税務上のリスクを回避することが可能です。

経費は誰が、どれだけ負担するのか、契約書で確認し契約する

業務委託契約を締結する際に、経費を誰が負担するかを明確にしておくことも大切です。

フリーランスエンジニアの場合、開発環境の整備やツールの使用料など、プロジェクトに関連する多くの経費が発生するため、契約時にその負担をどちらがするかを確認しておく必要があります。例えば、フリーランスのエンジニアがクライアントからウェブアプリの開発を依頼された場合、開発に必要なサーバーの使用料やテスト環境の費用を誰が負担するのかを契約書に明記しておくと、後々のトラブルを防げます。

また、プロジェクトによってはクライアントが特定のツールや設備を提供する場合もありますが、その場合でも、どの範囲までが経費としてクライアントの負担になるのかを事前に合意しておくことが大切です。契約書には、経費の負担について明確に記載し、業務に必要なツールやサービスの費用がエンジニア側の責任でない場合は、クライアントが適切に負担するよう取り決めておきましょう。

業務委託で得た収入は確定申告

業務委託契約で得た収入は、確定申告を行うことで税金を適切に計算し、申告する必要があります。エンジニアとして働いている場合、プロジェクトごとの収入に対して、経費を差し引いて所得税や住民税を計算します。確定申告を行うことで、納税義務を果たすだけでなく、経費を正確に申告することで節税効果を得ることが可能です。

ここでは、業務委託で得た収入を確定申告する際の具体例を、いくつかの状況に分けて解説します。

業務委託のみの収入の場合

エンジニアが業務委託契約のみで生計を立てている場合、年間の所得に基づいて確定申告を行います。例えば、フリーランスのエンジニアが年間800万円の売上を得た場合、必要経費(パソコン購入費・ソフトウェアライセンス料・インターネット費用など)を差し引いた金額が課税所得となります。算出した課税所得に基づき、所得税や住民税が計算されます。

業務委託のみで働く場合、源泉徴収が行われないケースがほとんどであるため、年間の収入から経費を差し引いた金額を正確に申告することが重要です。また、フリーランスのエンジニアの場合、社会保険料控除や基礎控除も併せて利用できるため、確定申告時にしっかり計算することが節税につながります。

副業で業務委託の収入がある場合

本業があり、副業で業務委託契約の収入を得ているエンジニアの場合も、一定の条件を満たすと確定申告が必要です。

例えば、本業の会社からの給与所得がありつつ、副業でウェブサイトの開発業務を業務委託で受け、年間20万円以上の副業収入がある場合は、確定申告を行う必要があります。副業の業務委託による収入が年間20万円以下の場合は、申告義務がないこともありますが、経費として差し引ける項目を考慮すれば、申告した方が節税になることもあります。

源泉徴収を行っている場合

エンジニアが業務委託契約で働く場合、クライアントが源泉徴収を行っているケースもあります。例えば、特定のプロジェクトでエンジニアが100万円の報酬を受け取った際、クライアント側が源泉徴収として10%の所得税を差し引き、エンジニアには90万円が支払われるという形です。この場合、年末に確定申告を行い、実際に支払った税額を精算します。

源泉徴収を行っている場合、確定申告では、経費を差し引いた課税所得に対して税金を再計算します。例えば、先述したエンジニアが100万円の報酬を受け、50万円の経費があった場合、課税所得は50万円となり、既に源泉徴収された税額が過払いになっている可能性があるため、確定申告を行うことで、過払い分の税金を還付してもらえます。

源泉徴収されているからといって、確定申告が不要というわけではありません。源泉徴収額が適切でない場合や、経費を適切に計上していない場合には、確定申告を通じて税金の精算をしましょう。

青色申告と白色申告の違い

業務委託で働くエンジニアが確定申告を行う際には、青色申告と白色申告の2つの方法から選択できます。どちらを選ぶかによって、控除額や帳簿の管理方法が異なります。青色申告には多くの節税メリットがありますが、一定の帳簿管理が求められるのに対し、白色申告は手続きが簡便な一方で節税効果が限られます。

ここでは、青色申告と白色申告の具体的な違いをエンジニアの視点から解説します。

青色申告

青色申告は、業務委託で働くエンジニアにとって、節税効果が高い申告方法です。

例えば、フリーランスエンジニアが青色申告を選択すると、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。最大65万円も控除を受けられるため、所得が減少し、結果的に支払う税金が軽減されます。

また、家族を従業員として雇用する場合、その給与を必要経費として計上する「青色事業専従者給与制度」も利用できるため、さらなる節税が可能です。

青色申告を行うためには、複式簿記による帳簿の記録と、貸借対照表や損益計算書の作成が必要です。例えば、エンジニアが毎月の売上や経費をクラウド会計ソフトで管理し、年度末にこれらの帳簿を基に決算書を作成することで、正確な収入と支出を申告できます。

青色申告は手間がかかりますが、控除が多いため、年間の売上が高いエンジニアにとって有利です。

白色申告

白色申告は、青色申告よりも手続きが簡単で、帳簿の作成や複式簿記が不要な申告方法です。

例えば、副業でエンジニアとして業務委託収入を得ている場合や、年間の売上が少ないエンジニアであれば、白色申告を選ぶことで、手軽に申告を行うことができます。青色申告のような複雑な書類作成が不要で、簡易な帳簿で収支を管理するだけで済むため、初めての確定申告でも取り組みやすい点が特徴です。

ただし、白色申告では青色申告のような特別控除が受けられません。例えば、年間300万円の売上があるエンジニアが白色申告を行った場合、青色申告と比べて65万円の控除が適用されないため、その分所得が高くなり、税金が増加する可能性があります。また、家族に支払う給与を経費として計上できないなど、節税効果が限定的です。

白色申告は手軽である一方で、青色申告に比べて節税面でのメリットが少ないため、業務委託で安定した収入を得ているエンジニアにとっては、青色申告の方が有利な選択となる場合が多い傾向にあります。

まとめ

業務委託で働くエンジニアにとって、適切な税金対策を行うことは、収入を守り、税負担を軽減する上で大切です。青色申告を活用して控除を最大限に利用し、必要経費を正確に計上することで、所得税や住民税、個人事業税の負担を減らせます。

また、消費税の申告方法も本則課税と簡易課税を理解し、適切な方法を選ぶことで、より効率的な納税が可能です。確定申告や税金の計算においては、細かなルールを理解し、日々の経費管理を徹底することが大切です。

今回紹介した節税対策を活用し、税務に関するトラブルを回避しつつ、収入を最大限に活かす工夫を心がけましょう。

SNSシェア
新規会員登録エージェントとの初面談1社につきAmazonギフト券3,000円分全員にプレゼント!

あわせて読みたい関連記事


おすすめ&新着求人・案件


各種SNSで情報を
発信中フリーランスで働くエンジニアに役立つ情報を発信しています。
フリーランス求人・案件の選び方や注意点、単価を上げるコツなどをエンジニアスタイルの編集部が発信しています。
フォロー・友達に追加していただき最新の情報をGETしてください。