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企業側が業務委託を利用するメリット・デメリットとは?活用しやすい職種や注意点も紹介


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はじめに

近年、人材不足や専門領域への即戦力確保を背景に、業務委託の活用を検討する企業が増えています。

業務委託は正社員採用に比べて取り入れやすい手段に見える一方、コストや契約面、品質維持といった面で不安を抱える経営者・総務担当者も少なくありません。

「自社の課題解決に本当に有効なのか」「どのような職種で活用できるのか」「リスクはないのか」といった悩みに直面している方も多いでしょう。

そこで今回の記事では、企業側が業務委託を利用する際のメリット・デメリット、そして業務委託を活用しやすい職種や注意すべきポイントについて紹介します。業務委託を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。

業務委託とは

業務委託とは、特定の業務を外部の専門家や企業に依頼し、成果物を納品・作業をしてもらう契約形態のことを指します。

企業が業務委託を活用する場合、自社のリソースだけでは対応が難しい業務を効率的に処理できる点がメリットです。ただし、業務委託と一口に言っても、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」という異なる形式があり、それぞれ特徴や法的な責任範囲が異なります。

次に、それぞれの契約形態について詳しく説明します。

請負契約

請負契約は、依頼者(発注者)が特定の成果物や成果を求め、受託者がそれを完成させる義務を負う契約です。

例えば、ウェブサイトの制作や建物の建築が請負契約に該当します。請負契約では、成果物の完成が目的となるため、作業途中で不備があった場合でも成果が完成すれば契約内容が果たされたとみなされます。

また、完成物に欠陥があれば、受託者が責任を負うのが特徴です。受託者の裁量が比較的大きく、指示よりも結果が重視される契約形態です。

委任契約

委任契約は、依頼者が特定の事務作業や業務を受託者に頼む契約です。

法律行為や事務作業が主な対象となることが多く、例えば税理士に確定申告を依頼する場合などが典型例です。委任契約では成果物の完成は求められず、受託者がその業務を誠実に遂行する義務を負います。

また、契約を遂行する中で受託者が得た知識や判断をもとに、依頼者にアドバイスする場面も委任契約ではよくみられます。

準委任契約

準委任契約は、委任契約と似ているものの、法律行為以外の事務作業や、単純な作業の委託も含む契約です。

例えば、コールセンター業務やデータ入力の依頼などが該当します。準委任契約では、特に「結果」よりも「過程」や「業務遂行」が重視されるため、完成品が求められない点が請負契約との大きな違いです。

また、受託者は業務遂行にあたって誠実さや注意義務を果たす必要がありますが、特定の成果を保証する義務はありません。

企業側が業務委託を活用するメリット

業務委託は、企業が外部の専門家やスキルを持つフリーランスに仕事を依頼する形態で、効率的に事業運営を進めるための手法として注目されています。業務委託を上手く取り入れることで、自社のリソースを最適化しつつ、課題解決や目標達成のスピードを向上させることが可能です。

次に、業務委託を活用するメリット3点について、それぞれ詳しく解説します。

専門知識やスキルを持った人材に依頼できる

業務委託を活用する一番のメリットは、自社では対応が難しい専門知識やスキルを持つ外部人材を利用できる点ではないでしょうか。

さまざまな業種がある中でも、ITやデザイン、マーケティングなど高度な専門性が求められる業務においては、正社員を雇うよりも業務委託という形で外部のプロフェッショナルの協力を得ることで、高品質な成果を短期間で得られます。

具体的な仕事例を挙げると、新しいウェブサイトを立ち上げる際、専門的なスキルを持つフリーランスや制作会社に依頼することで、より高いクオリティと迅速な納品が期待できます。委託先もプロであるため、最新の業界知識やトレンドを把握しており、自社にとって新たな視点や付加価値を提供してくれるでしょう。

こうした外部人材の活用により、企業は自社の弱点を補い、競争力を高めることができます。短期間で成果が求められる場合はもちろん、社内に専門人材を抱える余裕がない中小企業にとって、業務委託は非常に有効な手段といえます。

自社での人材育成コストを抑えられる

業務委託を活用すれば、新しいスキルを身につけるための教育コスト・人材育成にかかる時間の削減が可能です。

新しい業務に対応するために従業員を教育し、即戦力化させるには、どうしても一定の期間とリソースが必要になってきます。しかし、業務委託を利用すれば、外部の専門家を即戦力として活用することができるため、教育コストをかけずに高度なスキルを持つ人材を確保できます。

さらに、プロジェクト単位や一時的な業務であれば、長期的な人材採用のリスクを負わずに必要な人材を確保できる点も魅力です。結果的に、リソースを効率的に配分し、他の重要な業務やプロジェクトへの投資が可能になります。

自社の従業員がコア業務に集中できる

業務委託を活用することで、自社の従業員が本来のコア業務に集中できる環境を整えることもメリットに該当します。例えば、ルーティン的な事務作業や、自社の専門分野外の業務を外部に委託することで、従業員はより戦略的な業務やクリエイティブなタスクに注力でき、快適な職場環境につながります。

アドビ株式会社が2021年に7カ国(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・オーストラリア・ニュージーランド)で調査した「未来の働き方に関する調査」によると、日本では全体の業務時間のうち雑務に割かれる時間の割合が35.5%に達し、7カ国中で最も高いことが明らかになりました。

つまり、日本の多くの企業では、従業員が本来注力すべき業務以外の雑務に多くの時間を取られていることが課題となっています。業務委託を活用することで、従業員が抱えている雑務を外部に任せ、従業員が自社の強みを活かした業務に集中できる環境整備が可能です。

具体的には、バックオフィス業務やサポート業務をアウトソーシングすることで、営業チームは新規顧客の獲得や顧客対応に集中し、技術チームは製品開発に専念することが可能になります。このように、業務を適切に分散させることで、従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上し、結果として企業全体の生産性が高まるでしょう。

従業員が自身の専門分野に専念できる環境を提供してあげることで、仕事に対する満足度やモチベーションの向上も期待できます。

企業側が業務委託を活用するデメリット

業務委託には多くのメリットがある一方で、活用にあたって注意すべきデメリットも存在します。適切に運用しないと、期待していた成果が得られなかったり、思わぬ負担が生じることもあるでしょう。

次に、業務委託を採用する際に検討すべき主なデメリットを詳しく解説します。

社内にノウハウが蓄積しにくい

業務委託の大きな課題の一つは、外部の専門家に業務を依頼することで、自社内にノウハウが蓄積されにくいという点です。

例えば、マーケティング戦略やITシステムの開発を委託した場合、その業務に関する知識やスキルが自社の従業員に共有されることが少なく、結果的に依存度が高まる可能性があります。

つまり、長期的に必要となる業務や、事業の中核を担う分野に関して外部依存が強まると、将来的な事業展開やトラブル対応が難しくなる場合があります。また、外部委託を繰り返すことで、自社の成長機会を逃してしまうリスクもあるでしょう。

どの業務を委託し、どの範囲で社内に知識を留めるべきかを慎重に判断することが重要です。メリットでもお伝えしたように、専門性の高い単発の仕事や、従業員の負担を減らせる雑務などにおいては、業務委託を活用するとよいでしょう。

管理に労力が必要になる

業務委託を利用する際、委託先である外部パートナーとの関係を適切に管理することも必要です。

特に依頼内容が明確でない場合や、進捗状況の確認を怠ってしまうと、期待した成果物が得られないだけでなく、スケジュールの遅延や品質の低下につながるリスクも考えられます。

納期や品質基準、具体的な業務内容を事前に十分に定めておかないと、依頼先との認識のずれが発生し、トラブルの原因となります。また、プロジェクトの進捗をチェックしたり、依頼内容を修正したりするために、社内のリソースを割かなければならない場面も増えるでしょう。

特に、委託する業務が複雑であったり、長期間にわたるものであれば、外部パートナーとのやり取りに多くの時間や労力を要する可能性があります。

つまり、業務委託を活用する場合は、管理体制を整え、責任者を明確にするなど、事前準備が重要であることを心得ておきましょう。

時間あたりのコストが割高になる

業務委託は、即戦力として外部リソースを活用できる反面、短期的なコストが割高になることがあります。中でも高い専門性を持つ人材や企業に依頼する場合、時間あたりの単価が社内での対応よりも大幅に高くなるケースが少なくありません。

例えばITエンジニアやデザイナーといった高度なスキルが必要な人材を委託する場合、その報酬は通常の従業員給与よりも高額になることが一般的です。さらに、成果物の修正や追加対応が発生した場合、追加料金が発生することもあります。

また、外部委託に頼りすぎると、頻繁な依頼が重なり、コストが膨らむリスクもあります。

中長期的に見ると、社内でスキルを育成する方が総合的なコストを抑えられる場合もあるため、業務委託をどの程度利用するかを慎重に見極める必要があります。

業務委託を活用しやすい仕事

先述した通り、業務委託は、特定のスキルが必要で短期的に成果を求められる業務や、社内リソースの負担を軽減したい業務で効果を発揮する一方で、メリットとデメリットの両方が存在しています。

そこで、以下では業務委託を活用しやすい具体的な仕事について、それぞれの特徴を詳しく解説します。

デザイナー

デザイン業務は、業務委託で最も活用されやすい分野の一つです。

例えば、新しいロゴの作成、パンフレットやウェブサイトのデザインなど、短期的に特定の成果物が必要な場合に、外部のデザイナーに依頼することで効率的に対応できます。

デザイナーは特化したスキルを持ち、それぞれ得意なスタイルや分野があります。プロジェクトごとに最適な人材を選ぶことで、自社のニーズにぴったり合ったデザインを手に入れることが可能です。

また、デザイン業務は成果物を納品して終了することが多く、業務委託契約と相性が良いのも特徴です。

ライター

ライター業務も業務委託に適した仕事の一つです。

ブログ記事や商品説明文、プレスリリースなど、文章作成が必要な場面では、外部のライターを活用することで迅速かつ高品質なコンテンツを得ることができます。

特に、自社の製品やサービスを魅力的に伝える文章を作成するには、専門のスキルが必要です。プロのライターに依頼することで、社内では出せないクリエイティブな発想や表現を取り入れることができます。

また、一定期間の仕事が完了すれば契約を終了できるため、リソース管理が柔軟にできる点も魅力です。

エンジニア

システム開発やウェブアプリの構築といったエンジニアリング業務も、業務委託の代表的な活用例です。

例えば、新しい機能を追加するためのコーディングや、トラブルシューティングを依頼する場合、経験豊富なフリーランスエンジニアや専門企業を活用するのは非常に効果的です。また、社内エンジニアが手一杯の状況でも、外部リソースを投入することで業務の遅延を防ぐことができます。

短期間で高度な技術が必要な場合や、一時的なプロジェクトのためにチームを拡大する場合、外部のエンジニアに依頼することで迅速に対応できるでしょう。

社内のノンコア業務

データ入力やバックオフィス業務、カスタマーサポートといったノンコア業務は、業務委託で特に負担軽減効果が高い分野です。ノンコア業務は専門性が低くても経験がある方が得意とする場合も多く、外部委託することで社内のリソースをコア業務に集中させることができます。

事業をしていると繁忙期や一時的に業務量が増えるタイミングが出てきますが、その時期での委託は効果的です。外部パートナーを活用することで、必要な期間だけ効率的に対応し、無駄な固定コストの削減が可能です。

業務の進捗管理を適切に行えば、効率的かつスムーズに作業を進めることができるでしょう。

業務委託と正社員との比較

業務委託と正社員は、企業が求める働き方や業務の性質によって選び方が大きく変わります。双方の特徴を改めて比較することで、業務委託を活用するか・新たに正社員を雇うかという問題解決につながるでしょう。

次に、両者を「業務の指揮命令権」「給与(報酬)の相場」「福利厚生」の観点から比較し、それぞれの特徴を詳しく解説します。

業務の指揮命令権

正社員と業務委託の最も基本的な違いは、業務に対する企業側の指揮命令権の有無です。

正社員は企業の指揮命令下にあり、業務の進め方やスケジュールに関して具体的な指示を受け、それに従う義務があります。このため、企業はプロジェクトの細部にまで介入し、全体の進捗をコントロールできます。また、正社員には柔軟な業務の割り振りが可能で、必要に応じて業務範囲を変更できるのも特徴です。

一方、業務委託では、企業は指揮命令を行う権利を持たず、受託者は契約内容に基づいて独立して業務を遂行します。企業側は成果物や納期の確認にとどまり、業務の詳細な進め方に関与できません。このため、プロジェクト全体の管理を正確に行うには、依頼内容を明確にするという事前準備が欠かせません。

このような違いから、企業がプロジェクトを細かく管理したい場合は正社員が適しており、成果物や一定の業務範囲を委ねたい場合には業務委託が有効です。

初めて業務委託を活用する場合、正社員と同じ感覚で指揮命令を行ってしまうケースがあるため注意が必要です。業務委託では、指揮命令権を行使すると労働契約とみなされるリスクがあるため、契約内容に基づいた業務の進め方を尊重することが重要です。

給与(報酬)の相場

給与(報酬)は、正社員と業務委託で計算方法や相場が大きく異なります。

正社員の給与は、基本給に加え、ボーナスや各種手当、福利厚生が含まれる総合的な報酬体系が一般的です。業務量や成果にかかわらず、安定的に一定額が支払われます。また、企業側には年金や健康保険の負担が発生するため、実質的なコストは給与額以上にかかる場合があります。

一方、業務委託の場合、報酬は業務内容や成果物に応じて設定され、正社員よりも単価が高い傾向があります。なぜならば、委託者自身が税金や社会保険を管理する必要があるためです。また、短期間でスキルを発揮できる専門職ほど報酬が高額になるケースが多い傾向にあります。

デザイナー

デザイナーの業務委託報酬は、1案件ごとに設定されることが一般的です。

例えば、ロゴデザインでは10万円~30万円、ウェブサイトデザインでは50万円以上の報酬が見込まれます。一方、正社員デザイナーの月給は、20万円~40万円が相場で、長期的な安定性がある一方、短期的なコストは業務委託のほうが割高です。

ライター

ライターの報酬は、文字単価や記事単価で決まることが多い傾向にあります。業務委託では、1文字2円~10円、1記事5,000円~50,000円程度が一般的な相場です。

一方、正社員ライターの月給は20万円~30万円程度であり、業務委託の方が高品質な記事を短期間で確保する際に適しています。

エンジニア

エンジニアは業務委託と正社員で大きな相場の違いがあります。業務委託では、1案件あたり数十万円~数百万円となることが多く、高度なスキルや短期間の即戦力が求められる場合に報酬が高騰します。

正社員の場合、月給30万円~60万円程度が一般的で、長期的なリソース確保に向いています。

福利厚生

正社員と業務委託では、福利厚生の有無が大きな違いとして挙げられます。

正社員には、社会保険や健康保険、年金、住宅手当、交通費補助など、多岐にわたる福利厚生が提供されます。福利厚生を充実させることで、従業員は生活の安定を確保してもらえるため、企業への帰属意識を高める効果があります。ただし、企業側にはこれらの福利厚生を提供する負担が発生します。

一方、業務委託には、福利厚生がないのがほとんどです。受託者は報酬から税金や社会保険を自己負担する必要があります。そのため、企業側にとってはコストが明確である一方、受託者の待遇には限界がある点が特徴です。

また、委託先も報酬や業務量を基準に企業を選ぶため、優れた業務委託先と継続的な関係を築くには工夫が求められます。企業側が委託を継続したい場合、報酬の見直しや契約条件の変更など、待遇を改善する取り組みが重要となります。

業務委託を採用する会計上のメリット

業務委託は、企業の会計処理やコスト管理の観点から多くのメリットをもたらします。

次に、正社員と業務委託という2つの視点から、会計上のメリットを詳しく解説します。

正社員は人件費

正社員を雇用する場合、その給与や福利厚生費用は「人件費」として計上されます。この人件費は企業にとって大きな固定費となり、以下のような特徴があります。

固定費として計上される

正社員の給与や法定福利費(社会保険料や年金保険料など)は、景気や業務量に関係なく継続的に発生します。このため、売上が減少した場合でも削減が難しく、企業のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。

会計上の制約がある

人件費は、損益計算書(PL)の「販売費及び一般管理費」や「製造原価」に分類され、利益に直接影響を与えます。

また、福利厚生費や退職金なども含まれるため、全体的なコストが高くなりやすい点がデメリットです。

長期的なコスト負担が発生

正社員を採用することで、長期的な雇用契約に基づく支払いが発生します。

中には給与だけでなく、教育費や福利厚生の費用も含まれているため、短期的な業務には向いていないケースもあります。

業務委託は外注費

業務委託を採用する場合、その費用は「外注費」として会計処理されます。

正社員を雇用する場合とは費用形状が異なるため、会計上のメリットが得られます。

変動費として計上される

業務委託費は業務量や契約期間に応じて発生するため、景気や事業規模に合わせて調整が可能です。

変動費としての特性により、固定費を削減しやすく、柔軟なコスト管理が実現します。

損益計算書への影響が異なる

外注費は「販売費及び一般管理費」または「製造原価」に計上されることが多いですが、労務管理費用などを含まないため、人件費よりもシンプルに処理できます。

また、福利厚生費や退職金が発生しない点も、外注費のメリットです。

短期的な業務への対応が効率的

短期間のプロジェクトや専門的な業務に対応する際、業務委託はコスト効率が高くなります。

必要なタイミングで必要なスキルを調達できるため、長期的なコスト負担を回避できます。

業務委託を契約する際の企業側の注意点

業務委託を活用する際には、契約内容や運用方法を適切に管理することが重要です。契約の内容次第で、業務の進行や成果に大きな影響を及ぼすため、事前に細かいポイントを確認し、適切な準備を行う必要があります。

次に、業務委託契約を締結する際に注意すべきポイントについて、詳しく解説します。

契約書は3種類あり、内容を精査してから締結する

業務委託契約を結ぶ際、契約書の内容は委託業務の進め方や責任範囲を明確にするための重要な基盤となります。

契約書の形式には「定額報酬型」「成果報酬型」「単発業務型」の3つがあり、それぞれ特徴が異なります。

定額報酬型

定額報酬型は、契約期間中に発生する業務量にかかわらず、一定の金額を支払う形態です。業務内容が継続的であり、一定の作業量が見込まれる場合に適しています。

報酬が安定しているため、受託者のモチベーションが維持されやすい一方、業務量が大幅に減少した場合でも同じ金額を支払う必要がある点に注意が必要です。

成果報酬型

成果報酬型は、特定の目標や成果物が達成された場合にのみ報酬を支払う形態です。例えば、売上向上やプロジェクトの完了が条件となる場合が多く、成果を重視する業務に適しています。

ただし、受託者が過剰にリスクを負う契約になると協力関係が崩れる可能性があるため、達成基準や報酬条件を明確に設定することが重要です。

単発業務型

単発業務型は、特定の業務やプロジェクトが完了した段階で契約が終了する形態です。短期間で明確な成果物を必要とする場合に最適で、契約終了後の継続的な支払い義務が発生しないため、コスト管理がしやすいのが特徴です。

ただし、契約期間や条件が不明確だとトラブルの原因になるため注意が必要です。

依頼する業務範囲を明確にする

業務委託では、依頼する業務範囲を明確に定義することが必要です。

業務範囲が不明確だと、受託者との認識にズレが生じ、成果物の品質や納期に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、契約書には、具体的な作業内容や目標、成果物の仕様を詳細に記載することが重要です。

また、業務範囲を限定することで、不要な業務が発生するのを防ぐと同時に、トラブルの防止にもつながります。依頼内容が曖昧な場合、受託者が不明点を自己判断で進めることで、期待した結果が得られない場合もあります。

明確なコミュニケーションを取り、業務範囲を合意のもとで設定しましょう。

口頭だけでなく契約書を作成を行う

口頭での合意だけで業務委託を進めるのは避けるべきです。

万が一トラブルが発生した場合でも法的な根拠を示すためにも、契約書を作成し、両者の合意事項を文書として記録しておきましょう。

契約書には、業務内容、納期、報酬、支払い条件、成果物の所有権、秘密保持の条項など、必要な項目を盛り込みます。

文書化することで、両者が契約内容を正確に把握し、スムーズな業務開始が可能になります。

「再委託」に関する取り決めを行う

業務委託の契約では、「再委託」に関する取り決めも重要です。

再委託とは、受託者がさらに別の第三者に業務を委託することを指します。再委託を許可するかどうか、許可する場合の条件を契約書に明記しておく必要があります。

再委託が発生すると、業務品質の低下や情報漏洩のリスクが高まる可能性があります。特に、重要な情報や機密データが扱われる業務の場合、再委託の有無や条件を明確に定めておくことで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

業務委託の費用対効果を最大化する方法

業務委託は、短期間で専門性の高いスキルや成果を得られる手段として注目されていますが、その費用対効果を最大化するには適切に運用するスキルも必要です。

中でも、どのような業務を外部に依頼するか、報酬をどのように設定するか、そして長期的にどのような関係を築くかが大きなポイントとなります。

次に、「適切な依頼内容の設定」「報酬形態の工夫」「長期的なパートナーシップの構築」の3つの観点から、費用対効果を高める方法を詳しく解説します。

適切な依頼内容の設定

業務委託の成功は、依頼内容の明確さに大きく依存します。不明確な依頼内容は、外部パートナーとの認識のズレや追加作業の発生を招き、結果的にコスト増加や納期遅延の原因となります。

業務範囲を具体化する

最初に、どの業務を外注するのかを具体的に決定します。たとえば、デザイン業務であれば、「ロゴ作成」だけなのか、「ウェブサイト全体のデザイン」まで含むのかを明確にする必要があります。また、作業内容の詳細や成果物の品質基準を契約書に記載することで、期待する成果をより確実に得ることができます。

期待する成果を定義する

「何をゴールとするか」を事前に合意することも重要です。

成果物の納期や形態、具体的な要件を明確にし、外部パートナーと共有します。期待する成果を共有しておくことで、完成後の修正や追加作業を最小限に抑えることができます。

事前に情報共有を行う

委託する業務に関する背景や目的、顧客情報など、必要な情報を適切に提供することも大切です。

外部パートナーが業務の背景を理解することで、より的確な成果物を得られる可能性が高まります。

報酬形態の工夫

業務委託のコストは報酬形態によって大きく異なります。

適切な報酬形態を選択することで、無駄なコストを抑えつつ、効率的に業務を遂行できます。

成果報酬型の活用

特定の目標達成や成果物が必要な場合、成果報酬型を採用することでコスト効率を高めることができます。

たとえば、マーケティングキャンペーンの効果測定や売上目標の達成などが該当します。成果報酬型では、パートナー側も成果を意識して働くため、双方にとってメリットがあります。

時間単価型の活用

作業時間に応じた報酬を設定する時間単価型は、タスクの進行状況を柔軟に調整できる点で効果的です。

ただし、作業時間が増えるとコストが上昇する可能性があるため、進捗管理が重要です。

案件単価型の活用

デザインやシステム開発など、一定の範囲が明確な業務には案件単価型が適しています。

案件単価型は予算を明確にできるため、コスト計画が立てやすいのが特徴です。

長期的なパートナーシップの構築

業務委託を単発で終わらせるのではなく、信頼できる外部パートナーと長期的な関係を築くことは、費用対効果を最大化する上で効果的な方法です。

信頼関係を重視する

委託するたびに新しい業者を探すのではなく、実績のある業者や個人と継続的な関係を築くことで、やり取りの効率化やコスト削減が可能になります。

また、外部パートナーの方も企業の文化や目標を理解することで、適切な成果物を提供してもらえる可能性が高まります。

フィードバックを定期的に行う

納品後のフィードバックを丁寧に行い、改善点や評価を共有することで、次回以降の業務委託がスムーズになります。また、定期的なレビューを通じて、業務の質や効率を向上させることができます。

長期的な契約を検討する

一定の業務を継続的に外注する場合、長期契約を結ぶことでコスト削減や業務効率化が期待できます。

例えば月次でデザイン作業を依頼する場合、契約を固定化することで業務が安定し、パートナーもモチベーションを維持しやすくなります。

業務委託導入の手順は?

業務委託を検討する際には、まず、自社がどの業務を外部に委託するべきかを明確にすることが必要です。

業務内容を細かく洗い出し、外部の専門家や委託先に任せることで効率化が見込める業務を選定しましょう。特に、専門的なスキルを要する業務や、短期間での成果が求められる業務は業務委託の対象として適しています。

また、コア業務への集中を妨げるルーチン業務を外注することで、社員の生産性を向上させることもできます。

次に、委託先の選定も重要です。信頼できる委託先を見つけるためには、候補となるフリーランスや企業の実績やスキル、これまでの業務内容を確認します。また、可能であれば、過去に同様の案件を手掛けた経験があるかどうかを確認すると良いでしょう。委託先の選定は業務の成功に直結するため、十分な時間をかけて検討することが重要です。

委託先が決まったら、契約内容を具体的に詰めていきます。契約書を作成する際には、双方の認識のズレを防ぐために、細かい点まで記載することが求められます。また、トラブル防止のために、契約解除や途中変更に関する条件も盛り込んでおくと安心です。

契約締結後は、委託業務の管理体制を整えるステップに進みます。委託先との定期的なコミュニケーションを確保し、進捗状況や成果物の品質を確認します。特に、初めて業務委託を導入する場合は、業務がスムーズに進むよう、開始段階でのフォローアップが重要です。必要に応じてオンラインツールを活用し、進捗やタスクの見える化を図ることで、管理が効率的になります。

最後に、業務委託が完了した際には、成果物の確認と振り返りを行います。契約内容と照らし合わせて、納品物が要件を満たしているかをしっかり確認しましょう。

また、業務の流れや成果を評価し、次回以降の改善点を洗い出すことも重要です。このプロセスを繰り返すことで、業務委託をより効果的に活用できるようになります。

業務委託の導入は、単に外注先を選んで業務を任せるだけではなく、綿密な計画と適切な管理が求められるプロセスです。初めての導入では不安もあるかもしれませんが、計画的に進めることで、企業の成長に大きく貢献できるような結果を得られるでしょう。

まとめ

今回の記事では、業務委託の基本的な仕組み、メリット・デメリット、導入の手順、そして活用のポイントについて解説してきました。結論をお伝えすると、業務委託は、短期間で専門性の高いスキルや成果を得られる有効な手段であり、特に外部の力を柔軟に活用したい企業にとって多くのメリットがあるということです。

ただし、依頼内容を明確にし、信頼できる委託先を選び、契約内容を慎重に取り決めることが重要です。

また、業務委託を効果的に活用するためには、自社の業務を見直し、適切な管理体制を整えることで、成功につながるでしょう。

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この記事を書いた人

CHIHARU
CHIHARU /ライター

1992年生まれ、北海道出身。トレンドスポットとグルメ情報が大好きなフリーライター。 衣・食・住、暮らしに関する執筆をメインに活動している。 最近のマイブームは代々木上原のカフェ巡り。

この記事を監修した人

草島亜久斗
草島亜久斗 /監修者

大学在学中、FinTech領域、恋愛系マッチングサービス運営会社でインターンを実施。その後、人材会社でのインターンを経て、 インターン先の人材会社にマーケティング、メディア事業の採用枠として新卒入社し、オウンドメディアの立ち上げ業務に携わる。独立後、 フリーランスとしてマーケティング、SEO、メディア運営業務を行っている。

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