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【フリーランスエンジニア必見】 青色申告の貸借対照表作成方法を解説

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目次

はじめに

フリーランスエンジニアにとって、確定申告や帳簿管理は避けて通れない重要な業務です。

特に、青色申告を選択している方は「貸借対照表」を正確に作成しなければなりません。

貸借対照表は、事業の財政状況を正確に把握するために必要であり、青色申告特別控除を最大限に活用するためにも欠かせないものです。

そこで本記事では、フリーランスエンジニアが貸借対照表を自分で作成するための方法を詳しく解説します

<この記事を読むメリット>

  • 貸借対照表を作成するための具体的な手順がわかる
  • 損益計算書やキャッシュフロー計算書との関連性を理解できる
  • 節税対策として青色申告控除を活用する方法がわかる
  • 自分の財務状況を正確に把握する力が身につく

「貸借対照表って難しそう……」と感じている方でも、この記事を読めば安心して取り組めるはずです。

節税しつつ、財務の知識を深めて事業を安定させたいフリーランスエンジニアの方は、ぜひ最後までお読みください!

貸借対照表の役割とは?

貸借対照表の役割とは?

フリーランスエンジニアは「青色申告」を選んで確定申告することで、節税効果を最大限に高められます。

ただし、青色申告をする場合は「貸借対照表」を作成し、税務署に提出しなければなりません。(※一部例外あり)

とはいえ、初心者の方は貸借対照表と言われてもピンと来ないかもしれません。

そこでここでは、貸借対照表の役割についてわかりやすく解説していきます。

関連記事:フリーランスは青色申告をしよう!いくらまで経費にできるのか?

決算時点での財政状況を示すもの

貸借対照表は、その名の通り「貸方(負債や純資産)」と「借方(資産)」のバランスを表すものです。

簡単に言えば、どのような形で資産を保有しているのか、またその資産をどのように調達したのかをひと目で理解できる書類です。

具体的には、以下のような情報を記載します。

  • 資産:現金や預金、売掛金、備品など
  • 負債:借入金や買掛金など、返済義務のあるお金
  • 純資産:自己資金やこれまでの利益の蓄積

貸借対照表は、決算時点での財政状況を「静的」に見ることができるため、経営状況の健全性を判断する際に非常に有用な帳簿です。

貸借対照表は会社の規模を表す指標の1つ

貸借対照表は、会社や事業の規模感を客観的に示す指標にもなる帳簿です。

例えば、資産の総額が大きければ大きいほど、事業規模が比較的大きいことを示唆します。また、負債が多い場合は、外部からの資金調達に依存している状態と判断できます。

純資産が多いほど、自己資本で事業を運営している安定的な経営と評価されるでしょう。

フリーランスエンジニアの場合も、

  • 事業用のパソコンや設備などの資産
  • クライアントからの未収金(売掛金)
  • 事業用ソフトウェアやライセンス契約
  • 在庫として保有している部品や消耗品
  • 事業専用口座の現金や預金

などを見える化することで、自身の事業規模や財政状況を把握し、経営改善につなげられます。

貸借対照表と合わせて覚えておきたいのが「損益計算書」

貸借対照表と対になる重要な書類が「損益計算書」です。

貸借対照表が「財産の状態」を示すのに対し、損益計算書は一定期間の収益と費用のバランスを表します。

簡単に言えば、損益計算書は「どれだけ稼いで、どれだけ使ったか」を明確にするものです。

具体的には、以下のような項目を記入します。

  • 収益:売上や事業収入
  • 費用:経費(交通費、通信費、備品購入費など)
  • 利益:収益から費用を差し引いたもの

損益計算書と貸借対照表を合わせて見ることで、事業の動き(収益・費用)を総合的に理解できます。

損益計算書と貸借対照表を合わせて「青色申告決算書」

青色申告をする際には、「青色申告決算書」を税務署に提出する必要があります。

青色申告決算書には、貸借対照表と損益計算書の両方を提出しなければなりません。

つまり、

青色申告決算書 = 貸借対照表 + 損益計算書

ということです。

通常、確定申告書(B様式)と青色申告決算書を確定申告の際にあわせて税務署に提出します。

既存事業者の場合、提出期限は毎年2月15日から3月15日(土日休日が重なる場合はその翌日)までです。

例えば、2024年分の青色申告をするのならば、2月17日から3月17日までになります。

期限日を過ぎてしまった場合、原則として受理されませんが、やむを得ない事情がある場合は後提出を認められる可能性もあるので、その際は税務署に相談してみてください。

青色申告決算書は1枚目~3枚目が「損益計算書」4枚目が「貸借対照表」

青色申告決算書は、税務署に提出する重要な書類で、通常4枚で構成されています。

1枚目〜3枚目は「損益計算書」に該当し、1年間の収益や費用の詳細を記載します。

  • 1枚目:売上や経費、事業所得などを記載
  • 2枚目:月別売上や仕入れ、給与の内訳を記載
  • 3枚目:減価償却費や地代家賃などの明細を記載

4枚目は「貸借対照表」に該当し、資産、負債、純資産の状況を記載し、事業の財政状況を明確に示します。

この2つを揃えることで、事業の「動き」と「状態」を総合的に把握できる仕組みです。

つまり、貸借対照表はフリーランスエンジニアにとって、事業を運営する上での「経営の健康診断書」のようなものです。

初めて作成する場合や複雑な内容が多い場合は、会計ソフトや税理士を活用すると良いでしょう。

関連記事:クラウド会計を導入したら税理士はいらない?クラウド会計のメリット・デメリットを詳しく解説!

フリーランスエンジニアが貸借対照表の作成にあたって準備するもの

フリーランスエンジニアが貸借対照表の作成にあたって準備するもの

では、フリーランスエンジニアが貸借対照表を作成する場合、まず何から始めればよいのでしょうか?

貸借対照表を作成するには、以下の3つを準備しましょう。

  1. 仕訳帳
  2. 総勘定元帳
  3. 試算表

それぞれについて、以下で簡単に解説します。

仕訳帳

仕訳帳とは、日々の取引内容を「借方」と「貸方」に分けて記録する帳簿であり、会計処理において最も基本的なものです。

仕訳帳には、どの勘定科目にいくら動きがあったのかを時系列順に記録していきます。記録する主な項目は以下の通りです。

  • 日付:取引が発生した日付を記載
  • 勘定科目:取引内容に応じた科目(例:売掛金、通信費など)
  • 金額:具体的な金額を記録
  • 摘要欄:取引の簡単な説明(例:「〇〇社へのサービス提供代金」など)

通常、専用の帳簿を購入する必要がありますが、最近では会計ソフトを利用することで、仕訳の記録を効率化することも可能です。

2024年1月に義務化された「電子帳簿保存法」に対応した形式でデータを保存することもできるので、多くのフリーランスエンジニアはクラウド会計ソフトを導入して記帳しています。

総勘定元帳

総勘定元帳は、仕訳帳に記録された取引を「勘定科目ごと」に整理してまとめた帳簿のことです。

仕訳帳は取引を日付順に記録する「取引の履歴書」のようなものですが、総勘定元帳はそれを項目別に分類して整理する「科目ごとのまとめ帳」といったイメージです。

総勘定元帳を見ることで、現金がどれくらい増えたり減ったりしたかや、未収金がどれだけあるのかを一目で把握できます。

多くの場合、まず仕訳帳に正確な取引記録を残し、それを基に総勘定元帳を作成します。

なお、最新のクラウド会計ソフト(例:弥生会計オンライン、freee会計など)では、仕訳帳を作成すれば自動的に総勘定元帳を作成してくれるものも多いです。

試算表

試算表とは、仕訳帳や総勘定元帳を基に作成する「集計表」で、すべての勘定科目の金額を一覧でまとめた表です。

簡単に言えば、試算表は事業全体のお金の流れや状況をひと目で確認できる「経営のチェックリスト」のようなものになります。

試算表を作成することで、貸借対照表や損益計算書を作るための準備が整い、記帳ミスや漏れがないかを確認できます。

試算表は複雑になりやすく、手作業で作成すると多くの時間を費やすことになります。

しかし、試算表も最新のクラウド会計ソフトを利用すれば自動作成してくれるので、何か特別なこだわりがない限り、会計ソフトを利用して作成するのがおすすめです。

貸借対照表作成の手順

貸借対照表作成の手順

まず仕訳帳と総勘定元帳から試算表を作成

貸借対照表を作成するには、まず仕訳帳と総勘定元帳のデータを基に試算表を作成しなければなりません。

試算表作成までの具体的な手順は以下の通りです。

1.仕訳帳の記録を確認する

仕訳帳には、日々の取引が時系列順に記録されています。ここから必要な情報を抽出します。

2.総勘定元帳への転記を確認する

仕訳帳のデータが総勘定元帳に正確に転記されていることを確認しましょう。

3.勘定科目ごとの残高を集計する

総勘定元帳から各勘定科目の借方・貸方の合計や残高を集計します。これにより、企業や個人の財務状況を簡単に把握できる形式でデータを整理できます。

4.試算表に集計結果を記入する

集計した各勘定科目の金額を試算表に記入します。このとき、借方と貸方の合計金額が一致しているかを確認してください。

試算表にミスがあると、以降の工程で手戻りが発生するので、綿密にチェックしておきましょう。

自分の貸借対照表に該当する勘定科目を書き出す

試算表が完成したら、次は貸借対照表に記載すべき勘定科目をリストアップしましょう。

「勘定科目」とは、取引を記録する際に用いる項目のことです。例えば、「現金」「預金」「売掛金」「借入金」などが該当します。

参考までに、フリーランスエンジニアがよく使用する勘定科目は以下の通りです。

<資産の部>

  • 現金:手元にある現金
  • 普通預金:事業用銀行口座の預金残高
  • 売掛金:クライアントへの請求済みだが、まだ受け取っていない報酬
  • 未収金:事業以外の取引で未回収の金額(例:雑収入や保険金の未収)
  • 備品:業務用のパソコン、デスク、椅子、モニター、周辺機器など
  • 消耗品:事務用品や文具など、1年未満で使用する小物
  • 前払費用:家賃や保険料など、すでに支払い済みだがまだ使用していない分

<負債の部>

  • 買掛金:業務に必要な物品やサービスを購入したが、まだ支払っていない金額
  • 未払金:経費(例:電気代、通信費、サブスクリプション費用など)の未払い分
  • 未払費用:支払期日が到来しているが、まだ支払っていない利息や家賃など
  • 借入金:事業のために金融機関などから借り入れた金額

<純資産の部>

  • 元入金(資本金):フリーランス事業を始める際に自己資金として投入した金額
  • 繰越利益剰余金:過去の利益を事業内に留めている部分
  • 事業主貸:事業用の資金をプライベートで使った場合の記録
  • 事業主借:プライベートの資金を事業用に使った場合の記録

勘定科目をリストアップしておくことで、事業に関連するすべての取引を網羅的に把握できるようになります。

必ずしも必要ではありませんが、ミスをなくすためにもなるべくやっておいた方が良いでしょう。

勘定科目は「資産の部」「負債の部」「純資産の部」に分ける

勘定科目は通常、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」という3つに分類されます。

資産の部は、事業において「所有しているもの」を表します。簡単にいえば、フリーランスエンジニアとして保有している現金や資産です。

資産は流動性(現金化しやすいかどうか)に応じて、流動資産と固定資産に分けられます。

  • 流動資産:1年以内に現金化または使用される予定の資産(例:現金、普通預金、売掛金、未収金、前払費用、消耗品)
  • 固定資産:1年以上にわたって事業で使用される資産(例:備品、事務用家具、ソフトウェア(長期使用目的のもの)、保証金)

負債の部は、事業において「返済義務のあるもの」を表します。取引先や金融機関に対して支払うべき金額が該当します。

  • 流動負債:1年以内に返済または支払いが求められる義務(例:買掛金、未払金、未払費用、短期借入金)
  • 固定負債:1年以上の期間にわたる返済義務(例:長期借入金、リース債務)

純資産の部は、資産から負債を差し引いたものです。厳密には違いますが、純資産が大きければ大きいほど「儲けている」という認識でも差し支えありません。

純資産の部に該当する主な項目は以下の通りです。

  • 元入金(資本金):事業を始める際に投入した自己資金
  • 繰越利益剰余金:これまでの事業利益の蓄積分
  • 事業主貸・事業主借:事業資金とプライベート資金のやり取りを記録したもの

これらの分類を正確に行うことで、貸借対照表がより分かりやすくなり、事業の財務状況を正確に把握できるようになります。

なお、分類が細かすぎると全体像が見えにくくなるので、簡潔で分かりやすい分類を心がけましょう。

勘定科目と金額が分かったら自分の貸借対照表に記入

ここまでの作業が終わったら、あとは貸借対照表に記入していくだけです。

しかし、青色申告をするには貸借対照表だけでなく、損益計算書も作成する必要があります。

つまり、確定申告の際に「確定申告書(B様式)」と「貸借対照表」と「損益計算書」を税務署に提出すれば、青色申告は完了です。

文章だけで見ると簡単なように思えるかもしれませんが、これを実際にやるとなると非常に多くの時間を費やします。

特に、初心者の場合は専門的な知識があまりないので、最低でも1ヶ月程度は見積もっておいた方がよいかもしれません。

フリーランスエンジニアが貸借対照表作成にあたって注意すること

フリーランスエンジニアが貸借対照表作成にあたって注意すること

貸借対照表には、非常に多くの勘定科目と数字が記載されることになるので、高い確率でミスが発生するはずです。

しかし、これから紹介するポイントを踏まえて作成することで、ミスの可能性を低減できます。

ここからは、フリーランスエンジニアが貸借対照表を作成する際に、気をつけておきたい注意点をいくつか紹介します。

損益計算書とキャッシュフロー計算書とセットで作成されるので、この3つのつながりをきちんと把握しておくこと

損益計算書とキャッシュフロー計算書とセットで作成されるので、この3つのつながりをきちんと把握しておくこと

1つ目の注意点は、貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書のつながりを意識することです。

キャッシュフロー計算書とは、その名の通り「お金の動き」をまとめた書類です。

具体的には、以下の3つの動きに分けて現金の流れをまとめます。

  1. 営業活動:本業で稼いだお金や使ったお金の流れ(例:仕事の報酬や経費)
  2. 投資活動:仕事用のパソコンや設備など、大きな買い物に使ったお金の流れ
  3. 財務活動:借りたお金や返済したお金の流れ

これを見れば、手元に残っている現金の金額や、どの活動でお金が増減したのかが一目でわかります。

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は、お金や利益の情報を補い合っているため、通常セットで作成されます。

別々に作成していくのも一つの手段ですが、かなり高い確率でミスが発生してしまうはずです。

したがって、貸借対照表と損益計算書とキャッシュフロー計算書は、なるべくセットで作るように意識しましょう。

下記3つの数字が一致していないといけない

2つ目の注意点は、下記3つの数字がきちんと一致しているかを確認することです。

  1. 損益計算書の当期純利益と貸借対照表の繰越利益剰余金
  2. 貸借対照表の資産合計と負債・純資産合計
  3. 貸借対照表の流動資産の現金・預金とキャッシュフロー計算書の現金&同等物期末残高

これらの数字が一致していない場合、記載ミスや計算間違いがある可能性が高いため、特に注意が必要です。

損益計算書の当期純利益と貸借対照表の繰越利益剰余金

損益計算書の「当期純利益」と貸借対照表の「繰越利益剰余金」は、基本的に一致していなければなりません。

両者の関係を公式で表すと、以下のようになります。

繰越利益剰余金(期末) = 繰越利益剰余金(期首) + 当期純利益 − 配当金等

  • 繰越利益剰余金(期末):貸借対照表に記載される期末時点での「繰越利益剰余金」。事業がこれまで蓄積してきた利益の最終的な金額のこと。例えるなら「貯金箱の中身」のようなものです。
  • 繰越利益剰余金(期首):前年度末時点の「繰越利益剰余金」。今年の事業開始時点での利益の蓄積額。貯金箱に最初に入っていたお金と考えると分かりやすいです。
  • 当期純利益:損益計算書で計算される1年間の最終的な利益。売上から経費を差し引いた後に残る金額です。1年で新しく稼いだお金のことを指します。
  • 配当金等:法人の場合は株主への配当金、個人事業主の場合は事業主が事業以外で使ったお金(事業主貸など)を指します。この分だけ「貯金箱」から引き出されたと考えます。

つまり、当期純利益は、事業で稼いだお金がどれだけ増えたかを示し、その金額が期末の繰越利益剰余金に反映されるはずです。

これらが一致していない場合、計算ミスや記載ミスの可能性があるので、全体を再度チェックする必要があります。

貸借対照表の資産合計と負債+純資産合計

貸借対照表の「資産合計」と「負債+純資産合計」も、必ず一致していなければなりません。

両者の関係を公式で表すと、以下のようになります。

資産合計 = 負債合計 + 純資産合計

  • 資産合計:貸借対照表に記載される「資産」の総額。事業主が所有しているすべての財産のこと。例えば、現金や預金、売掛金(未回収の売上)、設備、在庫などが含まれる。
  • 負債合計:事業が外部から借りているお金や、未払いの費用などのこと。例えば、銀行からの借入金や未払いの経費がここに含まれる。
  • 純資産合計:事業主自身の持ち分を表す。「資産合計」から「負債合計」を差し引いたものと一致します。これは事業の利益や元手となる自己資金を表します。

つまり、「資産合計」は、事業が持っている財産の全体像を示し、「負債+純資産合計」は、それがどのように調達されたかを表しているため、一致している必要があります。

もし一致しない場合、計算ミスや記載漏れがある可能性が高いため、速やかに原因を確認してください。

貸借対照表の流動資産の現金・預金とキャッシュフロー計算書の現金&同等物期末残高

貸借対照表の「流動資産の現金・預金」とキャッシュフロー計算書の「現金および現金同等物の期末残高」も、一致していなければなりません。

両者の関係を公式で表すと、以下のようになります。

流動資産の現金・預金(貸借対照表)= 現金および現金同等物の期末残高(キャッシュフロー計算書)

  • 流動資産の現金・預金:貸借対照表の「流動資産」の中に記載される項目で、手元にある現金やすぐに引き出せる預金の総額のこと。
  • 現金および現金同等物の期末残高:キャッシュフロー計算書で、期末時点の現金の残高として記載される項目です。「現金同等物」とは、すぐに現金化できる短期投資などを含む場合もある。

つまり、貸借対照表の「現金・預金」は、キャッシュフロー計算書の計算結果を反映したものであり、この数字が一致していない場合、記載漏れや計算ミスが疑われます。

一致しない場合は、原因を迅速に確認して修正しましょう。

一致していなければ記載ミスや計算間違いの恐れがあるため再度確認

ここまで解説してきた3つの数値が一致しない場合、それはつまり何かしらのミスがあると言うことです。

記載ミスの可能性もあれば、計算が間違っている可能性もあります。

確認方法は、基本的に数値が一致しない部分を一から見直す他ありませんが、最近の会計ソフトには自動チェック機能がついているものが多いです。

手作業で確認することで、ある程度の会計知識が身につきますが、会計知識はフリーランスエンジニアの本業には関係ありません。

専門家の税理士ですら、会計ソフトを利用して業務をするのが一般的なので、何か特別なこだわりがない限り、会計ソフトを利用した方がよいでしょう。

フリーランスエンジニアが貸借対照表を自分で作成するメリットとは?

フリーランスエンジニアが貸借対照表を自分で作成するメリット

ここまで解説してきたように、初心者が貸借対照表を作成するのは非常に難しいと言わざるを得ません。そのため、多くのフリーランスエンジニアが税理士に依頼しているのが現状です。

しかし、中にはコスト削減のために自分で貸借対照表を作成している人もいるでしょう。

では、フリーランスエンジニアが貸借対照表を自分で作成するメリットはあるのでしょうか?

結論からいうと、貸借対照表を自分で作成するメリットは以下の4点です。

  1. 作成にかかるコストを削減できる
  2. 自分の財政状況を把握できる
  3. 貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書など仕組みがわかる
  4. 青色申告者は最大65万円の控除を受けることができ、節税になる

それぞれのメリットについて、以下で簡単に説明していきます。

作成にかかるコストを削減できる

1つ目のメリットは、貸借対照表の作成にかかるコストを削減できる点です。

貸借対照表の作成には一定の会計知識が必要であり、多くのフリーランスエンジニアは税理士に依頼しています。

しかし、税理士に依頼する場合、顧問料や申告書作成費用が発生し、年間数万円から数十万円のコストになることも珍しくありません。

これを自分で行えば、こうしたコストを大幅に節約できます。

特に取引量が少ない場合や、会計ソフトを使って効率的に処理できる場合には、自作のほうが経済的です。

節約した費用を、スキルアップや設備投資に回せる点は大きなメリットといえるでしょう。

関連記事:フリーランスエンジニアが税理士に依頼する費用はいくら?相場と税理士選びで失敗しないポイント

自分の財政状況を把握できる

2つ目のメリットは、自分の財政状況を把握できることです。

貸借対照表は、自分が持っている資産(現金や預金、売掛金など)や負債(借金や未払い金など)、そしてそれらを差し引いた純資産を見える化します。

これを自分で作成することで、事業全体の財務状況を詳細に把握でき、無駄な経費の発見や資金繰りの改善にもつながります。

例えば、「手元に十分な現金があると思っていたが、売掛金が多く現金不足に陥りやすい」という課題に気づけることもあるでしょう。

財務状況を可視化して適切な経営判断を下す力は、上流工程のフリーランスエンジニアにも必要なので、自然にこういったスキルが身につくのは大きなメリットといえるでしょう。

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書など仕組みがわかる

3つ目のメリットは、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの仕組みが理解できるようになる点です。

この知識は、特に上流工程を担当する際に役立つスキルです。

例えば、システム開発の上流工程では、クライアント企業の財務データを取り扱うケースや、それらを基にした業務プロセスを設計する場面が少なくありません。

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書の基本的な構造や役割を理解していることで、こうした業務の背景を深く理解でき、より的確な要件定義や提案が可能になります。

また、クラウド会計システムやERP(統合業務管理システム)を構築・運用するプロジェクトに携わる場合、財務データの流れや統計的な関係性を理解していることが、システム設計の精度を大きく向上させます。

フリーランスとしての活動を支えるための「経営者視点」を持つことで、事業を安定させ、より高い報酬を得られる環境を作りやすくなるのです。

青色申告者は最大65万円の控除を受けることができ、節税になる

4つ目のメリットは、貸借対照表を作成することで、青色申告の特典を最大限に活用し、節税につなげられる点です。

青色申告をする個人事業主やフリーランスは、正しく貸借対照表を作成・提出することで、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

(参考:No.2072 青色申告特別控除

例えば、フリーランスエンジニアとして年間600万円の所得がある場合、貸借対照表を含む正確な帳簿を作成し青色申告を行うと、課税対象となる金額が600万円から65万円控除され、実質535万円に基づいて所得税が計算されます。

さらに、青色申告には「赤字の繰越控除」という特典もあります。

万が一赤字になった場合でも、その損失を最大3年間にわたって翌年以降の所得と相殺することができるため、将来的な税負担を軽減することが可能です。

このように、貸借対照表を自分で作成することは、単なる税務対策以上に、フリーランスとしての長期的な成功に大きな影響を与えるでしょう。

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まとめ

本記事では、フリーランスエンジニアが貸借対照表を自分で作成する方法について解説しました。

貸借対照表は、事業の現状を可視化し、将来の経営判断を支える重要な帳簿です。

一見難しそうに見えるこの作業も、基本的な知識と会計ソフトを活用することで効率的かつ正確に取り組むことができます。

こうしたスキルを身につけることで、フリーランスとしての経営力を向上させると同時に、税務調査対策にもつながります。

特にフリーランスエンジニアは、クライアントの要件定義や業務設計にも役立つため、こうした知識を持つことが他者との差別化にもつながります。

この記事を通じて得た知識を活用し、日々の帳簿管理や青色申告に自信を持って取り組んでいただければ幸いです。

エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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