フリーランスエンジニアの業種名は何になる?確定申告書への記載方法や注意点を紹介

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目次
はじめに
フリーランスエンジニアとして活動する中で、確定申告書の「業種名」の書き方に迷ったことはありませんか?
本記事では、確定申告書への職業・業種欄の記載方法や注意点を詳しく解説します。
<この記事を読むメリット>
- フリーランスエンジニアとして適切な「業種名」の選び方がわかる
- 日本標準職業分類を参考にした具体的な記載例を知れる
- 複数の仕事をしている場合の記載方法を学べる
- 個人事業税の税率が業種によって異なる仕組みを理解できる
正確な記載は税務上のトラブルを避けるだけでなく、節税対策にもつながります。
正しく税務手続きを進めたい方は、ぜひ最後までお読みください!
フリーランスエンジニアの業種名は?
フリーランスエンジニアは、得意とする技術領域によってさまざまな呼び方が存在します。
例えば、プログラミングがメインなら「プログラマー」、システム全体の設計や開発に携わるなら「システムエンジニア(SE)」と呼ばれることが一般的です。
しかし、これらは職種としての呼び方であり、業種名ではありません。
業種名の呼び方もさまざまですが、総務省が定める「日本標準産業分類」によると、フリーランスエンジニアの業種名は「情報サービス業(39)」に分類されます。
さらに情報サービス業は、その業務内容に応じて細分化されます。
- 情報処理サービス業(3911):システム開発や運用、データ処理を請け負う場合
- ソフトウェア業(3912):ソフトウェアの設計・開発・販売を行う場合
- インターネット附随サービス業(3913):Webアプリやクラウドサービスの開発・運営を行う場合
このように、フリーランスエンジニアとして活動する場合は、自身の業務内容に最も適した分類を選ぶ必要があります。
もし業務が複数の分類にまたがる場合は、主たる業務を基準に選択すると良いでしょう。
確定申告書の職業・業種欄にはどう記載する?
確定申告の際には、職業と業種名を記載する項目が必ずあります。
では、フリーランスエンジニアは確定申告書の職業・業種欄にどのような名称を記載すればよいのでしょうか?
ここからは、確定申告書の職業・業種欄の書き方について解説していきます。
事業内容を記載する
出典:国税庁
結論からいうと、フリーランスエンジニアの職業・業種欄には、自分がメインで行なっている事業内容を記載すればOKです。
例えば、以下のような記載が考えられます。
- システムエンジニアリングが主業務の場合→「システムエンジニア」
- ソフトウェアの設計・開発が主業務の場合→「ソフトウェア開発者」
- Webサイト制作を行う場合→「Webデザイナー」
このように、自分の仕事内容を具体的に表す職業名を記載するのが理想的です。
「情報サービス業」と記載しても問題ありませんが、前述したように、情報サービス業は非常に幅広い職種を一括りにしたものなので、なるべく具体的な職種を記載しましょう。
書き方の決まりは特にない
なお、職業・業種欄の書き方は、特に決められているわけではありません。そのため、正式なフォーマットや細かい表現の違いに神経質になる必要はありません。
大切なのは、税務署や第三者が見たときに、「どういった仕事をしている人なのか」が一目で分かるように書くことです。
曖昧な表現や広範囲すぎる職業名(例:「エンジニア」「フリーランス」など)は避け、具体的な業務内容を示すよう心がけましょう。
仕事内容を具体的にイメージできるように記入
職業欄に記載する内容は、仕事の内容が具体的にイメージしやすいものが理想的です。
「プログラマー」や「Web開発者」など、自分の仕事を的確に表現する名称を選ぶことで、後々の手続きや確認がスムーズになります。
また、複数の業務を行っている場合は、最も収入割合が多い「主たる業務」を記載するのが一般的です。
例えば、プログラミングが全体の70%を占めており、Webデザイン業務が30%なら、「プログラマー」と記載します。
日本標準職業分類の小分類を参考にするとわかりやすい
職業欄に何を書くべきか迷った場合、総務省が定める「日本標準職業分類」の小分類を参考にするのも1つの方法です。
日本標準職業分類では、日本のあらゆる職業を細かく分類しており、具体的な業務内容に基づいた表現を見つける手助けとなります。
例えば、フリーランスエンジニアの場合、以下の分類に該当することが多いです。
- 情報処理技術者(091):システム開発や運用、データ処理などを行う場合
- 通信技術者(092):ネットワークシステムの構築や通信技術に関わる業務
- Web・モバイルサービス関連技術者(関連分類):Webアプリケーションやモバイルアプリの開発を行う場合
日本標準職業分類を基に、自分の仕事に最も近い表現を選んで記載すると、より適切な内容になります。
フリーランスと記載するのはNG
一つだけ注意しておきたいのは、職業・業種欄に「フリーランス」と記載することです。
書き方に決まりがないとはいえ、「フリーランス」という言葉自体は職業名を示すものではないため、正確な業務内容を記載する必要があります。
税務署や第三者が見たときに、具体的な仕事が分かるようにすることが大切です。
フリーランスは職業名ではなく働き方
なお、「フリーランス」という名称は、職業名ではありません。
フリーランスはあくまで「働き方」を指す言葉であり、企業や組織に属さずに個人で契約を結んで働く形態を表します。
また、「フリーランス」と「個人事業主」は混同されがちですが、正式には以下のような違いがあります。
- フリーランス:働き方を指す言葉であり、契約形態や労働形態を示すもの。職業や業種とは関係ありません。
- 個人事業主:法律上の区分であり、税務上の独立した事業者として登録されていることを意味します。
フリーランスは基本的に個人事業主として開業届を提出し、自営業者としての責任を果たす必要があります。
そのため、確定申告書の職業・業種欄には、「フリーランス」ではなく、具体的な業務内容を反映した職業名を記載するのが正しい方法です。
フリーランスエンジニアに関連する職業・業種名
フリーランスエンジニアの専門分野は多岐に渡るため、非常に多くの読み方が存在します。
中には「エンジニアだけど自分の職業の正式な呼び方がわからない…」という方もいるかもしれません。
そこでここからは、総務省の定める「日本標準職業分類」の中で、フリーランスエンジニアに該当する職業・業種名を網羅的に紹介していきます。
日本標準職業分類を参考にする場合の例
「日本標準職業分類」を参考にすると、フリーランスエンジニアに該当する職業・業種名は以下の7種類です。
- ソフトウェア開発技術者
- 情報処理・通信技術者
- Web・インターネット技術者
- 人工知能・データサイエンス
- システムエンジニア
- その他情報通信技術者
- Webデザイナー
それぞれの職業・業種について簡単に説明します。
ソフトウェア開発技術者
ソフトウェア開発技術者は、パソコンやスマートフォン、組み込みシステムなどで動作するソフトウェアの設計・開発・テストを行う専門職です。
主にアプリケーションソフトウェアや業務用ソフトウェアの制作に携わります。
利用者のニーズを分析し、仕様を作成した上で、コーディングやデバッグ、保守を行うことが一般的な業務です。
<具体的な仕事例>
- 業務管理ソフトや会計ソフトなどの受託開発
- モバイルアプリケーションの設計・開発(例:iOSアプリやAndroidアプリ)
- クラウドサービスやデスクトップアプリケーションの制作
- 特定企業やプロジェクトの要件に基づいたカスタムソフトウェアの開発
この職種は、自分で開発したソフトウェアを販売するだけでなく、クライアントの要望に応じたオーダーメイドのソフトウェアを作るフリーランスが多く活躍しています。
情報処理・通信技術者
情報処理・通信技術者は、情報処理システムや通信ネットワークの設計・構築・運用を行う職業です。
サーバーやネットワークのインフラ構築から、システムの最適化、データ管理やセキュリティ対策まで幅広い領域をカバーします。
企業のIT基盤を支える重要な役割を担い、問題解決やパフォーマンスの向上を求められることが多いです。
<具体的な仕事例>
- サーバーやネットワークの設計・構築
- データベースの設計や運用、最適化
- クラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloudなど)の設定や管理
- ネットワーク障害対応やセキュリティ強化(例:ファイアウォールの設定、暗号化対応)
通信インフラを支えるエンジニアとして、企業からの一時的なプロジェクトや緊急対応を請け負うフリーランスも多く見られます。
Web・インターネット技術者
Web・インターネット技術者は、WebサイトやWebアプリケーションの設計・開発・運用を担当する職業です。
HTMLやCSS、JavaScriptなどのフロントエンド技術から、PHPやPython、Rubyなどを用いたバックエンド開発まで幅広く対応します。
また、インターネット上でのデータ通信を効率的に行うための仕組みを設計・構築する役割も担います。
<具体的な仕事例>
- 企業のWebサイト制作やリニューアル
- Webアプリケーションの開発(例:ECサイトや予約管理システム)
- RESTful APIの設計やバックエンドの構築
- コンテンツ管理システム(CMS)のカスタマイズ(例:WordPressのテーマやプラグイン開発)
Web技術は常に需要が高く、短期的な案件から継続的な運用保守まで、多様な仕事の機会が存在します。
人工知能・データサイエンス
人工知能(AI)・データサイエンス技術者は、膨大なデータを収集・解析し、そこから得られる洞察を活用してビジネスや研究の課題を解決する職業です。
AIモデルの設計や機械学習アルゴリズムの構築、統計解析を行うだけでなく、得られた結果をビジュアル化し、意思決定に役立てることもあります。
<具体的な仕事例>
- 機械学習モデルの開発(例:画像認識や自然言語処理)
- データクレンジングや解析業務、統計モデリングの実施
- PythonやRを使ったデータ分析、結果の可視化
- AIを活用したチャットボットやレコメンドシステムの構築
- ビッグデータ基盤の設計や運用
人工知能・データサイエンス業務は、研究機関だけでなく、企業のマーケティングや製品開発にも活用される場面が増えています。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニア(SE)は、業務システムやアプリケーションの企画・設計・開発・導入までを包括的に担当する職業です。
クライアントの要望をヒアリングし、それを形にする要件定義や仕様書作成、開発プロジェクト全体の進行管理、開発・運用など、非常に幅広い領域の業務をカバーします。
<具体的な仕事例>
- 業務システム(ERP、CRMなど)の要件定義と設計
- システム導入に伴うプロジェクト管理(PM/PMO業務)
- ソフトウェア開発チームとの連携、進捗管理
- システムの保守運用や障害対応
システムエンジニアはフリーランス市場でもニーズが高く、特にクライアントとの直接交渉を得意とするエンジニアに向いています。
その他情報通信技術者
その他情報通信技術者は、上記に分類されない特殊な技術分野や、複数の分野をまたいだ業務を行う職業です。
例えば、新興技術や特殊なプロジェクトに従事する技術者がこの分類に該当します。
<具体的な仕事例>
- IoTデバイスの開発や接続システムの構築
- ブロックチェーン技術を活用したシステム設計
- VR/ARコンテンツの開発
- センサー技術やデバイス連携を利用した製品開発
この職業は、先進技術やユニークなプロジェクトに携わることが多く、新しいスキルを積極的に学ぶエンジニアに最適です。
Webデザイナー
Webデザイナーは、WebサイトやWebアプリケーションデザインの専門家です。
ユーザーエクスペリエンス(UX)やユーザーインターフェース(UI)の設計、ビジュアルデザインを通じて、使いやすく魅力的なWebサイトを制作します。
<具体的な仕事例>
- 企業サイトやECサイトのデザイン制作
- UI/UX設計(プロトタイプ作成やユーザーテストの実施)
- Adobe XDやFigmaを用いたWebページのモックアップ作成
- HTML/CSSを使ったコーディング業務(兼任する場合)
Webデザイナーは視覚的なデザイン能力だけでなく、フロントエンドの知識も必要とされる職種です。
フリーランスとして案件の幅が広く、個人のセンスが強く反映される職種でもあります。
複数の仕事をしている場合はどう書いたらいい?
最近では、フリーランスエンジニアとして働きながら、アルバイトをしたり、全く別のジャンルで副業する人も増えました。
では、ダブルワークしている場合、職業・業種欄には何を記載するべきなのでしょうか?
ここからは、開業時と確定申告時の2つのケースに分けて、職業業種欄の描き方を解説していきます。
開業時の場合
開業届を提出する際、職業・業種欄には、主たる業務を1つ記載すれば十分です。
開業届では、主に行う事業を税務署に伝えることが目的であり、すべての副業を詳細に記載する必要はありません。
主な職業を1つ記載すれば良い
フリーランスエンジニアとしての収入がメインであれば、主たる業務内容に即した職業名を記載します。
職業名は、具体的で仕事内容が伝わる表現を選びましょう。
例えば、
- 業務システムの開発や要件定義を行っている場合→システムエンジニア
- Webサイトのデザインや制作がメインの場合→Webデザイナー
- アプリケーションやソフトウェアの設計・開発をしている場合→ソフトウェア開発技術者
といった形式で問題ありません。
副業やアルバイトがあったとしても、それらを記載する必要はなく、メインの職業のみを記入すればOKです。
開業届の職業欄の目的は、あくまで事業の概要を簡潔に伝えることなので、あまり細かく書き込む必要はありません。
確定申告書の場合
確定申告書の職業・業種欄は、開業届とは異なり、1年間の実際の収入に基づいた職業名を記載する必要があります。
ただし、ダブルワークといっても、例えば「システムエンジニア業務」と「ソフトウェア開発業務」を兼任している場合は、これらは同じ「情報サービス業」に含まれるため、主たる業務のみを記載すればOKです。
ダブルワークに該当するのは、「エンジニア以外の業務」をしている場合に限られるので注意してください。
すべての職業を記載する
確定申告書では、実際に従事しているすべての職業を記載することが原則です。
複数の職業を行っている場合、職業名をカンマ(または句読点)で区切る形で記載します。
<職業欄の記載方法の例>
- エンジニア業務が主、他にアルバイトがある場合→「システムエンジニア、飲食店勤務」など
- フリーランスとして複数の職業を行っている場合→「システムエンジニア、Webデザイナー」など
- 収入が複数の業務で同程度の場合→「プログラマー、データ解析技術者」など
すべてを記載することで、税務署が正確に業種を把握し、適切な税率や課税対象業種を判断することが可能になります。
記入欄に入り切らない時は省略して記入してもOK
職業欄に収まりきらない場合は、代表的な職業を優先して記載し、詳細は省略しても問題ありません。
- 詳細に記載する場合:「システムエンジニア、Webデザイナー、飲食店勤務」
- 簡略化する場合:「システムエンジニア、飲食店勤務」
このように、主たる業務を優先しつつ、必要であれば補足する形で記載すると良いでしょう。
仮にその後、税務署から質問されたとしてもその旨を説明すれば大丈夫なので、そこまで神経質になる必要はありません。
確定申告の業種によって個人事業税の税率が変わる
ここまで解説してきたように、フリーランスエンジニアの職業・業種欄の書き方にそこまで執着する必要はありません。
しかし、だからといって適当に記入してよいわけではありません。
確定申告時に記載した業種によっては、個人事業税の税率が変わるケースもあるので注意が必要です。
確定申告書は個人事業税の申告書の代わりになる
出典:国税庁
確定申告書には、上記画像のように「事業税に関する事項」を記載する欄があり、これをもとに地方税事務所が個人事業税を計算します。
個人事業税とは、事業を営む個人事業主が地方自治体(都道府県)に納める税金です。
所得税や住民税とは異なり、その年の事業所得に基づいて計算される地方税になります。
そのため、確定申告書を提出すれば、個人事業税の申告書を別途提出する必要はありません。
ただし、年の途中で廃業した場合や、新たに事業を開始したが開業届を提出していない場
合は、例外的に別途申告が必要です。
業種によって個人事業税の税率が異なる
個人事業税は、地方税法で定められた70種類の業種ごとに税率が異なります。
業種は以下の3つの区分に分類され、それぞれに個別の税率が適用される形です。
第1種事業 | 製造業、物品販売業、飲食店業、広告業、運送業、ソフトウェア開発 | 5% |
出版業、旅館業、駐車場業、写真業、広報・宣伝業 | ||
第2種事業 | 畜産業、水産業、薪炭製造業 | 4% |
第3種事業 | 医業、歯科医業、獣医業、弁護士業、デザイン業、コンサルタント業 | 5% |
理容業、美容業、測量業、公証人業 | ||
第3種事業(一部) | あんま・マッサージ、指圧、はり・きゅう、柔道整復、装蹄師業 | 3% |
(参考:個人事業税|東京都主税局)
このように、個人事業税の税率は業種によって異なるので注意しておきましょう。
特にフリーランスエンジニアの場合、事業内容が多岐にわたることが多いため、自身の業種がどの区分に該当するかを確認し、適切な事業種を記載することが重要です。
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まとめ
本記事では、フリーランスエンジニアの「業種名」の記載方法について解説しました。
フリーランスエンジニアという働き方は、柔軟性と自由度が高い一方で、税務や書類作成などの自己管理が求められます。
今回解説した記載方法を基に、正確な情報を記載することは、事業運営の安定や税務署からの信頼につながるでしょう。
この記事を、確定申告書の準備や税務管理の参考資料として活用し、スムーズな事業運営にお役立てください。
「エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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