フリーランスエンジニアにかかる個人事業税はいくら?計算方法や申告方法を詳しく解説!
本記事が、皆様の参考になれば幸いです。
経験がまだ少ない方にもわかりやすく説明するために、初歩的な内容も記載しております。記事も長いので、実務経験豊富な方は、ぜひ目次から関心のある項目を選択してください。
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目次
はじめに
フリーランスとして独立し、順調に収入を伸ばしている方が気にかけておきたいのが「個人事業税」です。名前から判断すると、収入があるフリーランスの多くに関係ありそうですが、IT・Web系のフリーランスであれば個人事業税の対象ではない場合もあります。また、所得によって課税・非課税が異なる場合もあるため、自身が個人事業税の対象であるかしっかり把握しておく必要があります。
本記事では、「個人事業税とは?」「自身は個人事業税の対象者であるのか」という疑問について、フリーランスエンジニアに特化してご紹介します。IT・Web系の案件をこなしているフリーランスの方は、本記事を参考にしてみてください。
個人事業税とは?
個人事業税は、個人事業主がその事業から得た所得に対して課される地方税です。都道府県が課税するもので、事業所得が一定額を超えた場合に個人事業税の納税義務が生じます。
ここでは、個人事業税の対象となる所得金額や税率、フリーランスエンジニアで個人事業税の対象とならない場合について紹介します。
事業所得が290万円超えなければ支払いは不要
個人事業税が課税されるのは、所得が290万円を超える場合です。290万円以下の場合は、個人事業税の支払い義務はありません。なお、所得とは、事業所得や不動産所得を含む1年間(1月1日から12月31日まで)の総所得を指し、所得税の確定申告書または青色申告決算書に記載されている所得金額欄から算出されます。
個人事業税は所得の金額に応じて計算されるため、事業所得が増えれば増えるほど納める税額も増加します。
個人事業税の計算方法は、事業所得に対して一定の税率を乗じて算出されます。税率は都道府県ごとに異なることがあり、事業の種類や規模によっても差異が生じることがあります。また、所得控除や必要経費の計算によって事業所得が定義されるため、正確な税額を知るにはこれらの要素を正確に計算する必要があります。
個人事業主として税金の申告や納税を行う際は、事業所得の正確な計算と税金の知識が重要となります。不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談することも一つの方法です。
税率は事業ごとに異なる
個人事業税の税率は、課税される所得の金額に応じて3%から5%の範囲で設定されており、業種や居住する都道府県によって多少異なることがあります。
自身が事業を行っている都道府県の具体的な税率については、地方自治体の公式ウェブサイト等で確認しておくと安心です。どの都道府県でも事業の種類に対する個人事業税の税率は似ているものの、お住まいの地域の公式HPで正確な情報を把握しておきましょう。
なお、東京都の個人事業税の税率については、以下の通りです。
事業区分と 個人事業税の税率 |
事業の種類 | |||
第1種事業 (個人事業税5%) |
物品販売業 | 運送取扱業 | 料理店業 | 遊覧所業 |
保険業 | 船舶定係場業 | 飲食店業 | 商品取引業 | |
金銭貸付業 | 倉庫業 | 周旋業 | 不動産売買業 | |
物品貸付業 | 駐車場業 | 代理業 | 広告業 | |
不動産貸付業 | 請負業 | 仲立業 | 興信所業 | |
製造業 | 印刷業 | 問屋業 | 案内業 | |
電気供給業 | 出版業 | 両替業 | 冠婚葬祭業 | |
土石採取業 | 写真業 | 公衆浴場業 (むし風呂等) |
電気通信事業 | |
席貸業 | 演劇興行業 | 運送業 | 旅館業 | |
遊技場業 | ー | ー | ー | |
第2種事業 (個人事業税4%) |
畜産業 | 水産業 | 薪炭製造業 | ー |
第3種事業 (個人事業税5%) |
医業 | 公証人業 | 設計監督者業 | 公衆浴場業(銭湯) |
歯科医業 | 弁理士業 | 不動産鑑定業 | 歯科衛生士業 | |
薬剤師業 | 税理士業 | デザイン業 | 歯科技工士業 | |
獣医業 | 公認会計士業 | 諸芸師匠業 | 測量士業 | |
弁護士業 | 計理士業 | 理容業 | 土地家屋調査士業 | |
司法書士業 | 社会保険労務士業 | 美容業 | 海事代理士業 | |
行政書士業 | コンサルタント業 | クリーニング業 | 印刷製版業 | |
第3種事業 (個人事業税3%) |
あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復 その他の医業に類する事業 |
装蹄師業 |
フリーランスエンジニアに絞ると、上記の中で該当する可能性が高いのが「デザイン業」「広告業」「コンサルタント業」「製造業」「請負業」です。
フリーランスエンジニアが関わる可能性のある業種において、個人事業税の税率は主に5%とされています。
例えば、ソフトウェアの開発やデジタルコンテンツの製造を行う場合、製造業や請負業として分類され、5%の税率が適用されることが一般的です。一方で、コンサルティングサービスを提供する場合はコンサルタント業として分類され、同じく5%の税率が適用されます。
個人事業税の対象になる人
個人事業税の対象者は、主に高所得を得ている人の中でも都道府県が定める業種に該当する方です。また、契約条件によっても個人事業税の対象になる場合があるため、注意しましょう。
ここでは、個人事業税の対象になる人の特徴について、詳しく解説します。
事業所得が290万円を超えている人
個人事業税では所得から290万円の控除を受けられるため、事業所得から経費などを差し引いた所得額290万円未満の方は、個人事業税の対象者ではありません。
所得が290万円を超える場合、超えた部分に対してのみ個人事業税が課税されます。290万円が所得から控除されるという制度は、小規模事業者の経済的負担を軽減し、事業活動を支援する目的で設けられています。
なお、先述した通り、事業所得から経費を差し引いた所得額が対象となるため、事業所得が290万円を超えていても、経費等を差し引いて290万円以内におさまった場合は、課税対象にはなりません。
個人事業税の税率は事業内容に応じて異なり、所得の金額と事業の種類、居住地の都道府県によって定められています。税率は一般的に3%から5%の範囲で、具体的な税率は各自治体の条例によって規定されています。
個人事業税を納める際は、前年の所得に基づいて計算されます。そのため、毎年の所得の変動に応じて納税額が変わることになります。納税義務がある事業主の方は、年度末に向けて事業所得と必要経費を正確に計算し、確定申告を通じて個人事業税の申告と納税を行う必要があります。
法律で定められた業種に該当している人
個人事業税は、個人事業主がその事業から得た所得に対して課される地方税です。この税金の対象となるのは、法律で定められた特定の業種に該当する事業主です。個人事業税の該当業種には、製造業や小売業、サービス業など、ほぼ全てが含まれます。
業種ごとに個人事業税の税率が異なるのは、事業の性質や経済への影響、地方自治体の財政需要などを考慮しているからです。
地方自治体によって税率が設定されるため、地域によっても税率に違いが見られます。各自治体はその地域の経済状況や財政状態、事業活動の特性を考慮して個人事業税の税率を定めており、事業主は自身の事業の所在地に応じた税率で税金を納めることになります。
つまり、個人事業税は、地方自治体が地域の経済を維持するために重要な役割を担っています。課税対象の事業主が事業所得に応じて適切に税金を納めることで、地域社会の発展に貢献できます。
エンジニアは対象外の可能性がある
システムエンジニアのようなIT関連の専門家が「業務委託契約」や「準委任契約」に基づいて仕事を行う場合、通常、時間に対する報酬が支払われるため、個人事業税の課税対象業種には含まれません。なぜならば、「サービス提供」と見なされるからであり、具体的な製品や成果物の製造には該当しないとされるためです。
しかし、ソフトウェアの開発や特定のプロジェクトの完遂など、契約内容が具体的な成果物の提出を求める場合、エンジニアの業務が「請負業」や「製造業」、あるいはコンサルタント業として解釈されることがあります。「請負業」「製造業」の場合、業務によって得た所得が個人事業税の課税対象となる可能性が高くなります。
つまり、エンジニアの業務内容が単なる時間の提供ではなく、明確な成果物や成果の達成に重点を置いている場合には、税の対象となることがあります。
自分が個人事業税の対象になるかどうか不明な場合、居住する都道府県または市町村の税務課に連絡して、個人事業税に関する情報を直接確認しておきましょう。
Webデザイナーは課税対象の可能性が高い
一般的にWebデザイナーは、法定業種に含まれる「デザイナー」として認識されるため、個人事業税の課税対象となります。デザイナーは、クライアントの要望に基づいてオリジナルのデザインを制作し、納品する業務として分類されるからです。そのため、Webデザイナー業務は単に時間に対する報酬ではなく、具体的な成果に基づく報酬を受け取る性質が強いと見なされます。
ただし、契約の内容によっては状況が異なる場合があります。例えば、Webデザイナーが業務委託や準委任契約のもとで働いていても、クライアントからの具体的な指示に沿って手直しや調整を主とする作業を行う場合、時間給としての報酬の意味合いが強いとみなされ、個人事業税の対象外となることもあります。
つまり、Webデザイナーは契約内容や実際の業務内容にもよるものの、個人事業税の対象である可能性が高い傾向にあります。
Webライター・アフィリエイターは対象外
Webライターやアフィリエイターは、個人事業税の対象ではありません。
Webライターの業務は「文筆業」と分類されます。文筆業は、原稿や記事の作成、内容の企画立案などを行い、情報を提供するサービスを指します。文筆業は、法律で定められた個人事業税の課税対象業種には含まれていないため、Webライターとしての活動から得た所得には、原則として個人事業税が課されません。
また、アフィリエイターの場合、活動内容が「広告業」に分類されるのか気になるものの、結論として個人事業税の課税対象には該当しません。
一般的に「広告業」は個人事業税の課税対象ですが、広告業とは、広告に関する企画やマーケティング戦略を立案し、広告主に対して総合的なサービスを提供する業者を指します。
一方、アフィリエイターは、自らのウェブサイトやブログを通じて広告主の商品やサービスを紹介し、成果報酬を得る活動を行います。この活動は、広告業の事業内容には入らず、広告主から独立した個々のプロモーション活動に近いため、非課税業種に該当します。
つまり、Webライターやアフィリエイターは、それぞれ文筆業と個々のプロモーション活動としての特性から、個人事業税の非課税対象です。ただし、具体的な業務内容や収入の性質によって異なる場合があるため、不明な点は税務専門家に相談してみましょう。
会社員でも個人事業税がかかる場合がある
個人事業税は、一般的には個人事業主に課される税金ですが、副業を行っている会社員もこの税金の対象になることがあります。特に副業として独立した事業活動をしている場合、事業所得が発生し、それが税務当局によって個人事業税の対象と見なされる可能性があります。
例として、会社員であるAさんが週末や夜間にフリーランスのWebデザイナーとして活動している場合を挙げます。Aさんは、会社の仕事以外にクライアントからの依頼でウェブサイトのデザインや更新作業を請け負っています。この活動から得た年間の所得が290万円を超えた場合、Aさんは個人事業税の対象となります。
この場合、Aさんは開業届を提出していなくても、所得税の確定申告を行う際に副業からの所得を申告します。税務署はAさんが提出した申告内容をもとに、所得の性質を評価し、事業所得であることが判明すれば、都道府県税事務所に通知されます。その結果、Aさんの副業所得に対して個人事業税が課されることになります。
なお、個人事業税の計算は、所得から基本控除額(290万円)を差し引いた金額に対して適用される税率(地域によって異なる)を乗じて求められます。Aさんが居住する地域において「デザイナー」の税率が5%だとすると、所得が400万円だった場合、課税対象所得は(400万円 – 290万円 = 110万円)になり、その5%にあたる55,000円が個人事業税として課されます。
つまり、会社員でも副業からの所得が一定額を超えると個人事業税の対象となるため、副業で得た収入には注意が必要です。副業で事業所得が発生している場合は、必要な経費を正しく申告し、実際の純利益に対して適切に税金が計算されるようにしましょう。
個人事業税の納税額の計算方法
個人事業税を算出するには、所得から290万円の控除を受けられる点や、業種によって税率が異なる点を押さえておくと便利です。
ここでは、個人事業税の納税額を算出するための計算式や、個人事業税の減免措置を受けられる対象者について紹介します。
納税額を算出する計算式
個人事業税の納税額は、事業主の前年の所得を基に計算されます。所得とは、事業所得と不動産所得を含む1年間(1月1日から12月31日)の総所得から算出され、所得税の確定申告書や青色申告決算書の所得金額欄に記載されている金額を用います。この金額から各種の控除を差し引いた後に、事業主控除として290万円を控除します。
具体的な納税額の計算式は以下の通りです。
個人事業税=(所得 ー 各種控除 ー 290万円)× 税率
ここで「所得」は収入から必要経費を差し引いた額を指します。また、雑所得も課税対象となる場合があるため、その点も注意が必要です。所得が290万円を超えそうな方は、上記の計算式によって、納めるべき個人事業税の金額を予想できます。
個人事業税が減免になる場合
個人事業税が減免になる場合は、都道府県によって異なりますが、主に以下の場合は減免措置を受けられる可能性があります。
- 所有資産が災害等によって損失を受けた場合
- 生活保護法により生活扶助等を受けている方
- 納税者や扶養親族等が障害者の場合
- 高額な医療費を支払った場合
なお、減免される割合や金額についても、都道府県によって異なります。気になる方は、お住まいの都道府県の役所に問い合わせてみましょう。
個人事業税の申告方法
個人事業税は経費にできる
個人事業税は、事業運営に必要な経費として計上することができます。これにより、事業主は事業にかかる実質的なコストを適切に管理し、税負担を正確に把握することが可能になります。個人事業税を会計帳簿に記録する際には「租税公課」という勘定項目を使用し、支払った税金を正しく反映させます。
たとえば、個人事業税として105,000円を支払った場合、会計の仕訳は次のようになります。借方には「租税公課」に105,000円を記入し、貸方には支払いに使用した「普通預金」から105,000円を記録します。この際、支払った日付や詳細な金額を確実に記録し、領収書や銀行の取引記録との整合性を保つことが重要です。
経費計上の際には、支払いを行った年度内に処理を行うことが望ましく、これによりその年度の利益計算に正確に反映させることができます。個人事業税を適切に経費として計上することは、ただ税務上の適正さを保つだけでなく、事業の財務状況を正確に把握し、健全な事業運営に寄与します。
勘定科目は租税公課
「租税公課(そぜいこうか)」とは、国や地方自治体などの公的機関に支払うべき税金や料金の総称です。租税公課には本記事で触れている個人事業税をはじめ、所得税や法人税、消費税などの一般的な税金や、固定資産税、印紙税などが含まれます。
会計では、租税公課の支払いを「経費」として処理できます。つまり、事業活動に必要な費用として計上し、会社や事業の利益から差し引くことで、実際にどれだけの収入があったのか、そしてその収入に対してどれだけの税金や公的費用がかかったのかが明確になります。
個人事業税の納付期限と納付方法
個人事業税の納付期限
個人事業税の納付期限は、一般的には第1期が毎年8月、第2期が10月〜11月です。個人事業税は前年度の所得に基づいて課税されるため、納税者はこの期間内に前年の所得に基づく税金を支払う必要があります。
なお、納付書の発送は一般的に納付月の初旬に行われ、都道府県によってはどちらか一方の納付月にまとめて発送されます。
地方によっては納付期限が異なる場合や、一括納付を設定できる場合もあるため、具体的な納付期限や納付方法については、事業主が居住する都道府県や市町村の税務課などに直接確認するのが最良です。
個人事業税の納付方法
個人事業税の納付方法は、居住する都道府県や市町村によって異なります。
納付する際には、納税証明書の発行を受けられる場合が多いので、納税が完了した証として保管しておきましょう。
また、納付期限を過ぎてしまうと延滞金が発生する可能性があるため、期限内の納付が重要です。各自治体のウェブサイトや税務課にて、具体的な納付方法や必要な手続きについての詳細を確認してください。
銀行振込
銀行振込は最も一般的な納付方法の一つで、納付書に記載された指定の銀行口座に、個人事業税の金額を振り込みます。
コンビニエンスストアでの支払い
多くの自治体では、コンビニエンスストアで税金を納付できるシステムを導入しています。納付書に記載されたバーコードを、コンビニのレジでスキャンすることで支払い手続きができます。なお、コンビニ払いは現金に限られるため、注意しましょう。
クレジットカードによる支払い
インターネットを通じて、クレジットカードで個人事業税を納付する方法も広がりを見せています。
なお、全ての自治体がクレジットカードでの支払いを受け付けているわけではありません。国税と異なり、個人事業税は都道府県が管理しているため、対応しているかどうかは各自治体によって異なります。
また、クレジットカードで支払いする場合は、手数料が発生する点や、納税できる金額や対応しているクレジットカードの種類に制限がある点にも注意しましょう。
口座振替
口座振替とは、銀行口座から直接税金が引き落とされる方法です。事前に自治体へ口座振替の登録をしておく必要がありますが、納付期限日に自動で納税が行われるため、忘れる心配がありません。
例えば楽天銀行で個人事業税を口座振替する場合、納付日の前月10日までに申し込みを済ませておく必要があります。
口座振替を検討している方は、振替予定銀行のホームページを見ながら、手続きできる期限や手続き方法についてあらかじめ把握しておきましょう。
個人事業税を節税する方法
フリーランスが個人事業税を節税するためにはいくつかの方法があります。中でも、青色申告の適用を受けることが非常に効果的です。
青色申告は、複式簿記に基づく帳簿の記録と決算書の作成が必要であるものの、受けられる税制上の優遇は大きく、具体的には65万円の特別控除が所得から直接差し引かれるため、税負担を大幅に軽減できます。
青色申告を選択する最大のメリットは、青色申告特別控除の65万円を利用できる点です。所得から直接65万円分を差し引くことができるため、税負担が大きく減少します。また、赤字が発生した場合にその損失を翌年以降に繰り越して利益を相殺できる「損失繰越」も適用可能です。
また、小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入することも、節税対策として効果的です。加入することで、支払った掛金が所得控除の対象となり、納税額が減少します。特にiDeCoは、将来の退職金としての積立も兼ねているため、節税と将来の資金形成の両方のメリットを受けられます。
なお、日々の帳簿付けでは、事業に関連する経費を可能な限り適正に計上することが重要です。交通費や通信費、消耗品費など、事業運営に必要な費用はすべて経費として記録し、所得を減らすことができます。また、自宅を事務所として使用している場合は、その使用部分に応じた家賃や光熱費も事業経費として計上できます。
つまり、青色申告をはじめとするこれらの節税対策を利用することで、効果的に税負担を減らすことができます。税務の知識をしっかりと身につけるか、専門家のアドバイスを受けながら効率的に節税しましょう。
フリーランスエンジニアが支払うその他の税金は?
フリーランスとして活躍する方は、個人事業税の他にもさまざまな納税義務が発生します。
ここでは、フリーランスエンジニアの方が支払う税金について、計算方法や注意点なども含めて解説します。
所得税
フリーランスエンジニアとして活動する場合、個人事業税の他にも複数の税金が課されますが、中でも重要なのが所得税です。所得税はフリーランスとして得た収入に対して課される国税で、年間の収入から必要経費を差し引いた純利益に基づいて計算されます。
所得税の計算方法
所得税の計算は、まず総収入から業務に必要な経費を差し引き、「事業所得」として計算します。ここからさらに各種控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)を適用することで、課税所得が求められます。課税所得に対して適用される税率は、累進課税制度によって異なり、所得が多いほど高い税率が適用されます。
確定申告と納税
フリーランスエンジニアは、毎年2月16日から3月15日までの間に前年分の所得について確定申告を行い、所得税を納付する必要があります。申告は、国税庁のe-Taxシステムや最寄りの税務署で行えます。
予定納税
予定納税は、前年の所得税額が一定額(通常は15万円)を超えると見込まれる納税者が、所得税を事前に分割して納付する制度です。予定納税の目的は、確定申告時に一括で大きな税金を支払う負担を軽減することにあります。
予定納税の対象となる場合、税務署から予定納税の通知が送られてきます。この通知は通常、その年の6月中旬に届けられ、納税者は指示された額を納付します。予定納税額は前年の所得税額を基に計算され、通常はその2/3が初回の予定納税額として設定されます。ただし、前年に分離課税所得や外国税額控除など特定の条件が影響する場合は、予定納税額の計算基準が変更されることがあります。
納付は主に二期に分けて行われ、第1期は7月1日から7月31日まで、第2期は11月1日から11月30日までです。納税者はこの期間内に指定された方法で税金を納付します。
住民税
フリーランスエンジニアとして活動する際には、所得税や個人事業税のほかにも住民税の支払いが必要です。住民税は地方税の一種で、居住している自治体に対して支払われます。この税金は、市民税と県民税から構成され、フリーランスの収入に応じて計算されます。
住民税の計算方法
住民税は、前年の所得を基に計算されます。所得税の確定申告を行ったデータが基になり、所得から各種控除(基礎控除、社会保険料控除など)を差し引いた課税所得に対して一定の税率が適用されます。
住民税の税率は一般的に10%前後で、具体的な税率は自治体によって異なる場合があります。
住民税の納付方法
住民税は、一般的には毎年6月から翌年の5月までの12ヶ月間で分割して納付されます。フリーランスの場合、所得が不定期なため、前年の所得に基づいて計算された住民税を翌年度に分割して支払うことになります。納税方法としては、口座振替や納付書による直接納付が一般的ですが、クレジットカード払いやスマホアプリから納税できる自治体も増えています。
住民税の特別徴収と普通徴収
サラリーマンの場合、住民税は給与からの特別徴収として自動的に天引きされますが、フリーランスの場合は普通徴収となります。普通徴収では、納税者が自ら納付書を用いて納税するか、口座振替で納税する必要があります。
消費税
フリーランスエンジニアとして活動している場合、消費税の取り扱いについて理解しておくことは重要です。2023年から導入されるインボイス制度により、課税事業者の要件が変更され、フリーランスも消費税の課税対象となる可能性が高まっています。
消費税の基礎知識
消費税は、提供した商品やサービスに対して加算される税金で、最終的に消費者が負担します。フリーランスが業務で発生した売上に対しても、消費税を適切に計算し、国へ納税する必要があります。
課税売上高と消費税
フリーランスの場合、年間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。開業から2年間は免税の対象となる場合が多いですが、その後は売上に応じて消費税を納付する必要があります。
インボイス制度とは
2023年のインボイス制度導入により、「適格請求書発行事業者」に登録する必要が出てきます。インボイス制度では、課税事業者だけが消費税の控除を受けられるため、フリーランスも対応が求められます。なお、事業者は取引ごとに適切な請求書を発行し、その記録を保持する必要があります。
消費税の計算
消費税の計算方法には一般課税と簡易課税の2つの方式があります。多くのフリーランスの方は簡易課税制度を選択することが多く、売上から一定の率を使って消費税額を計算し、納税します。納税のタイミングは年に一度、確定申告時に行い、売上が高額の場合は中間申告も必要になる場合があります。
注意点
消費税の納付を怠ると延滞税が発生するため、期限内の正確な納税が必要です。また、インボイス制度への適応には事前の準備が必要であり、適格請求書発行事業者としての登録や、取引の記録管理が求められます。
フリーランスエンジニアとして消費税に関わる適切な知識と準備を行うことで、税務上の問題を避け、円滑な事業運営が可能です。
まとめ
今回の記事では、「フリーランスエンジニアには個人事業税がかかるのか」「個人事業税の算出方法や申告方法はどのようにするのか」などについて紹介してきました。フリーランスとして独立し、自分のキャリアを築く中で、個人事業税をはじめとする税への理解は避けて通れません。
個人事業税についておさらいすると、事業所得に応じて変動する地方税であり、事業の種類や所得の大きさによって異なる税率が適用されるため、自分がどの業種に該当し、どれくらいの税額が課せられるのかを把握することが重要です。290万円の基本控除がある点を踏まえた上で、税務計画を立てましょう。
所得が290万円を下回る場合は、個人事業税の支払い義務は免除される一方で、所得が超えると支払い義務が発生します。年間を通じて収入と支出をしっかり管理し、事業所得を正確に把握することが、予期しない税金負担を避ける鍵となります。
フリーランスとして成功するためには、ただ技術を磨くだけではなく、税務知識も同じくらい重要です。適切な税務対策と計画を行うことで、予期せぬ負担から自己の資源を保護し、事業をさらに発展させるための再投資につなげることができます。不明点や複雑な問題に直面した場合は、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。
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