フリーランスエンジニアが失敗しない案件選び:契約書・条件交渉の注意点

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目次
はじめに
フリーランスエンジニアとして活動するうえで、案件の選び方ひとつでキャリアや収入、働きやすさが大きく変わってきます。案件を獲得する段階ではどうしても報酬や技術スタックに注目しがちですが、契約書の条文や条件交渉を軽視すると、後になってトラブルに巻き込まれたり十分な報酬が得られなかったりするリスクが高まります。この記事では、案件選びの際に気を付けたいポイントや、契約書をチェックするコツ、交渉をスムーズに進めるための具体的なアドバイスをまとめます。自分のスキルと希望に合った案件を安全かつ有利に進めるための基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
案件選びで失敗しないための基礎
条件だけでなく「相性」も重要
スキルセットと案件内容の整合性
フリーランスエンジニアが案件を探す際、報酬金額や募集要件(言語、フレームワーク、稼働日数など)だけに注目してしまいがちです。しかし、案件で求められるスキルセットと自分の得意領域が合っていないと、たとえ最初は勢いで契約しても、後々になってアウトプットが出しづらかったり、学習コストが大きかったりして苦労する可能性があります。自分の持つスキルや興味を活かせるプロジェクトかどうかをまずしっかり見極めましょう。
一方で、新しい技術領域を学ぶ絶好の機会にもなるため、成長を見込んであえてチャレンジングな案件を選ぶ戦略もあり得ます。ただし、この場合も「クライアントが期待しているスキルレベル」と「自分の現時点での実力」に大きなギャップがあると、成果を出せずに信頼を損ねるリスクがあるので注意が必要です。
チームや文化との相性
フリーランスの働き方は単独プレイに思われがちですが、案件によっては大規模チームに参画して共同開発を行うこともあります。あるいはスタートアップなど、チーム規模は小さいがコミュニケーションが密で、アジャイルに近い働き方を求められるケースも多いです。どちらの文化が自分に合っているのか、どうすればパフォーマンスを最大限発揮できるかを考えることが案件選びでは大切です。
コミュニケーションが苦手な方は、リモート主体でコミットメントを柔軟に行える案件を選ぶとよいでしょう。逆にオフィスに足を運んでチームメンバーと頻繁にやりとりしながら働く方が得意というエンジニアもいます。いずれにせよ、案件選びの初期段階で「クライアントやチームの働き方・文化」を把握しておくことで、後のミスマッチを防げます。
報酬モデルと契約形態を理解する
時間単価制(準委任)か成果報酬型(請負)か
フリーランスエンジニアの契約形態として、よくあるのが「準委任契約」(時間単価制)と「請負契約」の2種類です。準委任契約は、稼働時間に応じて報酬が支払われる形で、たとえば週3日コミット×月12日で○万円、という決まり方が典型的です。一方、請負契約は成果物の完成や納品によって報酬が確定するため、納期や品質要件を明確にする必要があり、要件変更などのリスクをエンジニア側が大きく負う可能性があります。
両者の違いを理解したうえで、自分がどちらを好むか考えるのが大切です。安定収入を求めるなら準委任が向いており、成果物ベースで高額報酬を狙うなら請負が適している場合もあります。また、プロジェクトの進行方法やコミュニケーション手段によって契約形態と実態が合わないケースがあるため、事前に「どこまでエンジニアが責任を持つのか」を確認する必要があります。
固定報酬と変動報酬
準委任契約の場合は固定の時間単価が多いですが、企業によっては成果に応じて変動報酬(ボーナス的なもの)を用意していることもあります。売上に貢献したり、特定のKPI(レイテンシ削減率など)を達成した場合に追加報酬があるケースです。一見魅力的ですが、成果指標が不明瞭だとエンジニアが評価を得にくいという問題もあります。事前に契約書で評価方法や成果指標を明確化しておくと安心です。
契約書チェックのポイント
法的リスクと報酬
見積もりと実際の費用
請負契約の場合、「契約時に出した見積もり以上の報酬を請求できない」可能性が高いです。もし要件変更やスコープ拡大があった場合に追加費用を請求したいなら、契約書や仕様書でその条件を明文化する必要があります。契約書に「要件変更時には別途見積もりを行い、クライアントと合意した上で工数追加を行う」などの文言があるかどうかを必ず確認しましょう。
また、成果物の受け渡しや検収(クライアントが納品を正式に受け入れる手続き)など、納品プロセスが複雑になるほどトラブルも起きやすくなります。どの時点で検収完了とみなすのか、検収不合格の場合にはどう対応するのかなど、細かい条文が曖昧だとエンジニアが不当に長時間コミットさせられかねません。
支払いサイトと遅延
契約書で支払いサイト(例:月末締め翌月末払いなど)がどう定義されているかも非常に重要です。遅延した場合に利息が発生するかどうか、支払いが滞った場合の対処(契約解除や法的措置)をどうするかも書かれていることがあります。フリーランスエンジニアとしては、キャッシュフローが急に悪化しないように、支払いサイトを確認したうえで複数の案件を組み合わせるなどの対策を取ることが賢明です。
知的財産権と守秘義務
ソースコードの著作権
フリーランスエンジニアが開発したソースコードの著作権は基本的には制作者であるエンジニアに帰属するものの、契約書で「納品物の著作権はクライアントに譲渡する」という条文が含まれる例も珍しくありません。どこまで権利を譲渡し、どの部分をエンジニアが再利用して良いのかをしっかり確認しないと、後に別プロジェクトで同じコードを使った際に契約違反とされるリスクが出ます。
特にライブラリやフレームワーク的なコードを使い回す場合は、契約書で明文化するか、OSSライセンスを活用するなどルールを決めておく必要があります。フリーランスの立場で交渉するのは難しい場合もありますが、権利関係のリスクを認識しないまま契約するのは避けるべきです。
NDA(秘密保持契約)と競業避止
多くのITプロジェクトでNDA(非開示契約)が結ばれ、クライアントが開示した情報を外部に漏らさない義務をフリーランスが負います。また、競業避止義務といって「同じ業界の競合他社には一定期間サービスを提供しない」などの条項がある場合もあります。このような条文が厳格すぎると、他の案件を受けにくくなり、収入源の確保が難しくなる可能性があるので要注意です。
条件交渉のコツ
報酬設定と単価アップ
スキルセットを数値化して提示
クライアントと初回面談や交渉を行う際、自分のスキルや実績を客観的な形で示すのが有効です。例えばプログラミング経験年数や過去のプロジェクト規模、実装した機能の具体例などを整理し、単価に見合うだけの価値を説明できれば、クライアントは納得しやすくなります。フリーランスの場合、企業内エンジニアと異なり「即戦力」を期待されるため、これまでの経験を数字や成果としてまとめることが大切です。
時間単価と出来高のバランス
準委任契約なら時間単価を提示して交渉するのが基本ですが、案件によっては「主要機能ごとにマイルストーンを設けて払い出しを行う」という折衷的な方法もあります。短期で集中して開発が終わる部分と、長期で保守が必要な部分とを分けて契約することも検討対象になるでしょう。クライアントが大きなリスクを取りたくない一方でエンジニア側は安定収入を確保したいというニーズを調整するのが交渉の本質です。
スケジュールと稼働日数
週3勤務など柔軟な働き方の提案
近年、フリーランスエンジニアが週3勤務や週4勤務を希望しているケースも多いですが、クライアントにとっては「フルタイムでコミットしてほしい」と考えることが依然として多いです。そのため交渉の際には、週3勤務でも案件の最重要部分には時間を集中して対応し、緊急対応も可能であることをアピールすると良いでしょう。
また、他の案件との掛け持ちを考えているならば、クライアントとのミーティングや連絡のタイミングを確保する具体的スケジュールを提示すると、安心感を与えやすいです。たとえば「月曜・火曜は別案件に集中し、水木金は本案件にフルコミット」という形で決定し、リモート会議の日程を調整するなどが考えられます。
遅延や追加要件への備え
スケジュール通りに進まない可能性は常にあるため、契約書に「要件変更やスケジュール延長が発生した場合の扱い」を明確にしておく必要があります。特に請負契約だと要件追加のたびに修正契約を結ぶのか、あるいは追加費用なしで対応するのか、事前に決めておかないと後でトラブルになりがちです。フリーランスエンジニアがスケジュール管理を自主的に行い、進捗を可視化しながら遅延リスクを早期に伝える姿勢を見せることもクライアントの信頼を得るコツとなります。
トラブル回避の具体策
過去事例から学ぶ
契約書不備で追加作業が無報酬に
あるフリーランスエンジニアが請負契約でウェブサービスの立ち上げを請け負い、途中で大幅な要件変更が入ったにもかかわらず契約書に「追加要件は別途費用を請求する」と明確に書かれていなかったため、クライアントから「最初の見積もりに含まれているものだと思っていた」と主張され無報酬で作業せざるを得なかったという事例があります。
こうしたトラブルは契約段階で条文を詰めていれば回避できるため、要件の曖昧さを残さないようにすること、追加要件への対処を明文化することが重要です。
機密情報管理が不十分で信用失墜
NDAで厳格な守秘義務が課されていたにもかかわらず、フリーランスエンジニアが自分のブログやSNSで開発中の画面キャプチャを軽い気持ちで公開してしまい、機密が漏れる形になったという事例も見受けられます。結果として契約解除や損害賠償の問題に発展する恐れもあり、一度信用を失うと業界内で評判を落とすリスクも大きいです。
秘密保持の範囲や情報の取り扱い方法を十分に理解し、公開する前にクライアントの承諾を得ることが不可欠です。何気ないSNS投稿でも、スクリーンショットやソースコードの一部に機密情報が含まれていないか常に注意しましょう。
リスク分散とバックアッププラン
契約の複数同時進行
フリーランスエンジニアにとって、1社に依存しすぎると、その案件が突然キャンセルになった場合に収入が激減するリスクがあります。理想的には複数の小〜中規模案件を並行して持つか、週3日勤務の案件を2つ組み合わせるなどしてリスクを分散する戦略が重要です。ただし、複数案件を持つほどスケジュール管理が難しくなるため、自身のキャパシティを超えないように計画を立てる必要があります。
契約期限と更新時期
契約書には通常、契約期間や更新手続きに関する条項があります。どのタイミングで更新を打診するのか、通知期間はどのくらいか、更新時に単価交渉は可能かなどを把握しておくことで、計画的に他の案件獲得活動を進められます。更新直前になってクライアントから「来月で契約終了」と言われて慌てることがないよう、定期的にクライアントとコミュニケーションを取り、契約更新の意思を確認しておくと安心です。
まとめ
フリーランスエンジニアが案件を選び、契約書を交わし、条件交渉を行う過程には多くの落とし穴があります。報酬や勤務形態だけでなく、契約書の条文やセキュリティ、納品や検収の方法、機密保持などさまざまな要素を総合的に確認しないと後々のトラブルに繋がりかねません。
一方、しっかりとリスクを把握しながら契約段階で必要な交渉を行い、自分の専門スキルや働き方を明確にアピールできれば、週3日勤務や複数案件の掛け持ちなど柔軟なライフスタイルで高収入を実現することも可能です。最終的にはクライアントに大きな価値を提供しつつ、自身のキャリアと生活を豊かにするためにも、契約書・条件交渉の知識をしっかり身につけていきましょう。
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この記事を書いた人

海外、コスメが好きな東北人。2015年に世界一周一人旅をしたアクティブ女子。 コスメECの運営業務に従事後、独立し。現在は、取材を中心にフリーランスWEBライターとして活動中。
この記事を監修した人

大学在学中、FinTech領域、恋愛系マッチングサービス運営会社でインターンを実施。その後、人材会社でのインターンを経て、 インターン先の人材会社にマーケティング、メディア事業の採用枠として新卒入社し、オウンドメディアの立ち上げ業務に携わる。独立後、 フリーランスとしてマーケティング、SEO、メディア運営業務を行っている。