データガバナンスとは?概要・手順・役立つフレームワークを紹介
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目次
はじめに
「データガバナンスってなんか難しそう」「データガバナンスのフレームワークは何か無い?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
データガバナンスとは、企業や組織がデータを効果的に管理・活用するための方針やルールを設定するプロセスです。
最近では、データの重要性が高まるとともに、データガバナンスがビジネス戦略においても重要視されています。
この記事では、データガバナンスの基本的な概念から、具体的な手順、役立つフレームワークまで、幅広く解説します。
読むことで、データガバナンスの理解が深まり、実際のビジネスやプロジェクトに活かせる知識が身につきます。
データガバナンスについて効率よく学びたい方は、ぜひ最後までお読みください。
<この記事を読むとわかること>
- データガバナンスの基本的な概念とその重要性
- データガバナンスを成功させるための具体的な手順
- データガバナンスに役立つ主要なフレームワーク
- データガバナンス関連の用語とその意味
データガバナンスとは?概要を紹介
データガバナンスは、企業や組織がデータを効率的かつ安全に管理するためのフレームワークや方針を指します。
ここではまず、DMBOK(Data Management Body of Knowledge)というデータマネジメントのガイドラインを用いて、データガバナンスの基本的な概念や重要性について詳しく解説します。
DMBOKで分類する11の知識領域の紹介
データガバナンスにおいて、DMBOK(Data Management Body of Knowledge)は非常に重要なガイドラインです。
DMBOKは11の知識領域にデータマネジメントを分類し、それぞれに対するベストプラクティスとガイドラインを提供しています。
<DMBOKの11の知識領域>
知識領域 | 主な焦点 |
データ品質 | データの正確性、一貫性、信頼性 |
データセキュリティ | データの保護とプライバシーの確保 |
データアーキテクチャ | データ構造とデータフローの設計 |
データモデリング | データの概念的、物理的なモデル作成 |
データ運用 | データの取得、保管、配信 |
データメンテナンス | データの更新、クリーニング |
データ統合 | 異なるソースからのデータの統合 |
データウェアハウジング | データの集約、分析用に整理 |
データビジネスインテリジェンス | データからの洞察と意思決定のサポート |
データコンプライアンス | 法的・規制上の要件への対応 |
データプライバシー | 個人情報の保護と適切な使用 |
これらの領域は、データガバナンスの成功に不可欠な要素とされ、組織がデータを効果的に管理するための基盤を形成します。
DMBOKを理解することで、組織はデータの価値を最大化し、リスクを最小化する戦略を策定できるのです。
DMBOKを元にしたデータガバナンスの概要
DMBOKガイドラインに基づくデータガバナンスは、組織全体でのデータの効率的な管理と活用を目的としています。
11の知識領域が提供する多角的な視点は、データの品質向上、セキュリティ強化、そしてビジネス価値の最大化に貢献できるのです。
例えば、データ品質とデータセキュリティの領域を適切に管理することで、顧客データの信頼性が高まります。
また、データアーキテクチャとデータモデリングの領域は、データの効率的なストレージとアクセスを可能にし、ビジネスインテリジェンス活動を強化します。
DMBOKに基づいたアプローチは、データ戦略の策定から実行、維持に至るまでの一連のプロセスを包括的にサポートしているのが特徴です。
データガバナンスが重要と謳われる背景
データガバナンスの重要性は、ビジネス、テクノロジー、法的側面から多角的に高まっています。
ここでは、そんなデータガバナンスが重要と叫ばれる背景について深掘りします。
ビジネスにおけるデータの重要性が格段に上がっている
ビジネス環境は急速に変化しており、データ活用の重要性も新たな次元に達しています。
データは単なる情報の集合ではなく、戦略的な意思決定をサポートする価値あるインサイトを得るツールといえるかもしれません。
例えば、マーケティング部門では、消費者の行動や嗜好に関するデータを分析することで、効果的な広告戦略を策定できます。また、営業部門では、過去の売上データや市場の動向を元に、新たなビジネスチャンスを見つけ出すことが可能です。
データの活用は、人事や経理、広報活動にも及びます。
人事部門では、従業員のパフォーマンスデータを分析して、人材育成や配置の最適化を図ることも可能です。
経理部門では、財務データを詳細に分析することで、コスト削減や効率化の方策を見つけるられます。
広報部門では、メディア露出やSNSでの言及数などのデータを活用して、企業イメージの向上を図ることもできるでしょう。
このように、データはビジネスの各部門で多角的に活用されており、その重要性は日々高まっています。
データを効果的に活用することで、ビジネスは競争力を高め、目標達成に一歩近づくのです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務となっている
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、今日のビジネス環境において急速に重要性を増しています。
多くの企業がDXを進める背景には、2025年の崖と呼ばれる技術的な限界や、競争優位性を確保するための戦略的な必要性があります。
DXは、企業がデジタル技術を活用してビジネスプロセスや顧客体験を変革する取り組みです。このような変革は、企業が新しいビジネスモデルを探求し、市場での立ち位置を強化するために不可欠です。
DXの推進は、企業が新しい市場や顧客層にアプローチするための手段ともなります。
例えば、AIやビッグデータの活用によって、顧客のニーズをより正確に把握し、パーソナライズされたサービスを提供することが可能になります。
また、クラウドコンピューティングやIoT(インターネット・オブ・シングス)の導入によって、業務効率が大幅に向上し、企業の成長を加速させることも考えられるでしょう。
しかし、DXの推進には多くの課題も存在します。特に、レガシーシステムの更新やDX人材の確保、セキュリティ対策など、多角的な視点からの取り組みが求められます。
これらの課題を解決するためには、企業全体での戦略的なアプローチと、持続可能な投資が不可欠です。
データに対する法的な規制が強くなっている
近年、データプライバシーと情報セキュリティに関する法的な規制が世界中で強化されています。
特に、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)など、個人情報を厳格に管理するための法律が施行されていることを耳にした方も多いのではないのでしょうか。
これらの法律は、企業に対してデータの取り扱いに関する明確なガイドラインを設け、違反した場合には厳罰を科す内容となっています。
日本でも、個人情報保護法の改正や新たなデータ保護制度の導入が進められています。
これにより、企業はより高度なデータセキュリティ対策を講じる必要があり、その責任は以前よりも重くなっています。また、データの国際的な流通が増加する中で、海外の法律にも対応する必要が出てきているといえるでしょう。
データガバナンスを実行するメリット
データガバナンスは、企業がデータを効率的かつ安全に管理するための重要な手段です。
本セクションでは、データガバナンスを導入することで得られる主なメリットについて詳しく解説します。
企業組織内でのデータに関する共通理解を促進
データは現代ビジネスの生命線とも言えますが、その価値は組織内で共有されて初めて最大化されます。
データガバナンスが重要なのは、まさにこの「共通理解」を形成・維持するためです。
組織内でデータに関する共通の理解や言語を持つことで、データの品質が保たれ、より高度なデータ分析が可能になります。
また、共通理解を促進することで、データの冗長性や矛盾を排除し、データの効率的な活用が可能になります。
例えば、マーケティング部門と販売部門が同じ顧客データに基づいて戦略を練ることができれば、より一体とした顧客体験を提供できるようになるのです。
さらに、データに対する共通理解は、データセキュリティの強化にも寄与します。
組織内のすべてのメンバーがデータの取り扱いに関するガイドラインやポリシーを理解していれば、データ漏洩や不正アクセスのリスクを大幅に減らすことが可能です。
このように、企業組織内でのデータに関する共通理解を促進することは、多くのメリットをもたらします。
データガバナンスの導入は、この共通理解を形成する第一歩となるでしょう。
データマッピングによりデータの統合を効率的に
データガバナンスのもう一つの大きなメリットは、データマッピングを通じてデータの統合を促進する能力です。
データマッピングとは、異なるデータソースやフォーマットを一元的な形式に変換するプロセスを指します。
これにより、企業は複数の部門やプラットフォームに散らばるデータを効率的に管理し、一つの「真実のソース」を作成可能です。
データの統合は、ビジネスインテリジェンスやデータ分析において非常に重要な要素であり、より高度な分析や意思決定を可能にします。
例えば、販売データと顧客データが統合されれば、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を展開する、などが考えられるでしょう。
また、データマッピングは、データの品質と一貫性を高める効果もあります。
不整合やエラーを早期に発見できるため、企業はこれらの問題を迅速に解決し、ビジネスプロセスをスムーズに進める重要事項です
セキュリティポリシーを監視、コンプライアンス違反を防ぐ
データガバナンスにおいて、セキュリティポリシーの監視とコンプライアンスの確保は非常に重要な要素です。
企業が保有するデータは、顧客情報や業績データなど、多くの機密情報を含んでいます。これらのデータが外部に漏れた場合、企業の信頼は失墜し、法的な問題にも発展する可能性があります。
データガバナンスを導入することで、セキュリティポリシーを一元的に管理し、リアルタイムでの監視が可能になります。
これにより、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを事前に防ぐことができます。また、コンプライアンス違反も早期に発見し、対処することが可能となります。
さらに、データガバナンスは、企業が遵守すべき法的な規制や業界基準に対するコンプライアンスも確保します。
そのため、企業はリスクを最小限に抑えつつ、データを効率的かつ安全に活用することができるのです。
データガバナンスに役立つフレームワーク
データガバナンスは非常に複雑で、経験やスキルも問われる領域です。そのため、どこから学べばいいのかよくわからない人も多いかと思います。
ここでは、データガバナンスにおいて役立つフレームワークをいくつか取り上げるので、学習を始める際の参考にしてください。
DMBOKホイール(DataManagementAssociationInternational)
提供組織 | Data Management Association International |
主要なエリア | データガバナンス、データアーキテクチャ、データ品質、データセキュリティなど11の知識領域 |
中心概念 | データガバナンス |
目的 | データ管理のベストプラクティスと標準を提供 |
対象 | データ管理の専門家、ビジネスリーダー、組織 |
活用シーン | データ戦略の策定、データ品質の向上、データセキュリティの強化など |
DMBOKホイールは、データ管理の全体像を理解し、効果的に実施するための包括的なフレームワークです。
このフレームワークは、データガバナンスからデータセキュリティ、データ品質まで、多くのデータ管理エリアを網羅しています。
中心にはデータガバナンスが位置し、それを取り巻くように他のデータ管理エリアが配置されています。
企業がデータを戦略的に活用する際のガイドラインとして広く利用されており、データガバナンスの基本の一つです。
提供組織 | Gartner |
主要なエリア | データ品質、アクセス制御、プロセス管理など |
中心概念 | 成熟度評価 |
目的 | データガバナンスの現状を評価し、改善策を立案 |
対象 | 経営者、データ管理者、IT部門 |
活用シーン | データガバナンスの改善、データ戦略の策定、リスク評価など |
Gartnerによるデータガバナンス成熟度モデルは、企業がデータガバナンスの実施状況を評価・改善するためのフレームワークです。
このモデルは、データの品質、アクセス制御、プロセス管理など、多角的な視点からデータガバナンスの「成熟度」を測定します。
結果に基づいて、企業は具体的な改善策を立案できるため、データガバナンスの効果的な推進が可能です。
データマネジメント成熟度モデル(CMMIInstitute)
提供組織 | CMMI Institute |
主要なエリア | データガバナンス、データ品質、データアクセス、データ戦略など |
中心概念 | データマネジメント全体の成熟度評価 |
目的 | データマネジメントの効率と効果性を高める |
対象 | 経営者、データ科学者、ITプロフェッショナル |
活用シーン | データ戦略の策定、データ品質の管理、データガバナンスの強化など |
CMMI Instituteが提供するこのモデルは、データマネジメントのプロセスと成熟度を評価するためのものです。
データガバナンスはその一部として位置づけられ、組織がデータをどのように管理し、それがビジネス価値にどう貢献するかを評価します。
このフレームワークを用いることで、データガバナンスだけでなく、データマネジメント全体の効率と効果性を高めることが可能です。
以上のフレームワークは、それぞれ異なる視点とアプローチでデータガバナンスをサポートします。
企業や組織は、自らのニーズや課題に最も適したフレームワークを選び、データガバナンスを強化することが重要です。
データガバナンスの4つのステップ
データガバナンスは企業または組織にとって非常に重要であることはわかっていただけたかと思いますが、具体的にどの様なステップを踏んで進めていけばいいのでしょうか。
ここでは、そんな気になるデータガバナンスの取り組み方についてステップバイステップで解説します。
①プロジェクトの目的の言語化
このステップでは、”何を達成したいのか”を明確にします。
例えば、「顧客データの品質を向上させる」や「コンプライアンス遵守を確実にする」など、目的を具体的な言葉で表さなければなりません。
さらに、この目的に対するKPI(Key Performance Indicator)を設定することで、目標に対する進捗を測定可能にする必要もあります。
②ステークホルダーと要件の言語化・すり合わせ
次に、プロジェクトに関わる全ての人々、つまりステークホルダーを明確にします。
それが経営者であれば、どのようなビジネス価値を期待しているのか、IT部門であれば、どのような技術的制約や可能性があるのかを確認します。
これらの要件をすり合わせることで、後々の誤解やコンフリクトを避け、プロジェクトをスムーズに進める効果が期待できます。
③成果物と成果の定義
目的とステークホルダーが明確になったら、次に「何を作り上げるのか」、「どのような成果を出すのか」を定義しましょう。
例えば、成果物としては「データ品質チェックの自動化スクリプト」、成果としては「データエラーの削減率」などが考えられます。
この成果物と成果を明確にすることで、プロジェクトの成否を明確に評価可能です。
④チームの構築
最後に、これらの目的と成果を達成するためのチームを編成します。
必要なスキルセットや経験、役割(例:プロジェクトマネージャー、データアナリスト、エンジニアなど)を明確にし、それに適した人材を選びます。
また、チーム内でのコミュニケーション方法や進捗報告の頻度もこの段階で設定しておきましょう。
以上のように、各ステップを具体的に計画し実行することで、データガバナンスプロジェクトは成功に近づくでしょう。
特に、各ステップで明確な定義と計測可能な指標を設定することが、プロジェクトを明確かつ効果的に進行させる鍵となります。
データガバナンスの具体的なアウトプットとは?
データガバナンスを進めていく順序についてはご理解いただけたかと思いますが、気になるのはどのようにアウトプットしていくかかと思います。
ここでは、データガバナンスの具体的なアウトプットについて詳しく紹介していきます。
データ戦略・ロードマップ
データガバナンスの取り組みを始める際の最初のステップとして、データ戦略とロードマップの策定があります。
このアウトプットで設定されるデータ戦略は、組織全体のビジョンや目標に沿った形でデータをどのように活用するかを明確にするものです。
具体的には、どのデータをどのように収集し、それをどのように分析・活用するかが計画されます。
ロードマップには、データ戦略を実現するための具体的な行動計画とタイムラインが含まれます。
例えば、初めにデータの品質を確保するための基準設定、次にデータ分析ツールの導入といったステップが織り交ぜられることが多いです。
このデータ戦略とロードマップが明確であれば、データガバナンスの他のアウトプット、例えばデータポリシーの策定や運用フレームワークの設計もスムーズに進行します。
また、この戦略とロードマップは、組織内のステークホルダーがデータをどのように扱うべきかの共通理解を形成する基盤ともなります。
データポリシーの策定
データガバナンスにおいて次に重要なアウトプットが、データポリシーの策定です。
データポリシーは、組織内でのデータの取り扱いに関するルールやガイドラインを明文化する文書です。
このポリシーには、データの品質基準、アクセス権限、データの保存期間、コンプライアンス要件などが詳細に記されます。
データポリシーの策定は、組織内でのデータの一貫性を保つために不可欠です。
例えば、顧客データが複数の部署やプロジェクトで異なる形式や基準で管理されていると、そのデータを組織全体で効果的に活用することは難しくなります。データポリシーが明確であれば、そのような問題を未然に防ぐことができます。
また、データポリシーはリスク管理にも寄与します。
データの不正アクセスや漏洩、法的な問題に対するリスクを低減するための方針や手段が、このポリシーによって明確にされます。
運用フレームワークの策定・活用
データガバナンスの実践において欠かせないのが、運用フレームワークの策定とその活用です。
運用フレームワークとは、データの収集から分析、活用に至るまでの一連のプロセスを体系的に管理するための枠組みです。
このフレームワークには、データの品質管理、データのアクセス制御、データの保存と削除、そしてそれらに関わる各ステークホルダーの責任と役割が明確にされるべきです。
運用フレームワークの策定には、前段階で作成されたデータ戦略・ロードマップとデータポリシーが基盤となります。
これらの文書に基づき、具体的な作業手順や業務フロー、使用するツールやシステム、必要な人材とスキルセットなどが定義されます。
このフレームワークがしっかりと策定され、組織内で共有されていれば、データガバナンスは日常業務にスムーズに組み込まれます。
また、新しいデータ関連のプロジェクトが始まる際も、このフレームワークを基にプロジェクトの進行が計画されるため、効率的なデータ管理と活用が可能です。
データガバナンスの体制構築
データガバナンスを成功させるためには、組織内での体制構築が不可欠です。
この体制構築には、データスチュワード、データオーナー、データガバナンス委員会など、データ管理に関わる各役割が明確にされるべきです。
データスチュワードは、データの品質と整合性を保つ役割を担い、データオーナーはデータの所有と活用に関する最終的な責任を持ちます。データガバナンス委員会は、これらの役割を調整し、データガバナンスの方針と戦略を決定する役割を果たします。
体制構築の際には、既存の組織文化や業務プロセス、技術基盤を考慮することが重要です。
これにより、データガバナンスの取り組みが組織内で自然に受け入れられ、持続可能なものとなります。
この体制構築がしっかりと行われれば、データガバナンスは組織全体で効果的に推進されます。
各部署やプロジェクトが独自にデータを管理するのではなく、組織全体で一元的かつ効率的にデータが管理されるようになるため、データの品質が向上し、データを活用した意思決定もしやすくなるでしょう。
データセキュリティ
データガバナンスにおいて、データセキュリティは非常に重要な要素です。
データが不正にアクセスされたり、漏洩したりするリスクを最小限に抑えるためには、厳格なセキュリティ対策が必要です。
この対策には、データの暗号化、アクセス制御、監査トレイルの設定、そして定期的なセキュリティ監査などが考えられるでしょう。
特に、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)など、データ保護に関する法規制が厳しくなる中で、データセキュリティの確保は避けて通れない課題となっています。
法的な遵守だけでなく、顧客の信頼を維持するためにも、データセキュリティは最優先で取り組むべき事項です。
データガバナンスを理解するのに役立つ関連用語
データガバナンスのことを調べていると、難しい用語が多く出てきて理解するのも一苦労かと思います。
そこでここでは、データガバナンスを理解するのに役立つ関連用語をいくつか紹介するので、理解の一助としてください。
データマネジメント
データマネジメントは、組織内のデータを効率的かつ効果的に管理するための一連のプラクティスと手法です。
主なプロセスには、データの収集、保存、処理、分析、共有、そして削除などが挙げられます。
データマネジメントの目的は多岐にわたり、ビジネスインテリジェンスの向上、コンプライアンスの確保、リスクの軽減などが主な目的です。
また、データマネジメントはデータガバナンスの基盤ともなり、組織がデータに関する方針やルールを設定する際に重要な役割を果たします。
代表的な領域は、データウェアハウス、データレイク、データマートなど、さまざまなデータストレージオプションが考えられます。
また、データの品質を保つためのデータクレンジングやデータエンリッチメントといった手法も用いられます。
データマネジメントがしっかりと行われていると、データは有用なビジネスアセットとなり、より良い意思決定、効率的な業務プロセス、顧客満足度の向上などが可能です。
マスターデータマネジメント
マスターデータマネジメント(MDM)は、組織内で使用される基本的なビジネスデータ、通称「マスターデータ」を一元的に管理する手法です。
マスターデータとは、顧客情報、製品情報、従業員情報など、ビジネス運営において基本となるデータを指します。
MDMは、このマスターデータの品質と一貫性を確保する役割を果たします。
また、MDMはデータガバナンスと密接に関連しており、データの所有権、アクセス権、セキュリティポリシーなども明確にされることが多いです。
MDMの実施には、専用のソフトウェアツールがしばしば用いられます。これらのツールは、マスターデータの定義、クレンジング、マッチング、連携など、MDMプロセスを効率的に支援するものが多いのが特徴です。
データスチュワード
データスチュワードは、データガバナンスにおいて中心的な役割を果たす役職です。
主な役割は、データの品質、整合性、セキュリティ、プライバシーを確保する責任を担います。
他にもデータスチュワードは、データの品質基準を設定し、それが遵守されるようにします。
また、データのアクセス権限を設定し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑える役割も持つ非常に業務領域の多い役職としても有名です。
コミュニケーションにおいても、IT部門だけでなく、ビジネス部門とも密接に連携を取らねばなりません。そのため、データスチュワードはテクニカルスキルとビジネススキルの両方を兼ね備えたハイスキル人材といえるでしょう。
まとめ
この記事では、データガバナンスの基本的な概念から具体的な手順、役立つフレームワーク、関連用語まで、幅広く解説しました。
データガバナンスは、データを効果的に管理・活用するための不可欠なプロセスであり、その重要性は日々高まっています。
データは21世紀における「石油」とも比喩されており、その価値を最大限に引き出すためには、しっかりとしたガバナンスが必要です。
今後、データ量が増加する一方で、データに対する法的な規制も強まっていくでしょう。
そのため、データガバナンスの方針をしっかりと設定し、運用することがますます重要になります。
この記事が、データガバナンスの理解を深める一助となり、実際のビジネスやプロジェクトでのデータ管理がより効果的に行えるようになることを願っています。
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