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プロジェクトを成功に導くPMO体制図とは?よくある5つの改善点を紹介

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PMOとは?

PMOとはについて、職種や役割、メリットに関して詳しく解説していきます。

PMOの概要

PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は、企業のプロジェクトマネジメントを支援する部門またはシステムとして位置づけられています。その名称は「Project Management Office」の頭文字を取ったもので、多くのプロジェクトを抱える企業において、PM(プロジェクト・マネージャー)のサポート役として非常に重要な存在となっています。

PMOは、スケジュールの管理、リソースの確保、ステークホルダーとの調整など、プロジェクトが円滑に進行するための多岐にわたる業務を担当します。企業やプロジェクトの規模・特性に応じて、プロジェクト型、全社型、ハイブリッド型といった異なる運用形態が存在します。

PMOが担う役割とは?

PMOの役割は多岐にわたりますが、日本PMO協会によれば、主な役割は「PMOアドミニストレーター」「PMOエキスパート」「PMOマネジャー」の3つに区分されます。

PMOアドミニストレーターは、プロジェクトの日常業務をサポートし、情報の収集や共有、ドキュメントの作成などの事務的な業務を担当します。

一方、PMOエキスパートは、品質管理や業務プロセスの改善、ツールの開発など、プロジェクトの品質向上を目指す役割を果たします。

そして、PMOマネジャーは、PMOのチーム全体を統括し、戦略の策定や予算管理などのマネジメント業務を担当します。

PMOとPMは何が違う?

PM(プロジェクト・マネージャー)とPMOは、プロジェクト運営において異なる役割を持っています。PMはプロジェクト全体の責任者として、プロジェクトの運営、納期、品質などに直接的な責任を持ちます。

一方、PMOはPMをサポートする役割として、プロジェクトの円滑な進行をサポートするための業務を担当します。

具体的には、PMがプロジェクトの方針や戦略を決定するのに対し、PMOはその方針や戦略を実現するための具体的なアクションや業務をサポートします。

このように、PMは「責任者」としての役割を、PMOは「サポート者」としての役割を担っていると言えます。

PMOには大きく分けて4つの職種が存在する

PMOにおける4つの職種について解説していきます。

プロジェクトアドミニストレーター®(PJA)

プロジェクトアドミニストレーター(PJA)は、PMOの中で最も基盤的な役割を果たすポジションです。彼らはプロジェクトの日常的な管理や事務作業を担当し、プロジェクトの円滑な進行をサポートします。

具体的には、情報の収集・更新、ドキュメントの作成、会議のスケジューリング、リソースの確保などの業務を行います。PJAは、プロジェクトの「総務部」とも言える存在で、その役割は非常に幅広いです。

彼らは、PMや他のPMOメンバーと連携を取りながら、プロジェクトの運営をスムーズにするためのバックオフィス的な業務を担当します。

プロジェクトコントローラー®(PJC)

プロジェクトコントローラー®(PJC)は、プロジェクトの進捗や品質を監視し、必要に応じて調整や改善を行う役割を持っています。彼らは、プロジェクトの目標達成を確実にするための「品質保証」の専門家とも言えます。

具体的には、プロジェクトのスケジュールやコスト、リスクの管理、品質の監視と改善、そして関連する報告書の作成などを行います。PJCは、データ駆動的なアプローチを取り、客観的な情報に基づいてプロジェクトの状況を評価し、適切なアクションを提案します。

プロジェクトマネジメントアナリスト(PMA)

プロジェクトマネジメントアナリスト(PMA)は、プロジェクトの戦略的な側面を担当します。彼らは、プロジェクトの目標や方針を定義し、それに基づいて具体的なアクションプランを策定します。

また、プロジェクトのリソースや予算の最適化、ステークホルダーとの関係構築なども彼らの重要な業務となります。PMAは、プロジェクトの「戦略家」とも言える存在で、その視点は長期的であり、全体的な視野を持っています。

プロジェクトマネジメントコンサルタント(PMC)

プロジェクトマネジメントコンサルタント(PMC)は、外部の専門家として企業や組織に派遣され、プロジェクトマネジメントの専門的な知識や経験を提供します。彼らは、プロジェクトの課題や問題点を特定し、その解決策を提案する役割を果たします。

PMCは、プロジェクトの「教育者」や「アドバイザー」とも言える存在で、その知識や経験は非常に豊富です。プロジェクトの成功を確実にするためのツール、手法を提供し、組織のプロジェクトマネジメント能力の向上をサポートします。

企業がPMOを設ける3つのメリット

企業がPMOを設ける3つのメリットについて解説していきます。

ITプロジェクトの成功率を向上させることができる

多くの企業がITプロジェクトを進行中に様々な課題や障壁に直面します。これは、プロジェクトの複雑性や参加者の多様性、技術の変化などが原因となることが多いです。

PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の存在は、これらの課題を克服するための強力なサポートとなります。PMOは、プロジェクトの全体的なビジョンや目標を明確にし、それに基づいて具体的な計画や戦略を策定します。

さらに、プロジェクトの進行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて修正や調整を行うことで、プロジェクトの成功率を高める役割を果たします。特に、IT業界においては技術の進化が早く、新しい技術やツールの導入が頻繁に行われるため、PMOのような専門的な組織がプロジェクトの成功をサポートすることは非常に価値があります。

チームを横断したコミュニケーション・共通認識を設けることができる

プロジェクトに関わるステークホルダーは多岐にわたり、それぞれ異なる背景や視点を持っています。このため、プロジェクトの進行中に意見の対立や認識のずれが生じることは少なくありません。

PMOは、これらのステークホルダー間のコミュニケーションを円滑にする役割を担います。

具体的には、定期的なミーティングの設定、情報共有のためのドキュメントの作成や更新、意見の調整や合意形成のサポートなどを行います。これにより、プロジェクトの参加者全員が共通の認識を持ち、効果的に協力してプロジェクトを進めることが可能となります。

また、PMOが中心となってコミュニケーションのプロセスを構築・運用することで、情報の伝達ミスや認識のずれを最小限に抑えることができます。

事前にリスクを察知して対策することができる

すべてのプロジェクトにはリスクが伴います。これらのリスクが発生した場合、プロジェクトの遅延や品質の低下、コストの増加などの悪影響を及ぼす可能性があります。

PMOは、プロジェクトの初期段階からリスクを特定し、それに対する対策を策定する役割を担います。

具体的には、リスクアセスメントの実施、リスクの優先順位の決定、リスク対策の策定や実施、リスクのモニタリングなどを行います。これにより、リスクが発生した場合でも迅速かつ適切に対応することができ、プロジェクトの成功を確実にすることができます。

また、PMOが中心となってリスク管理のプロセスを構築・運用することで、プロジェクトの参加者全員がリスクに対する意識を持ち、リスクを最小限に抑える取り組みを共同で行うことが可能となります。

PMOを設置する場所は大きく3つあるとされている

PMOを設置する場所は大きく3つあるとされていますが、これらについてそれぞれ解説していきます。

プロジェクト事務局型

プロジェクト事務局型PMOは、特定のプロジェクトやプログラムに特化して設置されるPMOの形態です。このタイプのPMOは、そのプロジェクトの成功を目的として、具体的なプロジェクトのスケジュール管理、リソースの確保、ステークホルダーとの調整など、日々のプロジェクト運営をサポートします。

プロジェクトが終了すると、このPMOも解散することが一般的です。このモデルの利点は、特定のプロジェクトに集中してサポートができるため、効果的なサポートが期待できる点です。しかし、プロジェクトが終了するとその知識や経験が失われるリスクもあります。

全社型

全社型PMOは、企業全体のプロジェクトマネジメントをサポートするための恒常的な部門として設置されるPMOの形態です。このタイプのPMOは、企業全体のプロジェクトポートフォリオの管理、情報の共有、プロジェクトマネジメントのスキルアップのためのトレーニングなど、組織全体のプロジェクトマネジメントの品質向上を目的として活動します。

全社型PMOの利点は、組織全体のプロジェクトマネジメントの品質を一元的に向上させることができる点です。しかし、具体的なプロジェクトの日々の運営からは距離があるため、具体的なプロジェクトのサポートには限界がある場合もあります。

ハイブリッド型

ハイブリッド型PMOは、プロジェクト事務局型と全社型の特徴を併せ持つPMOの形態です。このタイプのPMOは、特定のプロジェクトのサポートを行いながら、組織全体のプロジェクトマネジメントの品質向上も目指します。

ハイブリッド型PMOの利点は、具体的なプロジェクトのサポートと組織全体の品質向上の両方を目指すことができる点です。しかし、両方の役割を果たすためのリソースやスキルが求められるため、適切な人材の確保や組織のサポートが必要となります。

PMOが作成する「体制図」とは何か?

PMOが作成する「体制図」とは、プロジェクトの組織構造や役割、関係性を視覚的に示す図のことを指します。この体制図を作成する際には、いくつかの重要なポイントが考慮されるべきです。

まず、指揮命令の系統を明確にすることが重要です。具体的には、指揮命令系統が複数に分かれることを避けるため、同一方向からの線は1本として、線や矢印が重ならないようにする必要があります。これにより、体制図を見た際に、どの部門や役職がどのような関係性を持っているのかが一目でわかるようになります。

次に、それぞれの役割が明確になるようにすることも大切です。体制図を見るだけで、各役職や部門の役割や責任が明確に理解できるよう、曖昧な表現を避けることが求められます。

また、体制図をシンプルにする場合でも、必要な情報は省略せず、異なる役職やチームを安易にまとめないようにすることが推奨されます。

具体的な体制図のタイプとしては、まず「プロジェクト事務局型」があります。このタイプでは、PMOはプロジェクトマネージャー(PM)の直下に配置され、PMの補佐役としてプロジェクト全体を統括します。特に大規模なプロジェクトでの導入が多く、PMOの存在により、多数のステークホルダー間の調整や進捗管理、課題管理などの複雑なタスクを効率的に進めることが可能となります。

次に「全社型」というタイプがあります。このタイプでは、PMOは複数のプロジェクトを横断的にサポートする役割を持ち、CIOやIT部門長などの経営層を補佐します。このPMOは、複数のプロジェクトの進捗状況を一元的に管理し、全体の遅延を防ぐ役目を果たします。

最後に「ハイブリッド型」というタイプがあります。このタイプは、プロジェクト事務局型と全社型の両方の特徴を持つPMOの配置方法を指します。大規模な組織や多数のプロジェクトを持つ組織での導入が考えられますが、過剰な管理を避けるための工夫が必要です。

プロジェクト失敗の元?よくある体制図で見られる5つの改善点とは

体制図で見られる5つの改善点について解説していきます。

責任・役割が明確になっていない

プロジェクトの成功の鍵は、各メンバーの責任と役割が明確であることです。体制図を作成する際、各役職やチームの役割が曖昧になっていると誰が何を担当しているのか、どのような責任を持っているのかが不明確になり、プロジェクトの進行が滞る原因となります。

例えば、プロジェクトでのチームの役割が明らかになるように、曖昧な書き方は避けるようにしましょう。体制図を見ただけで、それぞれの役割がわかるような名称を意識することが大切です。

新しいプロジェクトで、開発チームとマーケティングチームがある場合、体制図には「データ分析」という役割だけが記載されていると、これは開発チームの役割なのか、マーケティングチームの役割なのかが不明確です。結果として、データの収集と分析のタスクがどちらのチームにもアサインされず、プロジェクトの進行が遅れる事態が発生するというようなlことが起こりえます。

プロジェクト責任者が複数いる形になっている

プロジェクトの指揮命令系統を一本化することが重要です。複数のプロジェクト責任者が存在すると、意思決定の過程が複雑化し、プロジェクトの進行が遅れる可能性が高まります。

指揮命令系統が複数にわかれてしまうことを防ぐためには、同一方向から同一ボックスにつながる線は1本であるように気をつける必要があります。

考えられる例としては、ITインフラ更新プロジェクトにおいて、システム部門のマネージャーとネットワーク部門のマネージャーの2人が共同でプロジェクト責任者として指名されたとします。

しかし、2人の意見が合わず方針が頻繁に変わってしまうと、チームメンバーは混乱し作業の効率が低下する可能性があります。

指揮命令系統が不明瞭になっている

体制図において、指揮命令系統が明確でないと、メンバー間のコミュニケーションが乱れ、誤解やミスが生じるリスクが高まります。線が重なっているとどこへ向かう線なのかわかりにくくなるため、矢印や線は重ならないように記載する必要があります。

新製品開発プロジェクトなどで、体制図には上司から部下への矢印が複数存在し、誰が最終的な意思決定を行うのかが不明確という状況であれば、重要な決定を待つ時間が増え、プロジェクトの進行が遅れる事態に発展する可能性があります。

全体は整備されていてもチーム内の役割が不明瞭になっている

プロジェクト全体の体制が整っていても、各チーム内部の役割分担が不明確であると、チーム内での業務の進行がスムーズでなくなります。

たとえば、並列関係にある役職やチームがある場合は役割ごとに分けて記載するなど、異なる役割や異なるチームを安易にまとめて記載しないようにするのが重要です。

何を意図しているのかわからない不明な線がある

体制図には、プロジェクトの構成や関係性を示すための線が引かれますが、その線の意味や目的が不明確であると、体制図を見る人々の混乱を招く可能性があります。体制図を作成する際は、各線が何を示しているのか、どのような関係性を持つのかを明確にし、不要な線や重複する線は避けるように心がけることが重要です。

例えば、営業部と企画部を結ぶ線があったとすれば、これが単なる情報共有を意味するのか、それとも具体的なタスクの連携を意味するのかがわからず、両部署のコミュニケーションがうまくいかない事態に発展してしまうため、遅延が発生する可能性があります。

責任分担表「RACIチャート」をうまく活用しよう

責任分担表「RACIチャート」をうまく活用するために頭に置いておきたいことについて解説していきます。

責任分担表について紹介

RACIチャートは、プロジェクトの進行において、各メンバーの役割や責任を明確にするためのツールです。

「Responsible」「Accountable」「Consulted」「Informed」の頭文字を取ったこのチャートは、誰がどのタスクの実行責任を持つのか、誰がそのタスクの結果に対して説明責任を持つのか、誰がタスクの遂行に関して相談されるべきか、そして誰にそのタスクの結果を報告すべきかを一目で理解することができます。

このように、RACIチャートはプロジェクトの進行をスムーズにし、混乱やミスを防ぐための非常に有効なツールとなっています。

実行責任

実行責任者(Responsible)は、特定のタスクや活動の実行に直接関与する人物を指します。彼らはそのタスクの成功を確実にするために、具体的なアクションを取る責任があります。

例えば、新しい製品の開発プロジェクトにおいて、プロトタイプの製作がタスクとして挙げられた場合、そのプロトタイプを実際に製作するエンジニアが実行責任者となります。彼らはタスクの遂行に直接関わるため、進捗状況や問題点などを説明責任者に定期的に報告する必要があります。

説明責任

説明責任者(Accountable)は、特定のタスクや活動の結果に対して最終的な責任を持つ人物を指します。彼らはタスクの遂行を監督し、必要に応じてリソースを提供する役割を果たします。また、タスクの結果に関する最終的な判断や承認も説明責任者の役割となります。

例えば、新製品の開発プロジェクトにおいて、製品の品質や性能に関する最終的な判断を下す品質保証部門のマネージャーが説明責任者となることが考えられます。

協業先

協業先(Consulted)は、特定のタスクや活動に関して意見やアドバイスを提供する人物を指します。彼らはタスクの遂行には直接関与しないものの、その専門知識や経験を活かして、実行責任者や説明責任者に対して助言を行います。

例えば、新製品の開発プロジェクトにおいて、市場の動向や顧客のニーズに関する情報を提供するマーケティング部門のスタッフが協業先として参加することが考えられます。

報告先

報告先(Informed)は、特定のタスクや活動の結果を知らされるべき人物を指します。彼らはタスクの遂行には関与しないものの、その結果に関する情報を受け取ることで、自身の業務や判断に活かすことができます。

例えば、新製品の開発プロジェクトにおいて、製品の販売戦略を策定するセールス部門のマネージャーが報告先として、製品の開発状況や品質に関する情報を受け取ることが考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はプロジェクトを成功に導くPMO体制図について、よくある5つの改善点を紹介してきました。

PMOの仕事の幅が広く包括的な範囲となってしまうため、その役割や責任が中途半端になってしまうとプロジェクトに大きな影響を及ぼしてしまいかねません。

そうならないように適切な体制図を用いながら管理していく必要があります。

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