会社員として会社に所属にしながら個人事業主になるメリットは？税制上のメリットや個人事業主になる目安を解説

2024.05.12(公開: 2024.05.12)

はじめまして、エンジニアスタイル編集部です！

コラムページでは、ITフリーランスに向けてお役立ち情報を発信します。Twitterではホットな案件を紹介してまいりますので、ぜひフォローをお願いいたします！
本記事が、皆様の参考になれば幸いです。

経験がまだ少ない方にもわかりやすく説明するために、初歩的な内容も記載しております。記事も長いので、実務経験豊富な方は、ぜひ目次から関心のある項目を選択してください。

エンジニアスタイルは、最高単価390万円、国内最大級のITフリーランス・副業案件検索サービスです。ITフリーランス・副業案件一覧をご覧いただけますのであわせてご確認ください。

はじめに

この記事では、IT業界における会社員が個人事業主として活動する際のメリット、適切な開業のタイミング、そして税制上の利点などを詳細に解説します。現代社会では様々な働き方が認められ、技術職に従事する多くのプロフェッショナルにとって、副業として個人事業主としての活動が新たな可能性として注目されています。特に、IT業界ではその需要と自由度が高いため、副業として個人事業主になることが有効な選択肢とされています。このような背景から、会社員として安定した職に就きながらも、さらに自己のスキルやアイデアを活かして追加収入を得る方法について、具体的な情報を提供します。

会社員でも個人事業主になれる？

現在、多くの会社員が副業を通じて追加収入を得たいと考えていますが、実際にはどのような形で副業が可能なのでしょうか？この節では、会社員が個人事業主として副業を行うことが可能かどうか、またその際の具体的な条件や留意点について詳しく掘り下げていきます。

個人事業主とは

個人事業主とは、一人で事業を営む個人を指し、自らの責任とリスクで業務を行います。この事業形態は、フリーランスとしてクライアントから直接仕事を請け負い、その対価として報酬を得ることが一般的です。個人事業主は法人としての枠組みを持たず、すべての業務を個人の名義で行います。そのため、会計や税務の手続きは個人レベルで完結し、起業に際して必要な手続きが比較的少ないことから、多くのフリーランスにとってアクセスしやすい選択肢となっています。

個人事業主は、自分自身が直接クライアントとの契約を結び、サービス提供のすべてを自身で管理します。これには営業活動、プロジェクト管理、請求業務などが含まれ、全ての商取引において個人が中心となるため、業務の自由度が非常に高いです。また、業務に関連する全ての収益は個人のものとなるため、経済的なメリットも大きいですが、その一方で、不景気や業務の減少によるリスクも全て自分で負う必要があります。

この事業形態のもう一つの特徴は、税務上の柔軟性です。個人事業主は青色申告を利用することで、所得控除を受けることが可能となり、税負担を軽減できる場合があります。また、必要経費として認められる範囲が広いため、多くの経費を事業費として計上できることも大きな利点です。

ただし、個人事業主として活動するには、事業に関連する多くの知識とスキルが必要とされます。特に法規制や税務に関する正確な知識が求められるため、これらの分野での事前の学習や専門家からのアドバイスが重要となります。このように、個人事業主として成功するためには、業務の質を保ちながらも、事業運営の各側面に注意を払うことが必要です。

会社員が副業として働けば個人事業主と両立できる

現代の労働市場では、多くの企業が副業を許可しており、会社員でも自分のスキルや専門知識を活かして副業として個人事業主として活動することが可能です。このような副業の形態は追加収入を得るだけでなく、自身のキャリアをさらに発展させる機会ともなり得ます。ただし、会社員として副業を行う場合には、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

まず、副業を行う前には、所属している企業の副業に関するポリシーを確認し、必要に応じて事前に承認を得ることが重要です。企業によっては、副業を全面的に支持しているところもあれば、特定の条件下でのみ許可しているところもあります。承認を得る過程で、副業が本業に影響を与えないことを明確に伝え、必要な場合は副業の内容についても説明することが求められることがあります。

副業が許可されたとしても、本業に支障をきたさないように厳格な時間管理を実施する必要があります。副業での業務は主に休日や勤務時間外に行われるため、労働時間の管理と共に、疲労の蓄積を避けるための自己管理も重要です。副業と本業のバランスを保ちつつ、どちらも高いパフォーマンスを維持することが成功の鍵となります。

さらに、情報の秘密保持や競合防止の観点から、本業とは異なる業種や分野での副業を選択することが望ましいです。これにより、利益相反の問題を回避し、企業の機密情報を守ることができます。副業で扱う情報が本業と直接関連しない場合は、企業も安心して副業を許可しやすくなります。

このように、会社員として個人事業主として副業を行う際には、企業の規定の遵守、時間管理の徹底、業種の選定など、慎重に計画を立てることが求められます。これらの条件をクリアすることで、会社員としての安定した収入と、個人事業主としての柔軟性と成長の機会を同時に享受することが可能になります。

必ずしも個人事業主になる必要はない

会社員として副業を行う場合、個人事業主として登録する以外にも、フリーランサーとして活動するという選択肢があります。個人事業主としての開業は多くのメリットを提供しますが、それに伴う会計や税務の手続き、法的な責任も大きくなります。したがって、副業としての業務の規模や期間、目的に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。

個人事業主として登録せずにフリーランサーとして活動する場合、通常は短期間または特定のプロジェクトに焦点を当てた仕事を行います。この形態は、特に新しい技術や業界においてスキルを磨くためのプロジェクトや、自分の専門知識を活かせる一時的な仕事に適しています。フリーランサーとしての活動は、通常、個人事業主よりも行政的な負担が少なく、柔軟性が高いという特徴があります。

また、フリーランサーとして活動することで、複数のクライアントと短期契約を結ぶことが可能になり、多様な仕事を経験することができます。これは、特定の分野での専門性を高めるだけでなく、様々な業界のネットワークを築く上で有益です。ただし、フリーランサーとしての活動は、プロジェクトが不定期であるため、収入の安定性に欠けることがあります。そのため、経済的な安定を求める場合には、副業として個人事業主として登録し、定期的に収入を得る方が適しているかもしれません。

個人事業主としての登録を選択する場合、確定申告や税務処理など、より複雑な手続きが伴いますが、税務上の優遇措置を受けることができるなど、その分のメリットもあります。事業の規模が拡大する場合や、長期にわたり安定した収入を求める場合には、個人事業主としての開業が望ましいかもしれません。

結局のところ、副業としての活動を始めるにあたっては、個人の職業的な目標や生活の要求、キャリアの展望を総合的に考慮し、自身にとって最適な働き方を選ぶことが肝心です。個人事業主としても、フリーランサーとしても、それぞれの働き方の長所と短所を理解し、自分の状況に合わせた選択を行うことが成功への鍵となります。

会社員が個人事業主として開業する目安は？

会社員が個人事業主として副業を開始する際の適切なタイミングを判断するには、多くの要素を考慮する必要があります。この節では、副業としての収入の額や、税務の必要性などを基に、いつ個人事業主として開業すべきかについて詳しく掘り下げていきます。

副業の収入が20万円以下の場合

副業としての収入がどの程度であれば、個人事業主としての開業を検討すべきか、または必要のないかは、非常に重要な判断基準となります。特に年間収入が20万円以下の場合、その影響と必要な手続きについて詳しく見ていきましょう。

20万円以下なら確定申告は不要

年間の副業収入が20万円以下である場合、税法上、基本的に確定申告の義務は発生しません。この金額は、副業が兼業として比較的小規模であることを示しており、この段階では個人事業主としての開業届けを出す必要は低いとされます。副業で得られる収入がこの範囲内である場合、開業に伴う手間やコストを考慮すると、個人事業主として正式に登録するよりも簡略な手続きで活動することが推奨されます。この小規模な副業であれば、事業主としての責任や複雑な税務処理、会計の負担を負うよりも、シンプルな方法で副業を続けることが効率的です。

個人事業主になるメリットはあまりない

年間収入が20万円以下の場合、個人事業主としての登録から得られるメリットは限定的です。確定申告が不要であるため、税務処理の負担も少なく、個人事業主として必要となる特有の手続きや管理を行う必要もありません。また、この収入レベルでは税制上の優遇措置や節税効果もほとんど期待できないため、手間とコストをかけてまで個人事業主としてのステータスを得る必要はほとんどありません。そのため、収入がこの水準の場合は、個人事業主としての開業よりも、フリーランスとして単純明快な契約形態で業務を行う方が、多くの場合、時間や労力の節約につながります。

このように、副業収入が20万円以下の場合には、個人事業主としての開業は推奨されず、よりシンプルな方法で副業を行うことが賢明とされています。しかし、収入が増加する可能性がある場合は、将来的に個人事業主としての開業を見据えた計画を立てることも重要です。

副業の収入が20万円以上の場合

会社員が副業から得る収入が年間20万円を超える場合、その副業に対する税務の取り扱いが変わり、新たな責任と機会が生じます。この節では、副業の収入がこの金額を超えた場合に必要となる確定申告の義務や、個人事業主としての開業がもたらすメリットについて詳しく解説します。

確定申告をする必要がある

年間の副業収入が20万円を超えた場合、確定申告を行う必要が生じます。これは税法による規定で、副業から得る収入が一定額を超えると、税務上の責任が伴うためです。確定申告を行うことで、収入の正確な申告と適切な税金の納付が求められます。この収入レベルであれば、個人事業主として正式に開業することが理にかなっており、経営の正式化を通じて、より効率的な収入管理と税制上のメリットを享受する準備が整います。

個人事業主になると節税できる

収入が年間20万円を超えると、個人事業主としての開業は税金の面で大きな利点をもたらします。特に、青色申告を選択することにより、最大65万円の特別控除を受けることが可能です。これは、所得税の計算において直接的に控除されるため、税負担が大幅に軽減されます。さらに、事業運営に必要な経費を事業所得から直接差し引くことができるため、実質的に課税される所得が減少し、結果として支払う税金が減るという効果があります。

また、個人事業主としての開業では、事業に関連する様々な経費を必要経費として計上することが認められています。これには、事務用品の購入費や交通費、通信費などが含まれます。これらの経費を適切に管理し、申告することで税負担をさらに軽減することが可能です。

このように、副業収入が20万円を超える場合には、個人事業主としての開業を検討することが多くの利点をもたらします。税務処理の負担は増えますが、それに伴う節税効果や事業の正式化による信頼性の向上など、考慮すべきメリットも大きいです。個人事業主としての開業は、副業を一層有意義なものに変え、収入を最大化する一助となります。

会社員が個人事業主になると受けられる税制上のメリット

会社員が個人事業主として活動することを決めた場合、多くの税制上のメリットを享受することが可能です。これらのメリットは、個人の財務状況を改善し、事業運営の効率を高める重要な要素となります。この節では、個人事業主として開業した際に得られる主な税制上のメリットについて、具体的に解説していきます。

開業届と同時に青色申告承認申請書を提出

個人事業主として開業する際には、単に事業を始めるだけではなく、適切な税務手続きを行うことが非常に重要です。その中でも、開業届の提出と同時に行うことが推奨されるのが、青色申告の承認申請です。この手続きを行うことにより、税制上の多くの優遇措置を受けることが可能となります。

青色申告は、個人事業主が選択できる申告方法の一つで、この方法を選択すると、記帳義務が課されますが、それによって得られる税務上の利益は大きいです。具体的には、より正確で詳細な財務記録を保持することが求められるため、経理処理においての透明性が高まり、税務調査の際にも有利に働きます。

青色申告を行う最大のメリットは、青色申告特別控除の適用を受けられることです。これにより、最大65万円までの所得控除が可能となり、事業主の税負担が軽減されます。また、青色申告を利用することで、損益の通算や損失の繰り越しも行えるため、収益が安定しない初期段階や不景気などの経済状況の変動がある場合でも、税金の面で柔軟に対応することができます。

さらに、青色申告では、一定の要件を満たすことで電子申告による手続きが可能となり、手続きの効率化が図れます。これにより、事業運営の手間を削減し、より事業活動に集中することができるようになります。

このように、開業届を提出する際に同時に青色申告の承認申請を行うことは、個人事業主として税制上のメリットを最大限に活用するための重要なステップです。適切な申告方法を選択し、財務管理を丁寧に行うことで、事業の持続可能性と成長を支えることができます。

青色申告特別控除が使える

青色申告制度を利用する個人事業主には、最大65万円の青色申告特別控除が適用される可能性があります。この特別控除は、事業所得から直接差し引くことができるため、納税額を大幅に軽減することができます。この制度の最大の魅力は、税負担の軽減だけではなく、事業を継続的に運営する上での財務的なサポートを提供する点にあります。

青色申告特別控除を利用するためには、事業主が正確な記帳を行い、適切な会計記録を維持することが必須です。このプロセスには、日々の収入と支出の詳細を記録することが含まれます。この記帳義務を遵守することで、事業の財務状態を明確に把握し、より効果的な事業計画と予算管理が可能となります。

特に副業として個人事業を行う場合、追加される収入がある程度の規模に達すると、税負担の増加が見込まれます。しかし、青色申告特別控除を活用することで、その増加した税負担を相殺し、手取り収入を最大化することが可能です。これは、副業を本業と並行して行う多くのビジネスプロフェッショナルにとって、非常に有利な選択肢となります。

また、青色申告特別控除は、副業から得られる収入が増えるにつれてその価値が増すため、事業が成長し収入が増加するほど、その利益を実感しやすくなります。これにより、個人事業主はより多くの再投資が可能となり、事業拡大や新たな事業機会の探求に資金を充てることができるようになります。

青色申告特別控除を活用することは、単に税金を節約するだけでなく、事業の持続可能性を高め、長期的な財務戦略の一環としても非常に有効です。そのため、個人事業主として副業を始める際には、この控除を最大限に活用することが推奨されます。

必要経費を計上できる

個人事業主として活動する大きな利点の一つに、事業運営に必要なさまざまな経費を所得から直接差し引くことが可能である点が挙げられます。これにより、課税される所得を減少させ、最終的な税負担を軽減することができます。具体的には、オフィス用品の購入、通信費、交通費、専門書の購入費、さらにはビジネスに関連する旅行費用など、幅広い経費が対象となります。

経費の種類とその計上方法

経費に計上できるもので、代表的なものをいくつか紹介します。

オフィス用品

事務所で使用する文房具やオフィス機器など、日常的に消耗する品目は必要経費として計上可能です。

通信費

インターネット接続料金や携帯電話料金など、事業活動に直接関連する通信費も全額経費として認められます。

交通費

顧客訪問や商談、イベント参加のための交通費も、事業に必要な経費として計上できます。

専門書の購入費: 専門知識の習得や技能向上のために購入した書籍や資料も経費に含めることができるため、業務の質の向上に寄与します。

ビジネス旅行費

出張にかかる宿泊費や食事費なども、事業の目的であれば経費として計上可能です。

経費計上の効果

これらの経費を適切に計上することで、事業主は課税所得を減少させることができます。課税所得が減少すればするほど、支払うべき税金も相応に少なくなり、事業のキャッシュフローに余裕が生まれます。これにより、更なる事業投資や資源の再配分が可能となり、事業の成長と発展を支えることができるようになります。

経費計上の注意点

ただし、経費計上には適切な文書の保持が必須です。レシートや領収書、契約書など、支出の証拠となる文書を整理し、必要に応じて税務調査に備えることが重要です。また、個人的な支出と事業関連の支出を明確に区別し、税務上の問題が発生しないように注意を払う必要があります。

このように、個人事業主として適切に経費を管理し計上することは、税負担の軽減だけでなく、事業運営の効率化と資金の有効活用に直接的に寄与します。これが、個人事業主としての運営の魅力の一つであり、事業の持続可能性を高めるための重要な戦略となるのです。

副業の損失や赤字の繰り越しができる

個人事業主として活動中に赤字が発生した場合、その損失を翌年以降の所得に対して繰り越すことが許されています。これは、税務上非常に重要なメカニズムで、将来的に利益が出た際の税負担を軽減し、経済的なリスクの管理を助ける効果があります。赤字の繰り越しは最大で3年間可能であり、これにより短期間での事業の変動に柔軟に対応し、長期的な事業計画を立てる際にも計画的に税負担を配分することが可能です。

赤字繰り越しの利点

赤字繰り越しは、事業主が直面する可能性のある一時的な損失や投資による初期の赤字を事業の将来の所得と相殺することを可能にします。これは、新規事業や拡張期において特に有益で、事業が安定するまでの財政的な圧力を軽減します。また、損失の繰り越しは、事業主がリスクを取って新たな市場に進出するか、新しい製品を開発する際の安心感を提供します。

赤字繰り越しの適用方法

赤字繰り越しを適用するには、事業主は正確な会計記録を保持し、損失が発生した年の確定申告を適切に行う必要があります。繰り越す損失の額は、事業の所得計算において厳格に審査されるため、すべての支出と収入は明確に文書化されている必要があります。これにより、税務当局がその年の損失と翌年以降に繰り越される利益とを正確にマッチングさせることができます。

赤字繰り越しの戦略的利用

赤字繰り越しを戦略的に利用することで、事業主は税率が高い年に繰り越しを適用し、納税額を最小化することができます。この戦略は、事業の収益が年によって大きく変動する場合や、特定の年に大規模な投資が計画されている場合に特に有効です。

これらの点から、赤字の繰り越しは、事業を運営する上で重要な財務戦略ツールとなります。個人事業主としてこの制度を適切に活用することで、税務上の柔軟性を保ちつつ、事業の安定性と成長を支えることが可能となります。

会社員が個人事業主になるデメリットはある？

会社員が個人事業主として副業を始めることは多くのメリットを提供しますが、この決断にはいくつかのデメリットも伴います。ここでは、個人事業主としての活動がもたらす可能性のある課題や不利益について詳しく探ります。これらのデメリットを理解し、対策を講じることが成功への鍵となります。

本業で失業した時に失業保険をもらえない

個人事業主として副業を行うことが、万が一本業を失った際の失業保険の受給資格に重大な影響を与える可能性があります。失業保険は、被保険者が無職の状態であることが前提条件となるため、副業を続けていると「就労している」とみなされることが一般的です。その結果、副業をしていると、本業からの離職後も収入があると見なされ、失業保険の受給が遅れたり、最悪の場合は受給資格を完全に失うこともあります。

さらに、失業保険を受け取るためには、雇用保険に加入している状態である必要がありますが、個人事業の収入が一定以上である場合、それが本業の収入を上回ってしまうと、失業保険の支給額にも影響が出る可能性があります。また、失業保険の申請時には、副業の収入に関する正確な申告が求められ、これを怠ると不正受給とみなされるリスクも伴います。

副業を行う個人事業主が失業保険を申請する場合、副業の収入をどのように申告するかが重要です。適切な申告を行い、副業の収入が本業の失業によるものでないことを証明できれば、保険の受給が可能になる場合もあります。ただし、このプロセスは複雑であり、時には専門家のアドバイスを求める必要があるかもしれません。

このように、個人事業主として副業を行う際は、失業保険の受給資格に与える影響を十分に理解し、本業を失った場合の経済的なリスクを予め考慮することが非常に重要です。事前にこれらの情報を把握し、計画的に行動することで、不意の失業がもたらす影響を最小限に抑えることが可能になります。

確定申告をする手間や時間がかかる

個人事業主として活動する際には、毎年一度の確定申告が必須です。この過程では収入の記録から経費の計算、必要書類の準備に至るまで、多くの煩雑な作業が伴います。特に会計知識がない場合、このプロセスは大きな負担となり得ます。事業に関するすべての取引の詳細を適切に記録保持しておくことが求められ、年間を通じての細かな記録と整理が必要になります。

確定申告では、収入だけでなく、事業にかかった経費も正確に申告する必要があります。これには交通費、事務用品、通信費など、小さな出費も含まれるため、日々の管理が欠かせません。また、不動産や設備投資など大きな支出の扱いには特に注意が必要で、これらの支出を事業の必要経費として適切に処理することで、税負担を軽減できます。

さらに、確定申告の際には適切な書類の準備が求められ、領収書や請求書、銀行の取引明細書など、税務調査に備えてこれらの書類を整理し、保存しておくことが不可欠です。これらの準備が不十分な場合、税務署からの追徴税のリスクが生じるため、毎年の申告期には確実な準備と申告が求められます。

これらの理由から、個人事業主としての確定申告は時間と労力を要する重要なプロセスであり、しばしば専門家の助けを借りて行うことが推奨されます。適切な申告を行うことで税務上のトラブルを避け、事業の健全な運営を維持することが可能となります。このプロセスを軽視すると、将来的に大きな負担となることから、個人事業主としての活動を考える際には、これらの手間と時間を考慮に入れることが重要です。

休日の自由な時間が減ってしまう

副業として個人事業を運営する際には、休日や余暇の時間も業務に充てる必要が出てきます。特に事業の初期段階では、その立ち上げや運営のために多くの時間と労力を投資する必要があるため、通常の勤務時間外にも作業を行うことが一般的です。このため、個人のプライベートタイムや家族との時間が削減され、長期にわたると心身の疲労やストレスの蓄積につながる可能性もあります。

事業を行う上での日々の業務は、顧客対応、商品やサービスの品質管理、マーケティング活動、財務管理など、多岐にわたります。これらの業務はしばしば予測不能な時間に発生するため、休日を返上して対応することも少なくありません。また、特に個人事業主の場合、業務の多くが自分自身に依存しているため、休むことが事業の進行に直接的な影響を与えることになります。

さらに、個人事業を運営することによる時間の制約は、社会生活や趣味など個人の充実にも影響を及ぼし、ワークライフバランスの崩れを引き起こす原因となります。継続的な時間圧迫は精神的なストレスや身体的な健康問題を引き起こす可能性があり、これがさらに事業の効率や成果に悪影響を与えることも考えられます。

このように、副業としての個人事業の運営は、成功に向けた努力と引き換えに、個人の自由時間の大幅な犠牲を要求します。このバランスを取ることは非常に難しく、事業を継続しながらも健康や家庭生活を維持するためには、時間管理と優先順位の設定が極めて重要になります。そのため、個人事業を始める前には、その影響を十分に検討し、可能な限り効率的な作業方法を見つけることが勧められます。

収入が多くなると税金の負担が増える

個人事業主として事業が成功し、収入が増加するにつれて、所得税や住民税の負担も大きくなります。これは、税率が進行性であるため、所得が増えるほど高い税率が適用されるからです。収入の増加が事業の成長を示す一方で、それに伴い税金の管理と計画の複雑さも増し、これを適切に行うことが極めて重要になります。

税金の増加は、特に中規模から大規模へと事業が拡大する過程で顕著に感じられます。初期の小規模事業の段階では、税負担が比較的軽微である可能性が高いですが、事業の規模が拡大し、多くの収益を上げるようになると、税金の総額も大幅に増加します。これは、収入が増えることによって適用される税率が高くなるためで、高収入に対する追加的な税金が事業主に大きな負担を与えることになります。

さらに、事業が拡大するにつれて、事業から発生する収益だけでなく、投資や資産売却からの収益に対しても税金が課されることがあります。これにより、税務処理がより複雑になり、事業主が直面する財務管理の負担は一層重くなります。効果的な税務計画を行うためには、会計士などの専門家の助けを借りることがしばしば必要となり、これがさらなる経費となることもあります。

このため、個人事業主として収入が増えることは、単に事業の成功を意味するだけでなく、税金の面での新たな課題に直面することを意味します。税金の負担が増えることは、手取り収入にも影響を及ぼすため、事業主はこの増加した税負担を如何に効率的に管理し、最小化するかが、事業の持続可能性を保つ上で重要な要素となります。

まとめ

会社員として働きつつ個人事業主としても活動することは多くの利点をもたらしますが、同時に複雑な手続き、増大する責任、そして様々なリスクが伴います。この記事を通じて、副業として個人事業を考えている方々がこれらの要因を理解し、情報に基づいた賢い決断をするための支援ができればと考えています。成功への道は準備と理解から始まりますので、慎重に検討を重ねることが重要です。