フリーランス・トラブル110番とは?厚労省と弁護士会が監修している窓口を使って自分を守ろう
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目次
フリーランス・トラブル110番とは?
近年、働き方の多様化によって、フリーランスとして会社に雇われず自由に働く人が増えてきました。
しかし、フリーランスの増加にともない報酬未払いや契約解除など相次ぐトラブルも発生しています。
そんな中、無料の弁護士による相談およびあっせん事業であるフリーランス・トラブル110番が2020年11月25日から開始されました。
そこで今回は、フリーランス・トラブル110番の概要や特徴を説明しながら、実際に起きたトラブルや相談までの流れを紹介します。
現在フリーランスで働いている方や、これから個人でお金を稼ごうと思っている方は、自分の身を守るためにも是非参考にしてみてください。
フリーランス・トラブル110番の概要
フリーランス・トラブル110番は、第二東京弁護士会が運営事業者で、内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁など各関係庁と連携しています。
運営事業者である第二東京弁護士会は全国で2番目に弁護士の数が多いことから、信頼度も高く、さまざまなトラブルに対応できる体制があります。
フリーランスは労働基準法上の労働者ではないとされており、そんな雇用関係によらない働き方をする人のために、相談事業を行っているのです。
具体的には、契約・ハラスメント・報酬の未払いなど、仕事上のトラブルが起きた時にどうすればいいかわからない人のための相談を行っています。
相談から解決まで弁護士に匿名で相談でき、相談料は無料です。
フリーランス・トラブル110番の対象って?
フリーランス・トラブル110番の対象となる方は、フリーランス・個人事業主・クラウドワーカーなどの労働基準法上の労働者でない人が対象となっています。
具体的には、以下のような職種の人が対象となる可能性があります。
- エンジニア
- デザイナー
- ライター
- フォトグラファー
- イラストレーター
- イベントプロデューサー
- トラック運転手
- シェフ
- スポーツトレーナー
- 美容師エステティシャン
- 俳優
- ダンサー
- 習い事講師
- ハンドメイド作家
フリーランス・トラブル110番で想定される相談事例とは
フリーランス・トラブル110番で想定される相談は多岐に渡りますが、ここではよく起こるトラブルとそれに対しての相談事例を紹介します。
パワハラを受けたことによる相談
フォトグラファーとして活動していたAさんは、以前納品をした会社が、契約した媒体とは違う場所で自分が納品したものが使われていることに気づきました。
そのためAさんは契約した媒体以外の媒体で使用するのをやめて欲しいと要求。
ところが相手側の会社から「金の亡者だ」「著作権なんか知るか」といった暴言を浴びせられ、文句を言うなら今後の契約を破棄すると脅されました。
あまりにも理不尽な対応に、Aさんは相談にこられました。
Aさんはできるだけ早く話し合いで解決したい考えがあったので、相談後に著作権の所有とパワハラに対する慰謝料の支払いを求めて取引先の会社と交渉。
しかし交渉はうまくいかなかったため、その後Aさんは仲介手続きを選択。
相手側である取引先の会社はパワハラをなかなか認めませんでしたが、納品物を別の媒体に使用していたことを認め、最終的には解決金を支払うことで和解しました。
このようなハラスメントを受けた場合、一番大事なのは記録を残すことです。
後で相談や争いを行う際には、相手の言動とこちらからの対応の履歴を残して置くことで、事実を照明することができます。
報酬の未払いによる相談
フリーのスタイリストとしてBさんはファッション雑誌のスタイリングを担当しました。
しかし取引先の出版社は出版延期を理由に報酬を支払ってくれません。
Bさんは何度も報酬を支払うよう掛け合いましたが、これ以上自分の力でなんとかするのは限界だと感じ、メールで相談したのです。
その後、取引先の出版社は資本金が1000万円以上あることが判明。
フリーランスが契約どおりに業務を遂行したにもかかわらず、資本金が1000万円を超える会社が契約代金の支払いを不当に先送ることは、下請法に違反する可能性があります。
そこで、Bさんに中小企業庁の下請法違反の申告窓口を紹介したところ、Bさんもそれを望んだため申告窓口に申告することになりました。
このように報酬未払いを起こさないためには、弁護士に相談しながらきちんと契約書を作成するか、契約時に前金を支払ってもらうなどの対策が有効です。
あいまいな契約による相談
フリーランスプログラマーのCさんは、得意先であるクライアントから、「いつも使っているシステムを利用できる仕事だから」と子会社の業務を紹介されました。
その後契約書を作らずにAさんは仕事を受注しましたが、実際に開発を進めるとシステムは稼働せず。結果的には必要な工数も大幅に増えてしまったのです。
Cさんはなんとか納品を完了し、追加肯定文の料金を請求しましたが、相手は支払いを拒否したのです。そこでCさんは相手に払ってもらうことはできないかと電話で相談されました。
その後Cさんに通常時と今回の工程数の違いについて聞き取りを行ったところ、システムが稼働しなかった原因はCさんの作業とは関係ないことが判明。
Cさんとしては親会社との関係をふまえ訴訟を回避したい考えだったため、和解あっせんの手続きを説明し、Aさんもこの手続きを選択しました。
その後相手側の会社も和解あっせんに応じ、話し合いの結果、追加工程分の料金を支払うことで解決できました。
今回の場合、契約書をきちんと作成しなかったAさんにも問題があります。
フリーランスが報酬未払いに遭遇しないために、契約書を作成するのは重要なことです、
仕事に着手する前には、きちんと契約書を取り交わしましょう。
報酬が低すぎることによる相談
DさんはECサイトの配達員で、1箱につき50円で荷物を配達する契約をしていました。
毎朝9時に配送センターへ行き、午後3時までに100個配達します。
さらに3時に配送センターに戻ってきた後も、夕方からまた60個配達するのです。
1日10時間働いても、160個配達するのが限界で、それだけ働いても報酬は1日たったの8000円。
このままでは生活が苦しいため担当者に報酬を上げて欲しいと要求しても、全く取りあってもらえなかったことから、電話でフリーランス・トラブル110番へ問い合わせたのです。
対応としては、まずはDさんに現在のお仕事の稼働状況をうかがいました。
それをもとに1日の報酬を時間給に換算したところ、雇用契約であれば適用される最低賃金を大幅に下回っていることが判明。
そのため、雇用契約であれば最低賃金を著しく下回るような低い報酬であることをECサイト側に対して説明し、報酬単価の増額を求めてみてはどうかとアドバイスをしました、
アドバイスを受けたDさんは改めてECサイト側と交渉したところ、サイト側は報酬が著しく低いことを認め、報酬の見直しを約束したとのこと。さらに今後は配達員の長時間労働の改善についてもらえることになりました。
Dさんのように低い報酬を受けないためには、自己防衛が必要不可欠です。
低報酬な仕事の見極め方として、ネットで評判を確認したり、会社のホームページがきちんとあるか確認したりするなど、契約前に取引先の会社をしっかり調べることが重要です。
一方的な減額による相談
WebライターのEさんは、ウェブ用のコンテンツを10記事作成することになりました。
Eさんは早々に1本原稿を書き上げ、その原稿の内容を発注者に確認したところ、特に指摘されはありませんでした。
そのため自分の記事に満足してもらっていると思い、残りの9本はまとめて記事内に納品したのです。
ところが全ての記事を納品した後に、発注者から「求めている方向性とは違うので、原稿料は値引きさせてもらう」と言われ一方的に減給をされたのです。
Eさんは驚いて記事の修正を申し出ましたが、相手にしてくれなかったため、減給された分も支払ってもらえないかと相談しにきました。
この件についての対応は、まず契約書の内容をみて報酬の決め方を確認しました。
契約書には細かい規定が記載されておらず、「納期に遅れたとき」のみ報酬の減額ができる条項のみ確認がとれたのです。
減額された報酬分の支払いを求め、Eさんは和解あっせんの手続きを選択したのです。
そのご和解あっせんの場で発注者に対し、具体的にどのような点が方向性と違っていたのか説明を求めましたが、特に具体的な説明はされませんでした。
そのため発注者は減額した分も支払い、双方が原稿作成についてもっとコミュニケーションをとりながら発注と納品を行う約束で和解が成立しました。
対策として初めて業務を受ける場合には、小さな業務からスタートさせ、お互いに信頼を積み上げていくことが大事です。
また報酬金額が大きい場合は、前金を用意してもらうこともトラブル回避のために有効な手段です。
フリーランス・トラブル110番の特徴
フリーランス・トラブル110番で想定される相談は多岐に渡りますが、ここではよく起こるトラブルとそれに対しての相談事例を紹介します。
完全匿名、秘密厳守で相談することができる
フリーランスからしてみれば、相談したことが取引先の相手にバレたりするのは避けたいところ。
仮にバレたなら契約の破棄などのリスクもあります。
フリーランス・トラブル110番では秘密厳守をモットーに、匿名での相談を受け付けています。
運営事業者である第二東京弁護士会は、全国で2番目に規模が大きい弁護士会であるため、様々なトラブルに対応できる体制が整っていて、安心して相談できます。
電話やメール、Web会議でも相談することができる
フリーランス・トラブル110番では、電話・メール・Web会議での相談を受け付けています。
特にWeb会議を使えば、資料を見せながら説明や相談ができるため、問題解決のための相談がよりスムーズに行えます。
相談から和解あっせんまで無料で受けることが可能
「弁護士に相談するんだから、結構お金がかかるんじゃないの?」と思っている方はいませんか?
フリーランス・トラブル110番では、信頼のおける弁護士に無料で相談することができます。
さらに個人での解決が難しい場合、10年以上の弁護士経験を持つ弁護士が間に入って和解まで導く和解あっせんの手続きも費用は無料です。
多額の弁護士費用が払えず、結果的に泣き寝入りするパターンも世間では多いですが、フリーランス・トラブル110番ではその心配はありません、
フリーランス・トラブル110番が設立された背景って?
あいまいな契約、ハラスメント、報酬の未払いなど、フリーランスの約半数が仕事上のトラブルを抱えているといわれています。そして、多くの方々が「どうすればいいかわからない」「評判が悪くなる」などの理由から泣き寝入りしているという現実があります。
フリーランスには労働基準法が原則適用されません。そのため労災保険に加入できず、休業補償の対象にもなりません。このような弱い立場に置かれやすい方々のための、相談できる場所が必要だという思いから、フリーランス・トラブル110番が設立されました。
フリーランスが陥るトラブルって何が多い?
フリーランスが陥るトラブルには、主に以下のトラブルが多くあります。
- 報酬の支払い遅延
- 報酬の減額
- 著しく低い報酬の一方的な蹴体
- やり直しの要請
- 一方的な発注取消し
- 役務の成果物に関わる権利の一方的な取り扱い
- 役務の成果物の受領拒否
- 役務の成果物の返品
- 不要な商品または役務の購入・利用強制
- その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
フリーランス・トラブル110番で相談する際の具体的な流れ
相談する流れをあらかじめ知っておくことで、実際にトラブルに遭遇した際にも慌てずに落ち着いて対処できるようになります。
実際に相談することになった場合の流れは下記の通りです。
① まずは電話かメールでご相談
対面またはWeb(ビデオ通話)での解決手続きを紹介できます。
なお相談する際には、
- 何に対する相談なのか
- 起こったことの時系列
- 質問事項のまとめ
- 相談に使えるような証拠や資料
を事前に整理してから連絡をすれば、よりスムーズに相談が進みます。
電話番号:0120-5320110 11:30~19:30(土日祝除く)
通話料は無料です。
メール:helppfreelance110.jp
② 必要があれば、対面もしくはWeb(ビデオ通話)でご相談
対面相談の場合、東京フロンティア基金法律事務所内にて行います。
場所:東京都新宿区左門町2番6号 ワコービル8階
相談対応の結果として、一般相談の約2割が本相談により解決しています。
また相談窓口の利用満足度は、「とても満足」「満足」で約8割という調査結果がでており、多くの方から高い評価を得ています。
③ さらにトラブルを解決したい場合
さらにトラブルを解決したい場合は、フリーランス・トラブル110番での和解あっせん手続き、もしくはその他適切と考えられる期間を紹介します。
- 和解あっせん手続き
申請の方法など、フリーランス・トラブル110番でご説明します。手続きは無料です。
- 裁判所の手続き
訴訟・民事調停等
- 公正取引委員会
独占禁止法・下請法上の申告手続きや法の解析の相談等を、相談者様が希望される場合
- 中小企業庁
下請法上の申告手続きを相談者様が希望される場合
まとめ
今回は、フリーランス・トラブル110番の概要や詳細を、フリーランスが陥りやすいトラブルとともに紹介しました。
近年では働き方の多様化が進み、フリーランスとして働く人たちが増えています。
しかし、会社員に比べフリーランスは法律に守られておらず、トラブルに巻き込まれる可能性が高い労働体系です。
会社に頼ることができないため個人で解決していくことが多いですが、それには限界があります。
そんなときは、一人で問題を抱え込まずに、信頼できるところへ相談することが大切です。
もしフリーランスとして活動しているときに困ったことがあったら、気軽にフリーランス・トラブル110番を利用してみてください。
- 労働基準法が適用されないフリーランスは、報酬の未払いや減額など、トラブルに遭遇することが多いです。
- フリーランス・トラブル110番は、フリーランスとして働く人の相談から解決まで弁護士が無料でサポートしてくれます。
- フリーランスとして働いていくためには、気軽に相談できる場所を持つことが大切です。
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