社内SEが担当する7つの仕事内容と6つのスキルとは
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目次
社内SEの仕事内容とは
社内SEとは、主に自社内におけるシステムの開発・保守運用を担うエンジニアを指します。企業におけるシステム全般に携わったりIT戦略を進めるたりするなど、自社の経営に大きくかかわる業務であるため、やりがいも感じやすい職種です。
情報システム部門のみならず全社員からのシステムに関する問い合わせにも対応するため、人脈が広がることも社内SEの特徴といえるでしょう。
社内SEの幅広い仕事内容を、次の7つにわけて紹介します。
- IT戦略立案
- 社内システムの構築・改修
- 社内システムの運用・保守
- 社内インフラの構築
- セキュリティ基盤の構築
- プロジェクトマネジメント・ベンダー管理
- ヘルプデスク業務・問い合わせ対応
IT戦略立案
社内SEの仕事としてまずはIT戦略の立案があります。企業をあげて取り組む大きな戦略から各部門で利用するシステム対応まで、規模はさまざまです。会社や各部門で抱える課題を洗い出し、ITの目線からシステムの開発・改修、新規システム導入などを提案します。
システムの開発を進めるには各部門や会社における決裁者の承認が必要であるため、システムの費用対効果や社員が使いこなせるのかなどの情報を加味して提案することが重要です。
社内システムの構築・改修
社内システムに関する企画立案が固まったあとは、システムの構築・改修段階です。IT戦略立案の時点からある程度システム要件を聞き出す必要がありますが、システム構築段階では本格的に要件を固める必要があります。
要件定義工程では、実現したいシステムに向けて開発する機能に漏れがないよう、細かく決定することが大切です。要件定義後の設計・実装段階では、社内SE自体がプログラミングを組む場合もあれば、協力会社や外部委託により実装する場合もあります。
実装を外注する場合の社内SEが担う業務は、進捗管理やマネジメント業務です。他にも、実装完了後のテストも社内SEが担当し、社内にリリースして問題ない品質かどうかを検証します。
社内システムの運用・保守
システムリリース後も、障害が起きないような運用・保守を続けることも社内SEの仕事です。
また、障害が起こった都度迅速に対応すること以外にも、事前に予測できる改修は時期未到来案件として書面でまとめておくなどの管理が必要となります。
たとえば、元号が変更となった際に入力不具合が起きないよう事前に改修することなども重要な役割です。
社内インフラの構築
社内SEは社内インフラの構築も重要な役割です。ソフトウェアやハードウェアのサポート期限やアップデートの対応など、社員が不自由なくシステムを利用できるような環境構築を実施する必要があります。
また、コロ中禍で需要が高まったリモートワークの環境構築において、社内SEの活躍が大きな注目を浴びた企業も多いことでしょう。業務に直接かかわるシステム機能の開発だけではなく、社員がストレスなくシステムを使用できる環境を構築することも社内SEの重要な役割です。
セキュリティ基盤の構築
社内SEの業務は、企業の重要な社外秘や、社員・顧客などの個人情報を漏洩させないようなセキュリティ基盤の構築が必須です。
近年、企業がランサムウェアなどのサイバー攻撃の被害に遭う報道をよく目にするようになりました。ハッカーは、企業のセキュリティの隙間を常に狙っています。
外部の脅威を遮断しセキュリティ基盤を構築することは、社内SEの重要な役割です。たとえば、ソフトウェアのアップデートやリモートワークにおける接続管理をおこなう必要があります。リモート接続がうまくいかない場合の社員のサポートなども、社内SEの仕事です。
セキュリティに悪影響を及ぼす事例が増えている一方、コロナ禍などを経てリモートワークやオンラインを通じたコミュニケーションが盛んになりました。他にも、DXが多く活用されるようになり、企業ではより一層のセキュリティ対策が求められているため、社員をウイルスやサイバー攻撃から守るために社内SEの活躍が重要視されています。
プロジェクトマネジメント・ベンダー管理
社内SEに求められるのは、個人での活躍だけではなくプロジェクトマネジメントやベンダー管理ができる能力です。
たとえば、システム構築における要件定義、実装、テスト、リリースなどの全体プロジェクト管理や、ベンダーを巻き込んだシステム開発の進行などが挙げられます。システム開発を失敗なく進めるためには、システム部門のメンバーだけをマネジメントするだけでなく、ユーザー部門に対してもマネジメントをおこなうことが重要です。
ユーザー部門はシステム開発の専門知識がないため、システム初心者にもわかりやすい説明をおこないながら、ユーザーの要件を引き出す必要があります。また、会社をあげて取り組むような大きなシステム開発の場合、複数の部門間の橋渡しをしながら各部門において必要となる検討事項をまとめることも大切です。
ヘルプデスク業務・問い合わせ対応
社内SEは、社内従業員からのITに関する問い合わせ全般に対応することも重要な役割です。情報システム部門の各従業員が問い合わせがあったタイミングで対応することもあれば、システム部門内に「社内ヘルプデスク」といった形で問い合わせに対応する専門の人員を配置する場合もあります。
問い合わせ内容としては、システムの使い方や操作方法などのすぐに回答できるものから、障害トラブルのような大きな対応までさまざまです。他にも、フォルダやファイルに対するユーザーアクセス権限の管理や、従業員ひとりひとりに対するPCのセットアップ、OSのインストールなど、対応する問い合わせジャンルは幅広い傾向にあります。
社内SEに求められる5つの知識
社内SEに求められる5つの知識は以下のとおりです。
- IT戦略の幅広い知識
- 経営・組織に関する知識
- 各部署の自社の業務に関する知識や課題把握
- 業務システム・システム開発の知識
- ソフトウェア・ハードウェアの知識
下記で詳しく解説します。
IT戦略の幅広い知識
社内SEに求められる知識のひとつに、IT戦略の幅広い知識が挙げられます。企業の発展においてIT戦略は必要不可欠といわれていますが、その重要な役割を担うのが社内SEです。
企業で進めたい戦略や事業計画にはIT知識やシステム開発が必要になる場合が多いですが、企画立案者に必ずしもITリテラシーがあるとは限りません。社内SEは、ITの知識がない従業員や、経営層などへのサポートをおこなうために幅広い知識が必要となります。
また、システム部門内の業務では、システム企画の立案やシステム費用管理、工数管理、システム基盤の保守・運用から開発の全行程における知識も必要不可欠です。
経営・組織に関する知識
社内SEに求められる知識の2つ目は、経営・組織に関する知識です。IT全般の知識だけ兼ね備えていても、社内SEとしての業務は果たせません。企業の経営や組織に関する知識も把握したうえで、ITをどのように当てはめて革新をおこなっていくのかを考えられる力が重要です。
たとえば、近年では経営層が「共創案件」や「DX推進」などを強く押している企業も少なくないでしょう。社内SEは企業の経営を担っていく一員として、経営層や組織の取り組みを全力でサポートする必要があります。
社内で起こっている課題を把握し、ITを用いてどのように課題を解決していくかの提案をおこなうことが、社内SEとしての役割です。
各部署の自社の業務に関する知識や課題把握
社内SEに求められる知識の3つ目は、社内各部署の業務に関する知識や課題把握をおこなうことです。
システム開発の場面においては、各業務で日頃から利用しているシステムの開発・改修をおこなうことが多いでしょう。社内SEは各業務の作業や業務内容を理解し、システムがどのように利用されているのかを詳しく把握しておく必要があります。
どんなに毎日システムを利用しているユーザー部門であっても、どのようにシステム要件を出せば希望通りの機能が実装されるかは判断できないことが多いです。ユーザー部門の意見を聞きながら、システム改修をおこなうアイデア出しをサポートすることも社内SEが担う役目だといえるでしょう。
業務システム・システム開発の知識
社内SEに求められる知識の4つ目は、業務システム・システム開発の知識です。社内SEの幅広い業務内容の中でも多くの比重を占めるのが業務システムの開発といえるでしょう。
システム開発においては、システム開発全体のスケジュールを決め、決められた期間内にユーザー部門と念入りに要件を詰めます。他にも、システムの実装やテスト工程、リリース作業やリリース後の確認など、システム開発全般の知識が求められるのが社内SEの特徴です。
実装に関しては、社内SE自体がプログラミングを組む場合もあれば、開発を外部委託する場合もあります。外部委託している場合でも、委託会社に正確に要件を伝えられるレベルのシステム知識が必要です。システムが動く仕組みなどを理解しておくことで、無理な要件を提示することもなくなり、手戻りも少なくなるでしょう。
ソフトウェア・ハードウェアの知識
社内SEに求められる知識の5つ目は、ソフトウェア・ハードウェアの知識です。システム部門の中でも主に基盤を支える担当者が備えておく知識になります。
たとえばハードウェアでは、社内の従業員が使用しているPCをすべて管理することも社内SEの役目です。ハードウェアの調達からトラブル対応、業務環境に合わせたハードウェア環境構築の計画や、使用者に対するPCなどの設置などがあります。
近年ではリモートワークが急増し、リモート用のPCの調達や従業員に対する貸与なども担う場面が多くなりました。
ソフトウェアにおいては、OSやMicrosoft Officeの管理などが挙げられます。保守やアップデートなどの日常的な管理も社内SEの重要な役割であり、従業員が安心して業務に取り組める環境を提供することが大切です。
社内SEに求められるスキルとは
社内SEに求められるスキルは主に次の6つです。
- システムの全体設計
- 開発スキル
- セキュリティに関するスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- ピープルマネジメントのスキル
- 各ステークホルダーとのコミュニケーションスキル
下記で詳しく解説します。
システムの全体設計
社内SEに求められるスキルの1つ目は、システムの全体設計スキルです。決められた設計書通りにプログラミングを組むプログラマーとは異なり、社内SEは開発するシステムの全体像を描きながら設計をおこなうことが必要となります。
ユーザー部門と直接やりとりする社内SEは、他の業務システムとの連動を考えて使いやすさを追求することも大切です。常にシステム全体の動きに気を配りながら、できる限りユーザーの要望を取り入れたシステム設計をおこなうことを意識しましょう。
開発スキル
社内SEは開発スキルを持ち合わせておく必要があります。主な開発スキルは以下の3つです。
- プログラミングスキル
- データベース設計のスキル
- インフラ設計のスキル
プログラミングスキル
社内SE自体が実装する場合はプログラミングスキルが必要不可欠です。プログラミング言語は、企業や開発環境によって使用している種類がさまざまあります。
ベンダーに実装を委託している社内SEは、プログラミングスキルが全く必要ないというわけではありません。
たとえば、プログラミングの知識や思考が身についていないと、システムが意図した通りに動くような処理をベンダーに指示できない場合があります。他にも、プログラミングの知識やスキルを持ち合わせておらずプログラマーに丸投げしている場合、社内システムで障害やバグが発生した際、いちいちベンダーに問い合わせる事態になるでしょう。
障害などはできる限り早く復旧する必要があり、ベンダーに素早く的確な指示を出す必要があります。そのためには、プログラミングの基礎知識は持ち合わせておいたほうが有利に働くでしょう。
データベース設計のスキル
社内SEには、データベース設計のスキルが求められる場合もあります。データベースは社内システムにおいてあらゆる場面で基盤となる存在であるため、システムを設計する際にデータベースの知識を持ち合わせていないと的確に実装の指示を出せないこともあるでしょう。
直接データベースを設計する業務を担当していない場合も最低限のSQLの知識を持ち合わせていれば、プログラミングスキル同様、障害時などの対応や要件定義などにおいてその知識が有利に働くことは間違いありません。
インフラ設計のスキル
社内SEは、社内システムを安定稼働させる役割があるため、インフラ設計のスキルが必要です。
社内インフラを整備するために、サーバーやネットワーク環境などの幅広いインフラ知識を兼ね備えておく必要があります。
セキュリティに関するスキル
社内SEは、セキュリティに関するスキルも求められます。主なセキュリティスキルは次の2つです。
- ファイアウォールの設計と構築
- セキュリティソフトの活用
下記で詳しく解説します。
ファイアウォールの設計と構築
社内SEのセキュリティ対策で必要不可欠な事例に、インターネットの接続環境の構築や社内LANの構築がよく挙げられますが、ルーターを介して拠点間でVPNを構築する必要もあります。
たとえば、インターネット上にサーバーを公開しネットの環境構築も自社で担っている場合は、ファイアーウォールを用いて通信制限をおこなうことが重要です。
単にネットワークセキュリティといっても社内SEがおこなうべきセキュリティ対策は多岐にわたるため、幅広い知識も求められます。
セキュリティソフトの活用
社内SEは、セキュリティソフトの活用も必須事項です。ウイルスやマルウェア、スパムやフィッシングなど、あらゆる脅威に対してセキュリティ対策を実施する必要があります。
たとえば、従業員が使用するすべての機器には、ウイルス対策のソフトを導入するべきです。近年増加しているリモート用などの持ち出しPCの場合は、利用時に定義ファイルの更新を確認することも大切です。
プロジェクトマネジメントスキル
社内SEにはプロジェクトマネジメントスキルも求められます。自部門だけでなく、ユーザー部門や経営層、ベンダーや協力会社など全体を巻き込んでプロジェクトを率いる能力があれば、価値のある社内SEとして認められるでしょう。
社内SEとして更にステップアップしたい場合や管理職につきたい場合は、PM層としてプロジェクトマネジメントを実施し、経営層や部門内から頼りにされる存在となる必要があります。
ピープルマネジメントのスキル
社内SEにはプロジェクトマネジメント以外にも、ピープルマネジメントの能力が求められます。組織やプロジェクトの全体像を把握して取り組むことも必要ですが、従業員ひとりひとりに向き合い気配りする姿勢ができていればキャリアパスなどにも有利に働くでしょう。
たとえば、業務の隙間や空き時間などにチームメンバーと雑談することも有効な方法です。もし悩んでいる従業員がいたとしたら、サポート力も求められます。他にも、1on1の実施や、プロジェクトの垣根を超えた情報のキャッチアップなどをおこない、メンバーが働きやすい環境を構築しましょう。
各ステークホルダーとのコミュニケーションスキル
社内SEには、各ステークホルダーとのコミュニケーションスキルが求められます。社内SEが業務を進める上で欠かせないのが、社内調整です。システム部門にとって社内の各部署はクライアントのような存在であるため、クライアントの要望を聞きつつ業務を滞りなく進める必要があります。
社内調整をおこなうためにはコミュニケーションスキルが必須です。たとえば、部門をまたぐような大型案件に取り組む場合、各部門同士がシステム部門を通さずに話をすすめてしまい、システム開発内容の認識相違で衝突するといった事例も少なくありません。
社内SEは、どの部門でどこまで話が進んでいるのかを把握し、部門間の橋渡し的な役割を担うことも大切です。
また、クライアントはITリテラシーが高いわけではないので、できる限りわかりやすい用語を用いて説明する能力も、求められるコミュニケーションスキルとして把握しておきましょう。
社内SEにオススメしたい取っておくと良い資格
社内SEにオススメしたい資格を4つ紹介します。
- LinuC(Linux技術者認定資格)
- CCNA
- CCNP
- プロジェクトマネージャ試験
LinuC(Linux技術者認定資格)
技術系の資格で取得しておきたいのはLinuC(Linux技術者認定資格)です。クラウド時代の即戦力であることを証明する資格として注目されており、オンプレミスだけでなくクラウドのスキルを持ち合わせている人材であることをアピールできます。
CCNA
社内SEが取得しておきたい技術系の資格には、CCNA(シスコ技術者認定資格)もあります。社内においてシスコシステムズ製品を使用している場合におすすめの資格です。インフラエンジニアとして働く場合における入門的な資格として位置づけられています。
いわゆるネットワーク技術におけるベンダー資格のひとつで、入門から上級レベルまでおおむね5段階のレベルにわかれています。
CCNP
CCNAと同じくシスコ技術者認定資格のひとつとして、CCNPがあります。CCNAよりも上位資格として扱われ、応用的な知識が求められるのが特徴です。
CCNPを取得すればネットワークエンジニアの上級者として扱われるため、CCNAを取得したあとに挑戦すると良いでしょう。
プロジェクトマネージャ試験
マネジメント系の資格で取得しておきたいのは、プロジェクトマネージャー試験です。プロジェクトマネジメントのスキルを示せる資格と言えるでしょう。記述や論述が求められる問題があるため、文章力も問われます。
社内SEとして現場をまとめる立場の場合は取得しておくべき資格ですが、これから管理職につきたい、キャリアパスしたいと考えている人にもおすすめです。
社内SEが資格を取得するメリットとオススメな資格は、こちらの記事で詳細にまとめていますので合わせてご覧ください。
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まとめ
本記事では、社内SEの仕事内容や求められる知識・スキル、取得しておきたい資格について紹介しました。
社内SEには幅広い業務知識やスキルが求められます。経営層や各部門を巻き込んだマネジメント能力や社内調整能力なども求められるため、多くの人とかかわりを持ちながら仕事をすることにやりがいを感じられるでしょう。
社内SEとして成長できれば、IT知識全般を持ち合わせた人材になれます。幅広い知識を身につけるには資格取得もおすすめの方法であるため、資格の勉強とあわせて知識のレベルアップを目指せると良いでしょう。
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