業務委託契約者の請求書の書き方。擦り合わせるべき内容と注意点とは
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目次
そもそもなぜ請求書が必要なのか
請求書とは、サービスや商品の提供をした事業者が、その料金を購入者に対して明確に伝えるための重要な文書です。業務委託契約者として、請求書の作成は避けて通れない作業と言えるでしょう。では、具体的になぜ請求書が必要なのでしょうか。その2つの理由を見ていきましょう。
クライアントとの金銭トラブルを防止してくれる
請求書は、業務委託契約者がクライアントに対して行った業務に対する対価を明記した文書です。つまり、これは正式な「お金を支払うべき理由」を示すものです。これにより、クライアントがどの業務に対していくら支払うべきかを具体的に把握でき、金銭的なトラブルを未然に防ぐことができます。例えば、クライアントが依頼した業務の内容やその対価について誤解が生じてしまった場合、請求書を参照することで事実関係を明確にし、無駄な議論を避けることができます。
自分自身の会計管理としても活用できる
業務委託契約者自身にとっても、請求書は重要な会計文書の一つです。それは自分がどのクライアントからいくらの収入を得たかを記録するための有力なツールであり、それを通じて収支管理を行うことができます。具体的には、月々の収入や年間の収入を正確に計算したり、特定のクライアントからの収入を把握したりすることが可能です。これは、自身のビジネスの状況を把握し、必要な経営判断を下すために不可欠な情報です。
確定申告で活用できる
業務委託契約者は個人事業主である場合が多く、確定申告が必要となる場合があります。その際、請求書は自身が得た収入を証明する重要な証拠となります。税務署に提出するための書類作成や、税務調査が行われた際の資料として、請求書を適切に保管しておくことが推奨されます。
以上のように、請求書はクライアントとの円滑な取引を確保するため、自身の会計管理を行うため、そして確定申告を適切に行うために必要な文書となります。業務委託契約者は、請求書の重要性を理解し、適切に作成・管理することが求められます。
業務委託契約者が請求書に記載しておきたい事項とは
次に、業務委託契約者が請求書に記載しておきたい事項を詳しく見ていきましょう。請求書を作成する際には、以下の事項を必ず記載することが推奨されます。これらの事項を忘れずに記載することで、クライアントとの円滑な取引を確保し、また税務調査等に備えることができます。
書類作成者の氏名・屋号・名称
まず、請求書の発行者であるあなた自身の氏名、または屋号、名称を明確に記載することが必要です。これにより、どの企業や個人からの請求書であるかをクライアントが確認できます。特に、事業所が複数ある場合は、どの事業所からの請求かを明示することが望ましいです。
取引年月日の記載
取引(業務の提供)がいつ行われたのかを明確に示すため、取引年月日も請求書に記載します。これにより、業務の提供日と請求書の発行日が一致しない場合でも、クライアントが取引の内容を理解しやすくなります。
取引内容
取引内容を具体的に記載することで、クライアントがどの業務に対して支払いを行うのかを理解しやすくします。具体的な作業名や業務の内容、または商品の詳細などを記載します。
消費税は別で記載
請求金額には消費税が含まれることが一般的ですが、消費税の金額は別途記載して明確にすることが望ましいです。これにより、クライアントは支払いの内訳を明確に理解し、税務処理を正確に行うことができます。
請求書の提出先事業者の氏名・名称
請求書は特定のクライアント宛に提出するものであるため、そのクライアントの氏名や名称を明記します。これにより、請求書が適切な相手に送付されることを確認できます。
発行日
請求書の発行日を明記します。これは請求書がいつ作成されたか、またはいつクライアントに提出されたかを示すためです。
支払い期限
支払い期限を明記することで、クライアントはいつまでに支払いを完了すべきかを知ることができます。期日を明示することは、報酬の遅延支払いを防ぐためにも重要です。
振込先
支払いを受け取るための銀行口座情報を明確に記載します。銀行名、支店名、口座種別(普通・当座)、口座番号、口座名義を確認してから記入してください。
備考欄
請求書に特記事項がある場合、備考欄に記載します。例えば、特定のプロジェクト名や、支払い方法の詳細など、請求書を見た人が必要とする追加情報をここに記入します。これにより、クライアントは業務提供者の求める具体的な条件等を理解できます。
以上が、業務委託契約者が請求書に記載するべき主要な項目です。これらを適切に記入し、自身の業務をきちんとクライアントに理解してもらうことで、スムーズな取引と確実な報酬受領に繋がります。
業務委託契約者が請求書を作成する際に工夫・注意しておきたいこと
請求書作成時には単に必要な情報を記載するだけでなく、いくつかの工夫と注意が必要です。これらを適用することで、より適切な請求書が作成でき、クライアントとのスムーズな取引が可能となります。
請求書番号をつける
請求書には必ず一意の番号(請求書番号)を付けるようにしましょう。これにより、同じクライアントに対する複数の請求書を簡単に管理でき、問題が発生した際にも迅速に対応できます。請求書番号は、発行日やクライアント名などを組み合わせて生成することが一般的です。シンプルで規則性のある番号体系を設定することで、後々の請求書管理もスムーズになります。
源泉徴収される場合は金額を明記
報酬に源泉徴収が適用される場合、その金額を明確に請求書に記載しましょう。源泉徴収は所得税の一種であり、請求書を受け取ったクライアントが税務署へ直接支払うため、その額を請求金額から引いた形で報酬を受け取ります。徴収金額を明示することで、クライアントに誤解を生むことなく、また自身の税務処理もスムーズに行えます。
請求書はPDFで送付する
請求書は、編集のしやすさを考慮し、ワードやエクセルで作成することが一般的です。しかし、これらの形式で送付すると、誤って内容が変更される可能性や、フォントやレイアウトが崩れるリスクがあります。そのため、請求書はPDF形式で送付することが望ましいです。PDF形式は内容が固定され、表示も統一されるため、自身が作成した請求書を正確にクライアントに伝えることができます。
これらの工夫と注意を心掛けることで、業務委託契約者はより円滑な取引を行うことが可能となります。また、これらは請求書を作成する際の基本的なスキルであり、これらをマスターすることでプロフェッショナルな業務委託契約者としての地位を確立することができます。
業務委託契約をする際に請求周りでクライアントと擦り合わせるべき事項とは
業務委託契約者として活動する際、請求書の取り扱いは業務遂行の一部と同様に重要です。これを適切に行うためには、契約前の段階でクライアントと詳細を擦り合わせ、共通認識を持つことが必須です。
取引相手の締日はいつか
請求書の発行タイミングは、クライアントの会計処理に大きな影響を及ぼします。そのため、契約開始前にクライアントの決算締日を確認し、その日にちに合わせて請求書を提出するようにしましょう。これはクライアントの会計処理を円滑に進めるだけでなく、迅速な支払いを促す効果もあります。
単価交渉
契約開始前には、業務内容に対する報酬の単価を明確にしておくことが重要です。これは自身の業務価値を適切に評価し、公平な報酬を受け取るための基本的なステップです。単価は業務の内容や市場価値、自身のスキルレベルなどに基づいて適切に設定し、クライアントとの間で合意に至りましょう。
交通費の上限額
業務実施に伴う交通費の負担についても、契約前に明確な取り決めをしておくことが望ましいです。交通費の上限額や、どのような交通手段の費用を負担してもらえるのか、具体的な報告方法など、詳細を擦り合わせておくと良いでしょう。
振込手数料は事前に確認
請求金額の支払い方法についても、詳細を確認しておきましょう。特に振込手数料の負担については、どちらが負担するのか明確にしておくことで、後々の誤解を防ぐことができます。
提出方法
最後に、請求書の提出方法についても事前に合意しておくことが重要です。郵送にするのか、電子メールで送付するのか、また、特定の請求書管理システムを使用するのかなど、クライアントの希望に合わせた方法を選びましょう。これにより、請求書がクライアントに確実に届き、適切に処理されることが確実になります。
業務委託契約者が請求書回りで注意しておきたい3つのポイント
業務委託契約者として、請求書の作成と送付は重要な業務の一部です。しかし、適切な請求書作成にはいくつかのポイントに注意が必要です。ここでは、業務委託契約者が請求書作成において注意すべき3つのポイントについて深堀りします。
金額の表記もわかりやすく統一する
請求書は、業務委託契約者とクライアント間の金銭的な取引を明文化したものであり、その表記方法には一貫性と明瞭さが求められます。特に金額の表記については、紛らわしさを避けるため、統一的な書式を用い、数字の桁数が大きい場合は3桁ごとにカンマを入れるなど、視認性を高める工夫が必要です。
具体的には、業務の内容ごとに単価と数量、そしてそれに対する金額を明記します。また、税込み価格と税抜き価格は明確に区別し、どちらで表示しているのかを明示しましょう。これらを統一的に行うことで、クライアントにとって読みやすい請求書を作成することができます。
インボイス制度への対応
最近では、企業間取引において電子化が進み、特に大手企業を中心に電子請求書(インボイス)の導入が進んでいます。業務委託契約者がクライアント企業に請求書を提出する際、企業が電子請求書システムを導入している場合には、そのシステムに対応できるように準備しておくことが求められます。この準備には、電子請求書システムの操作方法の理解や、自身の請求書データをシステムが対応する形式に変換できる能力などが必要となります。
そのような状況下で特に注目されているのが2023年の10月より適応されるインボイス制度です。インボイス制度は、請求書を電子的に発行・保存できる制度で、紙の請求書を廃止し、デジタル化を進めることで環境負荷の軽減や業務効率化を図るものです。この制度に対応することで、自身の業務効率化はもちろん、クライアントとの取引をスムーズに行うことが可能となります。
消費税や振込手数料、源泉徴収の書き方もわかりやすくする
請求書には、サービスの報酬以外にも消費税、振込手数料、源泉徴収税などの金額を記載する必要があります。これらの金額はそれぞれ異なる法的性質を持つため、その記載方法には注意が必要です。消費税は税込み価格と税抜き価格のどちらを表示するか、振込手数料はクライアント側が負担するのか自己負担とするのか、源泉徴収はどのように計算し表示するかなど、明確でわかりやすい表記を心がけることが重要です。これらのポイントを押さえ、正確で明瞭な請求書を作成することで、クライアントとの円滑な取引を実現しましょう。
オススメな請求書テンプレート
業務委託契約者が請求書を作成する際、手間を省きつつ、プロフェッショナルな見た目を持ったものを作り出すための請求書テンプレートが多く存在します。ここではその中からいくつかを選び、紹介します。
MFクラウド
MFクラウドは、クラウド上で会計、経費精算、請求書の作成が可能なサービスです。見た目が美しく、操作性も高い請求書が作成可能で、各種業務の管理にも役立ちます。
Misoca
Misocaは、請求書の作成から送付、支払いの管理まで一元的に行うことができるサービスです。複数のデザインテンプレートから選ぶことができ、自社のブランドイメージに合った請求書の作成が可能です。
Square
Squareは決済サービスを提供している企業で、その中には請求書作成機能も含まれています。こちらもオンラインでの作成から送付、支払いの追跡まで一括管理できます。
みんなのExcelテンプレート
こちらは、Excelを使用したテンプレートの提供サイトで、無料で多くのテンプレートがダウンロード可能です。請求書のテンプレートも多く、自分でカスタマイズして使うことができます。
bizocean – 書式の王様
bizoceanは、さまざまな文書や書式のテンプレートを提供するサイトで、その中には請求書のテンプレートも含まれています。多くの業種・業界向けのテンプレートが提供されており、自分のビジネスに最適なものを選ぶことが可能です。
これらのサイトを活用して、業務をスムーズに行うとともに、自社の信頼性向上に繋がる請求書を作成しましょう。
まとめ
業務委託契約者が請求書を作成する際には、明確かつ適切な記載事項が重要です。これには、作成者の氏名や屋号、取引の年月日、内容、消費税の記載、提出先事業者の氏名、発行日、支払い期限、振込先、そして備考欄が含まれます。また、請求書番号の付与、源泉徴収の明記、PDF形式での提出などの工夫も必要です。さらに、クライアントとの取引開始前には、締日、単価、交通費上限額、振込手数料、提出方法などを擦り合わせることが必須です。表記の統一、インボイス制度への対応、消費税や手数料、源泉徴収の書き方の明瞭さなども注意点となります。これらを全てクリアにし、さらにはオンラインのテンプレートを活用することで、効率的かつ正確な請求書作成を行うことが可能です。
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