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SIerは「腐ってる」と言われる5つの背景と後悔しないために持っておきたい視点とは


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はじめに

SIer(エスアイヤー)は、情報システムの開発や導入、運用などを専門に行う企業や組織のことです。ビジネスの効率化やデジタル化が進む現代社会において、SIerの役割はますます重要性を増しています。

一方で、最近はSIerに対して「腐ってる」という批判的な声も見られます。

この記事では、SIerは「腐ってる」と言われる5つの背景と、後悔しないために持っておきたい視点について解説します。

SIerは「腐ってる」と言われる5つの背景とは

SIerに対して「腐ってる」と言われる背景は以下の5つです。

  1. 多重下請構造
  2. 旧態依然とした体制で変化がない
  3. 親会社からの「天下り」
  4. システムのことがわからない高齢社員・上層部の折衝で疲弊する
  5. 若手が育つ環境がない

順番に解説します。

多重下請構造

多重下請け構造は、SIer業界における重要な課題の1つです。

これは、1つのプロジェクトが大手SIerから中小SIerへと委託され、更に下層になるにつれて企業の利益が減少し、作業負担が増加する構造を指します。

大手SIerがクライアントと契約した後、設計や開発、運用などの一部を中小SIerへ下請けとして委託されます。さらに、中小SIerから更に下位のSIerへとプロジェクトが委託されることもあります。

多重下請け構造の問題点は、利益が薄れることで下位のSIerが適切な報酬を得られない可能性があることや、コミュニケーション不足や誤解が生じることです。

これにより品質や納期の問題が発生し、プロジェクトの成功に悪影響を及ぼすこともあります。多重下請け構造の解消や改善が求められる課題として、業界全体での取り組みが重要です。

旧態依然とした体制で変化がない

旧態依然とした体制で変化がないこともSIerが腐ってると言われる要因です。

長年にわたって築かれた組織の慣行や文化が変革を阻害し、新しい技術や市場の変化に迅速に対応できなくなる傾向があります。

また、旧態依然とした体制では、従業員のモチベーションが低下し、組織内の意欲的な人材が退職する可能性も高まります。

これは、若手社員は自らのスキルやアイデアを活かせる環境を求めており、SIerの将来性やキャリアパスに疑問を抱くためです。新しいことに挑戦したいという若手社員や能力を発揮したいと考える中堅社員にとって、変化のない環境は魅力的ではありません。

さらに、若手社員の離職によりSIer内の社内が高齢化するという懸念もあります。高齢の社員が多い場合、新しい視点や若者特有のアイデアが欠如し、イノベーションが阻害されます。

SIerが持続的な発展を遂げるためには、これらの課題に対処し、組織の活性化と若手の育成に注力する必要があるでしょう。

親会社からの「天下り」

SIer業界の親会社からの「天下り」と呼ばれる人材移動も問題です。

天下りの目的は、新しい開発案件を獲得するためですが、このような人材移動が頻繁に行われると、SIerの技術力や組織の安定性に影響を与える可能性があります。

開発案件を獲得できても、それに見合った技術力がないSIerがプロジェクトを引き受けると、無理な働き方が強いられ、納期に間に合わないことも起こり得ます。

また、開発が失敗した場合、SIerはクライアントに多額の損害賠償を支払わなければなりません。

親会社からの「天下り」が頻繁に行われると、SIer内部の人材流動性や組織の安定性に影響を及ぼすでしょう。

システムのことがわからない高齢社員・上層部の折衝で疲弊する

SIerの問題の1つは、システムの理解が不足する高齢社員や上層部の折衝で疲弊してしまうことです。

高齢社員がシステムの最新技術について理解不足である場合、プロジェクトの進行や品質に影響を及ぼす可能性があります。また、上層部の折衝が煩雑で効率的な意思決定が遅れることも問題です。

意思決定が遅れると、プロジェクトの進捗も予定通り進まないことが多く、クライアントとの信頼関係が揺らぎます。このような状況では、プロジェクトメンバーのモチベーションが低下し、組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすでしょう。

SIerは敏捷性と柔軟性が求められるため、組織内のシステム理解と意思決定プロセスの改善が必要です。

若手が育つ環境がない

SIerが「腐ってる」と言われる最後の1つが、若手が育つ環境の不足です。

若手社員が新しいアイデアやチャレンジを試みるものの、失敗するとマイナス評価やペナルティを受ける傾向があります。

上司がマイクロマネジメントし、若手社員の裁量を奪ってしまうこともあります。さらに、無駄な会議が頻繁に行われるため、本来の業務に集中できない環境も問題です。

これらの要因が重なり、若手社員の意欲が低下し、チャレンジ精神や創造性が阻害される結果となります。

SIerが活気に溢れる組織であり続けるためには、若手社員を育成し、自由な発想やアイデアの提案を奨励する風土を築くことが重要です。

日本のシステム会社の大きな失敗事例

日本のSlerには過去にいくつか大きな失敗事例が存在します。

これらの失敗事例により、Slerは情報システムの開発や運用において重要な課題を抱え、顧客や利用者に深刻な影響を与える結果となりました。

この記事では、「みずほ銀行」と「東京証券取引所」の2社で起きたシステム障害について、順番に解説します。

みずほ銀行の繰り返されるシステム障害

みずほ銀行は過去に複数の大規模なシステム障害を経験しており、最近では、2021年2月から2022年2月までの12カ月間に合計11回ものシステム障害が発生しました。

特に大きなシステム問題となったのが、2002年4月と2011年3月のシステム障害です。

2002年の障害では、ATMの不具合により預金・出金ができなくなり、多くの顧客が取引に支障をきたしました。さらに、インターネットバンキングにも影響が及び、顧客の個人情報が漏洩するといった深刻な問題に発展しています。

2011年の障害では、システムの入力エラーが原因で数日にわたってATMが使用不能となり、多くの顧客が預金や出金ができない状況に直面しました。

これらのシステム障害は、多重下請け構造による情報共有の遅れやITシステムの統制力の不備、顧客目線への配慮の欠如などが要因とされています。

みずほ銀行はこれらの問題点を解決し、再発防止に取り組んできましたが、依然としてシステム障害のリスクは残っています。顧客の信頼回復と安定したサービス提供のために、継続的な改善と対策が必要とされています。

東証のシステム障害

2020年10月1日には、東京証券取引所(東証)でシステム障害が発生しました。

この障害により、取引所のシステムが停止し、株式取引や先物取引、オプション取引などの取引が一時的に中止されました。これにより市場の安定性にも影響が及び、多くのトレーダーや投資家に大きな影響を与えました。

東証のシステム障害の背後には、複数の要因が指摘されています。

その1つは、システムの老朽化や過負荷が原因であったとされています。また、東証のシステムは過去にも複数回の障害を経験しており、過去の経験から学びが不十分だった可能性も考えられます。

このようなシステム障害は金融市場にとって深刻な問題であり、信頼性と安定性の向上が不可欠です。

東証は事後対応として、システムの強化や予防策の強化を進めています。しかし、引き続きシステムの安定性を確保するためには、技術の向上とリスク管理の徹底が重要と言えます。

SIer企業へ行くのは「悪」なのか?後悔しないために持っておきたい判断基準

SIer企業への就職や転職は「悪」なのでしょうか。

では、SIer企業への道を選ぶべきなのか、それとも他の選択肢を探るべきなのか。後悔しないためには、どのような判断基準を持つべきでしょうか。

ここからは、SIer企業を選ぶ際に考慮すべき判断基準と身につくスキルを解説します。

具体的には以下の6つです。

  1. どのようなスキルが身につくのか(身につけたいのか)
  2. 業績が安定しているか
  3. さまざまな業界とつながりがあるか・特定業界に強みがあるか
  4. 元請けで案件を獲得しているか
  5. 営業力が高く実績はあるか
  6. 自分が納得できる待遇か

順番に解説します。

どのようなスキルが身につくのか(身につけたいのか)

SIerで身につくスキルは多岐にわたります。主なスキルは、以下の8つです。

スキル 説明
①要件定義 顧客とコミュニケーションを取りながら、システムの要件を明確化・整理する
②外部設計 要件を基にシステム全体の設計や仕様書を作成する
③内部設計(プログラム設計) 外部設計を基にプログラムの詳細な設計する
④開発(プログラミング) 設計を元にプログラムを実装する
⑤テスト システムの機能や品質を確認するテストを計画・実施する
⑥システム移行 既存システムから新システムへの移行を計画・実施する
⑦運用・保守 システムの運用や障害対応、メンテナンスする
⑧プロジェクトマネジメント ロジェクト全体を計画・進行・管理する

さまざまなプロジェクトに携わる経験は成長に繋がり、自己成長やスキルアップに積極的に取り組むことで、より多くのチャンスが拓ける可能性があります。

業績が安定しているか

SIer企業を選ぶ際の重要な判断基準の1つは、業績の安定性です。

業績が安定している企業は、長期的な経営戦略を持ち、経済的な厳しい状況にも柔軟に対応できる傾向があります。安定した業績は、従業員にとって安心感をもたらし、企業の成長や発展に対する信頼を高めるでしょう。

業績の安定性を確認する際には、企業の財務諸表や過去の業績推移、業界内での競合他社との比較などを参考にすることが重要です。安定した業績を持つSIer企業を選ぶことで、安心して働き、キャリアを築けるでしょう。

さまざまな業界とつながりがあるか・特定業界に強みがあるか

Sler企業の業界でのつながりも判断基準になります。

多様な業界とのつながりがあるSIer企業は、様々なクライアントのニーズに対応できる柔軟性があります。異なる業界のプロジェクトに携わることで、技術やノウハウの幅広い知識を身につけられ、新たなチャレンジにも対応しやすくなるでしょう。

特定業界に強みを持つSIer企業は、その業界のニーズや課題に精通しており、専門性の高いサービスやソリューションを提供することが可能です。その業界での実績や信頼性が高まります。特定業界においては競合他社との差別化が重要であり、強みを持つSIer企業は優位性を築けます。

SIer企業のウェブサイトや実績、顧客のリストを調べることで、さまざまな業界とのつながりや特定業界における強みを把握できます。自分が興味を持つ業界や得意分野に合致するSIer企業を選ぶことで、自身の専門性を発揮し、キャリアの成長につながるでしょう。

元請けで案件を獲得しているか

元請けとは、顧客企業と直接契約してプロジェクトを受注し、そのプロジェクトを主導して進行する立場を指します。つまり、直接的なクライアントとの契約を獲得できるSIer企業です。

元請けで案件を獲得すると、クライアント企業との直接的な関係を築けるため、コミュニケーションがスムーズになります。

さらに、中間マージンを差し引かずに直接契約するため、企業の収益性が向上します。結果として、従業員の給与にもプラスの影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。

元請けで案件を獲得するSIerは、クライアントからの信頼を得られるだけでなく、自社の成長と従業員の満足度向上にも影響します。

そのため、SIer企業の健全性と将来性を判断する際に重要な判断基準と言えます。

営業力が高く実績はあるか

営業力の高さは新規顧客の開拓や既存顧客との信頼関係構築につながります。営業担当者のプロフェッショナリズムや積極性、顧客のニーズを理解し提案する能力が重要です。

実績のあるSIerは、過去に成功したプロジェクトや実績を持っており、それが信頼性や専門知識を証明します。クライアントは成功した企業との取引を好むため、実績があることは新たなプロジェクトを獲得する上での強みとなるでしょう。

自分が納得できる待遇か

SIer企業を選ぶ際の最後の判断基準は、自分が納得できる待遇かどうかです。給与や福利厚生、ワークライフバランスなどの待遇面が大切な要素となります。

給与面では、自分のスキルや経験に見合った適切な報酬が提供されているかを確認しましょう。また、ボーナス制度や昇給の機会についても重要なポイントです。

福利厚生に関しては、健康保険や厚生年金、退職金制度などが適切に整っているかをチェックします。安心して働くためのサポートが整っているかも重要な要素です。

さらに、ワークライフバランスも待遇の重要な側面です。有給休暇や育児休暇、フレックスタイム、リモートワークの制度が整っているかを確認し、自分のライフスタイルに合った働き方が可能かを検討します。

さらに、キャリアパスや成長機会についても重視しましょう。企業が従業員のスキルアップやキャリア成長をサポートする研修制度やキャリアアップの機会が整っているかを確認することで、長期的なキャリア形成が可能になります。

自分が納得できる待遇が提供されている企業を選ぶことで、仕事へのモチベーションを高め、充実した職業生活を築けるでしょう。

SIer企業以外の選択肢はどのようなものがある?

最後に、SIer企業以外の選択肢を解説します。

最近では、情報技術の進化とデジタル化の進展により、SIer企業以外でも多様なキャリア選択肢が広がっています。

SIer企業以外の選択肢は以下の4つです。

  1. 自社開発の事業会社で働く
  2. Web開発の受託会社でスキルを磨く
  3. SAPエンジニアなど、特定領域のスペシャリストを目指す
  4. システム開発の知識があるビジネス職へキャリアチェンジする

順番に解説します。

自社開発の事業会社で働く

自社サービスや製品を開発・提供する企業での勤務は、開発者が自らのアイデアやスキルを活かす絶好の機会です。製品に情熱を注ぎ込み、ユーザーのニーズに応えることで、自己成長にもつながるでしょう。

また、自社開発の場合、プロジェクトの幅広さや自由度が高い場合もあり、クリエイティブなアプローチが可能です。

Web開発の受託会社でスキルを磨く

Web開発はデジタル時代において重要な分野であり、Webサイトやアプリケーションの需要は年々増加しています。

Web開発の受託会社で働くことで、多様なプロジェクトに携わりながら技術スキルを磨けます。クライアントのニーズに合わせたカスタマイズ開発やUI/UXの改善、最新の技術の導入など、刺激的な仕事に関わる機会もあるでしょう。

また、短期間で成果を出すためにスピード感が求められるため、スキルアップも効果的です。

SAPエンジニアなど、特定領域のスペシャリストを目指す

SIer企業では、システムの全般を手がけるエンジニアが多い一方で、特定領域のスペシャリストも需要があります。

例えば、SAPエンジニアはSAP製品に特化した専門知識を持つことで、大手企業のシステム導入プロジェクトに携われます。他にも、セキュリティエンジニアやデータサイエンティスト、AIエンジニアなど、特定の分野に特化した専門家として活躍する道もあります。

深い知識を身につけることで市場価値が高まり、高収入のチャンスを手にできるでしょう。

システム開発の知識があるビジネス職へキャリアチェンジする

SIer企業でのシステム開発経験を活かし、ビジネス職にキャリアチェンジすることも1つの選択肢です。

システム開発者の経験を活かしてプロジェクトのマネジメントや要件定義、システム導入のコンサルティングなど、ビジネスに関わる業務にキャリアチェンジが可能です。

システム開発の知識を持つことで、ビジネスと技術の両面から課題を理解し、効果的な解決策を提案できることが強みとなります。

まとめ

今回の記事では、SIer企業が「腐ってる」と言われる背景として、多重下請構造、旧態依然とした体制、親会社からの「天下り」、システムの理解に欠ける高齢社員・上層部の折衝、若手育成の不備を取り上げました。

これらの要因がSIer企業の信頼性や運営に影響を及ぼすことが指摘されています。

そして、「後悔しないために持っておきたい視点」として、業績の安定性、業界内のつながり、元請けかどうか、営業力の有無、そして自分が納得できる待遇などが重要です。

これらの視点を踏まえつつ、SIer企業以外の選択肢を検討し、自身のキャリア目標に適した道を選択しましょう。自社開発や特定領域のスペシャリスト、ビジネス職へのキャリアチェンジなど、多様な選択肢があります。

将来のビジョンを明確にし、自分自身の価値観や目標に合う選択で、後悔を回避し、より充実したキャリアを築けるでしょう。

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