WebGLとは?オススメなライブラリと具体的なサイト事例を紹介
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目次
はじめに
WebGLは、その高度なグラフィックス処理能力と利便性により、世界的に注目が集まりつつあります。
WebGLとは、簡単にいえば、ウェブブラウザ上で複雑な3Dグラフィックスを実現する技術です。
この記事では、WebGLを活用したライブラリと日本、海外の印象的なサイト事例を紹介し、その魅力と実用性を解説します。
WebGLの基本から応用例、さらには実際のサイト事例までを短時間で理解できるので、WebGLを用いたデザインや開発に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
<この記事を読むとわかること>
- WebGLとは何か、その基本的な特徴
- WebGLを活用した代表的なライブラリ
- 日本と海外での具体的なWebGL活用事例
- WebGLを使ったサイトデザインのメリットと可能性
WebGLとは
WebGL(Web Graphics Library)とは、ウェブブラウザで3Dグラフィックスを作成・表示するための技術です。プラグイン不要で、多くのブラウザで動作します。
3Dグラフィックスの需要が急速に高まりつつある中、注目を受けている技術でもあります。
まずは、WebGLの基本的な情報についてみていきましょう。
WebGLの対応ブラウザ
WebGLは、現代の主要なウェブブラウザに広く対応しています。
対応するブラウザが多いということは、より多くの人がウェブ上で高品質の3Dグラフィックスを簡単に見ることができる、ということです。
開発者側にとっても、異なるデバイスやブラウザ間で同じ3Dコンテンツを使いやすくなるメリットがあります。
2023年11月時点でのWebGLの対応ブラウザは、下記の通りです。
<WebGLの対応デスクトップブラウザ一覧>
- Google Chrome
- Mozilla Firefox
- Safari
- Opera
- Internet Explorer
- Microsoft Edge
<WebGLの対応モバイルブラウザ一覧>
- Android Browser
- BlackBerry 10
- BlackBerry PlayBook
- Internet Explorer (Windows Phone)
- Firefox for Mobile
- Google Chrome (Android)
- Opera Mobile
- Safari (iOS)
- Sailfish OS
- Tizen
デバイスに依存せずスマートフォンでも利用可能
WebGLのもう一つの重要な特徴は、異なるデバイス間での互換性です。
つまり、WebGLを使用して作成されたコンテンツは、パソコン、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで実行できます。
この柔軟性により、開発者は一度の開発で多様なユーザーにリーチすることができ、ユーザーはデバイスの種類に関係なく、高品質の3Dグラフィックスを楽しむことが可能です。
これは、ウェブブラウザを介して動作することで実現されており、追加のソフトウェアやプラグインなしで、幅広いプラットフォームで一貫した体験を提供します。
GPUを利用
WebGLのもう一つの大きな特徴は、GPU(画像処理ユニット)を活用している点です。
GPUは、特に画像の処理に特化したコンピュータのコンポーネントです。
WebGLは、このGPUの能力を利用して、複雑な3Dグラフィックスやアニメーションを高速に描画します。
これにより、ウェブブラウザ上でスムーズかつ高品質なグラフィックス体験が可能になります。
従来のCPU(中央処理ユニット)のみを使用するよりも、GPUを利用することで、より高度なグラフィックス処理を効率的に行えるのです。
WebGLで何ができるのか
では、WebGLで何ができるのでしょうか。
基本的には、3Dグラフィックスを作成するのがWebGLの主な役割ですが、応用すればさまざまな仕事で効果を発揮します。
以下で、詳しくみていきましょう。
Webサイト上にゲームコンテンツを設置
WebGLを活用することで、ウェブサイト上に直接ゲームコンテンツを設置し、提供することが可能です。
ゲーム開発者は、高品質な3Dグラフィックスや複雑なアニメーションを含むゲームを作成し、ウェブブラウザ上で直接実行できます。
ユーザーは、追加のソフトウェアやアプリのダウンロードなしで、これらのゲームをプレイ可能です。
WebGLは、アクセスが容易で、リッチなゲーム体験をウェブ上で提供することができるため、近年ではウェブベースのゲーム開発も目立ってきました。
<WebGLを利用したゲームコンテンツの例>
- ポケモンショーダウン(Pokémon Showdown)
- グランブルーファンタジー(Granblue Fantasy)
- 艦これ(Kantai Collection)
データや情報の可視化
WebGLを使用することで、複雑なデータセットや情報を、直感的かつ視覚的に理解しやすい形で表示することが可能です。
WebGLは、3Dグラフィックスの描画に優れているため、大量のデータポイントを持つデータセットを、立体的なグラフやインタラクティブなチャートとして表現できます。
例えば、地理的なデータを地球儀上に表示したり、時間の経過とともに変化するデータを動的なアニメーションで示したりすることができます。
このようなデータや情報の可視化は、科学研究、ビジネス分析、教育など、多岐にわたる分野で有用です。
<WebGLを利用して可視化できるデータの例>
- 3D散布図
- 3D地形図
- 3Dバーチャート
- 3Dラインチャート
- ヒートマップ
- ネットワーク図
商品の3Dモデルを設置
WebGLを活用すれば、オンラインショッピングサイトやデジタルカタログで、商品を360度から見ることが可能です。
ユーザーは、製品をあらゆる角度から詳細に確認できるため、実際に手に取って見るような感覚をオンラインで体験できます。
この3Dモデル表示は、単に商品を見るだけではなく、色やデザインのバリエーションの切り替え、サイズ比較、さらには製品の機能説明など、インタラクティブな体験をユーザーに与えます。
例えば、マウスやタッチスクリーンを使用してモデルを回転させたり、ズームイン・アウトしたりすることができ、製品をより深く理解することが可能です。
これにより、企業は製品の魅力をより効果的に伝え、消費者の購買意欲を高めることができます。
<3Dモデルを採用している企業の例>
- IKEA
- Amazon
- Nike
- Wayfair
- ZOZOTOWN
リッチデザインの実装
WebGLを活用することで、ウェブページやアプリケーションにリッチデザインを実装することが可能です。
WebGLは、高度なグラフィックス処理能力を持ち、従来の2Dのウェブデザインの枠を超えた、鮮明で複雑な3Dビジュアルを実現します。
例えば、動的な3Dアニメーションやユーザーインターフェース、リアルタイムでのグラフィックス変更などが可能です。
これにより、ウェブサイトやアプリは単なる情報の提供手段を超え、ユーザーに没入感のある体験を提供できるようになります。
<WebGLを利用したリッチデザインが確認できるサイト>
WebGLの代表的なライブラリ
WebGLの力を最大限に発揮させるためには、「ライブラリ」を活用しなければなりません。
ライブラリとは、簡単にいえば「便利なプログラムの寄せ集め」のようなものです。
WebGLは、グラフィックスプログラミングの複雑さから、直接使用するには難解に感じることもあります。
ライブラリを使用することで、この複雑さを抽象化して、より使いやすくすることが可能です。
そのため、開発者は基本的な機能の構築に時間を割くことなく、アプリケーション固有の機能に集中できるようになります。
また、専門的なライブラリはグラフィックスの描画やデータ処理を最適化するために設計されており、これによってアプリケーションのパフォーマンスが向上し、より良いユーザー体験を実現するのにも役立ちます。
ここでは、WebGLの代表的なライブラリについて、代表的なものをいくつかみていきましょう。
three.js
<ポイント!!>
- WebGLの複雑さを簡略化し、開発者が容易に3Dグラフィックスを扱える
- 3Dモデル、アニメーション、ライティングなどの多様な3D機能
- JavaScriptベースで使いやすいAPIを提供し、ウェブ開発者に親しみやすい
Three.jsは、WebGLを使って3Dグラフィックスをウェブブラウザで表示するためのJavaScriptライブラリです。
このライブラリの特徴は、WebGLの複雑なコードを簡単に扱えるようにすることです。
つまり、Three.jsを使えば、プログラマーやデザイナーは比較的簡単に3Dアニメーションやモデルをウェブページに追加できます。
例えば、3D製品のオブジェクト作成、インタラクティブな教育ツール、オンラインゲーム、VR体験、3Dデータビジュアライゼーションなどの分野で利用可能です。
これにより、3Dビジュアルやインタラクティブなエクスペリエンスをウェブに組み込むことができ、よりアクセスしやすくなります。
Vanta.js
<ポイント!!>
- ウェブサイトの背景に動的な3Dビジュアルエフェクトを簡単に追加可能
- プリセットされた多様なエフェクトを提供し、カスタマイズ可能
- 軽量で、ウェブページのロード時間に大きな影響を与えない
Vanta.jsは、Three.jsと同様に、WebGLをベースにしたJavaScriptライブラリの一つです。
このライブラリの特徴は、非常にシンプルで使いやすいAPIにあります。
Vanta.jsを使用することで、プログラマーやウェブデザイナーは数行のコードを追加するだけで、ウェブサイトの背景に動的な3Dビジュアルエフェクトを簡単に組み込むことが可能です。
特にランディングページやプロモーションページなど、動的で目を引くビジュアル効果が必要なシーンでは、Vanta.jsは非常に効果的なライブラリです。
他にも、プリセットされた多様なエフェクトがあり、これらはカスタマイズが可能で、色、アニメーションの速度、パターンなどを自由に変更できます。
また、Vanta.jsは軽量で、ウェブページのロード時間に大きな影響を与えずに、高品質なグラフィックス効果を実現できる点も重要な特徴の一つです。
BabylonJS
<ポイント!!>
- 豊富な機能セットと高いパフォーマンスで3Dシーンやゲームメカニクスを実装
- ゲーム開発やインタラクティブな3Dアプリケーションに適している
- ユーザーフレンドリーなAPIと豊富なドキュメンテーション
BabylonJSは、WebGLを利用して強力な3Dグラフィックスをウェブブラウザ上で作成するためのJavaScriptライブラリです。
主な特徴は、その豊富な機能セットと高いパフォーマンスにあります。特に、ゲーム開発やインタラクティブな3Dアプリケーションの作成に適しています。
例えば、高度なレンダリング機能が必要とされるVRやARのオンライン3Dゲームなどの開発には、BabylonJSは最適なライブラリといえるでしょう。
また、APIも非常に直感的で、比較的初心者の開発者であっても、すぐに始められるような設計もポイントです。
加えて、BabylonJSには豊富なドキュメンテーションとアクティブなコミュニティがあり、初心者でも上級者でも、サポートを受けながらプロジェクトを進めることができます。
BabylonJSは、その強力な機能と使いやすさで、WebGLベースの3Dウェブアプリケーション開発における重要な選択肢となっています。
PixiJS
<ポイント!!>
- 2Dグラフィックスに特化し、高性能なビジュアル表現を実現
- WebGLとHTML5 Canvasの両方をサポートし、幅広い互換性を持つ
- シンプルで迅速な開発を可能にする使いやすいAPIと充実したドキュメンテーション
PixiJSは、WebGLを活用して高性能な2Dグラフィックスをウェブブラウザ上で描画するためのJavaScriptライブラリです。
主な特徴は、2Dグラフィックスに特化している点にあります。
また、高いパフォーマンスと柔軟性でも知られており、ウェブブラウザで動作するゲーム、インタラクティブなアプリケーション、複雑なビジュアルエフェクトなどに最適です。
ただし、3Dグラフィックス作成のパフォーマンスにおいては、Three.jsやBodylon.jsに若干劣ります。
そのため、ブラウザゲームや画像の操作や加工機能が求められるシミュレータなど、動的な要素を必要としないシーンで使用する場合が多いです。
他にも、レンダリングエンジンにはWebGLを利用しつつ、WebGLがサポートされていない環境では、自動的にHTML5のCanvasにフォールバックする機能を持っています。
これにより、さまざまなデバイスやブラウザでの互換性とアクセシビリティが保証されています。
APIも豊富なので、迅速にプロジェクトを開始することも可能です。
WebGL/theree.jsで参考になる日本のサイト事例
WebGL/Three.jsでは、どのような3Dグラフィックスが作成できるのか気になる方も多いかと思います。
イメージの部分については、百聞は一見にしかず、ということで実際の画像を見るのが最も手っ取り早いでしょう。
そこでここでは、WebGL/theree.jsで参考になる日本のサイトの事例をいくつかご紹介します。
HOMUNCULUS(ホムンクルス)
HOMUNCULUS Inc.(株式会社ホムンクルス)は、WebGLを使用した美しい流線型のデザインで知られる、ウェブ業界で著名な制作会社です。
HOMUNCULUSのウェブサイトは、ハイセンスなデザインと効果的なWebGLの利用で、日本の企業サイトとして非常に高い完成度を誇っていると評価されています。
<HOMUNCULUS(ホムンクルス)のデザインの特徴>
- 変化する色彩とレイヤー構造
- 波打つようなエフェクト(シェーダを利用)
- 自然な物理現象に近い有機的な印象
KIRIFUDA
KIRIFUDA Inc.(株式会社切札)のウェブサイトは、WebGLをベースにした様々なテクニックが詰まった実装が特徴です。
同社はウェブやアプリの制作・開発を行っており、オフラインのイベントに関する業務も手掛けています。
また、ウェブ系をはじめとする様々なアワードの受賞歴も持つ組織です。
<KIRIFUDAのデザインの特徴>
- 黒い霧が晴れるような独特なイントロ演出
- マウスカーソルのホバー演出や、スクロールによる背景の変形・遷移など、様々なエフェクトを高度に組み合わせている
- 速いスピード感や疾走感のあるイメージングによる切れ味鋭いデザイン
株式会社データグリッド
株式会社データグリッドは、AIを利用した事業やサービスを展開する企業です。
同社のコーポレートサイトのデザインは、WebGLを用いたダイナミックな動きと、サイト構成の見やすさを絶妙に組み合わせた点で特に優れています。
通常、WebGLを活用したサイトではデザインに重点を置きすぎて視覚的にごちゃごちゃしやすい傾向がありますが、データグリッドのサイトはこのバランスを見事に保っています。
<株式会社データグリッドのデザインの特徴>
- インタラクティブで動的なビジュアルエフェクトをWebGLを用いて実現
- 複雑なデザインにもかかわらず、サイト構成がみやすい
- 見た目の魅力とユーザビリティを兼ね備え、バランスの取れたデザイン
WebGL/theree.jsで参考になる海外のサイト事例
ここまで、日本のサイト事例を中心に紹介してきました。
次は、WebGL/theree.jsで参考になる海外のサイトの事例をご紹介します。
de Bijenkorf
オランダの高級デパート「de Bijenkorf」のスペシャルサイトは、手描き風イラストとWebGLに基づいた3D表現が融合したユニークなサイトです。
森の中に特別なアイテムを展示するような、不思議な世界観を持っています。
<de Bijenkorfのデザインの特徴>
- 絵本のような手描き風のイラストが特徴で、リッチな印象を与えている
- スクロール操作によりシーンが変わり、蜂のアバターが案内役として機能
- イラスト調でありながら奥行き感を演出し、カメラが前後に動くことで臨場感を演出
Nasdaq 50
Nasdaqの50周年記念サイトは、アメリカ経済の重要な一翼を担うNasdaqの半世紀に及ぶ歴史を振り返る内容となっており、AppleやMicrosoftなどの著名な企業の歴史の一端を垣間見ることができます。
数々の賞も受賞しており、視覚的に魅力的でインタラクティブなユーザー体験を提供している素晴らしい例といえるでしょう。
<Nasdaqの50周年記念サイトのデザインの特徴>
- 3D空間に浮かぶパーティクルが印象深く、シンプルながらも非常に高い完成度を実現
- 視覚的なディテールにこだわり、ぼやけた表現を演出
- ラインがユーザーのカーソルホバーによってライトアップするなど、動的な演出が特徴
365 A Year of Cartier
「365 A Year of Cartier」は、世界的に有名なファッションブランド、カルティエのウェブサイトで、WebGLを使用して作成されています。
非常に豊富なコンテンツ量を誇っており、ここまで精巧で緻密なサイトデザインを作成できるようになるには、プロフェッショナルの領域に至ってからでしょう。
さすがに世界的に一流のファッションブランドともなると、ランクが一段上がっている印象を受けるWEBサイトです。
<365 A Year of Cartierのデザインの特徴>
- ベースは2D的な表現だが、表示される素材は立体的に配置され、奥行きのある独特な視覚体験を再現
- マウスカーソルやスクロールに応じて外見が変化し、フェードや霧の中から浮かび上がるような表現も特徴的
- 表示される文字はWebGLでレンダリングされており、独特な揺らぎエフェクトやフェードエフェクトが施されている
Montblanc Legend Red – The Race
Montblanc Legend Red – The Raceとは、スイスの装飾品コングロマリット、リシュモングループが所有する筆記具ブランド「Montblanc(モンブラン)」が提供しているスペシャルサイトです。
こちらも超一流企業の一つですが、自社製品の「Legend Red」というフレグランスの販売を記念して作られたWebサイトのようです。
一つの製品のリリースに際して、これだけ完成度が高く、遊び心のあるWebGLゲームをリリースしてしまうのは、さすがの一言に尽きます。
<Montblanc Legend Red – The Raceのデザインの特徴>
- ブラウザ上でプレイ可能なミニゲームとして非常に高い完成度
- 白く光るネオンの周囲にはブルーム表現が施され、眩しい光がうまく表現されている
- シンプルながら短時間で熱中できるゲーム性
まとめ
本記事では、WebGLの基本概念から、three.jsやVanta.jsなどのライブラリ、日本と海外の印象的なサイト事例までを紹介しました。
WebGLは、その高度なグラフィックス処理能力により、ウェブサイトにリッチな視覚体験を提供することが可能です。
今後、WebGLはさらに進化し、多様な分野での利用が期待できるでしょう。
本記事を通じて得られた知識を、自身のウェブデザインや開発プロジェクトに応用し、より魅力的なユーザー体験を創造する際の参考にしていただければ幸いです。
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