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業務委託でも「労働者性あり」と判断される可能性がある?その基準を紹介

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はじめに

業務委託契約で働くフリーランスや個人事業主の方々にとって、「労働者性」の有無は非常に重要なポイントです。

実は、業務委託契約であっても、実態に応じて「雇用契約」と判断される可能性があるのをご存じでしょうか?

本記事では、労働者性が認められる具体的な判断基準と、雇用契約とみなされた場合のメリットについて解説します。

<この記事を読むメリット>

  • 労働者性の判断基準を詳しく理解し、リスクを事前に把握できる
  • 雇用契約とみなされた場合に利用可能な社会保険や労働法上の権利を確認できる
  • 今後の交渉や契約見直しに役立つ

労働者性の判断ができるようになると、偽装請負のリスクを大幅に低減できます。

適切な事業運営のためにも、本記事を参考に労働者性の判断基準を理解しておきましょう。

雇用契約とは

労働者性とは1

一般的な会社員やパートタイマーは、基本的に「雇用契約」を企業と結んで働いています。

しかし、近年では業務委託で働くフリーランスや個人事業主が増えたこともあり、業務委託の仕事であるのにもかかわらず、実際には雇用契約と同じような条件で働く「偽装請負」の問題が深刻化しています。

偽装請負とは、企業の透明性を著しく損なう行為であり、労働基準法や派遣法により明確に禁止されている行為です。

そのため、業務委託で働くフリーランスや個人事業主の方は、「雇用契約」と「業務委託契約」の法的違いを明確に理解しておかねばなりません。

ここではまず、雇用契約の定義についてわかりやすく解説します。

一方(労働者)が労働に従事し、相手方(使用者)がこれに対してその報酬を与えること

「雇用契約」は、民法第623条で規定されているように、

“雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。”

上記の条文を基準とした契約です。

すなわち、働く側が企業や組織に労働を提供し、その対価として賃金や給与が支払われる関係のことを指します。

雇用契約のもとで働く労働者は、会社の指示や命令に従って働かなければならず、勤務時間や業務内容も会社によって管理されます。

これにより、会社は労働者に対して指揮命令権を行使できる権限を持ち、また労働者はその指示に従う義務を負うことが一般的です。

「労働者」に当たると労働基準法や労働契約法上の保護を受けることができる

雇用契約は、労働基準法において定められる「労働者」と結ぶ契約です。

「労働者」は労働基準法や労働契約法の保護を受けることができるため、以下のようなメリットを享受できます。

  1. 労働時間の規制があるため、残業や休日労働がある場合には追加の賃金(割増賃金)が支払われる
  2. 労働環境の安全と健康を企業が配慮する義務がある
  3. 雇用保険や健康保険、厚生年金保険などの社会保険が適用される
  4. 不当な理由で解雇されないための解雇規制がある
  5. 年次有給休暇などの休暇取得が保障されている

このように、雇用契約では「労働者」としての権利が手厚く保障され、働く環境や待遇が法律により守られています。

業務委託契約とは

雇用契約と対になる関係性にあるのが「業務委託契約」です。

一般的なフリーランスや個人事業主は、クライアント企業と「業務委託契約」を締結して生計を立てています。

ここでは、業務委託契約について詳しくみていきましょう。

「使用者」と「労働者」というような主従の関係にない独立した事業者間の契約

「業務委託契約」では、雇用契約のように「使用者(企業側)」と「労働者」という概念は存在しません。

業務委託契約で働く人々のことは、一般的に「(独立)事業者」や「受託者」と呼びます。

これらの人々は、企業と対等な立場で契約を交わし、あくまで独立した事業者として業務を遂行します。

このため、雇用契約におけるような主従関係や指揮命令権が生じず、業務の進め方や勤務時間の管理も自らの裁量に任されるのが特徴です。

また、労働者が享受する法的保護が適用されない一方で、業務の自由度が高く、自己の判断で業務を遂行できるという利点もあります。

特定の仕事等を行い、その仕事等に対して相手方が報酬を支払うこと

業務委託契約では、特定の仕事(委託業務)を受託者側が請け負い、その仕事に対する対価として相手方(委託元)が金銭を支払います。

例えば、ウェブサイトのデザイン制作やシステム開発、マーケティング戦略の立案など、特定の成果物やプロジェクトが完成した際に報酬が支払われる契約(請負契約)などが代表例です。

また、コンサルティング業務や翻訳業務のように、一定のスキルや専門知識を活かして提供するサービスも、業務委託契約の対象となります。

つまり、雇用契約では「労働」の対価として報酬が支払われますが、業務委託契約では、あくまでも「成果物」や「サービス」の対価として報酬が支払われる点で大きく異なります。

労働者性の判断基準とは

先述したように、雇用契約は「労働者」としか結べません。

ここでいう「労働者」とはつまり、「労働者性」を認められた人たちのことです。

「労働者性」を判断できるようになれば、偽装請負かどうかも見極めやすくなります。

ここでは、「労働者性」の判断基準について一つずつみていきましょう。

①諾否の自由があるか

1つ目の判断基準は、諾否の自由があるかどうかです。

「諾否の自由」とは、簡単にいえば業務の依頼を受けた際に、その業務を「引き受けるかどうかを自分で決定できるか」という自由のことです。

労働者性が強いと判断されるケースでは、依頼主(使用者)からの指示に対して「NO」と言う選択肢が事実上ないことが多く、依頼された業務は基本的に従う義務があるとみなされます。

一方で、諾否の自由があれば、依頼を断ったとしても特に不利益がなく、指揮命令系統から独立した立場であると判断される傾向があります。

フリーランスや個人事業主の場合、この諾否の自由があるかが重要なポイントです。

②業務遂行上の指揮命令はないか

2つ目の判断基準は、業務遂行上の指揮命令がないかどうかです。

業務遂行上の指揮命令とは、依頼主から具体的な指示や命令を受け、業務の進め方や方法について細かく管理されることを指します。

労働者性があると判断される場合、労働者は使用者からの指示に従って業務を進めなければならないため、業務の独立性が低いとみなされます。

一方、労働者性が低いと判断されるためには、業務内容や遂行方法について自由に決定できなければなりません。

つまり、自分の裁量で仕事を進め、指示を受けずに成果を出すことができる場合、労働者性が薄いと判断される傾向があります。

③時間や場所などの拘束性が少ないか

3つ目の判断基準は、時間や場所などの拘束性が少ないかどうかです。

労働者性が強い場合、働く時間や場所が厳密に定められており、使用者の指示に基づいて勤務しなければなりません。

例えば、決まった時間に出勤し、指定された場所で働く必要があるような状況では、拘束性が高く、労働者性があると判断されやすくなります。

一方、フリーランスや個人事業主の場合、時間や場所に対する拘束が少なく、いつどこで働くかを自分で決定できることが多いです。

こうした裁量が大きい場合、労働者性が低いと判断される要素になります。

④代替性があるか

4つ目の判断基準は、代替性があるかどうかです。

代替性とは、依頼された業務を他の人に任せる、つまり「再委託」できるかどうかを指します。

労働者性が強いとされる場合、業務は個人に対して指示され、その人以外にはできない、もしくは再委託が禁止されていることが多いです。

つまり、その人に直接労務を提供してもらうことが前提となっているのです。

一方、フリーランスや個人事業主として働く場合、自分が直接行わずに他の人に再委託できると、労働者性が低いと判断されやすくなります。

ただし、業務を無断で再委託すると取引先とのトラブルに発展しやすいので、再委託を検討する際は必ず許可をとってからにしましょう。

⑤専属性が低いか

5つ目の判断基準は、専属性が低いかどうかです。

「専属性」とは、特定の依頼主に対してどの程度の割合で業務を行っているか、つまり「依存度」を指します。

労働者性が強いと判断される場合、特定の依頼主への依存度が高く、ほぼ専属で業務を行っていることが多いです。

このような場合、他の業務を引き受ける余地がなく、事実上「雇われている」のと同様の状態とみなされます。

フリーランスや個人事業主としての独立性を示すためには、複数のクライアントやプロジェクトを持ち、特定の依頼主への依存度を低く保つことが有効です。

専属性が低ければ低いほど、労働者性が薄まり、依頼主から独立した立場とみなされる可能性が高まります。

⑥報酬は成果や遂行の内容で決定しているか

6つ目の判断基準は、報酬が成果や業務の遂行内容に基づいて決定されているかどうかです。

労働者性が強い場合、報酬は労働時間や勤務日数に基づき支払われることが一般的です。

例えば、時給や日給、月給など、提供した労務時間そのものに対して報酬が支払われる場合、労働者としての性質が強いと判断されやすくなります。

一方、フリーランスや個人事業主としての働き方においては、報酬が労務の対価ではなく、成果や遂行した業務の内容に応じて支払われることが多いです。

プロジェクトごとの完了に対して報酬が支払われたり、作業量や達成した成果に応じて報酬が決定される形態であれば、労働者性は低く評価され、依頼主からの独立性が認められやすくなります。

雇用契約であると判断された場合

業務委託契約では、基本的に「労働基準法」が適用されません。

労働基準法が適用されるのは、「雇用契約」に基づいて働く「労働者」のみであり、フリーランスや個人事業主は労働基準法の適用外です。

では、雇用契約と判断された場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、業務委託契約との違いを通して、雇用契約と判断された場合のメリットを解説します。

雇用保険、健康保険、労災保険、厚生年金保険等の社会保険制度の利用が可能となる

雇用契約であると判断された場合、雇用保険、健康保険、労災保険、厚生年金保険といった社会保険制度を利用できます。

社会保険制度に加入することで、仕事に起因する病気やけがに対して労災保険からの補償を受けることができたり、失業した際に雇用保険からの給付を受けられるなど、国からの経済的支援を受けられます。

業務委託契約ではこれらの社会保険に加入する義務がないため、個人でのリスク管理が求められますが、雇用契約であれば依頼主(雇用主)側が保険料を一部負担するため、安定した保険加入環境が整うのが大きな利点です。

年次有給休暇を取得することができる

雇用契約であると判断された場合、労働基準法に基づき、年次有給休暇を取得することが可能となります。

年次有給休暇の取得条件は各企業によって異なりますが、一般的に6か月以上の勤務で一定の出勤率を満たしていれば、有給休暇を取得する権利が付与されます。

付与される日数は勤続年数に応じて増加し、長期で勤務するほど多くの有給日数を取得できる仕組みです。

一方、業務委託契約には「有給休暇」という概念がそもそも存在しません。

フリーランスや個人事業主の場合は、休暇中に収入が発生しないので、自分で休みを確保する必要があります。

会社が労働者との契約関係を解消するための要件が厳格であるため、身分保障が強くなる

雇用契約であると判断された場合、会社が労働者との契約関係を解消するための要件が厳格になるため、労働者の身分保障が強くなります。

社会的な身分保障が強いので、例えばローン審査や賃貸契約などでの信用力が向上するメリットがあります。

安定した雇用契約があることにより、収入の安定性が評価され、これらの審査においても有利になる傾向があるのです。

また、解雇する際には「合理的な理由」が必要であり、会社側は解雇にあたって厳格な手続きを踏む必要があります。

これにより、労働者が不当に解雇されるリスクが低くなり、長期的に安定して働き続けることが可能です。

一方、業務委託契約では通常、契約更新や解除の自由度が高く、契約を継続するための保障は限られています。

契約解除の際は労基法上の解雇予告手当を受ける可能性も

雇用契約であると判断された場合、万が一会社が契約解除(解雇)を行う場合、労働基準法に基づき「解雇予告手当」を受ける可能性があります。

具体的には、会社が解雇を通知する際、少なくとも「30日前」の予告が必要とされており、この予告期間が守られなかった場合には、「30日分の平均賃金」が解雇予告手当として支払われます。

この制度により、労働者には突然収入源がなくなるリスクがありません。

これは、業務委託契約には適用されない保護であり、雇用契約ならではの特徴といえます。

労働基準法に基づき、残業代を請求することができる

雇用契約であると判断された場合、労働基準法に基づき、所定の労働時間を超えて働いた場合に残業代を請求する権利が認められます。

労働基準法では、「1日8時間、週40時間」を超えた労働に対して割増賃金(通常の賃金に対して25%以上の割増)を支払うことが義務付けられており、休日や深夜の労働にはさらに高い割増率が適用されます。

フリーランスや業務委託契約の場合、労働時間に対する規定はないため、依頼主に対して残業代を請求することはできません。

時間単位で報酬が支払われるのではなく、業務単位の成果に対して支払われるため、労働時間を超えて働いた場合も追加報酬が発生するとは限りません。

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まとめ

本記事では、業務委託契約であっても「労働者性」が認められる可能性や、その判断基準について詳しく解説しました。

フリーランスや個人事業主にとって、自らの働き方が業務委託としての独立性を保っているか、それとも雇用契約として判断される可能性があるかを把握しておくことは重要です。

雇用契約とみなされると、労働基準法や社会保険の適用がある一方で、業務の自由度が制限される可能性もあります。

今後、労働環境の変化や法律の改正により、フリーランスや個人事業主に関する規制がより明確化されるかもしれません。

自らの働き方に対する理解を深め、将来の法的リスクに備えておきましょう。

エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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