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業務委託でも残業代が欲しい!請求の為のポイントや証拠となるものを紹介

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はじめに

フリーランスとして働く中で、業務委託契約における「残業代」の扱いに悩んだことはありませんか?

業務委託契約は雇用契約と異なり、原則として労働基準法の適用はありませんが、特定の条件下では「労働者性」が認められることで残業代を請求できる可能性があります。

本記事では、業務委託契約の種類や雇用契約との違い、さらに残業代を請求するための条件や必要な証拠について詳しく解説します。

<この記事を読むメリット>

  • 業務委託契約の種類や特徴を理解できる
  • 残業代を請求できるケースとその条件がわかる
  • 請求に必要な具体的な証拠を知り、準備できる
  • 雇用契約と業務委託契約の違いを把握し「偽装請負」のリスクを軽減できる

業務委託契約の種類

請負契約 委任契約 準委任契約
目的 成果物の完成 法律行為の遂行 事実行為の遂行
成果責任 成果物の完成に責任がある 成果責任はなく、忠実な業務遂行が義務 成果責任はなく、忠実な業務遂行が義務
報酬の支払い基準 成果物の完成が条件 業務遂行自体に対して支払われる 業務遂行自体に対して支払われる
主な適用例 建築業、製造業、クリエイティブ制作 弁護士、税理士、司法書士など専門職 データ処理、コンサルティング、事務代行など
注意義務 特になし(成果が基準) あり(受任者の忠実義務) あり(受任者の忠実義務)
契約解除の自由 成果物完成前の一方的解除は困難 双方合意または契約内容による 双方合意または契約内容による

新型コロナ以降、日本では働き方の柔軟性が重要視されるようになりました。

その結果、柔軟な働き方が実現できるフリーランスの人気は上昇傾向にあり、2023年度時点では日本の労働人口の約4人に1人がフリーランスとして働いているというデータもあるほどです。(※副業フリーランスを含む)

しかし、フリーランスは働き方にこそ柔軟性はあれど、一般的な会社員と違って「労働基準法」は適用されません。

そのため、基本的に残業代や休日出勤手当といった福利厚生がないのです。

とはいえ、近年では業務委託形態も複雑化してきており、特定のケースにおいては残業代を請求できる可能性があります。

それを理解するためにも、まずは業務委託形態の種類をざっと把握しておきましょう。

請負契約

「請負契約」とは、特定の仕事を完成させることを目的とした業務委託契約の一種です。

この契約形態では、依頼者(発注者)が「成果物の完成」を条件として報酬を支払います。

例えば、ホームページの制作やシステム開発、建築工事などの分野では、請負契約がよく利用されます。

請負契約の最大の特徴は、「成果物の完成」に責任がある点です。

そのため、作業過程や進め方に関してはフリーランス側が自由に決定できますが、成果物が契約内容を満たしていない場合は報酬が支払われないリスクも伴います。

また、作業時間や方法に関して依頼者が指示を出す権利がほとんどないので、請負契約は一般的な雇用関係とは異なる独立性を持つ契約といえます。

ただし、請負契約では労働基準法が適用されないため、残業代や休日出勤手当などの支払いは基本的に発生しません。

委任契約

「委任契約」とは、依頼者が受任者に対して法律行為を依頼する業務委託契約の一種です。

ここでいう法律行為とは、契約の締結や手続きの代理など、法的な効果を伴う行為を指します。

例えば、弁護士に訴訟の代理を依頼する場合や、税理士に確定申告業務を依頼する場合が典型的な委任契約の代表例です。

委任契約の特徴は、「成果物の完成」ではなく、依頼された業務を忠実に遂行することが主な義務となる点です。

そのため、請負契約のように「成果物の完成」が求められるわけではありません。

依頼された行為を誠実に行えば、たとえ結果が依頼者の期待に達しなくても、基本的に契約不履行とはなりません。

ただし、委任契約でも受任者は注意義務を負っており、故意や過失による損害が発生した場合には責任を問われることがあります。

準委任契約

「準委任契約」は、委任契約と非常によく似ていますが、法律行為ではなく事実行為を依頼する業務委託契約の一種です。

(※「SES(システムエンジニアリングサービス)契約」も準委任契約の一種)

事実行為とは、契約書の作成やデータ入力、ウェブサイトの運用サポートといった、法的な効果を伴わない実務作業を指します。

例えば、業務アシスタントとしての資料作成やリサーチ業務、事務代行などの仕事が準委任契約の典型例です。

準委任契約の特徴は、基本的に委任契約と変わりません。

委任契約と同様に、準委任契約でも「成果物の完成」を必ずしも求められません。

しかし、依頼する業務の性質上、3つの契約形態の中で最も「労働者性」が認められやすい契約形態といえます。

例えば、IT業界では「客先常駐型」のサービスを提供している企業(いわゆるSES企業)が非常に多いです。

客先常駐型では、ITエンジニアは基本的に常駐先のエンジニアと同じように働くことになります。

そのため、法的な観点からみると業務委託契約で働いているのにもかかわらず、「雇用契約」で働いているような状況が生まれてしまうのです。

(※このような状況を「偽装請負」という)

これは、企業の透明性を著しく損なう行為であり、現在では法律により規制されています。

業務委託契約と雇用契約の違い

業務委託契約 雇用契約
指揮命令関係 なし(受託者が業務方法・時間を自主的に決定) あり(雇用主が指揮命令を行い、働き方を指定)
労働基準法の適用 原則適用されない 適用される
残業代・休日手当 基本的になし(労働者性が認められた場合を除く) 適用される(法定労働時間を超える労働には割増賃金)
社会保険・雇用保険 原則なし(フリーランスが自己手配する必要がある) 雇用主が負担・手配する
契約解除の自由 双方合意または契約内容による 労働基準法に基づく制限あり
報酬の支払い基準 業務遂行や成果物完成が基準 労働時間や月給などが基準
働き方の自由度 高い(作業場所や方法に柔軟性がある) 低い(働く場所や時間が指定される場合が多い)

残業代が適用される、つまり労働基準法が適用されるのは「雇用契約」で働く「労働者」のみです。

そのため、「業務委託契約」と「雇用契約」の法的な違いは必ず把握しておきましょう。

雇用契約と業務委託契約の最大の違いは、「指揮命令関係」の有無です。

雇用契約では、労働者は雇用主の指揮命令の下で働き、業務の遂行方法や労働時間について具体的な指示を受けます。

一方、業務委託契約では、受託者(フリーランスや個人事業主)は依頼者から独立しており、業務の進め方や作業時間を自ら決定する自由があります。

したがって、雇用契約であれば法定労働時間を超える労働に対して残業代が支払われますが、業務委託契約ではこれが適用されません。

また、雇用契約では雇用保険や社会保険といった福利厚生が適用される点も大きな違いです。

業務委託契約でも「労働者」に該当する場合がある!

業務委託契約で働くフリーランスや個人事業主は、法的には「事業主」「委託契約者」に該当します。

しかし、特定の条件下においては「労働者」、つまり雇用契約で働いている人として認識される場合もあります。

労働者と認定されれば労働基準法の適用を受けられるので、一般的な会社員と同じく残業代を請求することは可能です。

ただし、これは「偽装請負」に該当する場合が多く、いわゆる「グレーゾーン」の行為とみなされても文句は言えません。

したがって、あまり望ましい状況とはいえないのです。

故意にこのような状況を利用して残業代を請求すると、最悪の場合、罰金や法的ペナルティを課される場合もあります。

こういった状況を避けるためにも、以下に紹介する業務委託契約と雇用契約の見極め方は必ず把握しておきましょう。

仕事の依頼・業務従事に対して拒否できるかどうか

業務委託契約では、基本的に仕事の依頼や業務従事は委託先の裁量権に委ねられます。つまり、「諾否(だくひ)の自由」が認められているのです。

そのため、諾否の自由が制限されている場合は「労働者」としてみなされる可能性が高いです。

例えば、以下のようなケースでは諾否の自由が制限されているといえます。

  1. 業務を断る権利がなく、実質的に必ず従わなければならない契約になっている
  2. 特定の時間や日数の業務を継続的に強制されている
  3. 依頼者が定めたスケジュールに従わなければ契約違反とされる
  4. 他の依頼者からの仕事を受けることを制限されている

業務遂行上の指揮監督の程度が強いかどうか

業務委託契約では、一般的に業務の遂行方法や作業内容は受託者自身の裁量で決定できることが基本です。

依頼者は「成果物」や「業務完了」を求めますが、そのプロセスに直接介入することは少ないため、指揮監督の関係性は希薄です。

しかし、業務遂行上の指揮監督の程度が強い場合には、「労働者性」が認められる可能性が高まります。

具体的には、以下のような状況が該当します。

  1. 作業内容や進行状況について頻繁に具体的な指示を受ける
  2. 業務プロセスや方法について詳細なルールが設定されている
  3. 成果物だけでなく作業手順の細部に至るまで報告を義務づけられる
  4. 定期的な会議や業務進行チェックが義務化されている

勤務する時間や場所を指定・管理されるかどうか

業務委託契約では、勤務時間や作業場所について自由を認められているのが基本です。

つまり、フリーランスは自らのスケジュールに基づいて業務を遂行し、特定の時間や場所に縛られることはありません。

しかし、勤務する時間や場所が指定・管理されている場合、実質的に「労働者」として認定される可能性があります。

例えば、以下のような条件がある場合には注意が必要です。

  1. 特定の時間帯での勤務を義務づけられている
  2. 依頼者のオフィスや指定の場所で作業を行う必要がある
  3. 出勤時間や退勤時間が定められており、タイムカードや勤怠管理が行われている
  4. リモートワークの場合でも、指定された時間にオンラインで業務を行うことが求められる

労働を他の者が代行できるかどうか

業務委託契約では、原則として業務遂行の自由が認められており、依頼者が特定の個人による労働を指定しない限り、他の者に業務を代行させることが可能です。

言い換えれば、業務を「再委託」できるのです。

しかし、以下のような場合には「労働者」として認定される可能性が高くなります。

  1. 業務を依頼された本人が必ず遂行しなければならないとされている
  2. 他者への業務の代行や外部委託が契約や依頼者の指示で禁止されている
  3. 業務内容が特定のスキルや資格を持つ依頼された個人に強く依存している

ただし、再委託が認められているからといって、クライアントの許可なしに再委託するのはあまり望ましくありません。

最悪の場合、クライアントとの信頼関係を著しく損ねる恐れもあるので、再委託する際は必ずクライアントの許可をとってからにしましょう。

何に対して給料(報酬)が支払われるか

業務委託契約では、報酬の支払い基準が明確に定められているのが一般的です。

報酬は労働時間に対するものではなく、主に業務遂行や成果物の完成に対して支払われなければなりません。

一方、労働者性が疑われる場合には、報酬の支払い基準が以下のように変わってくることがあります。

  1. 労働時間や労働日数に基づいて報酬が支払われている
  2. 成果物の完成や業務の成果とは無関係に、定額の報酬が定期的に支払われている
  3. 月給や時給制が採用されており、業務遂行そのものに対する対価として扱われている
  4. 成果物が未完成であっても報酬が減額されない

専属性の有無

業務委託契約では、受託者(フリーランスや個人事業主)は原則として複数の依頼者から仕事を受けることが可能であり、特定の依頼者に専属的に従事する義務はありません。

この柔軟性がフリーランスとして働く最大の魅力の一つです。

しかし、特定の依頼者への依存度が高い場合には、専属性が認められ、「労働者」と判断される可能性が高まります。

具体的には以下のようなケースが該当します。

  1. 収入の大部分が特定の依頼者からの業務に依存している
  2. 他の依頼者との業務契約が禁止されている、または制限されている
  3. 専属契約として、依頼者の指示に従う義務が契約上明記されている
  4. 業務時間のほとんどを特定の依頼者に費やしている

業務で使用する機械・器具の費用を負担するのは誰か

業務委託契約においては、原則として受託者が業務遂行に必要な機械や器具、ソフトウェア、通信費などの費用を負担します。

フリーランスや個人事業主が自分の裁量で業務を進めるため、この負担も独立性の一部として扱われるのが通常です。

しかし、業務で使用する機械・器具の費用を依頼者が負担している場合、「労働者性」が認められる可能性があります。

具体的には以下の条件が該当します。

  1. 依頼者が業務に必要な機材や道具を全て用意し、管理している
  2. 業務遂行に必要なソフトウェアやアカウントを依頼者が購入している
  3. 依頼者のオフィスや設備を使って作業を行うことが義務付けられている
  4. 通信費や交通費などの諸経費を依頼者が支払っている

業務委託で残業代を請求できるのはどんな時?

業務委託契約であっても「労働者性」が認められれば、一般的な会社員と同じように残業代を請求することは可能です。

では、具体的にどのようなケースで残業代を請求できるのでしょうか?

ここからは、業務委託契約であっても残業代を請求できる具体的な例を中心に解説していきます。

ただし、労働者性を利用して故意に残業代を請求するのはかなり危険です。

クライアントとの信頼関係を保つためにも、残業代に関する条件は必ず事前に取り決めておくように心がけましょう。

所定労働時間を超えて労働した時

所定労働時間とは、会社やクライアントとの契約に基づいて定められた一日の労働時間のことを指します。

一般的な労働契約では、「1日8時間、週40時間」が法定労働時間とされていますが、業務委託契約の場合は必ずしもこの基準に従うわけではありません。

しかし、以下の条件を満たす場合、所定労働時間を超えた労働に対して残業代を請求できる可能性があります。

  1. 契約上、具体的な労働時間が明記されている
  2. 所定労働時間を超えて労働するよう指示され、それを拒否できない状況にある
  3. 実態として契約内容と異なる長時間労働が発生している

法定労働時間を超えて労働した時

法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限を指します。

具体的には、「1日8時間、週40時間」がその基準となります。

この時間を超えて労働した場合、時間外労働として割増賃金、いわゆる残業代を支払う義務が発生します。

業務委託契約の場合、本来は法定労働時間の概念は適用されません。

しかし、以下の条件を満たす場合には、法定労働時間を超えた労働に対して残業代を請求できる可能性があります。

  1. 業務委託契約であっても、実態として労働者性が認められる場合
  2. クライアントの指揮命令下で、法定労働時間を超える勤務が常態化している
  3. 時間外労働をクライアントから明示的に指示され、それを拒否する権利がない

休日に労働した時

休日に労働した場合、労働基準法では割増賃金(休日労働手当)が適用されます。

これは、法定休日に労働が発生した際に、その時間に対して通常の「1.35倍以上の賃金」を支払うことを義務付ける規定です。

しかし、業務委託契約の場合、休日労働に対する法的保護は原則として適用されません。

ただし、以下の条件を満たす場合には休日労働として認定され、割増賃金を請求できる可能性があります。

  1. 業務委託契約であっても、実態として労働者性が認められる場合
  2. 契約上、法定休日(週1回以上)が明示されている
  3. クライアントから休日に労働するよう指示され、それを拒否できない状況にある

深夜に労働した時

深夜労働とは、労働基準法において午後10時から午前5時までの間に行われる労働を指します。

この時間帯の労働については、「通常賃金の25%以上」を加算する「深夜労働手当」が適用されます。

業務委託契約では、本来この深夜労働手当の適用はありません。

しかし、以下の条件を満たす場合には、深夜労働として割増賃金を請求できる可能性があります。

  1. 業務委託契約であっても、実態として労働者性が認められる場合
  2. クライアントが深夜の時間帯に作業を命じ、それを拒否する権利がない
  3. 契約上、深夜労働が予定されていなかったが、緊急対応として強制された

業務委託で残業代を請求するためにはどんな証拠が必要?(労働者性に関する証拠)

業務委託契約で残業代を請求しなければならないような状況に直面した際には、「労働者性」を証明する証拠が必要になってきます。

では、具体的にどのようなものが証拠として認められるのでしょうか?

以下で詳しく見ていきましょう。

業務委託契約書

業務委託契約書は、労働者性を証明する上で重要な根拠となる書類です。

本来、業務委託契約書には「指揮命令権がない」「独立した事業者として業務を遂行する」といった業務委託特有の条件が記載されるべきです。

しかし、契約内容に実質的な雇用契約に該当する要素が含まれている場合、それが「労働者性」の証明につながることがあります。

例えば、契約書に労働時間や勤務地、業務指示に関する具体的な取り決めが記載されている場合、受託者が依頼者の管理下で業務を遂行していると解釈される可能性があります。

この場合、労働基準法が適用される根拠となり得るのです。

ただし、注意が必要なのは、契約書の内容が実態を正確に反映しているとは限らない点です。

形式的には業務委託契約であっても、実際には労働者として働いている場合には、契約書だけではなく、その他の証拠も併せて提示する必要があります。

発注・受注書

発注・受注書も労働者性を証明する書類として有効です。

発注・受注書とは、依頼者が発注する業務の内容や条件、報酬に関する取り決めを明記した書類であり、業務遂行の際に取り交わされることが一般的です。

業務委託契約書と似ていますが、発注・受注書は個々の案件ごとに発行されるものであり、業務の具体的な範囲や条件がより詳細に記載される傾向があります。

例えば、発注書に「勤務時間」や「作業場所」に関する具体的な指示が記載されている場合、それは受託者が依頼者の指揮命令のもとで働いている証拠とみなされる可能性があります。

また、納品期限や進捗管理について厳密な条件が指定されている場合も、労働者性を裏付ける要素となり得るといえるでしょう。

仕様の指示書

仕様の指示書も、労働者性を証明する際の重要な証拠となり得ます。

仕様の指示書とは、受託者が遂行すべき業務の詳細な内容や進行方法について、依頼者が具体的な指示を記載した書類です。

特定の業務やプロジェクトに対して発行されるもので、業務の進め方や基準を明確に定める役割を果たします。

本来、業務委託契約では、受託者が業務遂行の方法や手順を自由に決定できるのが原則です。

しかし、仕様の指示書において細かい作業手順やスケジュールが指定されている場合、それは依頼者が受託者に対して「指揮命令」を行っている証拠とみなされることがあります。

なお、仕様の指示書を証拠として使用する際には、指示の具体性や指揮命令の有無を注意深く確認し、実態と一致しているかどうかを判断することが重要です。

発注者との連絡メール

発注者との連絡メールも労働者性を証明する証拠として有効です。

業務委託契約では、受託者が業務遂行の自由を持つことが原則ですが、メールで指示が詳細かつ頻繁に行われている場合、依頼者が受託者を実質的に管理している状況を示す証拠として利用できます。

ただし、メールの内容が曖昧な場合や、双方が合意した業務範囲内の指示に留まる場合には、単独で労働者性を証明するのは難しいため、他の証拠と併せて提示する必要があります。

そのため、メールのやり取りは定期的に保存しておき、必要な場合に迅速に提供できるよう管理しておきましょう。

報酬の明細など

報酬の明細などが記載された書類が発行されている場合、これも労働者性を証明する証拠として利用できます。

これは、報酬の支払い方法や基準が労働者性の判断において重要な要素となるからです。

通常、業務委託契約では報酬が業務の成果物や遂行した業務内容に基づいて支払われます。

一方で、報酬の支払い基準が以下のような場合は、労働者性が認められる可能性があります。

  1. 月給や時給制で定期的に報酬が支払われている
  2. 労働時間や勤務日数に応じた計算方法が採用されている
  3. 成果物が未完成であっても一定の金額が支払われる契約になっている

また、報酬明細に「基本給」「時間外手当」などの項目が含まれている場合、形式上は業務委託契約であっても、実態としては労働契約とみなされる可能性が高まります。

このような明細がある場合、依頼者と受託者の関係が「指揮命令に基づく労働提供」に近いことを示せるでしょう。

業務委託で残業代を請求するためにはどんな証拠が必要?(残業時間に関する証拠)

業務委託で残業代を請求するには、「労働者性」を証明できる証拠とあわせて「残業時間」を証明する証拠も準備しておく必要があります。

理由は単純明快で、残業時間を証明できなければそもそも正確な残業代が計算できないからです。

残業時間を証明するためには、以下の2点が有効です。

タイムカードなど

タイムカードは、残業時間を証明する最も基本的な証拠の一つです。

業務委託契約の場合、タイムカードが使用されていないこともありますが、労働者性が認められるような契約形態や業務環境では、タイムカードで勤怠管理をしているケースが多い傾向にあります。

タイムカードには、出勤時間や退勤時間が正確に記録されているため、残業時間の計算において非常に有効です。

特に、労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた勤務が記録されている場合、残業代の請求に強い証拠性を与えます。

発注者とのやり取りやパソコンのログなど

発注者とのやり取りやパソコンのログも、残業時間を証明する上で有効な証拠となります。

これらは、タイムカードや業務日報がない場合でも、実際の作業時間や労働実態を示す重要なデータとして活用できます。

具体的には、以下のような情報が証拠として利用可能です。

  1. メールやチャット履歴:深夜や休日に送信された依頼や業務指示が含まれている場合、それが残業を証明する証拠となります。
  2. パソコンの操作ログ:作業開始や終了時刻、ソフトウェアの使用時間などが記録されている場合、それを分析することで具体的な作業時間を示すことができます。例えば、クラウド型の作業ツールやメールクライアントのログは有力な証拠です。
  3. プロジェクト管理ツールの履歴:作業時間や進捗を記録するツール(例:Trello、Asana、Slack)のデータがある場合、それが作業時間の裏付けとして利用できます。

これらの証拠は、業務委託契約であっても実態として労働者性が認められるケースで、残業時間を裏付けるために非常に重要です。

特に、パソコンのログやデジタル記録は、改ざんが困難で信頼性が高いため、客観的な証拠として効果的です。

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まとめ

本記事では、業務委託契約における残業代の請求について、その条件や必要な証拠を詳しく解説しました。

業務委託契約で働くフリーランスにとって、「残業代」を巡る問題は決して簡単なテーマではありません。

労働者性が認められるかどうかは契約書の内容だけでなく、業務の実態や証拠の有無によって判断されるため、事前の理解と準備が非常に重要です。

今後、働き方の多様化が進む中で業務委託契約の枠組みがさらに拡大し、契約者保護の議論も進むことが期待されます。

一方で、個々のケースに応じた法的判断が求められる場面も増えるでしょう。

そのため、自分自身の働き方を定期的に見直し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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