ディープラーニング・機械学習ができる8つのクラウドサービス
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目次
クラウドサービスの3つの種類
クラウドサービスの3つの種類について解説していきます。
SaaS
SaaSは、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことを指します。ユーザーは、インターネット経由でアクセスして、ブラウザ上でソフトウェアを使用することができます。
具体的な例としては、Googleの「G Suite」やMicrosoftの「Office 365」などのオフィスツール、SalesforceのようなCRMツール、SlackやZoomのようなコミュニケーションツールなどがあります。
SaaSのメリットとしては、ユーザーが個別にソフトウェアをインストールやアップデートする必要がなく、常に最新のバージョンを使用できる点や、初期投資が少なく月額や年額で利用料を支払うことでサービスを利用できる点が挙げられます。
IaaS
IaaSは、クラウド上で提供される仮想化されたインフラストラクチャサービスのことを指します。これにより、ユーザーは物理的なサーバーやストレージ、ネットワークなどのリソースを自分で持つことなく、必要に応じてこれらのリソースをレンタルして使用することができます。
具体的な例としては、Amazon Web Services (AWS) の「EC2」や「S3」、Microsoft Azureの「Virtual Machines」などがあります。
IaaSのメリットとしては、物理的なインフラを設置・管理する手間やコストを削減できる点や、必要に応じてリソースをスケールアップ・ダウンできる柔軟性がある点が挙げられます。
PaaS
PaaSは、クラウド上で提供されるアプリケーション開発・実行プラットフォームのことを指します。ユーザーは、このプラットフォーム上で直接アプリケーションの開発やデプロイを行うことができます。
具体的な例としては、Google Cloud Platformの「App Engine」やMicrosoft Azureの「App Service」などがあります。
PaaSのメリットとしては、アプリケーションの開発に必要なミドルウェアやOS、データベースなどの環境を自分でセットアップ・管理する必要がない点や、複数の開発者が協力して開発を行う際の環境統一が容易である点が挙げられます。
機械学習でクラウドサービスを利用する3つのメリット
機械学習でクラウドサービスを利用する3つのメリットについて解説していきます。
保守管理の必要がない
機械学習を実施する際、特に大規模なデータセットや複雑なモデルを扱う場合、高性能な計算リソースやストレージが必要となります。
これを自社で持つ場合、ハードウェアの故障やソフトウェアのアップデートなど、継続的な保守管理が必要となります。
しかし、クラウドサービスを利用すると、これらの保守作業はクラウドプロバイダーが担当してくれます。
例えば、Amazon Web Services (AWS) の SageMaker は、機械学習モデルのトレーニングやデプロイを容易に行うことができ、その裏でのサーバーの保守やアップデートはAWSが行ってくれます。これにより、開発者は機械学習のモデル開発に集中することができます。
簡単に導入・入れ替えできる
クラウドサービスは、多くの場合、APIやGUIを通じて簡単にサービスの導入や変更を行うことができます。
例えば、Google Cloud PlatformのAutoMLは、GUIを通じてデータのアップロードからモデルのトレーニング、評価までの一連の流れを簡単に実行できます。
また、あるクラウドサービスから別のクラウドサービスへの移行も、APIやデータ移行ツールを利用することでスムーズに行うことができます。
コスト削減
機械学習のプロジェクトを開始する際、特に初期段階ではどれだけの計算リソースやストレージが必要になるかを正確に予測するのは難しいものです。自社でリソースを購入する場合、過剰にリソースを確保してしまうリスクがあります。
しかし、クラウドサービスを利用すると、必要に応じてリソースをスケールアップ・ダウンすることができ、実際に使用した分だけのコストを支払うことができます。
例えば、Azure Machine Learning Serviceでは、モデルのトレーニングが必要な時だけ計算リソースを確保し、トレーニングが終了したらリソースを解放することで、コストを最適化することができます。
機械学習サービスがある8つのクラウドサービス
機械学習サービスがある8つのクラウドサービスについて解説していきます。
Google Cloud Platform
Google Cloud Platformは、Googleが提供するクラウドサービスの総称で、その中には機械学習サービス「Google Cloud Machine Learning Engine」が含まれます。
このサービスは、TensorFlowをベースとした機械学習モデルのトレーニングやデプロイを容易に行うことができます。
また、GCPには「AutoML」も提供されており、非専門家でも高品質なカスタムモデルを作成することができます。
例えば、AutoML Visionを使用すれば、独自の画像データを使って画像認識モデルをトレーニングすることができます。
Amazon SageMaker
Amazon SageMakerは、Amazon Web Services (AWS) が提供する完全マネージド型の機械学習サービスです。ユーザーはJupyterノートブックを使用してデータの前処理からモデルのトレーニング、デプロイまでの一連の流れを一つのプラットフォーム上で実行できます。
また、ビルトインアルゴリズムを使用することで、独自のアルゴリズムを書かずに機械学習モデルをトレーニングすることも可能です。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、Microsoftが提供するクラウドサービスで、中でも「Azure Machine Learning」は機械学習のワークフローをサポートするサービスです。
ドラッグ&ドロップのインターフェースを使用して、データの前処理からモデルのトレーニング、デプロイまでを視覚的に行うことができます。
また、Azure Machine Learning Studioを使用すれば、PythonやRのスクリプトを組み込むこともできます。
SAP
SAPは、多国籍企業向けのエンタープライズリソースプランニング(ERP)ソフトウェアのリーダーとして知られています。SAP Leonardoは、IoT、ブロックチェーン、データインテリジェンスなどの最新技術を組み込んだデジタルイノベーションシステムです。
機械学習部分では、SAPの豊富な業界データと組み合わせて、予測分析や自動化された業務プロセスを実現します。
例えば、製造業での需要予測や、小売業での顧客の購買傾向の予測など、ビジネスの様々な側面での意思決定をサポートします。
Floydhub
Floydhubは、ディープラーニングの研究者やエンジニアに特化したクラウドプラットフォームです。
ユーザーは、自分のマシンに何もインストールすることなく、Floydhub上で完全に設定された環境でモデルのトレーニングや評価を行うことができます。
また、プロジェクトのバージョン管理や、チームでのコラボレーション機能も提供されています。これにより、研究や開発のサイクルを大幅に短縮することができます。
Spell
Spellは、機械学習の実験やディープラーニングのトレーニングを簡単に、そして迅速に行うためのクラウドベースのプラットフォームです。
ユーザーは、ローカルマシンから直接Spellにコードを送信し、クラウド上での実行をスケジュールすることができます。
また、リソースの使用状況や実験の進行状況をリアルタイムでモニタリングする機能もあります。
SalesForce
SalesForce Einsteinは、SalesForceプラットフォーム上で動作するAI機能の総称です。
これにより、CRMデータを活用して、顧客の行動の予測や、営業、マーケティング、サービスの自動化を実現します。
例えば、Einstein Prediction Builderを使用すると、カスタム予測モデルをドラッグ&ドロップのインターフェースで簡単に作成することができます。
DataRobot
DataRobotは、非専門家でも機械学習モデルの開発とデプロイを行うことができるAutoMLプラットフォームです。
ユーザーは、データをアップロードし、目的変数を指定するだけで、DataRobotが自動的にデータの前処理、特徴量エンジニアリング、モデルの選択とトレーニングを行います。
また、モデルの解釈ツールを使用して、モデルの予測の根拠を可視化することもできます。
各クラウドサービスの機械学習プラットフォーム
各クラウドサービスの機械学習プラットフォームについて解説していきます。
AWS:Amazon SageMaker
Amazon SageMakerは、AWSが提供する完全マネージド型の機械学習サービスです。ユーザーは、データの前処理からモデルのトレーニング、チューニング、デプロイまでの一連の流れを一つのプラットフォーム上で実行することができます。
具体的な例として、SageMakerのビルトインアルゴリズムを使用して、大量のテキストデータからトピックモデルを作成することが可能です。
また、SageMaker Neoを使用すると、モデルを最適化してエッジデバイスでの実行を高速化することもできます。SageMakerの強力な点は、スケーラビリティと柔軟性にあり、初心者から研究者まで幅広いユーザーが利用することができます。
Azure:Azure Machine Learning
Azure Machine Learningは、Microsoft Azureが提供する機械学習のためのエンドツーエンドのプラットフォームです。
このサービスを使用すると、データの前処理、特徴量エンジニアリング、モデルのトレーニングとデプロイを、クラウド上で効率的に行うことができます。
例えば、Azure Machine Learningの自動機械学習(AutoML)機能を使用すると、最適なモデルとハイパーパラメータを自動的に選択してくれます。
また、Azure Machine Learning Designerを使用すると、ドラッグ&ドロップのGUIで機械学習のワークフローを設計することができます。
GCP:Vertex AI
Vertex AIは、Google Cloud Platform(GCP)が提供する統合型の機械学習プラットフォームです。このプラットフォームは、AutoMLとカスタムモデルトレーニングの両方をサポートしており、ユーザーは自分のニーズに合わせて最適な方法を選択することができます。
例として、Vertex AIのAutoML Tablesを使用すると、テーブルデータから自動的にモデルをトレーニングすることができます。
また、Vertex AI Workbenchを使用すると、Jupyterベースの環境でデータの分析やモデルの開発を行うことができます。GCPの強みは、Googleが開発した先進的な機械学習技術を、簡単にアクセスして利用することができる点にあります。
各クラウドサービスにある自然言語処理サービス
各クラウドサービスにある自然言語処理サービスについて解説していきます。
AWS:Amazon Comprehend
Amazon Comprehendは、AWSが提供する自然言語処理(NLP)サービスで、テキストからの情報抽出や感情分析、エンティティ認識などのタスクをサポートしています。
具体的な例として、カスタマーサポートのチャットログをAmazon Comprehendに入力すると、顧客の感情(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなど)を自動的に分析してくれます。
また、特定のキーワードやフレーズ、場所や人物名などのエンティティも自動的に抽出することができます。これにより、ビジネスの意思決定やマーケティング戦略の策定に役立つ洞察を得ることができます。
Azure:Azure Text Analytics
Azure Text Analyticsは、Microsoft Azureが提供するNLPサービスで、テキストからのキーフレーズの抽出、感情分析、エンティティ認識などの機能を持っています。
例えば、製品のレビューをAzure Text Analyticsに入力すると、そのレビューがポジティブなのかネガティブなのかを判定するだけでなく、レビューの中で特に注目されているキーワードやフレーズを抽出することができます。
このような情報は、製品の改善点や顧客の要望を把握するのに非常に役立ちます。
GCP:Natural Language AI
Natural Language AIは、Google Cloud Platform(GCP)が提供するNLPサービスで、テキストの内容を分析してエンティティの抽出、感情の分析、文法の解析などを行うことができます。
例として、ニュース記事をNatural Language AIに入力すると、記事の中で言及されている場所や人物、組織などのエンティティを自動的に識別してくれます。
また、その記事のトーンがポジティブなのかネガティブなのか、またはニュートラルなのかを分析することもできます。
これにより、メディアモニタリングやトレンド分析などのタスクを効率的に行うことができます。
各クラウドサービスにある画像認識サービス
AWS:Amazon Rekognition
Amazon Rekognitionは、AWSが提供する深層学習ベースの画像およびビデオ分析サービスです。
このサービスを使用すると、画像内のオブジェクト、シーン、顔、テキストを自動的に検出・分析することができます。
具体的な例として、監視カメラの映像をAmazon Rekognitionに入力すると、映像内での人々の顔をリアルタイムで認識し、それらの顔が事前に登録されたデータベース内のどの顔と一致するかを判定することができます。
これにより、不審者の検出やVIPの自動認識などのタスクを効率的に行うことができます。
Azure:Azure Computer Vision
Azure Computer Visionは、Microsoft Azureが提供する画像分析サービスで、画像内のオブジェクト、シーン、顔、色、テキストなどの情報を自動的に抽出することができます。
例えば、観光地の写真をAzure Computer Visionに入力すると、その写真がどの観光地のものであるか、また写真に写っている人々の感情や年齢、性別などの情報を自動的に分析することができます。
このような情報は、観光業界でのマーケティング分析や顧客の興味・嗜好の把握に役立ちます。
GCP:Vision AI
Vision AIは、Google Cloud Platform(GCP)が提供する画像分析サービスで、画像内のオブジェクト、ランドマーク、動物、テキストなどの情報を高精度に抽出することができます。
例として、商品の写真をVision AIに入力すると、その商品が何であるか、また商品のブランドや型番などのテキスト情報を自動的に抽出してくれます。
さらに、その商品の写真がネガティブなコンテキストで使用されているかどうかも分析することができます。これにより、ブランドのオンラインでの評判管理や不正使用の検出などのタスクを効率的に行うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事ではディープラーニング・機械学習ができる8つのクラウドサービスについて紹介してきました。
クラウドサービスを活用することで効率性、保守性が格段にアップします。
今後のシステムはクラウドサービスが中心となってくるため、ディープラーニングを学習する上で必須な知識となります。
クラウドサービスも扱えるようになれば業界での地位向上も期待できるため、同時に学習していくようにしましょう。
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