業務委託に潜む罠とは?業務委託契約を結ぶ際の注意点を踏まえて紹介
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目次
はじめに
近年、フリーランスや個人事業主として働く人も増えつつあり、それに伴って注目されている「業務委託契約」。
業務委託契約では、柔軟な働き方が可能で高収入も目指せる一方、見えないリスクやトラブルに直面するケースも少なくありません。
本記事では、業務委託契約の種類から、メリット・デメリット、さらに契約を結ぶ際の注意点まで詳しく解説します。
<この記事を読むメリット>
- 業務委託契約の基本知識を把握できる
- 契約時に注意すべきポイントを事前に知れる
- トラブルを回避する具体的な方法を学べる
業務委託契約をスムーズに進めたい方、またトラブルを未然に防ぎたい方にとって必読の内容が満載です。
この機会に業務委託契約の基礎から実践までをしっかり学び、安心してフリーランスとして活躍する準備を整えましょう!
業務委託契約の種類
請負契約 | 委任契約 | 準委任契約 | |
目的 | 成果物の完成 | 法律行為の遂行 | 事実行為の遂行 |
成果責任 | 成果物の完成に責任がある | 成果責任はなく、忠実な業務遂行が義務 | 成果責任はなく、忠実な業務遂行が義務 |
報酬の支払い基準 | 成果物の完成が条件 | 業務遂行自体に対して支払われる | 業務遂行自体に対して支払われる |
主な適用例 | 建築業、製造業、クリエイティブ制作 | 弁護士、税理士、司法書士など専門職 | データ処理、コンサルティング、事務代行など |
注意義務 | 特になし(成果が基準) | あり(受任者の忠実義務) | あり(受任者の忠実義務) |
契約解除の自由 | 成果物完成前の一方的解除は困難 | 双方合意または契約内容による | 双方合意または契約内容による |
フリーランスや個人事業主は、クライアントから業務委託された仕事の報酬で生計を立てるのが一般的です。
その際に委託元(クライアント)と委託先(フリーランス)で締結するのが「業務委託契約書」です。
しかし、業務委託契約書にもいくつか種類があるので、契約をする際はそれぞれの特徴を把握しておく必要があります。
ここではまず、業務委託契約書の種類についてみていきましょう。
請負契約
「請負契約」とは、受託者が特定の仕事を完成させ、その成果物を納品することを義務とする契約形態です。
請負契約では、成果物の完成が報酬の支払い条件となるため、成果物を納品した段階で契約が履行されたとみなされます。
<請負契約の特徴>
- 成果物重視:作業そのものではなく、完成した成果物に対して報酬が支払われます。
- 完成責任:成果物が契約内容に基づいて完成していない場合、報酬は受け取れません。
- 独立性:契約期間中、受託者は作業の進め方や方法について一定の自由が与えられます。ただし、納期や品質に関しては厳格な条件が求められる場合が多いです。
<請負契約の例>
- ウェブサイトやアプリの開発
- ロゴやデザインの制作
- 記事や原稿の納品
請負契約を結ぶ際には、成果物の品質や納期について詳細に定めることが重要です。
これにより、完成後のトラブルを防ぐことができます。
委任契約
「委任契約」とは、受託者が委託者の依頼に基づき、特定の法的行為を行うことを内容とする契約です。
委任契約では、成果物の完成よりも、依頼された業務を遂行すること自体が重視されます。
<委任契約の特徴>
- 法的行為が対象:法的効果を伴う行為が業務内容となります。例えば、代理で契約を締結する場合などです。
- 業務遂行の責任:成果物の完成責任は問われず、委託者の指示に従い業務を遂行することが求められます。
- 信頼関係:受託者には、誠実に業務を遂行する義務(善管注意義務)が課されます。
<委任契約の例>
- 弁護士による法律相談や代理業務
- 税理士による確定申告の代行
- 取引先との契約交渉の代行
委任契約は信頼関係を基盤としていますが、業務の範囲や報酬に関して明確な合意をしておくことが重要です。
準委任契約
「準委任契約」は、委任契約と非常によく似た契約形態ですが、委任契約が法的行為を主な対象にしているのに対し、準委任契約は法的行為以外の業務を対象とする点で異なります。
具体的には、専門的なスキルや知識を活用した業務が多く、成果物ではなく業務そのものに対して報酬が支払われるケースが一般的です。
<準委任契約の特徴>
- 法的行為以外が対象:プログラミングやデザイン、調査業務など、法的効果を伴わない業務が範囲に含まれます。
- 業務遂行の責任:業務そのものの遂行が求められる契約で、成果物の完成までは求められない場合が多いです。
- 信頼関係が重要:委任契約と同様に、受託者には善管注意義務が課されます。
<準委任契約の例>
- システムエンジニアやプログラマーの派遣業務
- コンサルティング業務
- 各種リサーチやマーケティング活動
なお、IT業界で多く見られる「SES(システムエンジニアリングサービス)契約」は、この準委任契約に該当します。
SES契約では、受託者(エンジニア)が指定されたプロジェクトに参加し、クライアント先で業務を遂行(客先常駐)します。
この場合、具体的な成果物ではなく、業務遂行の時間やスキルの提供に対して報酬が支払われることが特徴です。
SES契約においては、常駐業務の条件や労働時間などがトラブルの原因となる場合があるため、注意が必要です。
業務委託契約と正規雇用の違い
業務委託契約 | 雇用契約 | |
法的根拠 | 民法 | 労働基準法 |
指揮命令関係 | 基本的に独立(クライアントの指揮命令を受けない) | 雇用主の指揮命令を受ける |
報酬 | 成果物や業務遂行に応じた報酬 | 時間や労働量に基づき給与が支払われる |
社会保険 | 自ら手続き・負担 | 雇用主が手続きし、保険料を負担する |
業務の責任 | 成果物や業務遂行に責任 | 雇用主が業務の結果責任を負う |
契約終了 | 契約期間満了、または合意による | 解雇や退職、労働契約法の定めに基づく |
業務委託契約と対になる契約形態が正規雇用、つまり雇用契約です。
両者は報酬を得るために働くという点では共通していますが、法的な位置づけや働き方の自由度、責任の範囲など、多くの点で大きな違いがあります。
業務委託契約では、フリーランスや個人事業主がクライアントと対等な立場で契約を結ぶため、業務の進め方や時間管理に自由があります。
その一方で、業務の成果に対する責任が重く、社会保険や税金の手続きも自分でしなければなりません。
雇用契約の場合、労働基準法に基づいて労働者が保護されるため、一定の安定が保証されます。
特に、社会保険や福利厚生が整っている点は大きなメリットですが、その反面、働く場所や時間が拘束されることも多く、自由度は低くなります。
業務委託という募集形態のメリット
近年の日本は少子高齢化による深刻な労働力不足に悩まされており、業務委託を活用して労働力不足を補う企業が増えつつあります。
では、フリーランス側に業務委託契約を締結するメリットはあるのでしょうか?
ここからは、業務委託のメリットについてわかりやすくご紹介していきます。
自分の得意分野の仕事を専門にできる
1つ目のメリットは、自分の得意分野を仕事にできる点です。
一般的な正規雇用(雇用契約)では、雇用主の指示に従って幅広い業務を担当することが多く、自分の得意分野や専門スキルが必ずしも活かされるとは限りません。
特に大企業では、配属や異動によって自分が望まない業務に従事する場合がほとんどです。
一方、業務委託契約では自分のスキルや経験を基に案件を選ぶことが可能です。
例えば、ライターであれば得意な分野の記事を専門に書くことができ、デザイナーであれば自分のスタイルに合った仕事を選べます。
このように、自分の得意分野を活かして働けるため、仕事に対するモチベーションも高まりやすくなります。
場所・時間にとらわれず自由に働く事ができる
2つ目のメリットは、場所や時間にとらわれず自由に働ける点です。
業務委託契約では、雇用契約のように職場に通勤したり、決められた時間内で勤務する義務がありません。
そのため、好きな場所で、好きな時間に働くことができます。
例えば、自宅でリモートワークをしたり、旅行先やカフェで仕事をしたりと、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べます。
また、通勤時間が不要になるため、その分をスキル向上や家族との時間に充てることも可能です。
この自由度の高さは、特にクリエイティブな業務を行うフリーランスにとって大きな魅力といえるでしょう。
ライフスタイルにも合わせてスケジュールを管理できる
3つ目のメリットは、自分のライフスタイルに合わせてスケジュールを管理できる点です。
業務委託契約では、決まった勤務時間に縛られることがないため、プライベートや趣味、家族との時間を優先した働き方が可能です。
例えば、育児や介護と仕事を両立させたい場合や、特定の曜日を休みに設定したい場合でも柔軟にスケジュールを調整できます。
また、自分のペースで働けるため、繁忙期と閑散期を計画的にスケジューリングすることも可能です。
仕事を集中して行う期間を設け、まとまった休暇を取ることで、心身のリフレッシュや新しいアイデアのインプットにもつながります。
高収入が目指せる
4つ目のメリットは、高収入を目指しやすい点です。
業務委託契約を通じて働くフリーランスは、自分のスキルや専門知識に応じて案件を選び、報酬を交渉することが可能です。
その結果、正規雇用と比較して高収入を得られる可能性があります。
実際に、2023年度の「厚生労働省の調査」によると、日本の一般労働者の平均月収(所定内給与)は「約30万4,300円」でした。
一方、「フリーランス白書2022」のデータによれば、月収50万円以上(年収600万円以上)のフリーランスは全体の「約28.7%」を占めており、特に専門スキルを持つフリーランスでは1,000万円以上の年収を達成するケースも珍しくありません。
ただし、高収入を得るには、自分のスキルを常に磨き続ける努力が欠かせません。
人間関係によるストレスが少ない
5つ目のメリットは、人間関係によるストレスが少ない点です。
社会人として働いた経験がある人ならば、誰もが一度は職場の人間関係に悩まされたことがあるでしょう。
実際に、日本労働組合総連合会が2022年に公表したアンケートによると、社会人のストレスの原因は「職場の人間関係」がダントツで1位になっています。
しかし、業務委託契約で働くフリーランスは基本的に1人で仕事をするので、人間関係に悩まされることがほとんどありません。(※業種や契約形態にもよる)
もちろん、クライアントとの信頼関係構築は必須にはなってきますが、上司に監視されることもないですし、嫌いな人と無理に付き合う必要もありません。
必要な時だけコミュニケーションを取ればよい場合が多いため、人間関係に対する負担が大幅に軽減されるのは非常に大きなメリットといえるでしょう。
業務委託という募集形態のデメリット
業務委託契約を通じて働くフリーランスは、近年確かに人気になりつつありますが、デメリットも多く存在します。
ただ単純に「フリーランスは楽そう!」「フリーランスになって自由な生活を楽しみたい!」という理由でフリーランスになると、思わぬ落とし穴にはまる可能性も高いです。
そのため、以下に紹介するデメリットは必ず把握しておきましょう。
労働者を保護するための法律は適用なし
1つ目のデメリットは、雇用契約と違って労働者としての保護を受けられない点です。
業務委託契約で働く人は、基本的に「(独立)事業者」として扱われます。
そのため、「労働者」の保護を目的としている「労働基準法」が適用されません。
具体的には、以下のような保護を受けられないことが問題となります。
- 最低賃金制度:労働者には適用される最低賃金制度が、業務委託契約には適用されないため、低単価での契約を結ばざるを得ないケースがあります。
- 労働時間・休日の規制:1日8時間や週40時間といった労働時間の制限がなく、休みなしで働いても法律違反にはなりません。
- 解雇規制:雇用契約では不当解雇が禁止されていますが、業務委託契約では契約解除に関する明確な規制がないため、一方的に契約を打ち切られるリスクがあります。
特に、クライアントとの力関係で劣るフリーランスの場合、過剰な納期要求や低報酬を押し付けられる可能性もゼロではありません。
ただし、2024年11月からは「フリーランス保護法」が施行されており、フリーランスを取り巻く環境は改善傾向にあります。
社会保険や雇用保険に入れない
2つ目のデメリットは、社会保険や雇用保険に加入できない点です。
雇用契約で働く労働者は、企業が提供する社会保険(健康保険や厚生年金保険)や雇用保険に自動的に加入し、その保険料も企業と労働者が折半で負担します。
しかし、業務委託契約では、フリーランスが独立した事業者として扱われるため、これらの保険に加入する権利がありません。
その結果、健康保険や年金は国民健康保険と国民年金に自ら加入し、保険料を全額自己負担する必要があります。
また、雇用保険がないため、仕事を失った際の失業手当などの保障も受けられません。
特に病気やケガで長期間働けなくなった場合のリスクは大きく、収入が途絶える恐れがあります。
こうしたリスクを軽減するためには、民間の保険や積立を活用して自衛する必要がありますが、それにはさらなる費用がかかるため、経済的な負担が増えるのも事実です。
税金関係の手続きを自分で行う必要がある
3つ目のデメリットは、税金に関する手続きをすべて自分で行わなければならない点です。
雇用契約の場合、所得税や住民税は企業が給与から自動的に天引きしてくれるので、税金の納付手続きを自分でする必要はありません。
しかし、業務委託契約で働くフリーランスは独立した事業者として扱われるため、確定申告を通じて税金を計算し、正しく納付しなければなりません。
確定申告の手続きには税務知識が必要なうえ、書類の作成や提出に多くの時間と労力を要します。
さらに、経費の仕訳や領収書の管理、帳簿の記録など、日々の記録も欠かせません。
これを怠ると税務署からの指摘や罰金のリスクがあるため、正確かつ慎重に行う必要があります。
税理士に依頼して負担を軽減する選択肢もありますが、その場合は追加のコストが発生します。
納期、修正、報酬、不履行、情報漏洩のトラブルが多い
4つ目のデメリットは、契約や業務遂行に関わるトラブルが発生しやすい点です。
業務委託契約は、フリーランスとクライアントの間で合意した内容に基づいて進められるため、納期や修正回数、報酬の支払い、契約不履行、情報漏洩など、さまざまなトラブルが起こりやすい特徴があります。
例えば、クライアントの曖昧な指示やコミュニケーション不足が原因で、業務内容や成果物の認識が食い違い、納期遅延や大量の修正を求められるケースがあります。
また、明確な契約書を交わしていない場合、成果物を納品しても報酬が支払われないといった深刻な問題に発展する可能性もゼロではありません。
これらのトラブルを防ぐためには契約書を綿密に作成し、業務内容、納期、修正回数、報酬額、機密保持に関する取り決めを明確にすることが重要です。
業務委託に潜む罠
業務委託契約をクライアントと締結する際は、いくつか注意すべき点があります。
業務委託契約書というのは、専門的な知識がないとなかなか理解できないので、特にはじめて契約を締結する際は、以下に紹介する業務委託の罠について必ず理解しておきましょう。
業務量と報酬が見合っていない
一般的なフリーランスが結ぶ業務委託契約で、最も多いのが「請負契約」です。
請負契約では、成果物の納品が報酬の支払い条件となるため、納品までにどれだけ時間がかかろうが、最終的に支払われる金額は同じになります。
この仕組み自体は一般的ですが、問題となるのは、契約段階で業務量が正確に把握できていなかったり、後から追加の要求が発生したりする場合です。
例えば、当初の見積もりでは簡単な修正だけで済むと思われていた案件が、実際には大幅な仕様変更を伴うものになったり、クライアントの要望で修正が何度も繰り返されたりすることがあります。
それにも関わらず、報酬額が最初の契約時のままで変更されない場合、時間や労力に見合った対価を得られません。
特に、報酬が低めに設定されている案件でこのような状況が発生すると、他の案件に割く時間がなくなる可能性もあります。
責任の所在を押し付ける
業務委託契約では、責任の所在が曖昧になりがちです。
例えば、クライアントから提供された情報や指示が不十分だったために成果物が期待通りに仕上がらなかった場合でも、責任がすべてフリーランスに押し付けられることがあります。
このようなケースでは、「成果物を完成させる義務がある」という契約内容がクライアントの主張の根拠となり、フリーランスが責任を負わされる形になりかねません。
さらに、問題が発生した際にクライアントが自社の落ち度を認めず、フリーランスに無理な対応を求めることもあります。
最悪の場合、法的トラブルに発展しかねないので、契約書の中で責任の範囲を事前に明確に定めることが大切です。
偽装請負
業務委託契約を締結する際は、「偽装請負」に該当しないか必ず確認しておかねばなりません。
「偽装請負」とは、業務委託契約の名目で実際には請負ではなく、クライアントがフリーランスを直接管理・指揮するような働き方を強制する違法な契約形態のことです。
本来、業務委託契約ではフリーランスが独立した事業者として自分の裁量で業務を遂行する権利があり、クライアントが業務の進め方や作業内容に直接口を出すことは認められていません。
しかし、偽装請負では実質的に雇用契約のように指揮命令権が行使されます。
例えば、クライアントのオフィスに常駐して上司の指示に従って業務を進めたり、クライアントの社員と同様の労働時間を強いられる場合などが典型的な例です。
このような状況は法的に問題があり、労働基準法違反に該当する可能性があります。
また、万が一偽装請負と判断された場合は不利な立場になるだけでなく、クライアント側も罰則を受けるリスクがあります。
二重派遣
業務委託契約を結ぶ際には、「二重派遣」のリスクにも注意が必要です。
「二重派遣」とは、派遣元が労働者を派遣先企業に送り、その派遣先企業がさらに別の会社にその労働者を派遣する違法な形態を指します。
派遣契約が隠れている場合に発生するケースが多く、これは派遣労働者保護法に違反する行為です。
フリーランスが関わる場合、このような状況が業務委託契約の形で偽装されることがあります。
例えば、フリーランスとしてクライアントAと業務委託契約を締結したにもかかわらず、実際にはクライアントAの指揮命令を受けて別の会社(クライアントB)の業務を行う場合です。
この場合、形式上は業務委託ですが、実態として二重派遣に該当する可能性があります。
二重派遣が疑われる状況では契約内容が曖昧なことが多く、フリーランスの責任範囲や報酬条件が不透明になりやすいです。
また、違法な形態であるため、問題が発覚した場合にフリーランス自身がトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
突然の契約解除
業務委託契約では、クライアントから突然契約を解除されるリスクも潜んでいます。
業務委託契約は雇用契約とは異なり、解雇規制や安定した雇用保障が適用されません。
そのため、契約期間内であってもクライアントの都合で一方的に契約を打ち切られることがあります。
例えば、クライアント側の業績悪化やプロジェクトの中止、予算の削減といった理由で、フリーランスが納得できない形で契約解除されることも珍しくありません。
このような突然の契約解除は、収入の不安定化を招くだけでなく、生活にも大きな影響を与えます。
さらに、次の案件が見つかるまでの間、無収入となる恐れもあります。
こうしたリスクを軽減するためにも、契約書に契約解除の条件を明確に記載しておきましょう。
業務委託契約を結ぶ際の注意点
ここまで、業務委託契約に潜む罠をいくつか紹介してきました。
では、こうした罠を回避するためには、どのような点に注意して契約すればよいのでしょうか?
ここからは、業務委託契約を結ぶ際の注意点をご紹介します。
業務内容を把握する
業務委託契約を結ぶ際は、必ず業務内容を「正確に」把握しましょう。
もしクライアント側とフリーランス側で業務内容に認識のズレがあると、本来やるはずではなかった業務を担当することになり、結果的に想定以上の労力を費やすことになるかもしれません。
例えば、WEBライター案件で「記事の執筆」が業務内容に記載されていた場合を考えてみましょう。
この場合、「記事の執筆」という表現だけでは非常に曖昧で、具体的な範囲が分かりません。
WEBサイトの記事の執筆には、「SEO対策」や「キーワードリサーチ」が含まれることもありますし、場合によっては画像選定やWEBサイトへの投稿作業、さらにはWEBデザインの修正まで求められることもあります。
このような曖昧さを避けるためには、契約を結ぶ前にクライアントに業務内容を具体的に確認し、必要に応じて明確化を求めることが重要です。
業務委託契約書の有効期限を確認する
業務委託契約を結ぶ際は、契約書の有効期限を必ず確認しましょう。
有効期限が曖昧なままだと、トラブルが発生した際に契約内容が有効かどうかが不明確になり、結果として不利な立場に立たされる可能性があります。
例えば、契約書に「契約期間は1年」と記載されている場合、1年後に契約が更新されるのか、それとも自動的に終了するのかを明確にする必要があります。
自動更新される場合は、更新時の条件や手続きについても確認しておきましょう。
一方で、短期間の契約である場合、契約終了後に継続的な仕事が保証されていないことを考慮し、次の案件を確保する準備を進める必要があります。
報酬の期限を確認する
業務委託契約を結ぶ際には、報酬の支払い期限を必ず確認しましょう。
報酬の支払いが遅れる、あるいは支払われないといったトラブルはフリーランスにとって深刻な問題です。
支払い条件を明確にしておくことで、こうしたリスクを回避できます。
そのためにも、契約書には具体的な支払い期限を記載してもらうようにしましょう。
例えば、「納品物の検収完了後30日以内に支払う」や「毎月末締め翌月末払い」など、支払いスケジュールを明確に定めておくことが重要です。
また、報酬の振込手数料がどちらの負担になるかも確認が必要です。
場合によっては、手数料がフリーランス負担となることがあり、報酬額が実質的に減ってしまうことがあります。
報酬の支払い期限に関する条件が曖昧なまま契約を結ぶと、後々のトラブルにつながりかねません。
不明点があれば事前にクライアントに確認し、納得したうえで契約を締結することが大切です。
納品の期限・検収期間を確認する
業務委託契約を結ぶ際には、納品の期限と検収期間を必ず確認しましょう。
これらが曖昧だと、納品後のトラブルや報酬の支払い遅延につながる可能性があります。
まず、納品の期限については、具体的な日付や納期の計算方法を契約書に明記するようにしましょう。
「契約締結から10営業日以内」や「プロジェクト開始後1か月」など、誰が見てもわかりやすい形で設定することが重要です。
次に、検収期間についても確認しておきましょう。
検収期間とは、納品物がクライアントの要件を満たしているかを確認するための期間のことです。
検収期間が明記されていないと、クライアントが納品物を長期間放置し、その間報酬の支払いが滞るリスクがあります。
例えば、「納品後5営業日以内に検収を完了し、不備がない場合は承認する」といった形で明文化しておくと安心です。
経費の請求範囲を確認する
業務委託契約を結ぶ際には、経費の請求範囲を確認することも重要です。
契約内容によっては、業務を進めるために必要な費用が自己負担となる場合があります。
例えば、取材や出張を伴う案件では、交通費や宿泊費、場合によっては資料購入費などが発生するのが一般的です。
このような経費が報酬とは別途支払われるのか、あるいは報酬に含まれるのかを契約書で明確にしておく必要があります。
また、経費を請求する場合の条件や手続きについても確認しておきましょう。
途中で業務委託契約を解除できるかチェックする
業務委託契約を結ぶ際には、途中で契約を解除できる条件についても確認することが重要です。
例えば、クライアントが途中で契約内容を変更したり、業務量を大幅に増加させたりした場合、契約解除が可能でないと、不利な条件下で働き続けることを強いられる可能性があります。
また、フリーランス側の事情で業務を続けられなくなった場合にも、契約解除の条件が明確でないと損害賠償を求められるリスクがあります。
そのためにも、契約書では契約解除に関する具体的な条件を確認しましょう。
例えば、「契約解除には30日前の通知が必要」や「未完了業務についてはペナルティなしで契約終了可能」といった条項を盛り込むことで、双方にとって公平な条件を確保できます。
さらに、途中解除が可能な場合でも、解除時に報酬がどうなるかを確認することも大切です。
すでに完了している業務に対する報酬が支払われるのか、それとも全額が無効になるのかといった点を契約時に明確にしておくべきです。
受託側が一方的に不利になる条項が無いかをチェックする
業務委託契約を結ぶ際には、契約内容に受託側、つまりフリーランス側が一方的に不利になる条項が含まれていないかを必ず確認しましょう。
例えば、報酬の支払いが成果物の完成後に限定されている場合、納品後にクライアントが検収を長引かせることで、報酬の支払いが大幅に遅れるリスクがあります。
また、「クライアント側が契約を解除する権利を持つが、フリーランスにはその権利がない」など、契約解除の条件が不平等である場合も考えられます。
さらに、損害賠償に関する条項にも注意が必要です。
例えば、「成果物に問題があった場合、フリーランスが全額を賠償する」といった内容が盛り込まれていると、受託側が過大な責任を負うことになります。
これを防ぐためには、契約書をしっかりと読み込み、不明点があればクライアントに質問し、必要に応じて契約内容の修正を求めることが大切です。
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まとめ
本記事では、業務委託契約に関する基本的な種類や、正規雇用との違い、メリット・デメリット、さらに潜む罠や注意点について詳しく解説しました。
業務委託契約の本質は、クライアントと対等な立場で協力し、成果を提供することにあります。
しかし、その自由度の高さゆえに、責任が曖昧になるリスクやトラブルも少なくありません。
特に、曖昧な契約内容や不当な条項が原因で、不利な状況に追い込まれるフリーランスが多いことは、業界全体の課題でもあります。
今後、フリーランス市場が拡大する中で、業務委託契約に関する知識や法的な整備がさらに重要になるでしょう。
フリーランス自身もスキルアップと情報収集を怠らず、適切な契約を結ぶ力を養いましょう。
「エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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