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フリーランスエンジニアがマイクロ法人化するメリット・デメリットは?個人事業主との違いやタイミングも紹介

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はじめに

将来的なキャリアや収入の安定性を考えたとき、「マイクロ法人化」という選択肢が気になったことはありませんか?

近年、個人事業主からマイクロ法人へ移行するフリーランスが増加しており、その背景には節税や社会的信用度向上といった魅力的なメリットがあります。

しかし、その一方で設立や運営にかかるコストや事務作業の増加といったデメリットも存在します。

本記事では、フリーランスエンジニアがマイクロ法人化を検討する際に押さえておきたいポイントを網羅的に解説します

<この記事を読むメリット>

  • マイクロ法人化のメリットとデメリットがわかる
  • 法人と個人事業主との違いが理解できる
  • マイクロ法人化のタイミングや注意点がわかる

最後までお読みいただければ、マイクロ法人化するかどうか自信を持って判断できるようになるはずです。

ビジネスを次のステージへと進めるためにも、これを機にマイクロ法人化を検討してみましょう!

マイクロ法人とは?

マイクロ法人とは?

「マイクロ法人」とは、主に1人または少人数で運営される小規模な法人のことです。法的な用語ではなく、俗称として使われる名称になります。

資本金1円から設立可能な株式会社や合同会社などがこれに該当します。

例えば、フリーランスエンジニアが自身の仕事を法人化し、社長(自分自身)として活動する形態が典型例です。

フリーランスが法人化すると、場合によっては税金が安くなったり各種補助金や助成金を利用できるケースもあるので、最近ではマイクロ法人化を検討するフリーランスが増えています。

ただし、法人化するにはそれなりの所得が必要であり、ただ法人化するだけでは逆効果になってしまう場合もあるので注意が必要です

フリーランスエンジニアがマイクロ法人化するメリット

フリーランスエンジニアがマイクロ法人化すると享受できるメリットは以下の5点です。

  1. 節税効果がある
  2. 社会保険が適用される
  3. 社会的な信用度が上がる
  4. 資金調達がしやすくなる
  5. 長期的なビジョンを立てやすい

それぞれについて、以下で詳しくみていきましょう。

節税効果がある

1つ目のメリットは、節税効果が期待できることです。

「フリーランスは税金が安いから稼げる!」という意見をよくインターネットやSNSで見かけますが、これはあくまでも節税対策をしているフリーランスに限った話です。

節税対策を怠れば、正社員もフリーランスも納税額にそこまで大きな違いはありません。

例えば、個人事業主として1,000万円以上の所得がある場合、累進課税によって所得税率が最大40%近くになることがあります。

これに住民税(約10%)や国民健康保険の負担が加わり、手元に残る金額が意外に少なくなることも。

一方で、マイクロ法人として運営する場合、法人税率は約23.2%(※所得800万円以下の部分は15%)で一定です。

また、役員報酬として一定額を自分に支払うことで所得を分散させられます。

その結果、個人で負担する所得税や住民税を抑えることが可能です。

社会保険が適用される

フリーランス(個人事業主) マイクロ法人
加入する保険制度 国民健康保険・国民年金 健康保険・厚生年金
保険料の計算方法 所得に応じて変動(高所得ほど高額になる) 役員報酬に基づいて計算され、一定額で安定
保険料の負担割合 全額自己負担 会社と個人で折半
保障内容 基本的な医療費補助のみ 医療費補助+傷病手当金・出産手当金などの手厚い保障
年金の種類 国民年金(老齢基礎年金) 厚生年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
年金受給額 比較的少ない 国民年金よりも多く、老後の生活設計が立てやすい
病気やけがで休業した場合 保障はない 傷病手当金として給与の約2/3を受給可能
出産時の給付金 出産育児一時金のみ 出産育児一時金+出産手当金(給与の約2/3を支給)

2つ目のメリットは、社会保険が適用されることです。

フリーランスエンジニアとして働く場合、通常は国民健康保険国民年金に加入することになります。

しかし、これらは負担額が高い割に保障内容が限られているのが現状です。

一方、マイクロ法人化すれば健康保険と厚生年金に加入することが義務化され、より手厚い保障を受けられるようになります

社会的な信用度が上がる

3つ目のメリットは、社会的な信用度が上がる点です。

フリーランスは自由度が高い反面、社会的信用度があまり高くありません。

これは、フリーランスが負う法的責任が法人と比較して少ないためです。

しかし、マイクロ法人化することで取引先や社会からの信頼感が格段に向上します。

例えば、金融機関からの信頼度も向上するので融資も受けやすくなり、ローン審査なども通りやすくなるのが一般的です。

つまり、フリーランスの状態では個人のスキルに対する信頼で成り立っているのに対し、法人化すれば「法人」という器に社会的な信用度が加わります。

この「信用力の器」が、特にBtoBの取引や長期プロジェクトで大きな差を生むのです。

資金調達がしやすくなる

4つ目のメリットは、資金調達がしやすくなる点です。

フリーランスとして活動していると、設備投資や事業拡大のための資金を調達したいときに、選択肢が限られることがあります。

これは、フリーランスが「個人」として評価されるため、金融機関や投資家からの信用度が低いことが原因です。

しかし、マイクロ法人化は法人格を持つため、フリーランスよりも融資を受けやすいです。

また、国や自治体が提供する補助金や助成金に応募できるようになるので、資金調達の選択肢も増やせます

そのため、今まで挑戦できなかったような大規模プロジェクトにも参画しやすくなります。

長期的なビジョンを立てやすい

5つ目のメリットは、長期的なビジョンを立てやすい点です。

フリーランスは個人で事業を営んでいるため、どうしても長期的なビジョンを描く際に選択肢が狭くなりがちです。

しかし、マイクロ法人化するとチーム単位でのプロジェクトも視野にいれられるため、エンジニアとしてのキャリアプランに幅を持たせることが可能になります。

例えば受託開発だけでなく、オリジナルのソフトウェアやアプリケーションの開発を目指す場合、個人では限界がある作業量も法人のスケールを活かして実現できます。

また、事業自体を将来的に他の会社に売却する「事業譲渡」や、子会社として他企業に参加する、といった選択肢も生まれてきます。

このように、マイクロ法人化は短期的な税務面だけでなく、長期的な事業運営やキャリア形成にも有利に働く場面が多いのです。

フリーランスエンジニアがマイクロ法人化するデメリット

フリーランスエンジニアがマイクロ法人化するのは確かに多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。

マイクロ法人化のデメリットは以下の4点です。

  1. 設立や運営に費用がかかる
  2. 社会保険の負担が増える
  3. 事務作業が増える
  4. 節税効果が得られない場合もある

それぞれについて、以下で詳しくみていきましょう。

設立や運営に費用がかかる

1つ目のデメリットは、どうしてもコストがかかってしまう点です。

マイクロ法人を設立する際には、初期費用や毎年の維持費が必要になります。

フリーランスの場合は開業届を提出するだけで事業を始められますが、法人化することでこれらのコストを負担する必要性が出てきます。

なお、法人を設立する際には以下のような初期費用がかかります

  1. 登録免許税: 最低15万円(株式会社の場合)
  2. 定款認証費用: 約5万円(電子定款を使わない場合はさらに印紙代4万円)
  3. 司法書士や行政書士への依頼費用: 平均5~10万円(依頼した場合)

これ以外にも、運営費用(ランニングコスト)も恒常的に発生するので、ある程度の収益規模や長期的な利益の見込みがないと、これらのコストが重くのしかかってきます。

社会保険の負担が増える

2つ目のデメリットは、社会保険の負担が増える点です。

マイクロ法人を設立すると役員報酬を自分に支払う形になるため、個人事業主のときとは異なり、健康保険と厚生年金への加入が義務化されます。

これらの保険料は会社と個人で折半するため、フリーランスのときよりも負担額が増えるケースもあります。

例えば、月収30万円(年収360万円)のフリーランスエンジニアがマイクロ法人を設立する前後を比較してみましょう。

フリーランス マイクロ法人化後
健康保険料 月額:約25,000円 月額:約22,000円(会社負担22,000円を含む)
年金保険料 月額:約16,500円 月額:約30,000円(会社負担30,000円を含む)
合計負担額(月額) 約41,500円 約52,000円(会社負担を含めると82,000円)

(※実際の金額は地域や所得によって異なる)

このように、法人化後は会社負担分も含めた総額での負担が増える可能性が高いです。

ただし、役員報酬の金額を調整することで、社会保険料の負担をある程度コントロールできます。

しかしながら、役員報酬を低く設定しすぎると生活費や税務上の問題が生じるため、慎重に設計する必要があります。

事務作業が増える

3つ目のデメリットは、事務作業が増える点です。

マイクロ法人を設立すると、事業運営においてフリーランス時代には必要なかった法人特有の手続きや義務が発生します

このため、事務作業の量が増えて日常業務に割く時間が減ることもあります。

マイクロ法人化することで発生する主な事務作業は以下の通りです

  1. 決算業務:年次決算報告書の作成、法人税・消費税・地方税の申告と納付
  2. 社会保険関連:健康保険・厚生年金の加入手続き、毎月の社会保険料の計算と納付
  3. 給与関連:役員報酬の設定と支払い
  4. 給与明細の作成:源泉徴収税の納付と年末調整
  5. 税務手続き:法人住民税・法人事業税の納付、消費税の課税事業者であればその計算と申告
  6. 法務関連:定時株主総会の開催(形式的でも必要)
  7. 帳簿の管理:会計帳簿(売上・経費・利益など)の整備
  8. その他の手続き:年次での「法定調書」の提出、労働保険(労災保険や雇用保険)の加入・更新

このように、マイクロ法人化すると煩雑な作業をこなす必要性がでてきます。

ただし、こういった事務作業は非常に多くの時間を必要とするため、公認会計士や税理士に依頼するケースが一般的です。

しかしながら、その分のコストも発生することになるので慎重に検討しなければなりません。

節税効果が得られない場合もある

4つ目のデメリットは、節税効果が得られない場合もある点です。

マイクロ法人化する最大のメリットは「節税効果」といえますが、必ずしも法人化が節税につながるわけではありません

事業の収益規模や運営方針によっては、法人化することで逆に税負担が増えるケースもあります。

例えば、年間所得300万円のフリーランスが法人化した場合、フリーランス時代は所得税と住民税で40万円の負担だったのが、法人化後は法人税・社会保険料を含めて50万円以上の負担になってしまいます。

ただし、これはあくまでも簡易的な計算です。

フリーランスの場合は累進課税制度が適用されますが、法人の場合は法人税率(800万円以下は約15%、超える部分は約23%)が適用されるため、所得が増えれば増えるほど法人化のメリットは大きくなっていきます

一般的に法人化のタイミングは、年収が「800〜900万円」を超えたあたりといわれているので、この水準が見えてきたら法人化を検討してみるとよいでしょう。

フリーランスエンジニアとマイクロ法人の違いは?

フリーランスエンジニア(個人事業主) マイクロ法人
税務 ・所得税は累進課税(最大55%)
・経費計上の範囲が限定的
・法人税は一定の税率(15%~23.2%)
・役員報酬を経費にできる
社会保険 ・国民健康保険・国民年金に加入
・保険料は所得に応じて決まる
・社会保険(健康保険・厚生年金)に加入が義務付けられる
・保険料は役員報酬に基づく
年金 ・国民年金のみ
・将来の受給額は比較的少ない
・厚生年金に加入
・将来の年金額が増える可能性が高い
信用度 ・個人名義での取引が基本
・信用力が低いと見なされる傾向
・法人格を持つため、信用度が高い
・大企業との取引も有利
設立・維持費 ・開業届を提出するだけで費用はほぼ不要
・維持費も少ない
・設立時に一定額の費用が発生
・毎年最低7万円の法人住民税が必要
責任範囲 事業の責任は全て個人が負う(無限責任) 責任は法人に限定され、個人資産への影響が少ない(有限責任)

では、フリーランスエンジニアとマイクロ法人の違いは一体なんなのでしょうか?

フリーランスエンジニアとマイクロ法人の主な違いは以下の3点です。

  1. 個人事業主と法人の税務上の違い
  2. 社会保険料の負担と年金制度
  3. 信用度の違いと取引先への影響

以下で詳しくみていきましょう。

個人事業主と法人の税務上の違い

フリーランス(個人事業主)とマイクロ法人では、税金の仕組みが大きく異なり、収入が増えるほど法人の方が節税しやすい仕組みになっています。

個人事業主は累進課税方式が適用されるため、所得が増えると税率も高くなり、最大で55%の税率が課されます。

一方、マイクロ法人の法人税は一定の税率(800万円以下は約15%、超える部分は約23%)が適用されるので、利益の分配方法(役員報酬や配当金)を調整すれば税負担を軽減できます。

例えば、年間所得が800万円の場合、個人事業主の所得税率は23%に加え住民税が10%、さらに事業税も課されます。

しかし、法人の場合は800万円の利益の一部を役員報酬として経費に計上すれば、法人税率を15%に抑えることが可能です。

したがって、高収入を得る予定がある場合、マイクロ法人の税制の仕組みを活用すれば節税効果を高められます。

社会保険料の負担と年金制度

社会保険料の負担はフリーランスよりもマイクロ法人の方が大きいものの、将来の年金額を増やせるという効果が期待できます

フリーランスは国民健康保険と国民年金に加入し、所得に応じた保険料を支払います。

一方、マイクロ法人は厚生年金と健康保険への加入が義務となり、役員報酬に応じて保険料が決まるため保険料の負担は増えますが、厚生年金により将来的な受給額が増える点で有利です。

つまり、現時点での負担を重視するならフリーランス、将来の年金や福利厚生を重視するならマイクロ法人が適しているといえるでしょう。

信用度の違いと取引先への影響

マイクロ法人は法人格を持つため、フリーランスに比べて信用度が高く、取引先との関係構築に有利です。

法人格を持っていれば、企業間取引や融資、契約において「信頼できる相手」とみなされやすくなります。

特に、大企業や官公庁との取引では、法人であることが条件になるケースが多いです。

また、法人名義の銀行口座やオフィス契約ができるので、事業運営もスムーズになります。

したがって、取引先からの信用を重視し、規模を拡大していきたい場合はマイクロ法人の設立を検討してみましょう。

マイクロ法人化を後悔しないためのチェックポイント

フリーランスエンジニアがマイクロ法人化する際は、そのタイミングをしっかりと見極めなければなりません

ここからは、マイクロ法人化を後悔しないためのチェックポイントについて解説していきます。

マイクロ法人化しない方が良いケース

まず、以下に該当するフリーランスエンジニアはマイクロ法人化を避けた方がよいでしょう。

1.年間の収入が低い場合

マイクロ法人では、赤字であっても毎年最低7万円の法人住民税が発生します。

設立費用(株式会社で約20万円、合同会社で約6万円)や会計ソフト・税理士費用なども考慮すると、収入が少ないと負担が重くなります。

法人化による節税メリットが、維持費用を上回らない可能性が高いため、個人事業主のままの方が合理的です。

2.社会保険料の増加に不安がある

法人化すると、代表者として社会保険(健康保険と厚生年金)への加入が義務化されます。

例えば、役員報酬が月30万円の場合、健康保険料と厚生年金保険料で月額約10万円の負担が発生するケースも。

現状の国民健康保険・国民年金の方が保険料負担を抑えられる場合、法人化は見送るべきです。

3.事業規模が小さい場合

個人事業主は、簡単な確定申告手続きで事業運営が可能です。

法人化すると、決算書の作成や法人税申告などの複雑な経理が必要になり、税理士への依頼費用などが追加で発生します。特に、事業規模が拡大する予定がない場合は法人化のメリットは少ないです。

これらを参考に、現在の収入や事業規模、保険料負担、信用度などを総合的に考えた上で、マイクロ法人化の判断をしてください。

無理に法人化する必要はありません。

マイクロ法人化の適切なタイミングは?

フリーランスがマイクロ法人化を検討する適切なタイミングは、以下のチェックリストを参考にしてください。

  1. 年収が一定水準以上になったとき
  2. 取引の規模が拡大したとき
  3. 長期的な事業計画が決まったとき
  4. 節税対策が必要になったとき
  5. 将来的に従業員を雇用する計画があるとき

その根拠について、以下で詳しくみていきましょう。

年収が一定水準以上になったとき

フリーランスエンジニアの所得税は累進課税方式で、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みです。

具体的には、年間所得が800万円を超えると税率が23%、900万円を超えると33%に達します。

一方、法人税は所得に関係なく15%〜23.2%で一定です。また、役員報酬を経費として計上できるため、所得分散による節税が可能になります。

したがって、年収が「800万円〜900万円」の水準に達した時に法人化を検討しましょう。

取引の規模が拡大したとき

法人化することで社会的信用が向上し、取引先との信頼関係が強化されます。

特に、大企業や官公庁との契約では法人格が条件となることが多く、法人名義の契約書や銀行口座が必要になります。

したがって、取引規模が拡大して法人格が求められる場面が増えてきたら、信用力を高めるために法人化を検討しましょう。

特に、大企業や官公庁との取引を視野に入れている場合、法人化がスムーズなビジネス展開につながります。

長期的な事業計画が決まったとき

新しいサービスの展開や事業の多角化など、長期的なビジョンを持つ場合、法人化することで計画実現に向けた基盤が整います。

法人として活動することで資金調達がしやすくなり、複数の事業を効率的に運営できる仕組みが構築されます。

したがって、長期的な事業計画を具体化し、それを実現するための組織基盤が必要になった際に法人化を進めるべきです。

節税対策が必要になったとき

法人化することで、節税手段が広がります。

例えば、役員報酬や退職金の経費計上、社宅制度の利用など、個人事業主では適用できない方法を活用できます。

また、設立から一定期間は消費税の免税事業者として扱われる場合があるため、消費税負担を抑えられる可能性もあります。

したがって、税負担が重くなり、役員報酬や経費計上などの方法で節税が可能な状況になった際に法人化を検討しましょう。

将来的に従業員を雇用する計画があるとき

従業員を雇用する場合、法人化することで社会保険の整備や労務管理がスムーズになります。

また、福利厚生の充実や法人の信用力向上により、優秀な人材を確保しやすくなります。

個人事業主では提供が難しい退職金制度や福利厚生も、法人では導入しやすいです。

したがって、従業員を雇用して事業を拡大する計画がある場合、法人化による組織運営の効率化と信用力向上が役立ちます。

マイクロ法人設立のための手続きと必要書類

最後に、マイクロ法人設立のための手続きと必要書類について解説します。

会社設立の初期費用と資本金

マイクロ法人の形態としては、主に「株式会社」と「合同会社」があります。それぞれの設立費用は以下の通りです。

<株式会社の場合>

  • 登録免許税:資本金の0.7%(最低15万円)
  • 定款の印紙代:4万円(電子定款の場合は無料)
  • 定款認証手数料:約5万円
  • 合計:約24万円~

<合同会社の場合>

  • 登録免許税:資本金の0.7%(最低6万円)
  • 定款の印紙代:4万円(電子定款の場合は無料)
  • 定款認証手数料:不要
  • 合計:約10万円~

(※電子定款を利用することで、印紙代4万円を節約可能)

資本金は1円から設定可能ですが、事業内容や信用度を考慮して適切な金額を設定するのが望ましいです。

例えば、融資を必要としない事業(例: Webサービス、コンサルタントなど)の場合、資本金が少額でも問題ないことが多いです。

一般的には、100万円以上の資本金を設定することで、取引先や金融機関からの信用を得やすくなります。

定款や登記の作成手順

マイクロ法人を設立するには、法務局で定款(ていかん)と登記をしなければなりません。

定款とは、会社の基本ルールや方針を定めた書類です。以下の6ステップで作成できます

  1. 会社名を決める:会社名(商号)は自由に決められます
  2. 事業目的を明確にする:会社が行う事業を具体的に記載(例、「ITシステムの開発および販売」など)
  3. 本店所在地を記載する:会社の住所を記載(自宅でも問題なし)
  4. 資本金を設定する:1円から設定可能ですが、信用を得やすい額(例: 100万円以上)がおすすめ
  5. 株式や発起人を記載する:株式総数や発起人(会社設立を提案した人)の情報を記載
  6. 定款の形式を整える:上記の情報を文書化(テンプレートを利用すると便利)

続いて、登記申請の手順は以下の通りです。

  1. 必要書類を揃える → 定款や資本金払込証明書を準備(※後述)
  2. 管轄の法務局に申請 → 書類を窓口または郵送で提出
  3. 登記完了を待つ → 1週間程度で手続きが完了
  4. 法人印鑑カード取得と次の手続き → 銀行口座開設や税務署届出を行う

法務局で申請が受理されると、通常1週間前後で登記が完了します。管轄の法務局はお住まいの地域の法務局公式HPを確認してください。

必要書類の準備

マイクロ法人化の定款と登記に必要な書類は以下の通りです

チェックリスト形式で紹介しているので、手続きの際はぜひ活用してください。

<定款に必要な書類>

  • 定款本体:会社名、事業目的、本店所在地、資本金、発起人の情報などを記載した書類
  • 発起人の印鑑証明書:発起人全員分(発行から3ヶ月以内)
  • 実質的支配者となるべき者の申告書:株主総会で議決権の過半数を有する者を申告
  • 発起人の身分証明書:公証役場での本人確認用(運転免許証など)
  • 収入印紙(4万円):紙の定款に貼付(電子定款の場合は不要)
  • 手数料(定款認証費用):公証役場での認証料(約5万円)+謄本代

<登記に必要な書類>

  • 定款:公証役場で認証を受けたもの(合同会社では認証不要)
  • 発起人の印鑑証明書:発起人全員分(発行から3ヶ月以内)
  • 設立時取締役の就任承諾書:設立時取締役が役職を受け入れる意思を示した書類
  • 設立時代表取締役の就任承諾書:代表取締役が役職を受け入れる意思を示した書類
  • 資本金払込証明書:発起人の個人口座に資本金を払込んだことを証明する書類(通帳コピーなど)
  • 印鑑届出書:法人代表印(実印)を登録するための書類。
  • 発起人決定書:発起人が設立に関して決定した事項をまとめた書類
  • 株主リスト:設立時の株主情報(名前、住所、持株数など)
  • 登録免許税の納付書:株式会社の場合は最低15万円、合同会社の場合は最低6万円

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まとめ

本記事では、フリーランスエンジニアがマイクロ法人化を検討する際のメリット・デメリット、個人事業主との違い、さらに適切な法人化のタイミングや注意点について詳しく解説しました。

マイクロ法人は、節税効果や社会的信用度の向上といったメリットがある一方で、費用や事務作業の負担が増えるなどのデメリットも無視できません。

それぞれの特徴を把握した上で、自身の状況に合った判断をすることが重要です。

今後、フリーランスエンジニアとしての働き方がさらに多様化していく中で、マイクロ法人化は選択肢の一つとしてますます注目されるでしょう。

しかしながら、法改正や社会保険制度の変化にも注意を払いながら、最適なタイミングで意思決定することが成功への鍵といえるでしょう。

エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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