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【2023年最新】フリーランスの海外からの収入も課税対象なのか。対象範囲と確定申告をする必要があるかを解説

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そもそもの前提条件として課税所得の範囲を理解しよう

海外から収入を得ている場合、自分が日本居住者に該当するのか確認する必要があります。

なぜなら、日本居住者と非居住者では納税に関するルールが異なるためです。そのため、自分が日本居住者に該当するのか、正しく判断することが極めて重要になります。ここでは、日本居住者・非居住者の各条件を分かりやすく解説します。自分が日本居住者・非居住者のどちらに該当するか、確認しましょう。

◇日本居住者の条件

以下2つの条件のいずれかを満たす場合、日本の所得税法上では「日本居住者」とみなされます。

  • 国内に住所を有する個人

「住所」とは「各人の生活の本拠」を指します。また、現在住んでいる場所が「生活の本拠に該当するか」は、下記の客観的な事実によって判断されます。

  • 滞在日数
  • 職業
  • 国籍
  • 生活の状況
  • 親族の居住状況
  • 資産の所在
  • 現在まで引き続き1年以上居所を有する個人

「居所」とは、その人の生活の本拠ではなくても、その人が現実に移住している場所とされています。

上記の通り、「国内に住所を有する個人」か「現在まで継続して1年以上居所を有する個人」に該当する人は、所得税法上の「日本居住者」とみなされることを覚えておきましょう。

なお、日本は全世界所得課税方式という納税制度を採用しています。この制度下では、日本居住者が日本で得た所得のみではなく、外国から得た所得も課税の対象になります。そのため、全世界所得課税方式を採用している国では、国際的な二重課税が発生する可能性が高いです。二重課税を防止するため、日本では「外国税額控除」という制度が設けられています。外国税額控除に関しては、後で詳しく解説します。

非居住者条件

  • 居住者以外の個人

非居住者とは「居住者以外の個人」を指します。つまり、「国内に住所を有する個人」と「現在まで継続して1年以上居所を有する個人」のいずれにも該当しない個人が「非居住者」とみなされます。

非居住者にとっては、日本で得た国内源泉所得のみが、原則として課税所得となることを覚えておきましょう。

上記の日本居住者・非居住者の区分は、あくまでも日本の所得税法上によるものです。したがって、住民票の有無は、日本居住者・非居住者を区別する理由にはなりません。たとえば、日本に住民票を残した状態で海外で生活している場合、日本に住民票があったとしても「非居住者」とみなされます。

参考:国税庁 No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁 (nta.go.jp)

参考:所得税法施行令第15条 所得税法施行令 | e-Gov法令検索

フリーランスが海外から収入を得ている場合確定申告をする必要がある?
日本在住で海外から収入を得ている場合

海外から収入を得ている日本居住者は、確定申告をする必要があります。なぜなら、日本は全世界所得課税方式を採用しているため、日本国外で得た収入も課税の対象になるからです。また、後で解説する「外国税額控除」を用いて、海外と日本の二重課税を防ぐことができることを覚えておきましょう。ちなみに、日本以外で全世界所得課税方式を採用している国は、アメリカ・中国・インド等が挙げられます。

その一方、シンガポール等は国内源泉所得課税方式を採用しています。国内源泉所得課税方式とは、居住者がその居住地国で得た所得のみが課税対象となる制度です。つまり、居住地以外の国から得た所得は、課税対象になりません。

海外在住で海外から収入を得ている場合

海外在住で海外から収入を得ている場合は、日本で確定申告をする必要はありません。なぜなら、海外在住で海外で収入を得ている日本人は非居住者とみなされ、海外で納税する必要があるためです。ただし、非居住者が日本で発生した収入を得た場合、原則として日本国内で課税対象となりますので注意しましょう。

また、非居住者は現在住んでいる国と日本が租税条約を締結しているか、確認することが重要です。なぜなら、租税条約の内容によっては、非居住者が日本で発生した収入を得た場合においても、確定申告を免除されることがあるからです。

参考:国税庁:No.2010 納税義務者となる個人|国税庁 (nta.go.jp)

参考:財務省:租税条約に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)

居住者に該当するフリーランスの場合、国内と海外で二重課税になるのか?

原則としては、二重課税になりません。なぜなら「外国税額控除」という制度があるため、二重課税は控除限度額内で免除されるからです。特に外国から所得を得ている居住者にとって、外国税控除は必ず理解しておきたい制度です。外国税控除を正しく理解することにより、適切な節税が可能になるためです。ここでは、多くの居住者にとって重要な「外国税額控除」を詳しく解説していきます。

外国税額控除とは、外国で課税された所得税に相当する課税(以下、外国所得税とする)を日本の所得税額から控除する制度です。外国税額控除は、外国と日本で二重課税されるのを防ぐことを目的としています。ただし、外国税額控除の対象となる外国所得税は範囲が決まっており、控除の限度額も制限されているため注意が必要です。

また、外国税額控除は全ての国から得た所得に適用できるわけではありません。二重課税の回避を目的とする「租税条約」を結んでいる国から得た所得にのみ、外国税額控除を適用できます。つまり、自分が所得を得ている国が「日本と租税条約を締結しているか」確認することが重要になります。

外国税額控除の適用対象となる個人・法人

外国税額控除を受けられる対象は、主に以下に該当する個人及び法人と覚えておきましょう。

  • 海外で所得を得た日本法人
  • 日本居住者であり、外国株式・外国投資信託で配当所得を得た個人
  • 日本居住者であり、外国で不動産所得や不動産売買益を得た個人

いずれも海外で納税済みの個人及び法人が外国税額控除の適用対象になります。

◇外国税額控除の適用対象となる外国所得税

国税庁のホームページによると、外国税控除の適用対象となる外国所得税は以下の通りです。

①超過所得税その他個人の所得の特定の部分を課税標準として課される税

②個人の所得又はその特定の部分を課税標準として課される税の附加税

③個人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、個人の特定の所得  につき、徴税上の便宜のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標  準として課されるもの

④個人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、個人の収入金額その他これ  に準ずるものを課税標準として課される税

引用: 国税庁「外国税額控除を受けられる方へ」

また、外国課税控除の対象外となる外国所得税もあるので、国税庁ホームページで確認しておきましょう。

外国税額控除額の計算方法

外国税務控除額の具体的な計算方法を解説します。外国税額控除額の計算は、外国所得税の額が、次の算式により計算した所得税の控除限度額を超えるか否かによって異なります。

外国控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

①外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合
 外国税額控除額は、外国所得税の額となります。

②外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合
 外国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次の①又は②のいずれか少ない方の 金額の合計額となります。

引用:No.1240 外国税額控除|国税庁 (nta.go.jp)

それでは、計算式に具体的な数字に当てはめて確認していきましょう。たとえば、日本での課税所得が600万円の場合、所得税率20%、控除額は42万7,500円になります。したがって、所得税額は以下の通りです。

600万円×20%-42万7,500円=77万2,500円(所得税額)

たとえば、外国で60万円の不動産売買益を得たとしましょう。その場合、外国税額控除限度額は以下の計算式で求めることが可能です。

77万2,500円×(60万円÷600万円)=77,250円(外国税額控除限度額)

つまり、77,250円が外国税額控除の限度額となります。
皆さんも実際の所得税額・国外所得金額・所得総額を上記の計算式に当てはめ、外国税控除の限度額を確認してみましょう。

参考:国税庁 No.1240 外国税額控除|国税庁 (nta.go.jp)

控除限度額の繰越

控除限度額よりも外国所得税が少ない場合、控除限度額に余りが発生します。たとえば、控除限度額が5万円で外国所得税が4万円の場合、控除限度額は1万円分余っているといえます。その控除限度額の余りを、翌年以降3年間繰越すことが可能です。

その一方、控除限度額よりも外国所得税が多い場合、外国所得税が控除限度額に収まり切れないケースも考えられます。その場合、外国所得税を翌年以降3年間繰り越すこともできます。

参考:国税庁【確定申告書等作成コーナー】-外国税額の繰越控除 (nta.go.jp)

外国税控除に必要な必要書類

外国税控除を利用するためには、確定申告をする必要があります。ここでは、外国税控除のために必要な書類を確認しましょう。原則として、必要な書類は以下の4点です。

①確定申告書
②外国税控除に関する証明書
③外国所得税が課税されたことに関する証明書
④外国所得総額に関する明細書

上記③と④は、取引先が発行する年間取引報告書が使用可能です。また、前述した控除限度額の繰り越し控除を利用する場合は、各年の控除限度額や納付済の外国所得税が記載された書類も必要になるため、覚えておきましょう。

参考:国税庁【確定申告書等作成コーナー】-外国税額控除を受けるための手続 (nta.go.jp)

フリーランスが海外から得ている収入は税務署にバレないのか

結論から言うと、海外から収入を得ている事実が税務署にバレる可能性があります。フリーランスが海外から収入を得ていることに税務署が気づくケースは、主に以下の3点です。国内外からに問わず、所得を得ている以上は原則として納税の義務がありますので、心掛けておきましょう。

税務調査で発覚する

1つ目は、税務調査で発覚するケースです。なぜなら、フリーランスも税務調査の対象になることがあり、獲得した所得や確定申告の内容が確認されるからです。そもそも税務調査とは、納税者が適切に納税しているか確認するための調査です。実際のところ、フリーランスが税務調査の対象となるケースは極めて少ないです。しかし、フリーランスも税務調査の対象になる可能性があることを認識し、海外から所得も漏れなく納税するようにしましょう。

ちなみに、税務調査によって正しく納税されていないことが発覚した場合、延滞税や過少申告加算税がペナルティとして課されることもあります。

参考:国税庁 税務調査手続について(国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係)|国税庁 (nta.go.jp)

支払調書から発覚する

2つ目は支払調書により発覚するケースです。なぜなら、海外から日本へ100万円超の送金をする場合、日本の金融機関は税務署へ支払調書(別名:国外送金等調書)を提出することが義務付けられているためです。つまり、金融機関から発行された支払調書によって、税務署は送金を受けた人物が海外から収入を得ていることを把握できます。なお、金融機関が税務署へ発行する発行する支払調書には、原則として以下の内容が記載されています。

①送金者

②受領者

③送金金額

④送金目的

ちなみに、送金金額が100万円以下の場合、金融機関は税務署へ支払調書を提出する義務はありません。

参考:SMBC日興証券 国外送金等調書│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券 (smbcnikko.co.jp)

国税庁の重点施策で発覚する

3つ目は、国税庁の重点施策により発覚するケースです。なぜなら、国税庁は国際的な取引に関して、外国税務当局と協力し脱税の取り締まりを強化しているためです。特に、海外取引における申告漏れ事案の撲滅は、国税庁の重要課題となっています。一般的に、フリーランスよりも所得が多い法人の方が、国税庁によるチェックも厳しくなる傾向があります。しかし、フリーランスも海外から得た収入を正しく納税することを意識しましょう。

参考:国税庁 海外取引を行っている者の調査状況|国税庁 (nta.go.jp)

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まとめ

この記事では、海外から収入を得ているフリーランスが知っておきたいことを解説しました。

最後に要点となるポイントをおさらいしましょう。

  1. 自分が日本居住者に該当するか確認
  2. 日本在住で海外から収入を得ている場合、確定申告が必要。
  3. 海外在住で海外から収入を得ている場合、確定申告は原則として必要なし。
  4. 外国税控除制度を理解し、二重課税を防止する。
  5. 税務署は、フリーランスが海外から収入を得た事実を把握することが可能。(海外から得た収入も漏れなく納税することが重要。)

フリーランスとして活動している限り、海外から収入を得る可能性は十分にあります。今後、海外から収入を得た際も慌てる必要がないよう、事前に正しい知識を身に着けておきましょう。

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