フリーランスの源泉徴収の取り扱いって?フリーランスになったら知るべき源泉徴収の基礎知識
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目次
はじめに
源泉徴収についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
源泉徴収は会社員を対象にしているものであり、フリーランスには関係ないと思っているかもしれません。
しかし、それは大きな間違いであり、フリーランスの場合であっても源泉徴収の対象になることがあります。
源泉徴収について理解を深めることは、会社員だけでなくフリーランスにとっても大変重要なことです。
この記事ではフリーランスにとって知っておくべき源泉徴収について解説をします。
そもそも源泉徴収とは
源泉徴収とは、給与を支払う会社や法人などが給与の支払い時に、雇用者の所得税などをあらかじめ差し引いて代わりに納税をすることをいいます。
フリーランスの場合は、報酬を支払うクライアントがあらかじめその報酬から所得税を差し引いた上で納税をします。
源泉徴収をする場合、納税の義務者は会社員やフリーランス個人ではなく、会社やクライアントということになります。
源泉徴収はなぜ必要なのか
源泉徴収制度は法律で定められています。
人を雇っている場合だけでなく、業務委託契約時などにおいてもその適用範囲となっています。
もし源泉徴収を正しく処理しなかった場合は追徴課税されるなど、源泉徴収義務者は必ず実施しなければいけない制度です。
源泉徴収のメリット
源泉徴収制度のメリットとしては、効率的かつ確実に徴税ができるということです。
源泉徴収により国はその個人の所得の概算を把握することができるので、管理面という観点において源泉徴収は大変都合のいい制度だといえます。
また、会社員やフリーランスのような税金を納める側にとっても、税金の納付漏れを防いだり、納付の手間を省くことができるなどのメリットがあります。
源泉徴収のデメリット
源泉徴収制度のデメリットは、納税者の納税に対する意識が希薄化してしまうということです。
自ら確定申告をして納税をする人に対し、源泉徴収の場合は会社や取引先がおこなってくれるので、納税者にとっては他人事のように感じてしまうという課題があります。
年末調整
会社員が源泉徴収をされる際の金額は、その年以前の給与所得をもとに、想定された仮の金額が差し引かれるという仕組みになっています。
しかし、実際の所得税額が確定するのはその年の年末になるため、それまでに納めた分と実際に納める必要のある税額には差異が生じるのが一般的です。
そこで会社員は年末調整をおこないます。
年末調整とは、その年の1月から12月までの給与が確定した時点で、実際に支払うべき税額と仮計算で納付済みの税額の差分を確認し、納税額が不足している場合は追加で納税、払い過ぎの場合は納付済みの税額が還付される、という制度です。
フリーランスの場合、年末調整は基本的におこなう必要はありません。
ただし、アルバイトやパートなので給与所得を得ている場合や、個人事業主として従業員を雇っている場合などは年末調整が必要になるケースがあります。
源泉徴収をしている場合の確定申告の要否
確定申告とは、年間で得た所得に対しての税額を算出し、税務署に申告および納付をする手続きのことをいいます。
会社員のように源泉徴収で納税をしている場合、自身での確定申告は基本的には不要です。
ただし、会社員であっても以下のケースに該当する場合には確定申告が必要になります。
- 給与収入が年間で2000万円を超えている
- 副業など、給与所得以外の収入が年間20万円を超えている
- 2ヶ所以上の場所から給与収入がある
一方、会社員とは違い、フリーランスの場合は誰であっても確定申告をおこなう必要があります。
フリーランスと源泉徴収の関係
源泉徴収の対象となるのは、給与所得のある会社員が一般的です。
しかし、フリーランスであっても源泉徴収は決して無関係ではありません。
仕事の内容によって源泉徴収の対象になるものとそうでないものがあります。
では、どのような仕事が源泉徴収の対象になるのかを解説します。
フリーランスで源泉徴収が必要な報酬の具体例とは
フリーランスで源泉徴収の対象になる仕事内容は以下になります。
- 原稿料や講演料
- 弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人へ支払う報酬
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロの野球/サッカー/テニス選手・モデル・外交員などに支払う報酬
- 映画・演劇・その他芸能・テレビ放送の出演料・芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
- ホテルや旅館などで行われる宴会等において接待を行うことを業務とするバンケットホステス・コンパニオン・バーやキャバレーに務めるホステスなどに支払う報酬
- プロ野球選手の契約金など約無の提供を約することにより一時的に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
- 馬主である法人に支払う競馬の賞金
一方で、源泉徴収の対象とならない仕事もあります。
一例をあげると、クラブやバーなどの従業員が経営者以外から受け取る報酬などがありますが、源泉徴収の対象になるかどうかはクライアントに直接確認してみるのがいいでしょう。
源泉徴収の具体的な手続き
フリーランスの場合、源泉徴収をする仕事の発注側と、源泉徴収される仕事の受注側双方の立場があります。
仕事を発注する側
フリーランスとして仕事をするにあたって、例えば業務委託をする場合などは自身が源泉徴収をする側となりますので、税務署に申告をする義務が発生します。
源泉徴収の対象となる報酬は上述したとおりになります。
ただし、以下のケースの場合については源泉徴収をおこなう必要はありません。
- 2人以下の家事使用人に対してのみ報酬を支払っている
- 従業員を雇っておらず、弁護士や税理士に対しての報酬のみを支払っている
仕事を受注する側
源泉徴収をおこなうのは発注者側の責任範囲となるため、受注者側で特別な対応をする必要は本来ありません。
しかし、源泉徴収されなかったからといって受注者側は納税をしなくてもいいというわけではなく、別途確定申告をして納税をする必要があります。
納付漏れや無用なトラブルを未然に防ぐためにも、受注者側として最低限の準備はしておきたいところです。
ではどのような打ち手があるのでしょうか。
仕事を受注した側は発注者に対して請求書を発行します。
その際の報酬に対して源泉徴収が発生する場合は、請求書にその源泉徴収額をあらかじめ記載しておきましょう。
そうすることで発注者側にも気付きを提供することができますので、納付漏れを未然に防ぐ手段となります。
尚、源泉徴収額を記載する場合は、源泉徴収額の計算を自身でおこなう必要があります。
源泉徴収額の計算方法
源泉徴収額の計算は、報酬額がいくらなのかによって異なります。
報酬が100万円以下の場合の計算方法
源泉徴収額は報酬金額に対して10.21%が適用されます。
例えば報酬が50万円だった場合は、50万円✖️10.21%=51,050円となります。
報酬が100万円を超える場合の計算方法
源泉徴収額は報酬金額✖に対して20.42%が適用されます。
例えば報酬が150万円だった場合は、150万円✖️20.42%=306,300円となります。
納付方法
源泉徴収義務者は、『報酬・料金等の所得税徴収高計算書』という書類を金融機関、または税務署の窓口で納付するという流れになります。
納付期限
徴収した所得税を納付する期限については、源泉徴収の対象となる所得が支払われた月の翌月10日までとなります。
ただし、従業員が10人未満の個人事業主に限り、『源泉所得税の納期の特例に関する申請書』という書類を事前に提出することで、1月と7月の年2回の納付で済む、という例外があります。
毎月納付するという手間を軽減することができるので、該当する場合は積極的に利用されてみてはいかがでしょうか。
フリーランスが注意したい源泉徴収3つのポイント
フリーランスが源泉徴収をするにあたっての注意すべきポイントをまとめました。
復興特別所得税が含まれる
2013年1月1日から、2037年12月31日の間に生じる所得にかかる源泉徴収の税率には、『復興特別所得税』という税率が加算されます。
これは、2011年3月11日に発生した東日本大震災復興に必要な財源確保という名目の税金です。
復興特別所得税として掛かる税率は、報酬が100万円以下の場合は0.21%、報酬が100万円を超える場合は0.42%となっています。
上述した源泉徴収の計算については、復興特別所得税も適用された上での率となっています。
請求書の消費税を別に
源泉徴収は原則として報酬だけでなく、その報酬に対する消費税についても適用されます。
ただし、請求書を作成するにあたって報酬と消費税を別々に表記している場合は、消費税を除いた報酬部分に対する金額のみが源泉徴収の対象になります。
請求書記載の報酬が550,000円(税込)の場合
この場合の源泉徴収額は、550,000円✖️10.21%=56,155円となります。
請求書記載の報酬が500,000円、消費税が50,000円の場合
この場合の源泉徴収額は、500,000円✖️10.21%=51,050円となります。
源泉徴収額を抑えるために、請求書を作成する場合は報酬と消費税を分けて記載しましょう。
源泉徴収の管理と確定申告を正確に実施すること
源泉徴収と確定申告はどちらも重要です。
確定申告の際には、源泉徴収にて差し引かれた金額の申告を必ずおこないましょう。
もし源泉徴収をしていた場合、正しく申告をしないと所得税を余計に払ってしまう可能性があります。
還付金が発生するケースもありますので、確定申告は正確に実施しましょう。
請求書に源泉徴収額を書く必要はあるのか
源泉徴収は仕事を依頼した側の義務となるため、フリーランス側が請求書を作成するにあたって、源泉徴収額を計算して記載する義務はありません。
しかしながら、源泉徴収額の記載を求められるようなケースもあるため、義務はなくとも書いておいた方がスムーズであるといえます。
また、記載をすることで取引先からの信頼度を高めることにも繋がります。
では請求書には何をどのように記載するべきなのかを解説します。
請求書の記載例
請求書には以下の内容を記載するといいでしょう。
- 請求書の発行者情報
請求書を発行する事業主の氏名・住所・電話番号などを記載します。
- 取引先の名称
発注先の会社名やその部署、担当者名などを記載します。
- 請求書の発行日
注意点として、ここに記載するのは請求書の作成日ではありません。
発注先の締め日を記載するのが一般的になります。
- 請求の内容
ここには取引の内容や金額、数量などを記載します。
その他に、請求内容の詳細については発注者からの依頼や要望があることも考えられます。
何を記載するべきなのかは取引先によって異なりますので、事前に確認をしておくのがいいでしょう。
- 小計の明記
請求内容に記載した取引について、その金額の合計額を記載します。
- 消費税の明記
小計額に税率を掛けた消費税額を記載します。
税率も併せて明記しておくと親切です。
- 源泉徴収額の明記
小計額に源泉徴収税率を掛けた金額を記載します。
適用率については上述した通り、小計額によって異なりますので注意しましょう。
- 請求額の明記
小計額に消費税を足し、その額から源泉徴収額を差し引いた金額を記載します。
例えば、小計額が500,000円、消費税額が50,000円、源泉徴収額が適用率10.21%で51,050円の場合、ここに記載する金額は500000+50000-51050=498,950円となります。
- 支払期日
双方で取り決めた支払日を記載します。
- 振込先口座
振込先銀行名、支店名、口座の種類、名義、口座番号を記載します。
また、振込手数料はどちらが負担するのかを事前に交渉の上で、その旨を一緒に明記しておくといいでしょう。
その他、請求書記載時の留意事項
上述した記載内容に加え、その他に気を付けるべき内容についてをまとめました。
- 金額の記載方法
金額を記載する際は一般的に、金額の前に『¥』を記載する書き方と、金額の後ろに『円』を記載する書き方の2種類があります。
どちらを記載すべきか決まりがありませんので、双方で取り決めた様式で記載するのがよいでしょう。
また、金額の記載時には数字の3桁ごとに『,』を付与してください。
例えば10000円の場合は、『10,000円』となります。
- 印鑑の種類
印鑑には丸印、角印、銀行印があります。
請求書にはどれを使うのがいいのでしょうか。
請求書に使う印鑑は角印が一般的です。
丸印は重要書類に使用するため、普段の請求書に使用するのは適切ではありません。
銀行印はその名の通り金融機関に関する重要書類に使用するため、丸印同様、請求書には使用されないのが一般的です。
フリーランスを考えている人が把握しておきたいこと
副業から始めてみる
いつかはフリーランスを考えている人や本職以外にも収入を得たい方は、ぜひ副業案件から始めてみてください。
いきなりフリーランスになるのも良いですが、副業案件でクライアントとの信頼関係を築けていれば、
フリーランスとして独立をする際も案件に困ることはないでしょう。
そこから新たな案件を紹介してもらうことも多いです。
具体的なエンジニアの案件はエンジニアスタイルにも掲載しているので、ぜひ一度ご覧ください。
案件情報と自分のスキルは照らし合わせておく
自分が参画できる案件がどれくらいあるのかを把握しておくことで、
自分に今足りないことや、身につけておきたいスキルが明確になります。
その際、ポートフォリオを作っておくことが実は役に立ちます。
ポートフォリオ作成は自身のスキルの証明になるだけでなく、作成の過程で自分のスキルをあらためて棚卸することができるからです。
具体的なメリットや作成方法はこちらをご覧ください。
フリーランスになるメリットやリスクは知っておく
フリーランスになると、会社員と比較しても大きく環境が変わります。
例えば、ローンの審査や保育園の審査に通りにくくなることや、帳票をつける必要があるなどです。
特に社会保障面で会社員と異なることが多いので、これらを事前に把握して対策をしておきましょう。
まとめ
最後に今回の記事のまとめです。
今回の記事では以下の内容について解説をしました。
- 源泉徴収とは何か、その制度と仕組みについて
- 源泉徴収をするにあたっての具体的な手順について
- 源泉徴収をするにあたっての注意事項について
納税は国民の義務であり、知らなかったでは済まされません。
納税を怠ることで、追徴課税などの罰則が課せられます。
今回の記事を参考にしていただき、税金についての正しい知識を身に付けてください。
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