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プログラマーの離職率は高い?他の業界との比較や転職する人が多い理由を解説

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はじめに

プログラマーは離職率が高いというイメージが根強く残っています。

しかし、実際にはどうなのでしょうか?

本記事では、雇用動向調査に基づいて、IT業界の離職率の推移や他業界との比較、さらに転職が多い理由について詳しく解説します。

<この記事のメリット>

  • IT業界の離職率の推移を知れる
  • 他業界と比較したIT業界の離職率を理解できる
  • プログラマーが転職する理由を把握できる
  • 転職先選びのポイントを学べる

プログラマーの離職率が高いイメージの原因や、実際のデータに基づく現状を知ることは、今後のキャリアプランに役立つはずなので、ぜひ最後までお付き合いください。

雇用動向調査におけるIT業界の離職率の推移

IT業界の離職率の推移

「プログラマーはきついからやめとけ」

「プログラマーは離職率が高い」

インターネットやSNSを見てみると、プログラマーに対してこういった意見が散見されます。

確かに、プログラマーに対して華やかなイメージを持っている方も多いですが、実際はきつい場面も多くあります。

そのため、「思っていた職業と違う!」とギャップを感じて離職する人が後をたたないのも事実です。

では、一般的な職業と比較してプログラマーは本当に離職率が高いのでしょうか?

ここでは、厚生労働省の発表している雇用動向調査をもとに、平成30年度から令和4年度までの離職率を見ていきましょう。

なお、同期間における日本全体の平均離職率は約13.9%〜15.6%の間で推移しています。

令和4年度の離職率

令和4年度の日本のIT業界(情報通信業)における離職率は11.9%でした。

これは、この年の日本全体の平均離職率15.0%よりも低い水準です。

この年はハイブリッドワークの普及に伴い、セキュリティ対策やデータ分析の重要性が高まり、サイバーセキュリティやビッグデータ解析、AI関連の職種の需要が引き続き高く、転職市場も活発でした。

令和3年度の離職率

令和3年度の日本のIT業界(情報通信業)における離職率は9.1%でした。

これは、この年の日本全体の平均離職率である13.9%よりも低い水準です。

この年はリモートワークが定着する中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)が活発に推進され、デジタルスキルを持つ人材の争奪戦が激化しました。

特に若手エンジニアの転職活動が活発化し、企業はリスキリング(再教育)プログラムを導入して既存社員のスキルアップを図りました。

令和2年度の離職率

令和2年度の日本のIT業界(情報通信業)における離職率は9.2%でした。

これは、この年の日本全体の平均離職率である14.2%より低い水準です。

この年は新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及し、ITインフラの整備が急務となり、クラウドサービスやリモートワーク関連のスキルを持つ人材が引く手あまたでした。

また、地方在住のITエンジニアの転職も増加し、企業の採用活動もオンライン化が進んだ年でもあります。

令和元年度の離職率

令和元年度の日本のIT業界(情報通信業)における離職率は9.6%でした。

これは、この年の日本全体の平均離職率15.6%より高い水準です。

この年はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が本格化し、特にクラウドエンジニアやセキュリティエンジニアの需要が高まりました。

転職希望者はこれらの分野に集中し、企業は競争力強化のために優秀な人材の確保に努めました。

平成30年度の離職率

平成30年度の日本のIT業界(情報通信業)における離職率は11.8%でした。

これは、この年の日本全体の平均離職率14.6%と同じ水準です。

この年はAI、IoT、クラウドコンピューティングなどの新技術への需要が高まり、高度なスキルを持つ人材が求められる中で、エンジニアやデータサイエンティストへの転職が増加した年です。

IT業界と他の業界の離職率の比較

上記の結果からもわかるように、IT業界の離職率は近年においてはそこまで突出しているわけではありません。

では、その他の業界と比較してみるとどうでしょうか?

ここからは、令和4年度における離職率が高い業界の離職率とIT業界の離職率を比較していってみましょう。

離職率が高い業界は?

厚生労働省が発表している雇用動向調査の結果によると、令和4年度において離職率が高い上位3業種は以下の通りになりました。

  • 1位 宿泊業・飲食サービス業
  • 2位 生活関連サービス業・娯楽業
  • 3位 医療・福祉

それぞれの業界について、以下で詳しくみていきましょう。

1位 宿泊業・飲食サービス業

令和4年度の宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.8%でした。

これはIT業界の離職率である11.9%と比較して約2倍以上の高い数値です。

離職率が高い原因として以下が挙げられます。

  • 労働環境の厳しさ
  • 低賃金
  • 不規則な勤務時間
  • コロナ禍による影響と不安定な業績

この業界の離職率の高さは、労働環境の改善や待遇の向上が急務であることを示しています。

特にコロナ禍での業績不安定さが従業員の不安を増幅させ、離職を促進したと考えられます。

今後は、持続可能な労働環境の構築が急務といえるでしょう。

2位 生活関連サービス業・娯楽業

令和4年度の生活関連サービス業・娯楽業の離職率は18.7%でした。

こちらもIT業界の離職率11.9%と比較して約1.6倍の高さです。

離職率が高い原因としては以下が挙げられます。

  • 労働環境の厳しさ
  • 低賃金
  • コロナ禍の影響による需要の変動
  • 不規則な勤務時間

生活関連サービス業・娯楽業の離職率の高さは、宿泊業・飲食サービス業とほぼ同じです。

従業員の安定した雇用を確保するためには、待遇の改善と働き方改革が不可欠といえるでしょう。

3位 医療・福祉

令和4年度の医療・福祉分野の離職率は15.3%でした。

IT業界の離職率11.9%と比較して若干高いものの、依然として高い水準です。

離職率が高い原因としては以下が挙げられます。

  • 過重労働
  • 精神的・肉体的ストレス
  • 賃金の低さ
  • 労働環境の厳しさ

医療・福祉分野の離職率の高さは、過重労働やストレスが大きな要因です。

特にコロナ禍では医療現場の負担が増加し、離職率の増加に拍車をかけました。

今後は、労働環境の改善やメンタルヘルスケアの強化が求められます。

IT業界の離職率は全体の平均より下回っている

プログラマーの離職率は高いイメージがありますが、データとしてみると意外にもそんなことはありません。

以下は、平成30年度から令和4年度までの日本のIT業界(情報通信業)と日本全体の平均離職率をまとめた表です。

年度 情報通信業の離職率 日本全体の平均離職率
令和4年度 11.90% 15.00%
令和3年度 9.10% 13.90%
令和2年度 9.20% 14.20%
令和元年度 9.60% 15.60%
平成30年度 11.80% 14.60%

上表からもわかるように、通年でIT業界(情報通信業)の離職率は全体平均よりも下回っています。

しかし、これはあくまでも平均値なので、極端に離職率が高い業界を統計から除外すると、平均よりもやや上もしくは同じくらいの水準になります。

しかしながら、一概に「プログラマーの離職率は高い!」といえないことだけは確かです。

IT業界でも会社によっても離職率が異なる

日本のIT業界における離職率は、所属する会社の形態によって大きく異なります。

特に、客先常駐型のシステムエンジニアリングサービス(SES)や多重下請け構造の影響が顕著です。

客先常駐型のSES企業では自社の社員が顧客先で働くことが多く、直接の管理が難しくなります。

このため、労働環境の改善が遅れがちであり、過重労働やメンタルヘルスの問題が発生しやすいです。

特に多重下請け構造が存在するプロジェクトでは、下請け企業が過度な負担を強いられることが多く、これが離職率の高さにつながります。

一方で、内製化を進める企業やエンジニアの働きやすさに配慮した企業では、労働環境の改善が進んでおり、離職率が低い傾向にあります。

プログラマーはなぜ離職率が高いイメージがある?

ここまで、IT業界の離職率のデータを各年度で解説してきました。

ご覧いただいたように、プログラマーが属するIT業界の離職率は決して高くはありません。

むしろ、特定の業界と比較するとかなり低い水準にあります。

ではどうして、プログラマーは離職率が高いというイメージがついてしまったのでしょうか?

ここからは、プログラマーの離職率が高いイメージがついてしまった原因を考察します。

残業や休日出勤が多く働く時間が長いから

プログラマーの離職率が高いイメージがついている一因は、残業や休日出勤が多く、長時間労働が常態化していることです。

特に、プロジェクトのデッドラインが迫るとプログラマーは膨大な量の作業を短期間でこなさなければならず、結果として残業が増加します。

これは体力的にも精神的にも負担が大きく、過労やストレスが原因で離職を考えるプログラマーが増えます。

また、休日出勤が頻繁に発生した場合、プライベートの時間が確保できずにワークライフバランスが崩れてしまうことも多いです。

こうした労働環境が改善されない限り、プログラマーの離職率が高いというイメージは払拭されにくいでしょう。

特に若手のプログラマーにとっては、過酷な労働環境がキャリア形成の障害となりやすいため、他の業界に転職するケースも少なくありません。

人手不足のため常に人材を募集しているから

IT業界ではプログラマーの需要は年々増加しており、常に人手不足の状態が続いています。

そのため、企業は常に新たな人材を募集しており、その頻度が高いために「離職率が高い」という印象が持たれがちです。

実際には、離職率が高いというよりも、急速に進化する技術に対応するための人材確保が難しいことが原因です。

また、新しい技術やスキルセットが求められるため、既存の人材がそのスキルを持っていない場合、新たな人材を採用する必要があります。

このような背景から、求人広告やリクルーティング活動が頻繁に行われ、外部からは離職率が高いと誤解されることが多いのです。

さらに、企業は優秀なプログラマーを引き留めるために魅力的な報酬や福利厚生を整えていますが、それでも市場の需要には追いついていないのが現状です。

下請け企業への委託が多いから

プログラマーの離職率が高いイメージの一因として、下請け企業への委託が多いことが挙げられます。

日本のIT業界では多重下請け構造が一般的で、プロジェクトの一部または全体が下請け企業に依存しています。

この構造により、下請け企業のプログラマーはクライアントと距離があり、業務内容や条件がしばしば変更されることも少なくありません。

これにより、仕事の安定性が低くなってしまい、結果としてストレスが増加します。

また、下請け企業ではプロジェクトの納期を守るために過重労働が強いられることが多く、結果として離職率が高まります。

このような環境では、プログラマーは自分のキャリアやスキルアップの機会を求めて他の企業に転職することが一般的です。

特に若手のプログラマーにとっては、成長の機会が限られている下請け企業よりも、自分のスキルを最大限に発揮できる環境を求める傾向があります。

スキルが重視される業界だから

プログラマーの離職率が高いイメージがある理由の一つは、IT業界がスキル重視の業界であるためです。

IT業界は技術の進化が早く、新しいスキルや知識を常に学び続ける必要があります。

そのため、スキル不足や技術の進化についていけないと感じるプログラマーは、プレッシャーを感じて離職を考えることがあります。

また、自分のスキルを評価してくれる企業やプロジェクトを求めて、積極的に転職活動をすることも一般的です。

このような環境では、スキルの向上やキャリアアップを目指して頻繁に職を変えることが常態化し、結果として離職率が高いというイメージを助長します。

さらに、スキル重視の業界では経験の浅いプログラマーにとって厳しい競争環境が待っており、自分の能力に自信が持てない場合、他の職種や業界に転職するケースも少なくありません。

これらの要因が重なり、プログラマーの離職率が高いイメージが形成されているのです。

IT業界は転職する人が多い

そもそもの話になりますが、IT業界において離職または転職することは珍しいことではありません。

例えば、銀行マンなどの金融系の職業では、キャリアが何よりも重要視されるので、年功序列形式で順にキャリアアップするのが一般的です。

しかし、IT業界では同じ会社で長年勤め上げる人自体がかなり稀です。

ここでは、IT業界では転職する人が多い理由について解説します。

経験を積んだあとスキルアップを目指して転職する人が多い

IT業界では、経験を積んだ後にスキルアップを目指して転職することが一般的です。

IT業界は技術の進化が非常に速く、新しい技術や知識を常に習得しなければなりません。

そのため、自分のキャリアを進展させるためには、より高度な技術や最新のトレンドを学べる環境に身を置くことが重要です。

また、転職によって新しいプロジェクトに取り組むことで自分のスキルセットを広げ、専門性を効果的に高められます。

加えて、多くの企業が経験豊富なエンジニアを求めているため、転職市場での需要は高く、自分の市場価値を評価されやすい状況があります。

こうした背景から、ITエンジニアはスキルアップやキャリアの向上を目指して積極的に転職を検討し、実行することが多いのです。

転職するなら一次請けの企業を目指すと収入アップの可能性

IT業界で転職を考える際、一次請けの企業を目指すと収入アップの可能性が高まります。

一次請け企業とは、直接クライアントから仕事を受注し、プロジェクトを主導する立場にある企業のことです。

一次請け企業は、プロジェクトの全体を管理し、クオリティや納期をコントロールする責任があります。

そのため、一次請け企業ではエンジニアのスキルや経験が直接的に評価され、高い報酬が与えられる傾向にあります。

さらに、一次請け企業ではプロジェクトの計画段階から関与できるため、自分の意見やアイディアを反映させやすく、仕事のやりがいも高いです。

これに対して、二次請けや三次請けの企業では報酬が低く、労働環境も厳しいことが多いため、キャリアアップや収入の向上を目指すエンジニアにとっては、一次請け企業への転職が有利です。

フリーランスとして独立する人も多い

IT業界では、フリーランスとして独立するエンジニアも多くいます。

フリーランスは、自分のスキルや経験を活かして自由に仕事を選べるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

特に、高度な専門知識や豊富な経験を持つエンジニアにとって、フリーランスは収入を大幅に増やすチャンスとなります。

また、企業との直接契約になるので中間マージンが発生せず、報酬が高くなることが多いです。

さらに、プロジェクトごとに異なる業務に取り組むことで多様なスキルを身につけられ、自分自身の成長にもつながります。

一方で、仕事の獲得や収入の安定性については自分自身で管理する必要があるため、自己管理能力や営業力が求められる点には注意が必要です。

このように、フリーランスとして独立することは、多くのITエンジニアにとって魅力的なキャリアパスの一つです。

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エンジニアスタイル

プログラマーは、2023年度の中学生のなりたい職業ランキングでも1位に輝くほど注目度が上がっている職業です。

また、IT業界での需要も非常に高いのでフリーランスとしても活躍しやすい職業の一つでもあります。

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まとめ

本記事では、IT業界、とりわけプログラマーの離職率について、雇用動向調査データを基に詳しく解説しました。

IT業界の離職率は他の多くの業界と比べて必ずしも高いわけではなく、特に一次請け企業や良好な労働環境を提供する企業では離職率が低い傾向にあります。

しかし、長時間労働や多重下請け構造などの問題から、一部の企業では離職率が高くなりがちです。

これらの要因が、プログラマーの離職率が高いというイメージを助長しているのです。

今後、IT業界では労働環境の改善やキャリアパスの多様化が進むことで、離職率がさらに低下する可能性があります。

特に、フリーランスとしての働き方やスキルアップを目的とした転職が増える中で、企業も優秀な人材を引き留めるための取り組みを強化する必要があるでしょう。

本記事を通じて、IT業界の離職率に関する実態を理解し、キャリア選択の参考にしていただければ幸いです。

「エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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