フリーランスなら知っておきたい請求書の書き方と6つの注意点
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目次
フリーランスが請求書発行をする意義とは
請求書を発行するというのはフリーランスにとって手間のかかる行為です。
しかし、請求書発行にはその手間をかけるだけの意義があります。
ここではフリーランスが請求書を発行する意義について解説していきます。
取引先に権利を主張できる
請求書を発行するということは、自身が提供した商品やサービスへの料金を請求したという証明になります。
もし請求書を発行していないと、どういった商品やサービスを提供して、いくらの請求をしたかの証拠が残らないため、万が一未払い等のトラブルが起きた際にも権利を主張できない可能性があるのです。
取引先との信頼関係の有無に限らず、お互いが請求内容を確認できるようにするためにも請求書は発行しておきましょう。
取引先が経費にするために必要
フリーランスに依頼した費用というのは、取引先にとっては経費となりますが、経費を計上するためには、その取引があったことを証明する書類が必要となります。
請求書はこの証明するための書類に該当するため、発行が必要なのです。
また、税務調査が入った際に、経費として計上している支払いがあるにもかかわらず、該当の請求書が存在しない場合、記録の信憑性が疑われる可能性もあります。
なので、取引先がフリーランスとの取引を経費として計上するためにも請求書の発行は必要です。
フリーランスが請求書を発行するタイミング
フリーランスが請求書を発行する意義については前項の説明にてご理解いただけたかと思います。
そこで実際に請求書を発行しようと思った際、どのタイミングで発行したらいいのかが分からないという方も多いのではないでしょうか。
請求書を発行するタイミングは提供する商品やサービスによって異なる場合があります。
基本的には取引先に指定されたタイミングで発行するのがベストですが、そういった指示がない場合は以下のタイミングを参考にしてみてください。
月に一度のタイミング
継続的にサービスを提供している場合、請求書の発行タイミングとして一般的なのが月に一度です。
取引先が定めている締め日までに、自身が提供した商品やサービスに対する費用を請求します。
月末締め、翌月払いや月末締め、翌々月10日払いなど、企業によって締め日と入金日は異なるため、どのタイミングで請求をするべきかは取引先とすり合わせをしておくといいでしょう。
ちなみに、「サービス提供日が1月20日、月末締め翌月末払い」の場合は、1月30日締め、2月28日支払いとなります。
この場合、取引先がなるべく余裕をもって対応できるよう、2月の初旬までには請求書を送付しておくといいでしょう。
都度発行する
単発で終わるサービスの場合、その都度請求書を発行するというケースもあります。
このケースだと、サービスを提供するたびに発行する請求書を作成しなくてはいけないため、毎月同じ請求書を発行するよりも手間がかかってしまいます。
しかし、例えば月に一度よりも短いスパンで請求できる場合は、着実に費用を回収できるというメリットもあるでしょう。
【注意!】フリーランスには請求書の保存義務がある
請求書を発行する側は、入金されたら請求書は不要だと思っていませんか。
実は、請求書を発行した側にも請求書の保存義務があります。
以前は事業所得の少ない白色申告であれば保存義務がありませんでしたが、現在は白色申告、青色申告問わず保存義務がありますのでご注意ください。
請求書の保存期間は、免税事業者である年収1,000万円以下のフリーランスは原則5年間、課税事業者である年収1,000万円以上のフリーランスは原則7年間とされており、この期間は請求書を発行してからではなく、確定申告期限日の翌日からとなります。
また、フリーランスは請求書だけでなく作成した帳簿の保存義務もあります。
こちらの帳簿は7年間の保存義務があるため、請求書とまとめて保存しておくといいでしょう。
個人事業主・フリーランスなら知っておきたい請求書の書き方
請求書の書き方については消費税法にも定められているため、適当に書けばいいというものではありません。
ここからは請求書に含めるべき項目と正しい書き方についてご紹介していきます。
請求書のあて先
まずはどの取引先に対して請求するのかが分かるように宛先を記入します。
宛先は左上に記載するのが一般的です。
請求書における宛先の書き方は特別なことはなく、メールや他の書面と同様に、会社や部署あての場合は「御中」をつけ、担当名、個人名あての場合は「様」をつけましょう。
請求内容
請求書は自身が提供した商品やサービスの費用を請求するための書類です。
実際に提供したサービス・商品の内容、品数、サービス・商品の詳細、金額を品目ごとに分かりやすく記載しましょう。
取引先によっては同じサービスを提供していても記載方法が異なるケースもあるので、事前に記載する内容についてすり合わせしておくとトラブルも防げます。
請求金額
請求書に金額を記載することで、取引先と契約金額について合意が得られている証拠となります。
また、フリーランスは年収1,000万円までなら消費税が免除されますが、実はこの請求されない消費税分を取引先に請求することができます。
こういった部分の請求漏れが出ないようにするためにも、消費税を含めたサービス費用をしっかりと請求書に記載しておく必要があるのです。
消費税の表示
請求書には消費税も記載しておく必要があります。
消費税の中でも軽減税率の対象とならない品目(10%)と軽減税率対象の品目(8%)の内訳は忘れずに記載し、それぞれの金額も表記しておきましょう。
発行日
発行日と聞くと請求書を作成した日を書きたくなりますが、基本的には取引先が指定する締め日を記載しましょう。
支払期日
取引先とすり合わせをした期日を記載しましょう。
また、下請代金支払遅延等防止法では支払期日を受領日から60日以内に設定するよう定められているので、トラブルを防ぐためにもその旨も毎回記載しておくことをおすすめします。
発行者
請求書を発行している自身の名前を記載します。
振込先
費用を支払ってもらう銀行名、支店名、口座の種類(普通・当座)、口座の名義、口座番号を記載します。
取引先に振込手数料を負担してもらう場合は、事前にすり合わせをしたうえで、請求書にその旨も記載しておくとトラブルを防げるでしょう。
特記事項
支払期日が変更となる条件や分割払いなど、請求や支払いに関して特別な条件がある場合は、特記事項として記載しておきましょう。
請求書番号
後で請求書を確認しやすいよう、各請求書に固有の請求書番号を設定しておきましょう。
請求書の右上に記載しておくのが一般的です。
個人事業主が請求書を発行する際の6つの注意点
請求書はお金が関わる分、不適切な内容だとトラブルにつながりやすいです。
ここでは、そういったトラブルを防ぐためできる、請求書を発行する際の注意点を4つご紹介します。
金額の書き方
金額を書く際、その単位の書き方には金額の前に「¥」をつけるパターンと、金額の後ろに「円」をつけるパターンの2種類があります。
どちらが正しいという明確な決まりはありませんが、それぞれの単位が混在してしまうと良くないので、取引先の書き方に合わせるなどして全体で統一するようにしましょう。
¥の場合は、金額の後ろに伸ばし棒「ー」をつけ、円の場合は金額の後ろに「也」をつけるのが一般的です。
また、金額の数字には100,000円のように3桁ごとに「,」をつけましょう。
金額が判別しやすくなると同時に、金額の書き換えを防ぐこともできます。
印鑑の種類
印鑑には丸印(代表印)、銀行印、角印といった種類がありますが、請求書には角印を使い、請求書の発行する会社名の部分に押します。
ちなみに、請求という行為自体は口頭でも成立するため、請求書に印鑑がなくても可能です。
しかし、多くの場合で請求書には印鑑が使用されます。
これは印鑑を押すことで誰がその請求書を発行したかが証明されるため、信頼度が増すとともに、印鑑の押してある請求書を偽造すると懲罰の対象となるため不正が行われにくく、トラブルを防止する効果も見込めるためです。
また、慣習的にも請求書には印鑑を押すことが多いため、そもそも印鑑を押していない請求書は受け付けないという企業も多いでしょう。
消費税の書き方
請求書に記載する金額は一般的に「税込金額」「本体価格(税抜価格)」「消費税額」の3つです。
原則として、請求書には税込金額を記載する必要がありますが、税抜金額で契約をしていた場合は税込金額を記載する必要はありません。
ただし、基本的には「税込金額」「本体価格(税抜価格)」「消費税額」の3つを記載するのが一般的なので、特別な理由がない限りは記載しておいた方がいいでしょう。
源泉徴収税の有無
フリーランスが法人の取引先から仕事を請け負う場合、一定の業種において源泉徴収額を差し引いた金額が入金されます。
源泉徴収の対象となる仕事内容は、以下のように定められています。
①原稿作成、講演、デザインなどにかかる報酬
②弁護士、公認会計士、司法書士など、特定の資格取得者への依頼にかかる報酬
③社会保険診療報酬支払基金の診療報酬
④プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニスプレイヤー、モデル、外交員などへの依頼にかかる報酬
⑤TVや映画、演劇等の出演を芸能人や芸能プロダクションを営む個人に依頼した際の報酬
⑥ホテルや旅館での宴会等で接待を行うコンパニオンや、BARやキャバレーのホステスへの依頼にかかる報酬
⑦契約金など役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
⑧広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
源泉徴収として報酬から差し引かれる金額は、請け負った仕事の内容によって異なります。
例えば原稿料の場合、100万円以下の請求金額であれば、その金額の10%が源泉徴収額です。
取引先が源泉徴収について把握していない場合もあるので、対象となる仕事内容であればあらかじめ取引先と認識を合わせておきましょう。
源泉徴収額が差し引かれていた場合、年明けに1年分の請求額源泉徴収額が記載された支払調書が送られてくることがあります。
この支払調書は確定申告の際に必要になりますので、必ず保管しておきましょう。
請求書をデータでやり取りする場合は必ずPDF
最近では請求書を含めた書類のやり取りをWEB上で完結するケースも少なくありません。
その場合、改ざんを防ぐためにもファイルの形式は必ずPDFで送るようにしましょう。
また、請求書をWEB上で作成する場合、押印も電子印で対応することが多いです。
請求書をデータでやり取りするケースは増えてはいるものの、まだ紙でやり取りしている企業が多いのも事実ですので、事前に取引先にデータでも問題ないかどうかは確認するようにしましょう。
記載漏れや不備がないようしっかり確認する
請求書に限らず、取引先に送る書面では当然のことではありますが、記載漏れや不備などがないようにしっかりと確認しましょう。
フリーランスにとって信用の有無は、今後も仕事を依頼してもらえるかどうかに大きく影響します。
特にお金がかかわる請求書で不備があると、信頼関係にひびが入ることにもなりかねませんので、充分に注意が必要です。
請求書のフォーマットが変わる「インボイス制度」
2023年10月1日からインボイス制度が施行されます。
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」で、請求書の交付・保存にかかる制度です。
フリーランスは取引先から求められた場合、現行の請求書に加えて「登録番号」「適用税率」「消費税額等」を追記したインボイス(適格請求書)を発行する必要があります。
この制度の施行により、企業はフリーランスに依頼した費用を経費とする場合は必ずインボイスが必要になりますが、なんとこのインボイスは免税事業者では発行できないのです。
免税事業者とは、年収が1,000万円以下のフリーランスが対象となる、消費税の納税義務が免除されている事業者のことを指します。
つまり、年収1,000万円以下のフリーランスが企業と取引をする際、インボイスを求められるとその仕事を断るか、もしくは消費税を納めてインボイスを発行できる「適格請求書発行事業者」になるかを選択する必要があるのです。
しかし、企業としては経費として計上したいケースがほとんどであるため、インボイスを発行できない免税事業者は実質、仕事をもらうのが非常に難しい状況となり、消費税を納めざるを得ないといえるでしょう。
現在、フリーランスが不利な状況になるということで反対運動なども行われていますが、インボイス制度が施行されるのはほぼ確実だと思われるため、早めにインボイスの発行に対応できるよう準備をしておくことをおすすめします。
フリーランスを考えている人が把握しておきたいこと
副業から始めてみる
いつかはフリーランスを考えている人や本職以外にも収入を得たい方は、ぜひ副業案件から始めてみてください。
いきなりフリーランスになるのも良いですが、副業案件でクライアントとの信頼関係を築けていれば、
フリーランスとして独立をする際も案件に困ることはないでしょう。
そこから新たな案件を紹介してもらうことも多いです。
具体的なエンジニアの案件はエンジニアスタイルにも掲載しているので、ぜひ一度ご覧ください。
案件情報と自分のスキルは照らし合わせておく
自分が参画できる案件がどれくらいあるのかを把握しておくことで、
自分に今足りないことや、身につけておきたいスキルが明確になります。
その際、ポートフォリオを作っておくことが実は役に立ちます。
ポートフォリオ作成は自身のスキルの証明になるだけでなく、作成の過程で自分のスキルをあらためて棚卸することができるからです。
具体的なメリットや作成方法はこちらをご覧ください。
フリーランスになるメリットやリスクは知っておく
フリーランスになると、会社員と比較しても大きく環境が変わります。
例えば、ローンの審査や保育園の審査に通りにくくなることや、帳票をつける必要があるなどです。
特に社会保障面で会社員と異なることが多いので、これらを事前に把握して対策をしておきましょう。
フリーランスの方はこちらの記事もご覧ください
適切な請求書の発行でトラブルを防ぎましょう
今回は、請求書の発行は様々な理由からフリーランスでも行うべきだと解説してきました。
しかし、適当に発行してしまうと取引先とトラブルが起きてしまうかもしれません。
今回ご紹介した書き方や注意点をぜひ、今後の請求書発行に役立ててください。
また、発行した請求書は5年間捨てずに所持しておくこともお忘れなく。
- フリーランスでも請求書を発行する意義はある
- 発行した請求書は5年間、もしくは7年間保存しておく必要がある
- 取引先とのトラブルを防ぐため、請求書を発行する際は注意が必要
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