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組み込みエンジニアは激務?きつい、辛いと言われている4つの理由

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組み込みエンジニアを取り巻く2つの変化

組み込みエンジニアといえば、今までは機械製品のソフトウェアを開発するイメージが先行していましたが、特にAIやIoTの発展によってそのイメージは一新されてきています。

例えばSuicaなど交通系ICカードもIoTの一つであり、Suicaの情報を受信して処理する自動改札機には、組み込みシステムが搭載されています。組み込みエンジニアは、モノづくりの発展には欠かせない人材といえるでしょう。

ここでは組み込みエンジニアを取り巻く変化の中で、「先端技術の発展」「人材が育ちにくい」という2点ついて説明します。

組み込みエンジニアを取り巻く業界変化① AI技術、ビッグデータ、IoTなどの先端技術の発展により需要が高まっている

組み込みエンジニアを取り巻く大きな変化の1つは、AIやビッグデータ、IoTなどの先端技術です。IPA(情報処理推進機構)の「組み込みソフトウェアに関する動向調査」によると、無線通信やデバイス、センサのようなIoTに関する技術や、画像認識や音声認識といったAI技術への関心が上位にある事が分かります。

また、経済産業省の「組み込みシステム産業の課題と政策展開について」によると、世界のデータ量は2年ごとに倍増しており、それに追従するようにハードウェアの性能も指数関数的に進化しています。AI技術もディープラーニングによってさらに機能が発展すると予測されています。

機械に組み込まれたソフトウェアがインターネットに繋がり、さらにアプリケーションとも繋がることで、組み込みエンジニアが活躍できる場は拡大しているといえます。実際、IoT技術の浸透により、組み込みシステム市場の中でも特に自動車や産業機器の分野は拡大しています。

このように、先端技術によって組み込みエンジニアを取り巻く環境は良い方向に成長しているといえます。

組み込みエンジニアを取り巻く業界変化② 若手が育たない

組み込みエンジニアは必要なスキルを身につけるのに時間がかかるため、若手が育ちにくいという特徴があります。その理由の1つが新卒採用で、現状では電気や電子の専門教育を受けた人が採用されやすいため、そもそも若手が組み込みエンジニアになるための間口が狭いという点が挙げられます。

また、若い世代のエンジニアはPC1台でどこでも働けるようなWebやクラウド系のスキルに関心が高い傾向にあり、そもそも組み込みシステムに興味を示しにくいという問題もあるでしょう。

さらに、組み込みエンジニアを教育する環境が整っている企業が少ないのも、若手が育たない理由といえます。質の高い組み込みエンジニアを目指すには、先端技術に触れられ、教育環境が整っているような大企業でキャリアを積んだ方が良いでしょう。

組み込みエンジニアは激務?辛い、きついと言われている4つの理由

様々な産業で需要の高まりが見込まれる組み込みエンジニアですが、IT業界の中でも「激務・きつい・辛い」職種ともいわれます。なぜ組み込みエンジニアが激務といわれているのか、4つの視点から理由を説明します。

業界全体で人手不足で一人当たりの負荷が大きくなる傾向がある

組み込みエンジニアは今後も需要が伸びる人材です。一方で組み込みエンジニアは低水準言語やハードウェアの知識など、一般的なITエンジニアよりも技術面で身につけるべきスキルが多く、エンジニアとして自立するまでに時間を要します。

組み込みエンジニア不足が進むと、当然一人当たりの負荷は大きくなります。

dodaが様々な業種のビジネスパーソンに残業時間について調査した結果、組み込みエンジニアの残業時間は平均28.4時間で、9位にランクインしています。つまり、組み込みエンジニアの残業時間や、一人あたりの負荷は現状でも多い傾向にあります。

会社によってはバグや納期のプレッシャーが大きく激務になる

組み込みシステムは一度リリースした後でバグが見つかると、修正するのに困難を要します。例えば車など、リリース済みの組み込み製品に重大なバグが見つかり、大量リコールが発生すると企業としても大きな損失につながります。

そのため、組み込みエンジニアは限られた納期において高品質のシステム開発を要求されるため、プレッシャーを感じる方は多いでしょう。

在宅勤務が難しく働き方に柔軟性がない

組み込みエンジニアの仕事はWebエンジニアとは異なり、現状ではパソコンだけで完結できるような環境では働けません。

そもそも組み込みシステムはハードウェアに搭載するソフトウェアであるため、機械を持ち帰ってリモートで業務をするのは無理があります。組み込みエンジニア案件に常駐型が多いのも、搭載するハードウェアの存在が大きいといえます。

在宅勤務が難しく、働き方に柔軟性がない組み込みエンジニアになる事を、敬遠する若手エンジニアは多いでしょう。

身につけるスキルのレベルが高く、キャッチアップに疲れる

組み込みエンジニアはC言語やアセンブリのような難しいプログラム言語を習得する必要がある上、ソフトウェアやハードウェアの知識をキャッチアップする必要があります。近年ではIT技術の進歩がすさまじく、組み込み界隈の知識を取り込むのは時間と労力を要します。

一方で、最新の技術についてキャッチアップしていかないと、クライアントの要望を解決できる製品開発にも技術面での遅れが生じてしまう可能性があります。

つまり、組み込みエンジニアは身につけるスキルのレベルが高く、技術のキャッチアップが大変という点で「きつい」と思う方は多いでしょう。

組み込みエンジニアに向いていない人

組み込みエンジニアに向いていない人は、そもそも組み込みという仕事への興味が薄く、積極的に情報収集をしない人、そして全体像を俯瞰できない人が挙げられます。

継続的な技術キャッチアップが苦手

継続的な技術のキャッチアップを苦手とする人には、組み込みエンジニアには向いていないでしょう。

組み込みエンジニアを取り巻く技術の発展は、AIやIoTなどをきっかけにどんどん多方面に広がっています。多くのプログラミング言語やハードウェア関連の知識など、もともと組み込みエンジニアに求められる知識レベルは高い上、さらに先端技術のキャッチアップについても今後は必要とされるでしょう。

ハードウェア・機械に興味がない

組み込みエンジニアはソフトウェアだけでなく、ハードウェアの設計にも携わります。

例えば設計の段階では、使用者が誤った使い方をしても安全を確保できる設計(フールプルーフ)や、緊急事態でも安全な設計(フェイルセーフ)といった安全に関する設計も行います。

フールプルーフやフェイルセーフのような設計を行うためには、土台となるハードウェアの基本的な構造についての知識はもちろん、温度や湿度のように、実際に製品が使用される環境の知識も必要です。

つまり、組み込みエンジニアはプログラミング知識に加え、組み込む機械に興味がなければ務まりません。

俯瞰する能力・論理的能力が低い人

組み込み製品の設計はソフトウェアとハードウェアを連動させて考える必要があるため、製品そのものを俯瞰する力が必要です。そのため、俯瞰して全体像を把握する能力が足りない人は、組み込みエンジニアには向かないでしょう。

また、「なぜそうしたのか」を論理的に説明し相手を納得させるスキルは、エンジニアには欠かせません。特に組み込みエンジニアはリリース後に不具合が生じないよう高品質のシステムを開発するには、高い論理的思考力が必要です。

組み込みエンジニアのやりがいやメリットとは

先述した通り、組み込みエンジニアは身につけるスキルが多く自立した人材が育ちにくいという点が懸念されます。一方でIoTやAIなど先端技術の発展により、今後も組み込みエンジニアへの需要は高まるでしょう。

需要も高く報酬相場も高いため、稼ぐことができる

dodaの調査によると、会社員の組み込みエンジニアの平均年収は501.2万円で、モノづくり系エンジニアの中で平均よりもやや高めの傾向にあります。

また、エンジニアスタイルの調査では、フリーランス組み込みエンジニアの平均年収は約730万円です。需要が高く、貴重な人材である組み込みエンジニアの報酬は現在も高く、今後もさらに高報酬になると予想されます。

エンジニアの中でもスキルレベルが高く、人材不足が著しいため希少性が高い

組み込みエンジニアに必要とされるプログラミング言語の中でも、特にアセンブリ言語やC言語、C++を習得するのは難しく、高いプログラミングスキルが要求されます。若手エンジニアの中では様々なスキルが必要な上に働き方の柔軟性が低い組み込みエンジニアを目指す人は少ないのが現状です。

IPA(情報処理推進機構)によると、不足している組み込みエンジニアの人数を在籍する組み込みエンジニアの数で割った数が50%以上という企業が大多数を占めています。つまり、多くの企業で深刻な組み込みエンジニア不足が常態化しているといえます。つまり、スキルを身につけて組み込みエンジニアになれれば、ニーズが高い人材として活躍できます。

幅広いキャリアパスを選択できる

組み込みエンジニアとして働くには、PythonやJava、C言語など様々なプログラミング言語を習得する必要があります。一方で、それだけのプログラミング知識があれば、組み込みエンジニア以外にも、Webエンジニアやソフトウェアエンジニアとして働けます。

また、組み込みエンジニアは競合他社の調査やコスト面、実現可能性など様々な点で「どうすればクライアントの要望を解決できるか」を検討し、設計や実装、運用保守までの業務を担当する場合が多いでしょう。

そのような幅広い実務経験を活かすことで、組み込みエンジニアからシステム設計のスペシャリストであるシステムアーキテクト、そしてシステムエンジニアといったキャリアパスも選択できます。

さらに、現時点ではまだコンピューターの中でしか動作できないAIが多い中、今後はAIが組み込まれたハードウェアが普及すると予想されます。組み込みエンジニアにとって、今後はAIを組み込めるロボットなどのハードウェア開発に特化したエンジニアとしてのキャリアパスも選択できるでしょう。

組み込みエンジニアに求められるスキルとは

組み込みエンジニアに求められるスキルは、主にプログラミング言語の取得と、ソフトウェアやハードウェアの知識です。特に数種類のプログラミング言語取得は、組み込みエンジニアになるためには必須といえます。

需要の高いプログラミング言語の習得

組み込みエンジニアになるためには、PythonやJavaのようにエンジニアに共通する言語の他、C言語やC++のように低水準寄りのプログラミング言語の習得が必要になります。

C言語

組み込みエンジニアの基礎となるのがC言語です。C言語は機械語に一括変換した後で実行するコンパイラ言語の一種で、高速でプログラムを実行できるというメリットがあります。組み込みシステムは電子機器などに搭載する必要があるため、小さなリソースでも動作する仕組みの際に、C言語が役立ちます。

C言語は1972年に誕生し、今でも組み込み開発には欠かせないプログラミング言語です。特に、ハードウェアの動作に必要なファームウェアの開発には、処理が高速で効率的にコード生成できるという理由でC言語が使用されています。

C++

C++はC言語を元に作られているコンパイラ言語です。C言語とC++は互換性があるため、組み込みシステム開発ではC言語同様によく使用されます。

一方、C++はデータと処理をセットにしてプログラムを組み立てる「オブジェクト指向開発」に適した言語という点ではC言語と異なります。組み込み開発ではソフトウェアを使用して動かすデバイスをクラスとして定義できるため、オブジェクト指向開発に適しているといえます。

さらにC++は仮想マシンを介さずに実行でき、JavaやC#のような他のコンパイラ言語よりも処理が高速です。そのため、一般的な組み込み開発だけでなく、ビッグデータやAI開発、スーパーコンピューターの計算システムにもC++は多く取り入れられています。

アセンブリ

アセンブリ言語は取得難易度が高いプログラミング言語といわれています。アセンブリ言語はC言語やC++のようなコンパイラ言語と異なり、機械語を1つずつ変換できるのが特徴で、細かいプログラムを組めるので、不具合やセキュリティに強い組み込みシステム開発ができます。

Python

PythonはC++と同じくオブジェクト指向言語の1つで、組み込み系だけでなくデータ分析やWebアプリケーション開発など幅広い分野で活躍できる言語です。Pythonはコードが比較的理解しやすいスクリプト言語で、取得しているエンジニアは多いです。

また、PythonにはTensorFlowやOpenCVのようにAI開発に対応したライブラリが豊富にあるため、例えばAIを搭載した組み込み機器の開発にはPythonがよく使われます。

さらに組み込みシステム開発にはLinuxが使われる事が多く、Linuxを搭載するソフトウェアであればPythonを使用して開発できます。

Java

Javaを使用すれば異なるハードウェアでも同じアプリケーションが動作するので、組み込み開発では多く使われています。また、Javaはセキュリティ性が高い言語であり、特に官公庁や金融業界向けの組み込み開発ではJavaを使用する事が多いです。

Javaを使った開発案件は多く、組み込みエンジニアを目指す方にはJavaから習得し、実務をこなす中で他の言語を習得するのも得策です。また、Javaを通して基本的なプログラミングを学べるため、組み込みエンジニアのように複数言語の習得が必要な場合もJavaから始めた方が身につきやすいでしょう。

ソフトウェアの知識と経験

組み込みエンジニアには、ソフトウェアの知識や経験が必須です。ソフトウェアの代表例がアプリケーションで、例えばデジカメであれば、Wi-fiを使ってパソコンやスマホに写真を転送したり、リモート撮影するためのアプリケーションが挙げられます。

さらに組み込みエンジニアはOSの知識も必要です。例えば車であれば、センサから正確にデータを取得し、車ワイパーやドアロックなどのアクチュエーターを作動させるための命令処理を行います。その際、情報の入出力や通信処理、機能の制御や監視ができるリアルタイムOSが必要です。

リアルタイムOSでは、NASAでも使用されるほど信頼性が高いVxWorksや、LinuxをリアルタイムOSで使用するために用いるRt-Linux、近年では同期が豊富でリアルタイム性能が高いT-Kernelも多く使用されています。

その他、アプリとOSを繋ぐミドルウェアも組み込み開発に含まれます。つまり、組み込みエンジニアになるには、ソフトウェア全般の知識が必要といえます

ハードウェアの知識と経験

スマートフォンやタブレット、家電製品などの電子機器には、機械そのものを動作させるためにマイコンという小型コンピューターが搭載されています。組み込みエンジニアは、マイコンにソフトウェアを組み込むことでハードウェアを作動させます。

組み込まれたソフトウェアは、ユーザーが簡単に書き換えられないため、ファームウェアとも呼ばれます。万が一、ファームウェアに不具合があった場合は機械本体を回収しなければならないため、不具合が発生しない高品質なファームウェアを開発するには、動作対象であるハードウェアの知識は欠かせません。

組み込みエンジニアがよく使用するハードウェアは、マイコンの他にCPUやGPUが挙げられます。CPU(中央演算処理装置)はコンピューターの頭脳にあたるハードウェアで、CPU性能が高いほど処理速度が高くなります。

また、CPUやメモリ、入出力装置を1つのチップにまとめたものをマイコンと呼びます。組み込みシステムに用いられるCPUは、インテル社のcore i シリーズやAMD社のRyzenシリーズなどが有名です。

GPU(画像処理用演算プロセッサ)はAMDやNVIDIAなどグラフィックを描く際の頭脳にあたるハードウェアで、主にパソコンやゲーム機器などに搭載されています。

さらに組み込みエンジニアはハードウェアに関する知識の他、回路図を元にプログラミングを行うため、回路図を読み書きできるスキルも必要になります。

まとめ

今回は組み込みエンジニアが「激務・きつい・辛い」と言われている理由について紹介しました。

結論をいうと「覚えるスキルが多く人材が育ちにくい」ことが大きな理由です。一方で将来を見据え、AIやIoTに精通した組み込みエンジニアを目指すことで高収入を狙えます。

また、従来の機械製品は大企業の工場などでしか製作できませんでしたが、今はベンチャー企業などの小規模な組織でも3Dプリンターなどを使って高品質なハードウェアを製作できるようになりました。

このようなハードウェア開発の民主化は今後も発展すると予想され、常駐型が基本であった組み込みエンジニアの働き方にも変化が訪れるでしょう。

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