React Nativeがオワコン言われている4つの背景とは?特徴や技術選定方法を紹介

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目次
はじめに
React Nativeは、比較的新しいフレームワークに分類されますが、昨今「オワコン」と囁かれている場面をよく目にします。
コンピュータサイエンスには付きものともいえるこの話題ですが、果たしてReact Nativeは本当にオワコンなのでしょうか。
この記事では、React Nativeが直面している課題やメリット、デメリット、そして効果的な技術選定方法について詳しく解説します。
最後までお読みいただければ、React Nativeの理解を深め、モバイルアプリ開発における適切な技術選定のための知見を得ることができます。
<この記事を読むとわかること>
- React Nativeが「オワコン」と言われる背景
- React Nativeの主なメリットとデメリット
- React NativeとReact.jsの違い
- モバイルアプリ開発時の効果的な技術選定方法
React Nativeとは?
React Nativeとは、Flutterと同様にモバイルアプリ開発において非常に人気のフレームワークです。
Stack Overflowのデータによると、React Nativeは人気投票で全体の12.64%を占めています。(※Flutterは全体の12.57%)
このように、人気の高いReact Nativeですが、その人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
ここではまず、React Nativeの基本的な情報について解説します。
React Nativeの概要
React Nativeの基本情報 | |
リリース日 | 2015年3月 |
開発者 | |
分類 | モバイルアプリ開発フレームワーク |
使用言語 | JavaScript |
簡単な特徴 |
・クロスプラットフォーム開発 ・ホットリロード機能による迅速な開発 |
習得難易度 | 中程度(既存のJavaScriptやReactの知識があれば容易) |
公式サイトURL | https://reactnative.dev/ |
React Nativeは、2015年にFacebookによって開発されたオープンソースのモバイルアプリ開発フレームワークになります。
React Nativeの最も特徴的な点は、iOSとAndroidの両方のプラットフォームで動作するアプリを、同じコードベースから開発することを可能にすることです。
このようなクロスプラットフォーム開発の需要は日に日に高まっています。
マーケットリサーチセンターの調査によると、アジア太平洋地域のクロスプラットフォームアプリ開発フレームワーク市場規模は、2023年に623億米ドルに達し、2033年には2,931億米ドルに達すると予測されています。
年平均の成長率に換算すると、平均して年間16.75%の需要の増加が見込まれているということです。
米国市場も2033年までに1,047億米ドルを突破すると予測されており、2018年から2022年にかけての需要は21.2%増加しています。
そのため、現状でも多くのアプリがReact Nativeを利用して開発されています。
<React Nativeで開発されている主なアプリ>
- Facebook Ads Manager
- Airbnb
- Discord
- Uber Eats
- Bloomberg
- Walmart
- Wix
- メルカリ
- LINE
- クックパッド
- ピクシブ (Pixiv) など
このように、一度は聞いたことがあるような有名なアプリもReact Nativeで作られているのです。
React.jsとの違い
React Nativeとよく間違えられるのが「React.js」です。
React.jsとは、Web向けのフロントエンドライブラリになります。一方、React Nativeはモバイルアプリの開発に特化したフレームワークです。
つまり、両者は「フレームワーク」と「ライブラリ」という点で明確な違いがあります。
ライブラリとは、特定の機能や用途に特化したコードの集合になります。それに対し、フレームワークはアプリの基本的な構造や設計パターンを提供するものです。
また、使用用途も異なっています。
React.jsは、コンポーネントベースのアーキテクチャを採用しているため、再利用可能なUIコンポーネントを作成し、それを組みあわせて複雑なWebアプリのフロントエンド(UIなど)を効率的に開発可能です。
一方、React Nativeは、iOSとAndroidの両方のプラットフォームに対応したネイティブアプリをJavaScriptとReactの構文で構築できるようにします。
JavaScriptとReactの構文を使用しますが、生成されるのはネイティブコンポーネントです。
つまり、モバイルデバイスのネイティブAPIに直接アクセスし、ネイティブアプリのようなパフォーマンスと外観を構築します。
このように、React.jsとReact Nativeは「ライブラリとフレームワーク」、「Webアプリ特化かモバイルアプリ特化」という点で異なっています。
React Nativeがオワコンと言われている背景とは
近年、「React Nativeはもうオワコン」と巷で言われている光景をよく目にします。
フレームワークというのは非常に流行り廃りの速度が早いので、すぐにオワコンだと思ってしまうのも無理はないでしょう。
結論からいうと、React Nativeは全くオワコンではありません。
確かに、遠い未来にはオワコンとなる可能性もありますが、JavaScriptがここまで普及している以上、そう簡単に廃れることは考えづらいです。
しかし、その背景については知っておいた方が賢明です。
ここでは、React Nativeがオワコンと言われている背景について解説します。
Flutterの台頭
まず最初に挙げられるのが、Flutterの台頭です。
Flutterは、2018年にGoogleによって開発されたモバイルアプリ開発フレームワークで、React Nativeと同様に、iOSとAndroidの両方のプラットフォームで動作するアプリを単一のコードベースから開発することができます。
Flutterの人気が高まっている理由の一つは、そのパフォーマンスの高さです。
FlutterはDartという言語を使用し、React Nativeと比較して、より高速で滑らかなユーザーインターフェースを実現することができます。
また、Flutterは独自のウィジェットを豊富に備えており、これにより開発者はより柔軟で美しいデザインを簡単に作成できるという利点があります。
それとやはり、Googleがサポートしているという点で非常に人気です。
一方でReact Nativeは、Facebookによってサポートされていますが、Flutterの台頭により、特に新しいプロジェクトや革新的なアプリ開発において、その地位が危ぶまれている側面も否定できません。
このように、開発者たちの間でFlutterが優れた代替手段として注目されていることが、React Nativeに対する「オワコン」という評価の一因となっています。
Swiftでの開発が選択されている
もう一つが、「Swiftでの開発が選択されている」という点です。
SwiftはAppleによって開発されたプログラミング言語で、特にiOSアプリの開発において主流となっています。
Swiftは、iOSのネイティブ開発に最適化されているため、高いパフォーマンスと優れたユーザー体験を提供することが可能です。
React Nativeはクロスプラットフォーム開発を可能にする一方で、ネイティブ開発に比べるとパフォーマンスやカスタマイズ性において劣る場合があります。
これに対し、Swiftを使用したネイティブ開発は、アプリの応答性や効率性を最大限に引き出すことができるため、特に重要なiOSアプリにおいて好まれる傾向があります。
また、Appleが提供する開発ツールやライブラリはSwiftと緊密に統合されているため、iOS向けのアプリ開発においてはSwiftがより自然な選択となることが多いです。
このため、開発者や企業は、特にiOSユーザーをターゲットにしたアプリにおいて、React NativeよりもSwiftを選択することが増えています。
コミュニティが未発達
「コミュニティが未発達」という点も、React Nativeがオワコンとされる背景の一つです。
技術コミュニティの発達は、特にオープンソースのソフトウェア開発において非常に重要です。
活発で支援的なコミュニティは、新しい開発者の学習を促進し、問題解決の際の助けとなり、フレームワークの進化に貢献します。
また、活発なコミュニティはフレームワークの改善やバグの修正にも寄与するため、コミュニティの発達の度合いはフレームワークの健全性と直接関連しています。
一方でReact Nativeに関しては、コミュニティがFlutterやSwiftなどの他の技術と比較して十分に発展していないと見なされることがあります。
もちろん、React Nativeにも多くのコミュニティが用意されていますが、やはりGoogleやAppleがサポートしている両者と比較すると、成長速度が遅いと言えなくもありません。
メディアによって「オワコン」という風潮が作られた
最後の理由は、「メディアによって『オワコン』という風潮が作られた」という点です。
特に2018年に、大手宿泊予約プラットフォームのAirbnbがReact Nativeの使用を中止した事件がメディアによって大々的に報道されたことが、この傾向を強める大きな要因となりました。
それ以降、2019年頃から頻繁にSNSなどでReact Nativeはオワコンという風潮が作られ始めたように思います。
しかし、この事実だけでReact Nativeをオワコンと認識するのは早計です。
メディアの報道はしばしば、特定の事例を一般化し、一つの事件があたかも全てに当てはまるかのような伝え方をします。
Airbnbのケースは、React Nativeが全てのプロジェクトや企業にとって適切な選択ではない可能性を確かに示唆していますが、あくまで一企業の一つの選択に過ぎません。
SNSなどのコミュニティでは、「否定」することは専門性・権威性を誇示するためによく使われる手法の一つです。
情報の取捨選択をする際は、その情報の背景にまで目を張り巡らすように注意しましょう。
React Nativeで開発を進めるメリット
先述したように、多くの有名なアプリがReact Nativeを利用して開発されています。
ではなぜ、企業はReact Nativeを選択するのでしょうか。
ここでは、React Nativeで開発を進めるメリットについて解説します。
メリット①クロスプラットフォーム開発
React Nativeの最大の強みは、クロスプラットフォーム開発が可能という点です。
先述したように、React Nativeを利用することで開発者は一つのコードベースを共有し、それを使ってiOSとAndroidの両方のモバイルプラットフォーム向けのアプリを構築することが可能になります。
通常、iOSとAndroidでは、それぞれ異なるプログラミング言語(iOSの場合はSwiftやObjective-C、Androidの場合はJavaやKotlin)が必要ですが、React NativeはJavaScriptとReactの概念を駆使することで、これらの違いを克服します。
この一元化されたアプローチの最大の恩恵は、開発プロセスの効率化とコストの削減です。
開発チームは、プラットフォームごとに異なるコードラインを書く手間を省き、一つの機能を複数のプラットフォームで迅速に展開することが可能になります。
このため、市場投入までの時間を短縮し、開発リソースをより効果的に活用することが可能です。
メリット②コードの再利用
React Nativeのもう一つの大きな利点は、コードの再利用性です。
React Nativeを使用すると、開発者は一度作成したコード(ビジネスロジックやユーザーインターフェースのコンポーネントなど)を異なるプラットフォーム間で簡単に共有できるようになります。
例えば、ウェブアプリで使われているReactのコンポーネントの多くは、少しの調整や変更を加えるだけでモバイルアプリにも適用できます。
このようなコードの再利用性は、特に大規模なアプリや、複数のプラットフォームにまたがるプロジェクトにおいて非常に効果的です。
開発者は新しいプラットフォームのために一からコードを書く必要がなく、既に存在するコードを用いて迅速に機能を拡張することができます。
このアプローチによって開発サイクルは大幅に短縮され、リソースの効果的な再配置やコストの削減が可能になるのです。
メリット③ネイティブレンダリング
React Nativeの3つ目のメリットは、ネイティブレンダリング機能です。
ネイティブレンダリングは、アプリがモバイルデバイス上で直接かつスムーズに動作することを可能にします。
一般的なアプリはWeb技術を用いて画面に内容を表示することが多いですが、React Nativeはモバイルデバイスのネイティブ機能を直接活用して画面を描画します。
この結果、React Nativeで開発されたアプリは高速に動作し、ユーザーにとって快適なインターフェースを提供することが可能です。
また、iOSとAndroidはそれぞれ独自のUIガイドラインを持っていますが、React Nativeはこれらの違いを認識し、プラットフォームに応じた適切なレンダリングを行います。
このように、React Nativeを使用して構築されたアプリは、ユーザーにとって親しみやすく、ネイティブアプリのような体験を提供することができるのです。
メリット④ステート(State)管理
React Nativeの4つ目のメリットは、ステート(State)管理です。
ステート管理は、アプリの現在の状態を維持し、それに応じてアプリの挙動を制御する重要な機能になります。
React Nativeでは、個々のコンポーネントが独自のステートを保有することが可能です。
これにより、アプリ内の特定のセクションがどのように表示され、ユーザーのインタラクションにどのように反応するかを個別に管理できます。
例として、ユーザーがフォームに情報を入力する場合を考えてみましょう。
入力されたデータはフォームコンポーネントのステートとして保持され、ユーザーが別の操作を行うまでその情報は保持され続けます。
これはつまり、アプリがユーザーの行動を「記憶」するということです。
例えば、間違った情報をフォームに入力し、別のページに移動した後に元のページに戻っても、以前の入力内容がそのまま保持されるのは、このステート管理機能によるものです。
このように、ステートが適切に管理されることで、ユーザーにとってより便利で使いやすいアプリを開発することが可能になります。
メリット⑤JavaScriptを知っていれば習得が容易
React Nativeの5つ目のメリットは、JavaScriptという広く知られている言語を基盤としている点です。
JavaScriptはWeb開発の世界で非常にポピュラーな言語であり、多くの開発者にとって既にお馴染みのものです。
そのため、Web開発のバックグラウンドを持つ開発者にとっては、React Nativeを習得する際に、全く新しい言語やフレームワークを学ぶ必要がないという大きな利点があります。
また、JavaScriptを使用しているので、開発者はWebおよびモバイルアプリ開発の両方で継続して同じ言語を使用でき、開発プロセスがよりシームレスになります。
このように、React NativeはJavaScriptの知識を有効活用し、開発者が既存のスキルと経験をモバイルアプリ開発に直接転用することを可能にします。
React Nativeで開発を進めるデメリット
このように、多くのメリットを持つReact Nativeですが、いくつかデメリットも存在します。
デメリットの無いフレームワークなどそもそも存在しませんが、以下に紹介するデメリットを理解せずに使用すると、思わぬ落とし穴に陥る可能性も考えられます。
そのため、以下のデメリットについては事前に必ず確認しておきましょう。
デメリット①アップデート対応が多い
React Nativeの主なデメリットの一つ目は、頻繁なアップデートに対応することが面倒という点です。
React Nativeは定期的に更新され、新機能が追加されたり、既存の機能が改善されたりします。
そのため、開発者は常に最新の動向に注意を払い、自身のプロジェクトをタイムリーにアップデートしなければなりません。
特に大規模なアップデートでは、互換性の問題や新たなバグが生じるリスクが高くなります。
アップデートプロセス自体も時間を要する作業であり、大きなプロジェクトの場合、新バージョンへの移行は多大な労力とリソースを必要とすることがあります。
そのため、React Nativeを採用する際には、アップデートの管理や開発環境の維持に対する注意と計画が不可欠です。
デメリット②追加でネイティブコードを書く必要もある
React Nativeのもう一つのデメリットは、特定の状況下で追加のネイティブコーディングが必要になる場合があるという点です。
React Nativeは多くのネイティブ機能に対応していますが、デバイス特有の機能や最新のAPIを利用する際には、直接ネイティブ言語でコードを書く必要が生じることがあります。
例えば、独自のセンサー機能や新しいハードウェア機能をアプリに統合する場合には、iOSやAndroidのネイティブコードを直接記述することが必要になります。
そのため、React Nativeのプロジェクトや求人では、iOSやAndroidのネイティブ開発経験を持つエンジニアが求められることが多いのです。
したがって、React Native開発においてさらに専門性を高めたい場合、iOSやAndroidのプラットフォームに関する深い知識を持つことが望ましいといえるでしょう。
デメリット③エラーの特定が複雑
React Nativeの3つ目のデメリットは、エラーの原因が特定しにくい場合があるという点です。
React NativeはJavaScriptとネイティブの両方のレイヤーを利用して動作するため、エラーが発生した際には、その根本的な原因がJavaScriptのコードにあるのか、それともネイティブ側(iOSやAndroidのコード)にあるのかを突き止める必要があります。
これらの異なるレイヤー間での連携は、エラーの診断を複雑にすることも多いです。
React Nativeには便利なデバッグツールが備わっていますが、これらのツールはネイティブコードのデバッグには一定の限界を持つ場合があります。
そのため、ネイティブレベルでのエラーを効果的に解決するには、iOSやAndroidの開発環境に関する深い知識が求められます。
したがって、JavaScriptとネイティブの両方に精通していることは、このような問題を解決する際に非常に重要であり、React Nativeを用いたアプリ開発における重要なスキルセットの一部となっているのです。
デメリット④一部の高度な機能はExpo内で制限されている
「Expo」は、React Nativeでアプリを作るときに非常に役立つツールキットです。
これを使うと、プログラミングの初心者でも簡単にアプリを作成し、テストすることができます。
しかし、Expoには一つ注意点があります。それは、Expoを使っていると、React Nativeが持っている機能の中で使えないものがあるということです。
例えば、スマートフォンのカメラを使った拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のような機能、またはエッジコンピューティング(データ処理をクラウドではなくデバイス側で行う技術)などが挙げられます。
これらの機能は、Expoの環境内ではサポートされていないか、あるいは制限されています。
この制限は、Expoが初心者にとって使いやすくするために、より複雑な機能を省略しているためです。
そのため、特定の高度な機能をアプリに組み込みたい場合は、Expoを使わずにReact Nativeのネイティブ環境で直接開発する必要があります。
デメリット⑤細かいUIへのこだわりには向いていない
最後に挙げられるReact Nativeのデメリットとしては、「細かいUIを作成するには向いていない」という点です。
iOSとAndroidは、それぞれ独自のデザイン言語を持っています。例えば、ボタンのスタイルやナビゲーションの動作が異なります。
React Nativeでは、これらの違いを完全に再現することは難しく、結果としてどちらかのプラットフォームのデザインに完全に準拠することはできません。
もう少し具体的に、スクロール動作や遷移アニメーションに焦点を絞ってみましょう。
iOSとAndroidでは、スクロールする際の「感触」や速度が異なります。
React Nativeでアプリを作成すると、これらの細かな違いを完璧に再現するのは難しくなります。
また、画面間の遷移アニメーションも同様です。
iOSではしばしば左から右へのスワイプで前の画面に戻る動作が一般的ですが、Androidではこれが異なる場合が多いです。
これらの細かい違いをReact Nativeで完全に再現するのは、技術的にも時間的にも難しいといえます。
要するに、React Nativeは複数のプラットフォームにわたる開発を簡素化しますが、それぞれのプラットフォーム特有の細かいUIデザインにこだわる場合には制限があります。
開発を進める際、どのように技術選定をするべきか
ここまで、React Nativeについて詳しく解説してきました。
しかし、実際にモバイルアプリのプロジェクトを立ち上げる際に、盲目的にReact Nativeを選択するのは危険です。
そもそも、フレームワークというものは一種の「型」なので、その型に当てはまらない場合は別のアプローチを考えねばなりません。
では、どのように技術を選定していくべきなのでしょうか。
ここでは、開発を進める際の技術選定の方法について解説します。
実装のしやすさで選ぶ
モバイルアプリ開発を進める上で、技術選定の最初の重要なポイントは「実装のしやすさ」です。
「実装のしやすさ」とは、具体的には、その技術を使ってアプリケーションのコア機能をどれだけ迅速かつ容易に構築できるかということを意味します。
開発環境のセットアップの容易さ、学習曲線の勾配、コードの書きやすさやデバッグの容易さなどが主な考慮点です。
また、実装のしやすさを考慮することは、開発チームのスキルセットにも密接に関連しています。
チームがすでに熟知している言語やフレームワークを利用することで、学習に費やす時間を削減し、開発プロセスをスムーズに進めることが可能です。
開発チームの既存の技術的な強みを最大限に活用することは、効率的な開発への近道となるのです。
技術を転用できるか?
モバイルアプリ開発における技術選定の2つ目の重要なポイントは、「技術の転用可能性」です。
この観点は、特に長期的なプロジェクトの持続性や、将来的な拡張性を考慮する際に非常に重要です。
技術の転用可能性とは、簡単に言うと、一つのプロジェクトやプラットフォームで得た技術や知識を、他のプロジェクトやプラットフォームに応用できるかどうかということです。
例えば、Web開発で使用しているJavaScriptの知識を、React Nativeのようなモバイルアプリ開発フレームワークに転用できるか、といったケースがこれに該当します。
さらに、技術の転用可能性を考慮することは、将来的な拡張性や柔軟性にも寄与します。
例えば、あるプラットフォームで開発されたアプリケーションを、別のプラットフォームへ容易に移植できる場合、市場の変化やビジネスの成長に伴うニーズの変動に迅速に対応することが可能です。
したがって、技術選定において技術の転用可能性を考慮することは、長期的な視点でのプロジェクトの成功に不可欠です。
コミュニティの大きさや参照ページの多さで選ぶ
モバイルアプリ開発における技術選定の3つ目の重要なポイントは、「コミュニティの大きさや参照できるページの多さ」です。
コミュニティの大きさは、特定の技術やフレームワークがどれだけ人気があるか、広く採用されているかを反映しています。
大きなコミュニティは、豊富な学習リソース、活発なフォーラムやディスカッション、多くのサンプルプロジェクトを提供していることが多く、これらは開発者が新しい技術を学び、問題を解決するのに有用です。
また、コミュニティが大きい技術は、多くの開発者によってテストされ、改良されているため、安定性や成熟度が高い傾向にあります。
参照できるページの多さもまた重要です。
ドキュメンテーション、チュートリアル、ハウツーガイド、事例研究などが豊富にある技術は、開発者が必要な情報を迅速に見つけ出し、独自の問題に適用するのに効果的です。
これにより、開発プロセスのスピードアップと効率化が図れます。
したがって、コミュニティの大きさや参照できるページの多さを考慮することは、開発者が必要なサポートとリソースにアクセスできるかどうかを判断する上で非常に重要です。
開発する内容で選ぶ
モバイルアプリを開発する際に考えるべきは「アプリが何をするか」、つまりアプリの内容や機能です。
この要素は、どの技術やフレームワークを選ぶかを大きく左右します。
例えば、シンプルな情報提供アプリと複雑でインタラクティブなゲームでは、必要とされる技術が大きく異なります。
テキスト、画像、基本的なユーザーインタラクションを含むシンプルなアプリの場合、クロスプラットフォーム開発フレームワーク(例:React Native、Flutter)が最適です。
一方、高度なアニメーション、リアルタイム処理、または特定のハードウェア機能(例:AR/VR)を利用するアプリの場合、ネイティブ開発(Swift for iOS、Kotlin for Android)が最適な選択肢となります。
このように、開発内容によっても選定する技術は変わってくるので、開発内容に適した技術の選定が必要です。
予算やリソースで選ぶ
アプリ開発に割り当てられる予算やリソースも重要な選定基準です。
特に、小規模なビジネスやスタートアップの場合、予算は大きな制約となります。
こうした場合、コスト効率の高いクロスプラットフォーム開発が適している可能性が高いといえるでしょう。
大企業や予算に余裕のあるプロジェクトでは、よりカスタマイズ可能で高性能なネイティブ開発が適しています。
また、特定の技術スキルや専門知識を持つ開発チームが利用できる場合、より高度な技術選定が可能です。
他にも、短い開発スケジュールを優先する場合、迅速に市場に投入できるクロスプラットフォームのフレームワークが望ましい選択肢となります。
逆に、時間をかけて質の高い製品を開発することが可能ならば、ネイティブ開発が適しているといえるでしょう。
これらの要素をバランス良く考慮することで、最適な技術選定を行うことができます。
まとめ
この記事では、React Nativeがなぜ「オワコン」と言われるのか、その背景にある要因を深く掘り下げました。
また、React NativeとReact.jsの違いから、そのメリットとデメリット、さらにはモバイルアプリ開発における効果的な技術選定方法についても詳しく説明しました。
React Nativeは、その利便性とクロスプラットフォーム対応能力において依然として強力なツールですが、Flutterの台頭、Swiftの選択、コミュニティの未発達など将来性を危険視する声もいくらかあります。
このような議論はコンピューターサイエンスでは一種の「お約束」のようなものです。
もちろん、盲目的にReact Nativeを信奉するのは危険ですが、少なくとも今後数年でReact Nativeの有効性が失われる可能性は考えづらいです。
しかし昨今では、生成AIなどの最新技術の発展も目覚ましいので、最新の動向には目を光らせておく必要があるといえます。
今後も一線で活躍することを志すのならば、最新技術への興味関心は常に持っておきましょう。
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この記事を書いた人

1992年生まれ、北海道出身。トレンドスポットとグルメ情報が大好きなフリーライター。 衣・食・住、暮らしに関する執筆をメインに活動している。 最近のマイブームは代々木上原のカフェ巡り。
この記事を監修した人

大学在学中、FinTech領域、恋愛系マッチングサービス運営会社でインターンを実施。その後、人材会社でのインターンを経て、 インターン先の人材会社にマーケティング、メディア事業の採用枠として新卒入社し、オウンドメディアの立ち上げ業務に携わる。独立後、 フリーランスとしてマーケティング、SEO、メディア運営業務を行っている。