【2022年最新】フリーランス・自営業が雇用保険に加入すべきケースとは?条件や手続きを紹介
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目次
そもそも雇用保険とは
まず、雇用保険とは何かについての解説から始めます。このシステムは、労働者の生活を保障するために設立されている制度です。労働者が失業せざるを得なかったとき、一定期間の間、給付金を支給することによって、労働者の暮らしを安定させる機能を持ちます。また、失業者が再度就職するのを促進させることも目的の1つです。就職に必要な技術を身につけるための教育訓練を支援し、失業者が新しい仕事を見つけることを助ける機能も有しています。さらに、育児失業給付金や介護休業給付金など、育児や介護によって職を離れざるを得ない状況にある労働者への給付が行われるというケースもあります。このように、雇用保険は、さまざまな側面からサポートを提供することで、労働者の暮らしを雇用の観点から支援しているのです。
フリーランス・自営業でも雇用保険への加入が必要なのか?
雇用保険は、従業員として労働に従事する一般の人々を守る制度です。そのため、事業主本人は加入ができません。また、原則として、事業主と同居する親族も加入できないことになっています。したがって、親族の保険の取り扱いに関して疑問がある場合は、労働基準監督署やハローワークに確認が必要です。自営業の場合には、完全に家族経営という場合を除いて、従業員を雇用している場合は、条件に応じて雇用保険に加入しなければならないという義務があります。また、パートタイマーやアルバイトについても、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用の見込みがあるならば、労働者であるとみなされるので要注意です。
雇用保険に加入するフリーランス・自営業主側のメリット
雇用保険は労働者を守ることを目的に設置された仕組みですが、雇用主側にもメリットはあるので要確認です。ここからは、従業員を雇う側の視点に立ったときにどのようなメリットがあるかについて説明します。
給付金・助成金をもらうことができる
給付金・助成金をもらうことができることは、雇用主側のメリットの1つといえるでしょう。雇用調整助成金は、経済的な理由でビジネス縮小を避けられない状況で、事業主が従業員を解雇することなく雇用を維持した場合、休業手当などの費用を部分的に助成する仕組みです。また、労働移動支援助成金(再就職支援コース)というものもあります。この制度は、ビジネス縮小によって労働者が離職を避けられなかったときに、次の就職を探すための支援を行った事業主に助成金を支給するという制度です。例えば、職業紹介事業者へ再就職の支援を委託したり、次の仕事を見つけるための休暇を従業員に与えたりした事業主には、助成金の給付が行われます。これらの助成金を受け取るためには、雇用保険適用事業所であるという条件を満たすことが必要です。ビジネス縮小になったときのリスクを考慮すると、このような助成金のサポートは事業主にとって大きなメリットになっています。
採用面でのPRになる
雇用保険への加入は、採用強化につながる点も事業主の視点でのメリットです。雇用される立場に立つとすれば、万が一失業を避けられなかったときに給付金を受け取ることができる企業で働くほうが安心できます。また、募集要項に雇用保険がきちんと整備されていると書かれてあれば、信頼できる会社だと応募者が判断できるでしょう。このような点を考慮すると、従業員の採用の観点でメリットがあるといえます。
フリーランス・自営業でも雇用保険を支払う必要があるケース
自営業を行う個人事業主の場合でも、以下の条件を満たす従業員がいる場合には、雇用保険を支払わなければなりません。
- 雇用保険を支払う必要がある従業員の条件:週の所定労働時間が20時間以上、かつ雇用見込日数が31日以上の場合
- 雇用保険に加入した場合には、自営業を営む経営者と、加入した従業員の双方が保険料を支払うという仕組み
- 小規模事業の自営業者だから、雇用保険を支払わなくても問題ないと勘違いしていると大変なことになるので注意
雇用保険を含めた「社会保険」の給付内容とフリーランス・個人事業主に必要な保障とは
日本における社会保険には、医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つが含まれます。5つ全てを総称して広義の社会保険、医療保険・年金保険・介護保険のみを指して狭義の社会保険と呼ぶことも多いです。また、雇用保険と労災保険を合わせて労働保険と呼ばれます。
5つの社会保険について簡単に給付内容を解説していきます。医療保険では、病気・けがなどになったときの医療行為への支払いに対して保険給付が行われます。年金保険は、65歳からの老齢給付や障害給付・遺族給付を行うための制度です。介護保険では、介護がやむを得ず必要になったときに、必要な介護費用についての給付を受けることができます。雇用保険は上述のとおり、労働者が失業したときの生活の支援と、早期就職を目的とした給付を行う制度です。労災保険は、業務に関する理由による労働者の病気・けが・死亡に対し、労働者またはその遺族に必要な給付を行う制度になっています。
フリーランス・個人事業主個人に対して必要なものは、狭義の社会保険に該当する、医療保険・年金保険・介護保険になります。一方、従業員に対して必要なものは、狭義の社会保険と労働保険です。医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険は事業主と従業員のそれぞれに支払い負担があります。医療保険・年金保険・介護保険については、事業主と従業員が半額ずつ負担し、雇用保険については、事業主側が多めに負担しなければなりません。一方、労災保険は全額について、事業主側が支払うルールです。
求職者給付(基本手当)
求職者給付とは、失業者が失業中であっても日々の暮らしに困ることなく、安心して次の仕事を探すことができるように支給される給付金です。受給金額や受給期間は、雇用保険の被保険者であった期間・離職した理由・年齢によって異なります。例えば、自己都合による退職よりも会社都合の離職時の方が受給期間は長めに設定されているのです。給付日数は90日〜360日の間になりますが、病気・けが・育児などで働くことができない場合は、受給期間の延長もできます。
求職者給付の受給要件は2つあります。1つ目の要件は、本人に就職したいという意思と、就職できる能力があることです。もし、病気やけがで就職できない、出産や育児に専念する必要があるなどの場合は、基本手当を受け取ることはできません。2つ目の要件は、離職する前の2年間に通算で12ヶ月以上の間、被保険者であった期間があることです。ただし、解雇や倒産などの理由で離職した特定受給資格者や、やむを得ない理由があった特定理由離職者の場合はこの限りではありません。
基本手当の支給を受けるためには、勤めていた企業から離職票を受け取り、住所地を管轄するハローワークで手続きを行わなければなりません。ハローワークにて、受給資格があることの確認を受けたのちに、受給資格が決定されます。
就職促進給付(再就職手当)
失業中の生活を保障するための求職者給付とは異なった別の制度として、求職者の早期就職を支援するのが就職促進給付です。就職促進給付の就業促進手当の1つに再就職手当があります。再就職手当は基本手当の受給者が早期に安定した職につくことを促進させるための制度です。
再就職手当は、基本手当の支給日数の残りの日付によって給付率が異なります。基本手当の給付日数の3分の2以上を残して再就職したケースであれば、残日数×70%×基本手当の日額が支給されます。一方、基本手当の給付日数の3分の1以上を残して再就職した際には、残日数×60%×基本手当の日額が支給金額です。つまり、早く次の仕事に就くと、給付率が高くなります。この制度によって、早期に次の就職先を決めた失業者が不利益を受けないようになっているのです。
就業促進手当には、元の仕事よりも給料が下がった際に給付できる就業促進定着手当や、常用雇用以外の就業を行った際に受け取ることができる就業手当などもあります。
職業訓練給付
職業訓練受講給付金とは、労働の意思と労働に必要な能力は保持しているが、雇用保険の支給を受けられない方などの特定求職者を対象にした制度です。特定求職者がハローワークからの指示に基づいて、職業訓練を受けてスキルアップしている間に給付金が支給されます。支給される金額は、月額10万円です。さらに、職業訓練実施施設までの交通費などに相当する通所手当や、月額10,700円の寄宿手当も支給されます。
職業訓練受講給付金の支給を受けるためには、本人収入が月8万円以下、世帯の金融資産が300万円以下などの要件があります。また、この制度は、職業訓練に真面目に参加するという前提で支払われる給付金であるため、基本的に職業訓練への毎回の出席が必須です。
職業訓練受講給付金を希望する際には、ハローワークでの手続きが必要になります。訓練受講申込み前の事前審査と、月ごとに実施される支給申請を受けなければなりません。
雇用継続給付(育児休業給付金)
雇用継続給付とは、育児休業者・介護休業者・高齢者の雇用継続を支援することを目的として設けられた給付制度です。ここでは、育児失業給付金について詳細を解説します。
育児失業給付金は、育児休業中の労働者に対して、生活を保障するための給付金が支払われる制度です。女性だけではなく、男性も取得することができます。育児休業開始から180日目までは、育児休業を取得する前の賃金の67%、181日目以降は50%の金額が支給されます。支給期間は、子どもが1歳の誕生日を迎える前々日までです。しかし、保育所が見つからないなどの理由がある場合は、延長も可能になっています。
育児失業給付金の支給要件には、雇用保険の被保険者であること以外の条件もあります。賃金支払基礎日数が11日以上あるか就業した時間数が80時間以上ある完全月が、育児休業開始前の2年間で、12ヶ月以上あることが要件です。
知っておきたい雇用保険に関する手続きについて
ここまでで雇用保険のメリットや、その支援内容について紹介してきました。しかし、事業主としては、雇用保険を運用するうえでの手続きが気になることでしょう。そこで、ここからは、従業員を雇用するとき、事業主がどのような手続きを取らなければならないかについて解説していきます。
適用事業所となった時:一元適用事業(農林水産業・建設業など以外)の場合
上述のとおり、労災保険と雇用保険は労働保険と呼ばれています。労働者を1人でも雇用している場合は、適用事業所となり加入が必要です。もし、労働保険を成立させる手続きを行っていなかった場合は、労働保険料を遡って徴収されることになるうえ、追徴金の支払いも必要になります。そのため、労働者を雇うのであれば、ただちに申請のプロセスを進めることが必要です。
労働保険が適用される事業には、業種の特性を考慮した2つのパターンがあります。農林水産業・建設業であれば、二元適用事業であり、ほかの事業であれば一元適用事業です。二元適用事業は労災保険と雇用保険の申告・納付を別々に行いますが、一元適用事業はそれらをまとめて取り扱うという点が異なります。
多くの業種は一元適用事業に当てはまるので、一元適用事業の際に必要な手続きについて説明します。まず、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に、労働基準監督署に対し、保険関係成立届を提出することが必要です。また、保険関係成立日の次の日から、50日以内に年度分の労働保険料を申告・納付する必要もあります。労働保険料は、労働者に対して年度内に支払う賃金見込みに対し、業種ごとに定められた保険料率を掛けることで計算されます。提出先は、所轄の労働基準監督署、都道府県労務局、日本銀行のいずれかです。また、雇用保険を適用できるようにするためのプロセスとして、雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を公共職業安定所に出す必要もあります。
上述した労働保険に関する申請プロセスについて、現在では電子申請・電子納付もできるようになっています。そのため、労働基準監督署などに直接出向くのが難しく、忙しい方はオンラインでの手続きがおすすめです。
従業員を雇用した時
ここからは従業員を新しく雇用したときに必要になる、雇用保険に関連する手続きを解説していきます。新しく従業員を雇用した場合は、被保険者となった日が含まれる月の次の月の10日までに、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークまで提出しなければなりません。内容を確認したのちに、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用と事業主通知用の2種類がある)と雇用保険被保険者証が交付されます。雇用保険被保険者証と被保険者通知用の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書は、労働者本人に対し、事業主を通じて交付されなければなりません。
従業員が離職した時
ここからは従業員の離職に関わる雇用保険プロセスについて紹介します。従業員が離職したときは、被保険者でなくなる日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出することが必要です。雇用保険被保険者離職証明書(離職票)は、従業員が失業時の給付手続きに必要な書類の発行につながるため、期限内の提出が求められます。また、賃金支払い状況や離職理由などの確認に用いるため、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿などの資料も必要です。
フリーランスを考えているエンジニアが把握しておきたいこと
副業から始めてみる
いつかはフリーランスを考えている人や本職以外にも収入を得たい方は、ぜひ副業案件から始めてみてください。
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案件情報と自分のスキルは照らし合わせておく
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フリーランスになるメリットやリスクは知っておく
フリーランスになると、会社員と比較しても大きく環境が変わります。
例えば、ローンの審査や保育園の審査に通りにくくなることや、帳票をつける必要があるなどです。
特に社会保障面で会社員と異なることが多いので、これらを事前に把握して対策をしておきましょう。
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まとめ
ここまでで、フリーランス・事業主にとって重要な雇用保険の情報についてまとめてきました。雇用保険は労働者の失業時の暮らしと、早期就職をサポートするための制度です。自営業であっても従業員を雇う際には適用されます。また、本制度は、失業時の生活を保障するためのお金や、職業訓練時のサポート費用の支給など幅広い機能で雇用を支える制度です。これから従業員を雇うことを検討している、フリーランスや個人事業主の方は雇用保険への理解が必要になるでしょう。
- 雇用保険は、労働者が失業したときの生活と早期再就職を支援する制度。
- 従業員を一人でも雇う際は、雇用保険への加入が必要です。
- 求職者給付や職業訓練給付など、さまざまな給付の仕組みがあります。
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