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【2022年最新】フリーランスは労働組合に加盟できる?労働組合の役割と国内の動きを紹介


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そもそも労働組合とは。存在意義や役割について解説

労働組合は何のためにあるのでしょうか。

例えば、

「給料が安過ぎて生活が苦しい」

「理不尽な理由で解雇されてしまう」

というように労働者が待遇に不満を感じても、雇われている立場から雇用主に直接意見を伝えるのは難しいものです。

また、雇用主側も労働者1人の要望をいちいち汲み取ってはくれません。

しかし、同じ不満や要望をもつ労働者が複数人集まり労働組合を組織して、大きな意見として雇用主に伝えると労働条件の改善を図ることができるのです。

日本国憲法では、労働者を守るため労働三権が定められています。

労働三権とは、以下の3つです。

  • 労働者が労働組合を作る権利
  • 労働組合が雇用主と労働条件を交渉するための「労働協定」を交わす権利
  • 労働条件に抗議するためストライキをする権利

この権利を雇用主が侵害、または労働協定に違反するようなことがあれば、労働者は会社を訴えることも可能です。

このように労働者と雇用主を対等な関係にするために労働組合があるのです。

しかし、会社などに所属していないフリーランスは労働組合に参加できるのでしょうか。

結論から言うと、フリーランスを対象とした労働組合は増えてきているのですが、やはり会社員の労働組合とは異なる部分が多いようです。

そこで今回は、以下のポイントについて解説します。

  • 労働組合の種類と役割
  • 労働組合が実現できることとは
  • フリーランスと労働組合について
  • フリーランスが加盟できる労働組合はある?

普段は労働組合の取り組みが表立って見えることは少ないですが、実は労働者が快適に働くためには欠かせない存在なのです。

会社員であればほとんどの人が自然に加入している労働組合ですが、個人事業主という立場にあるフリーランスも加入できるのでしょうか。

労働組合の種類と役割

労働組合は一つではありません。労働者が2人以上集まれば労働組合を作ることができるので、たくさんの種類があるのです。

労働者はどこに加入すれば良いのかを、自分で決めることができます。

単位組合(企業別組合)

日本では一つの企業で長く働き続ける人が多いので、企業毎に組織された単位組合(企業別組合)が一般的です。特徴としては、職種は関係なく同じ会社や事業所で働いている労働者が組織しており、組織の中で上下がないことです。

会社内の労働条件を改善するために機能しています。

産業別組織

会社内の枠を超えて、建設業やサービス業など産業ごとに組織された労働組合を産業別組織と呼びます。

その産業に共通して賃金が低い場合、会社に労働条件の改善を訴えるのではなく、産業別組織で話し合うことができます。

ナショナル・センター

産業別組織が集まった、日本の労働組合を代表する組織です。産業が抱える問題を、政府と話し合うことができます。

例えば、昨今では介護労働者の給与の低さや格差が大きいので、日本医療労働組合連合会という医療や介護職のナショナル・センターが、産業別最低賃金の新設を厚生労働省に対して訴えています。

このように会社の枠を超えて、産業そのものの労働条件を改善することができるのです。

ITUC(国際労働組合総連合)

ナショナル・センターは国の労働組合を代表する組織ですが、ITUCは各国のナショナル・センターが集結した総連合です。

国を超えた労働組合で、労働者がよりグローバルに働けるような仕組み作りを目標としています。

世界規模になれば労働条件も様々で格差が大きいので、最低限の基準を決めてより平等に快適に働ける環境を作っています。

国際的な組織なので、労働条件だけに留まらず人権や多国籍企業問題対策、貧困・エイズ対策などの課題にも取り組んでいます。

労働組合が実現できることとは

労働組合は労働者が安心して働けるよう活動しています。具体的に実現できることとしては、「職場環境の整備」「雇用の安定」「企業運営体制の強化」と大きく3つに分けられます。

職場環境の整備

組合員の不満・苦情などを会社側に伝えやすくし、職場の風通しを良くする。

労働の条件や環境に対する意見を会社に伝えやすくします。労働者1人の意見ではなかなか会社を動かせませんが、労働組合を通すことで労働者の総意として発信できるので影響力も強くなります。これにより労働者が安心して意見を発信できる風通しの良い職場が実現します。

職場のルールや賃金・労働時間などを話し合いで決められるようにし、労働条件を改善する。

雇用主が一方的に給与や勤務時間を設定するのではなく、雇用主と労働組合間で話し合って決定することができます。労働組合は「交渉権」という会社に労働条件を交渉する権利を持っており、会社側は正当な理由がない限り拒否することはできません。そのため、双方が納得できる労働条件が実現します。

働きぶりが公正に評価され、納得して働ける職場環境に改善する。

労働組合は会社に対して「公正かつ客観的な評価を求めています。評価が待遇にどのように反映され、評価制度に透明性や具体性があるかを確認します。こうしてコネやエコ贔屓による不当なものでなく、労働者側も納得できる平等な評価の仕組みを作ります。

雇用の安定

不当な解雇や安易なリストラなどをなくし、雇用を安定させる。

雇用主の都合で勝手にリストラされるリスクがなくなり、安心できる労働環境を作ることができます。もしも不当に解雇された場合は、労働組合から「救済命令」を出し、会社側に処分の撤回を求めることができます。

また、労働組合に加入している労働者には雇用保険制度により、失業した際の失業保険や再就職のためのスキルを身につける教育訓練給付金などが適応されます。

企業運営体制の強化

経営に関する情報を入りやすくし、透明性を増す。

会社の経営や方針を、幹部だけでなく労働者にも見えるよう情報を開示します。

例えば、賃金の値上げを交渉した際に経営不振を理由に会社側が拒否をした場合、経営実態を示す情報の開示を請求することができるのです。もしも、会社が情報の開示を拒んだ場合は、不当労働行為にあたるのでペナルティを課されます。

倒産や企業売却などの時に力になる。

会社の倒産や売却などで労働者が働けなくなった場合、裁判に労働者だけでなく労働組合が関わり力になってくれます。

倒産後の裁判では、主に5つのことが行われます。

  • 未払い賃金の請求

破産宣告する前の未払い賃金がある場合、会社側は優先的に支払わなくてはなりません。しかし、倒産した会社は当然ながらお金がなく、理由をつけて支払いを拒否することもあるので労働組合が裁判で支払請求をします。

  • 破産宣告に不服の申し立て

支払いや借入金を踏み倒し、経営者の利益のみを追求した身勝手な倒産を「偽装倒産」と呼びます。会社の破産宣告が偽装倒産である場合、2週間以内に不服の申し立て(即時拮抗の申立て)をし、高等裁判所に審問してもらうことができます。

  • 破産管財人へ交渉の申し入れ

破産後の労働組合員の意見や要求を、裁判所が選任した破産管財人へ交渉・説明します。

  • 債権者集会への出席

倒産した会社の労働者だけでなく、労働組合も債権者集会(第一回目のみ)には債権者として出席し、組合側の要望を伝えます。

  • 労働債券に関する説明と交渉

倒産後の未払い賃金や退職金に関して組合員に不服がないかを確認し、対応に疑問があれば説明の要求や交渉をすることができます。

倒産時は、上記5つのサポートを受けることが可能です。

このような取り組みにより、労働者は不当に扱われる心配がなく、雇用主と対等な関係で働くことができるのです。

また、労働組合の取り組みにより風通しのよく働きやすい環境を作ることができるので、社員の不満や離職率が減少します。労働者1人1人の意見を聞くことは難しいものですが、労働組合を通すことで労働者全体の意見を見ることができ、雇う側も対応しやすくなるメリットがあります。

参照:https://www.jtuc-rengo.or.jp/about_rengo/toall/trade_union.html

フリーランスと労働組合について

フリーランスという働き方自体が浸透してきたのもここ数年のことであり、労働組合についてもまだまだ整備されていません。失業保険や労災保険などの社会保障も同様で、まだ発展途上です。

現段階ではフリーランスは働き方を問わず個人事業主の扱いになるので、会社に雇われている労働者が加入できる一般的な労働組合には入ることができません。どちらかといえば雇用主側の立場となるのです。

しかし、失業保険や労災保険などの雇用保険制度は、労働者と国の共同事業であり労働組合員でなければ利用できません。

収入の不安定さや社会保険がないにも関わらず、仕事量は会社員とほぼ同等なフリーランスの方々も多くいます。労働組合という後ろ盾もないので、会社からすればフリーランスは都合の良いように労働条件を設定でき、好きなタイミングで解雇できる存在になってしまいます。

以前はフリーランスで働く人の割合も少なく、あまり大きな問題として取り上げられませんでしたが、新型コロナウィルス感染症の流行により2020年以降フリーランス人口が大幅に増加し、現在では労働人口の24%にもなっています。

フリーランスで生計を立てる人の割合も増え、労働組合の在り方も少しずつ変わり始めています。

フリーランスが加盟できる労働組合はある?

フリーランスである以上は労働組合に加盟できないのでしょうか。

まだ数は少ないですが、フリーランスでも加入できる労働組合があります。

インターネットによる著作物の制作や、ITエンジニア、ライターなど産業別の労働組合です。フリーランスは働き方や収益の得方が様々なので、業種によっては労働組合ではなく雇用保険だけを求めている場合もあります。

また、フリーランスの労働組合の多くはインターネットを使った在宅ワーク向けの組織が多く、実際に現場に出向いて作業する配達員や講師などの業種が加入できるものは少ないのです。

フリーランスとひとまとめに考えず、自分の働き方や業種に応じて、どのような労働組合に入るべきかを見定める必要があります。

フリーランスのための産業別労働組合を一部紹介します。

〈日本ネットクリエイター協会〉

【入会金】10,000円

【年会費】24,000円

【加入条件】

音楽や動画の制作を行っており、日本国内で収益を上げていること。

【特徴】

同じ趣味を持つ個人やサークルが、自分たちで資金を集めて作品を創作する、同人クリエイターのために組織されたのが日本クリエイター協会(JNCA)です。

昨今ではボーカロイドアプリを使って作曲したり、個人でコンテンツを作成したりとインターネット上で活躍するフリーランスのクリエイターが増えています。

その作品は絶大な人気と影響力があり、趣味の枠を飛び越えて本業としてクリエイター活動をしている人も多くいますが、フリーランスなので安心して働ける労働環境が整っていません。

日本クリエイター協会では、クリエイターを対象とした文芸美術国民健康保険組合の斡旋や、作品の知的財産の管理や保全のための活動を行っています。

日本ねっとクリエイター協会 公式HP

〈文芸美術国民健康保険組合〉

【入会金】

なし

【月会費】

組合員19,900円

家族10,600円

【加入条件】

文芸美術国民健康保険組合に加盟している団体の会員であることが加入条件です。先に紹介しました日本ネットクリエイター協会なども加盟団体です。

また、著作活動を主に生計を立てており、2年以上活動を続け実績があることが必要です。

新たに申し込む場合は、2年以上の文芸美術国民健康保険組合会員に所属している人からの推薦が必要です。健康保険組合なので、75歳以上の人は加入できません。

【特徴】

国民健康保険の場合は収入の少ない人は安い保険料ですが、収入額が大きくなればなるほど保険料が上がります。文芸美術国民健康保険組合は収入によって保険料が変わらず定額なので、しっかり収益を得られる人におススメです。

文芸美術国民健康保険組合 公式HP

〈出版ネッツ〉

【入会金】1000円

【組合費】月2000円

【加入条件】

特にありません。

【特徴】

生命共済や医療共済など万が一のための共済が完備されています。

労働条件の交渉についても、出版労連顧問弁護士と連携しバックアップしてくれます。

他にも、「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」や「商工会議所」などフリーランスでも加入できる労働組合や健康保険組合があります。

保障内容や加入条件は様々で、まだ会社員のための労働組合に比べると複雑なので、加入者が思うように増えないという課題があります。

出版ネッツ 公式HP

「フリーランスユニオン」の発足

2022年、フリーランスの大きな労働組合「ヤマハ音楽講師ユニオン」「ウーバーイーツユニオン」「ヨギーインストラクターユニオン」が話し合い、フリーランスで働く労働者同士が連携し労働環境を守るためのフリーランスユニオンを発足させました。

ヤマハの音楽講師やウーバーイーツの配達員、ヨガのインストラクターも業務委託という形をとっているので、退職した際の失業保険や仕事中にケガをした際の労災保険を受けられません。

フリーランスのための大きな労働組合フリーランスユニオンを組織し、雇用保険制度や働く環境の改善を交渉できるような仕組み作りを目指しています。

フリーランスユニオンとは

働き方の多様化が進んでも、いまだにフリーランスのイメージは限定的であり、ライターや動画クリエイターのような在宅ワークが中心となっています。

在宅ワークであれば、労働時間や方法も自分で選択することができますが、講師や配達業務は現場に出向き職場のルールに従って働かなくてはなりません。依頼主の指示の元に労働しているので、働き方に会社員との大きな違いはありません。

しかしながら、会社の社長のように人を雇っているわけではないのに、フリーランスは自営業者に分類されるので社会保障など労働者を守るための労働法は適応されません。

そのため残業代や保険料を払わなくて済むように、あえて直接雇用ではなく業務委託契約をする会社も多いのです。快適な労働環境を確保するために、フリーランスが団結し政府に働きかけています。

フリーランスユニオンでできること

フリーランスユニオンは、現時点では労働組合ではありません。より多くの参加者を募集し、盛んに意見交換会などを行ない、フリーランスにとって最適な労働組合の結成を目指しているのです。

労働者は労働三権という憲法で守られているはずなのに、労働組合に加入できないフリーランスの弱い立場を利用して、使い捨てのような働き方を強いられてしまいます。

フリーランスユニオンは会社員や業務委託など形に捉われず、実際にどのような働き方をしているかによって労働組合への加入を認めるべきだと政府に訴えています。

フリーランスユニオンのメンバーになれば、フリーランスの現状を変えていくことができるのです。

まとめ

労働組合は、労働者側の望む労働条件を実現し、雇い主と労働者を対等な関係にすることを目的としている団体です。

単位組合(企業別組合)、残業別組織、ナショナル・センター、ITUC(国際労働組合総連合)の4つの種類に分けられます。

労働組合が実現できることとしては、「職場環境の整備」「雇用の安定」「企業運営体制の強化」と大きく3つに分けられます。これにより労働者は不当な扱いをされることなく、安心して働くことができます。

しかし、現段階ではフリーランスは個人事業主の扱いになり加入できる労働組合が少ないので、フリーランスのための労働組合も少しずつ整備されています。フリーランスでも加盟できる労働組合もありますが、在宅でできる業種向けがほとんどで現場職向けはまだまだ少ない現状です。

そのためフリーランスユニオンというフリーランスの労働組合を作るための組織が結成されました。快適な労働条件を実現するためフリーランスが団結し政府に働きかけています。

フリーランスユニオンは多くの参加者を募集し、フリーランスにとって最適な労働組合の結成を目指しているのです。

  1. 労働組合は労働者の意見を雇用主に伝えやすくし、安心して働く環境を実現するための組織です。
  2. フリーランスは個人事業主の扱いになるため、現時点では加入できる労働組合が限られています。
  3. 急増するフリーランスの労働環境改善のためフリーランスユニオンが結成され、全てのフリーランスにとって最適な労働組合の結成を目指しています。
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