ブロックチェーンエンジニアの需要と将来性とは?ブロックチェーンの活用が期待されている分野も合わせて紹介
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目次
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容
ブロックチェーンエンジニアはその名の通り、ブロックチェーンに関わる仕事をしますが、具体的にどのようなものなのか気になります。
ブロックチェーンエンジニアの主な仕事内容を3つ解説します。
仮想通貨の決済・DeFiの開発
1つ目は、仮想通貨を使った決済システムやDeFiの開発です。ブロックチェーンは、ハッシュ関数で暗号化された取引情報をブロックにまとめて、それを時系列順に鎖でつないでいく仕組みです。
取引の記録は常にコピーされており、ネットワークに参加している全員に共有されています。データを書き換えた場合、同時にハッシュ値も変わるため、次のブロックに繋げなくなるのです。
この仕組みによって、従来の決済システムより便利で安全になるとされており、特にマイクロペイメントと呼ばれる、少額決済に活用できます。
たとえば、クレジットカードを利用すると、少しの金額でも手数料がかかり、場合によっては手数料のほうが利用額よりも高くなるケースがあります。ブロックチェーンを使った決済なら、仲介者がいないため、手数料のかからない決済を実現可能です。
また、DeFiは分散型金融とも呼ばれ、銀行や証券所などの管理者がおらず、ユーザー同士の取引で成り立っています。DeFiは誰でも対等に利用できる、新しい金融システムを作ることが目的です。
金融機関の仲介がなくてもお金のやり取りができるようになるので、国籍や年齢などに関係なく、誰でも利用できます。
DeFiのアプリケーションはイーサリアム上に構築されます。イーサリアムとは、スマートコントラクトやブロックチェーンがついているプラットフォームのことです。スマートコントラクトがついていることで、プログラムで決められている処理を自動で実行できます。
このようにDeFiを開発して、より便利な支払いシステムを作るのが、ブロックチェーンエンジニアの仕事です。
非金融業界のDapps開発
Dappsはブロックチェーン技術を使って、開発されたアプリケーションのことです。
Dappsはスマートコントラクトで動いており、ユーザー同士が合意することで、システムが自動で処理されるようになっています。主に、ゲームやデータ分析、オークション、保険サービスなどで使われています。
たとえば、ゲームなら「遊びながら仮想通貨を稼げるシステム」を実現しました。そのほか市場予測に活用すれば、信頼性の高いデータを簡単に集められるようになるので、市場予測の精度の向上が期待できます。
このように、金融業界以外のブロックチェーンを利用したアプリケーションの開発も仕事の1つです。
ブロックチェーンエンジニアへの転職や独立を目指すのであれば、希望する業界への知識を深めておくことも大切です。「その業界では、どのような仕組みを必要としているのか?」考えることで、より質の高い仕事ができるようになります。
独自のブロックチェーン開発
すでにブロックチェーンや暗号資産についての深い知識がある場合、自分自身でブロックチェーンを開発する仕事につけます。
ブロックチェーンの種類は、以下の3つです。
分類 | 管理者 | 参加できる人 | |
パブリックチェーン | オープン型ブロックチェーン | 不在 | 誰でも参加可能 |
プライベートチェーン | 許可型ブロックチェーン | 1つのグループが管理している | 許可された人だけ参加可能 |
コンソーシアムチェーン | 許可型ブロックチェーン | 複数のグループが管理している | 許可されたグループだけ参加可能 |
パブリックチェーンは不特定多数の人が参加できるネットワークで、一人が権限を持つことがないため、誰でも対等な権利を持てることが特徴です。
プライベートチェーンは、1つのグループがネットワークを管理する権限を持っており、誰でも参加できるわけではありません。そのため、企業の社員のみがアクセスできるプラットフォームに使われます。
コンソーシアムチェーンは、複数のグループが共同で管理する権限を持っていて、パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間にあたる仕組みです。同業他社が手を組んで運営する場合に役立ちます。
社内や複数の会社内だけで利用できるシステムを作るなど、ブロックチェーンはさまざまな方面での活用が期待されています。
ブロックチェーンの開発には、高度な知識が必要です。そのため、未経験の状態からいきなり開発の仕事につくことは難しいですが、経験を積むことで目指せる仕事です。
ブロックチェーンエンジニアの需要と将来性は?
ブロックチェーンはビジネスパーソンの間で話題になることが増えたため、将来性が気になっている人は多いでしょう。
ブロックチェーンエンジニアの需要と将来性について解説します。
ブロックチェーン業界が現在盛り上がり始めている
日本ではまだ新しい分野のため、ブロックチェーンエンジニアの求人はそれほど多くありません。
ただ、ブロックチェーンを使うサービスの開発は増えており、今後大きく成長していくでしょう。特にDeFiやGameFi、メタバース、NFT領域では、ベンチャーで数十億の資金調達をしている例もあります。
- GameFi:ゲームとDeFiを組み合わせたもの。仮想通貨を稼げるゲームが当てはまる。
- メタバース:仮想空間でコミュニケーションが取れるサービス。
- NFT:メタバース内に存在する、1点物の価値を持ったアイテムのこと。
ブロックチェーンエンジニアは海外でも高い需要があるため、世界で活躍したい人におすすめの分野です。
難易度が高く、ブロックチェーンエンジニア自体が不足している
ブロックチェーンエンジニアの需要は高いものの、高度な知識が必要となるため、人材が不足しています。
ブロックチェーンエンジニアになるには、ブロックチェーンの仕組みはもちろん、暗号資産やイーサリアムなど、特有の仕組みを理解している必要があります。そのほか、コンピューターサイエンスや数学、プログラミングなどの基本的な知識も必要です。
難易度は高いですが、ブロックチェーンエンジニアとして採用されれば、年収アップが見込めるのが大きな魅力です。
ブロックチェーンの活用が期待されている分野とは?
これから多くの分野で、ブロックチェーンを活用しようとする動きが活発になることが予想されます。
その中でも特に、ブロックチェーンを使用することで、安全性や利便性が高まる分野を紹介します。
ペイメントサービスの開発 ex) 国際送金
1つ目はペイメントサービスの開発で、特に国際送金での活用が期待されています。従来の国際送金は手数料が高く、手続きが完了するまで数日から数週間かかることがあります。
これはSWIFTと呼ばれる、国際銀行通信協会のインフラを使っていることが原因です。海外送金は複数の銀行を経由しながら送金されるため、手間がかかるうえに、情報の照会にとても時間がかかります。
国際送金の多い企業は、手数料の高さや手間が負担となっていました。また、国際的なかかわりが多くなった現代では、個人でも国際送金をする機会が増えたため、より多くの人が不便さを感じるようになりました。
この課題を解決するのが、ブロックチェーンです。送金にかかわる銀行をブロックチェーンでつなぐと、情報や取引の履歴がすべて共有され、取引の透明性が高まります。
加えて、スマートコントラクトで自動的に処理がおこなわれるため、手続き完了までの時間を短縮できるのもメリットです。手数料の低い暗号資産を使って送金すれば、従来よりも安く早く送金できるようになります。
食品業界におけるトレーサビリティ
食品業界のトレーサビリティにも、ブロックチェーンは活用できます。食品の安全性を確保するために、情報の追跡ができることは重要です。たとえば、材料の仕入れ先や加工された工場、流通経路です。
しかし、店舗で販売されるまでの工程が多いと、途中で改ざんなどの不正が起こる場合があり、情報の正確性が不透明になります。
ブロックチェーンを使えば、情報を時系列でつなぎ、追跡可能な状態にできます。万が一情報が勝手に変更された場合、ハッシュ値が変わり次のブロックと繋げません。これによりデータの改ざんが難しくなるため、食品の安全性を高められます。
独自のブロックチェーン開発 ex) 機密情報を管理する行政領域
独自のブロックチェーンを開発することで、機密情報を管理する行政の領域にも活用できます。ブロックチェーンは、情報を暗号化するため、外部から情報の内容が見えません。
ネットワーク内で権限を持つ人だけがアクセスできるので、安全性が高いのが特徴です。これを活かして、個人情報や行政のシステムに利用することで、重要な情報を守れます。
ブロックチェーン技術の研究開発
ブロックチェーンは発展途上の分野なので、今後も需要の拡大が予想されます。ただ、ブロックチェーンにはまだまだ課題も多いため、研究を進めていき、問題の洗い出しと解決が必要です。
たとえば、多くの人気を集めるのが難しいことや、クオリティの問題です。仮想通貨を獲得できるゲームは話題になりましたが、大衆に広まっているとはいえません。
『Axie Infinity』をはじめとした多くのゲームも一時的に人気が出ましたが、仮想通貨の価値が下がると、稼ぐことを目的としたユーザーが徐々に離れていき、厳しい状況になりました。
その一方で、『Alien Worlds』は多くのユーザーを維持しており、ブロックチェーンを使ったゲームの成功事例として挙げられます。このことから、大衆にも支持されるゲームの開発は、成長の伸びしろがある分野といえます。さらに大手ゲーム会社の参入も増えているため、ブロックチェーンを使ったゲームは、クオリティも今後さらに上がるでしょう。
新しい技術を試すことや勉強が好きな人は、ブロックチェーン技術の研究や開発の分野がおすすめです。ブロックチェーンエンジニアの仕事は、ITエンジニア専用の求人サイトから探してみましょう。
ブロックチェーンエンジニアに求められるスキルや経験とは
ここまで、ブロックチェーンエンジニアの仕事内容や、活躍が期待される分野などを紹介しました。
ブロックチェーンエンジニアになるには、高度な知識と技術が必要ですが、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。
ここでは、ブロックチェーンエンジニアに必要なスキルや経験を解説するので、参考にしてください。
一次情報を取りに行ける「英語力」
ブロックチェーンエンジニアとして活躍したいのであれば、英語力は必須です。ブロックチェーンは日本だと新しい分野になるため、情報が不足しがちです。ただ、海外では研究や開発が盛んで、書籍やニュース、論文などが多く発表されています。
変化の激しいIT分野では、日本語に翻訳されるのを待っていると、世界の流れについていけない可能性があります。最新技術の情報を手に入れるために、英語は欠かせません。さらに、海外のサイトにはブロックチェーンについて学べる、オンラインコースが豊富なので、学習にも有利になります。
暗号・ブロックチェーンに関する知識
ブロックチェーンエンジニアを目指すのであれば、ブロックチェーンやそれに関連する技術を理解しておくことが大切です。たとえば、スマートコントラクトやコンセンサスアルゴリズムなどの知識です。
スマートコントラクトは決められたルールにしたがって、プログラムが自動的に実行されるため、情報の正確性を保てます。
コンセンサスアルゴリズムは合意方法とも呼ばれ、ブロック追加のためのルールです。このルールの内容は、暗号資産によって異なり、『PoW(プルーフ・オブ・ワーク)』が代表として挙げられます。『PoW』は大量の計算で合意形成をおこなっており、ビットコインをはじめとした、多くの暗号資産のコンセンサスアルゴリズムに使われているので知っておきましょう。
また、ブロックチェーンはデータを暗号に変えて記録するため、暗号技術の知識は欠かせません。ハッシュ関数や公開鍵暗号方式、電子署名が使用されているため、これらの技術を中心に学ぶのが良いでしょう。
ハッシュ関数は入力データを一定の長さの文字列で返すもので、同じ内容のデータを入力すれば同じ文字列が返ってくるのが特徴です。ブロックチェーンを使うことで、前のブロックの値を記録しつつ、新しい値を加えて繋ぐので、記録の追跡ができます。
公開鍵暗号方式とは、公開鍵と秘密鍵を組み合わせたもので、以下のような仕組みです。
- Aが秘密鍵を使って公開鍵を作成
- 公開鍵をBに送る
- Bが公開鍵で文書を暗号化して、Aに送信する
- Aが秘密鍵を使って暗号化された文書を平文の状態に戻す
仮想通貨では公開鍵暗号方式を応用した、電子署名を使うことで、信用度の高い取引を可能にしています。
ブロックチェーンは万能なものではなく、向き不向きがあります。「どのようなことに活用すれば、より便利になるのか?」「ブロックチェーンが不得意なことやリスクは何か?」をしっかり理解することで、クライアントに適切な提案ができるでしょう。
プログラミングスキル
ブロックチェーンエンジニアになるには、プログラミングのスキルが必要です。
ブロックチェーン開発でよく使われる、プログラミング言語を3つ紹介します。
C++(ブロックチェーン開発で主に使用される)
C++はC言語をもとに作られたプログラミング言語で、ブロックチェーンにかかわらず、さまざまなシステムで使われています。ブロックチェーンでは、ビットコインのような金融系の分野で使われることが多い言語です。
C++を習得すると、ビットコインの技術を使っているライトコインや、ビットコインキャッシュの開発もできるようになります。
仮想通貨の取引所を運営する会社に転職したい場合、C#ができることも必須条件になっていることがあるので、あわせて習得すると良いでしょう。
Go言語(Ethereumを利用するために必要)
Go言語は、Googleによって開発されたプログラミング言語で、イーサリアムを操作する『Go Ethereum』というソフトウェアを使うときに必要です。
『Go Ethereum』を使えるようになると、イーサリアム資金の移動やマイニングができるようになります。Go言語は複雑な記述がなく、処理速度が速いのが特徴で、ネットワーク化されたシステムの開発に適しています。
標準ライブラリが充実しており、機能の追加が簡単なので、C++と比べると習得しやすいでしょう。このことから、ブロックチェーンの初心者におすすめの言語です。
Solidity(スマートコントラクト開発)
Solidityは、スマートコントラクトの開発を専門とした言語です。JavaScriptやC++の文法に似ているため、これらの言語を学んだことがあれば、習得しやすいのが特徴です。
スマートコントラクトの開発で使う言語なので、業界にかかわらずブロックチェーンエンジニアを目指すなら勉強しておきましょう。
まとめ
この記事では、ブロックチェーンエンジニアの需要や将来性などについて解説しました。ブロックチェーンエンジニアは難易度が高い一方で、人材を必要としている企業が多いので、これから活躍の場がさらに広がることが見込まれます。
新しい技術の勉強や開発が好きな人、英語での情報収集が苦でない人は、ブロックチェーンエンジニアに向いているといえます。
エンジニアスタイルでは、Web3.0やNFTなどブロックチェーンを使用した分野のフリーランス案件を多く掲載しているので、ブロックチェーンエンジニアとしてのキャリアをスタートさせてみてはいかがでしょうか。
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