Strutsフレームワークの特徴とは？平均年収や具体的な案件も紹介
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目次
JavaのWebフレームワーク「Struts」とは？
JavaでWebアプリケーションを開発するためのフレームワークとして、Struts（ストラッツ）は非常によく知られています。このフレームワークは、Apache Software Foundationによって開発・メンテナンスされており、MVC（Model-View-Controller）アーキテクチャに基づいて設計されています。
Strutsの特徴とは
Struts（ストラッツ）にはいくつかの特徴が存在します。この特徴について詳しく解説していきます。
フレームワークの中でも歴史が古い
Strutsは2000年代初頭に登場したWebアプリケーション開発のためのJavaフレームワークであり、その後の多くのフレームワーク開発に影響を与えました。
当時のインターネットは、まだその黎明期にあり、企業や組織は急速にデジタル化を進めていましたが、Webアプリケーションの開発にはまだ多くの課題があり、特に大規模なプロジェクトではコードの整理やメンテナンスが大変でした。
2000年代初頭は、Web開発が商業的にも一般的にも広がり始めた時期ですが、開発プラクティスやツールが未熟で、コードの管理や再利用が難しい状況でした。この辺りの時期でJavaが台頭し始め、Javaは企業でのバックエンド開発に広く採用され始めましたが、Webアプリケーションのフロントエンド開発にはまだ知識や経験の積み上げが必要でした。
Strutsは上記のような背景の中で登場し、MVCアーキテクチャに基づいた設計が採用されました。これにより、ビジネスロジック（Model）、ユーザーインターフェース（View）、制御ロジック（Controller）が明確に分離され、コードの可読性やメンテナンス性が大幅に向上しました。
Strutsは時間をかけて成熟し、多くのバージョンアップや改良が行われています。これにより、安定性や信頼性が非常に高いといえます。また、多くのドキュメント、チュートリアル、コミュニティサポートが存在しているため、新しい開発者が学習する際や、問題に直面したときに非常に役立ちます。
独自のカスタムタグを幅広く利用できる
Strutsフレームワークは、JavaServer Pages（JSP）内で使える独自のカスタムタグライブラリを提供しています。これらのタグは、HTML生成、フォーム要素のレンダリング、データのフォーマットなど、多様なWebページの要素を効率的に処理するために設計されています。以下に具体的な例をいくつか紹介します。
フォームタグ
Strutsのカスタムタグを使用すると、フォームの生成が簡単になります。たとえば、テキストボックスを生成する場合、以下のように書くことができます。
<html:text property=”username” />
これは、バックエンドのusernameプロパティと連動しているテキストボックスを生成します。
リンクタグ
Strutsのリンクタグを使用すると、アクションへのリンクを簡単に生成できます。
<html:link action=”/goToHomePage”>Home</html:link>
このタグは、/goToHomePageというURLに対応するアクションにリンクする”Home”というテキストリンクを生成します。
メッセージとエラータグ
国際化（i18n）対応のメッセージやエラーメッセージを表示するためのタグも提供されています。
<html:messages id=”error”>
<bean:write name=”error”/>
</html:messages>
このコードは、errorという名前で保存されたエラーメッセージを表示します。
これらの独自のカスタムタグは、コードの再利用性を高め、JSPページの可読性とメンテナンス性を向上させます。また、これらのタグを使用することで、JavaコードとHTMLの混在を避け、よりクリーンな設計が可能になります。
MVCモデルを採用している
StrutsフレームワークはMVC（Model-View-Controller）アーキテクチャを採用しています。この設計パターンは、アプリケーションの主要なコンポーネントをモデル（Model）、ビュー（View）、コントローラ（Controller）の3つに分けて整理します。以下に、StrutsでのMVCの具体的な使い方を簡単に紹介します。
Model（モデル）
モデルはビジネスロジックやデータアクセスを担当します。Strutsでは、この部分は通常JavaBeansやPOJO（Plain Old Java Object）で表現されます。
// UserModel.java
public class UserModel {
private String username;
private String password;
// getters and setters
}
View（ビュー）
ビューはユーザーインターフェースを担当します。Strutsでは、この部分は主にJSP（JavaServer Pages）で作成されます。Strutsの独自のカスタムタグを使用して、ビューをさらに効率的に構築することが可能です。
<!– login.jsp –>
<html>
<head><title>Login Page</title></head>
<body>
<html:form action=”loginAction”>
Username: <html:text property=”username” />
Password: <html:password property=”password” />
<html:submit value=”Login” />
</html:form>
</body>
</html>
Controller（コントローラ）
コントローラはユーザーのリクエストを受け取り、適切なモデルを呼び出し、その結果をビューに渡します。Strutsでは、この部分は通常Actionクラスによって実装されます。
// LoginAction.java
public class LoginAction extends Action {
public ActionForward execute(ActionMapping mapping, ActionForm form,
HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) {
UserModel user = (UserModel) form;
// Validate user credentials and perform business logic
// …
if (isValidUser(user)) {
return mapping.findForward(“success”);
} else {
return mapping.findForward(“failure”);
}
}
}
設定ファイル（struts-config.xml）
以上のコンポーネントがどのように連携するのかを定義するために、Strutsはstruts-config.xmlという設定ファイルを使用します。
<!– struts-config.xml –>
<action-mappings>
<action path=”/loginAction” type=”LoginAction”>
<forward name=”success” path=”/welcome.jsp” />
<forward name=”failure” path=”/error.jsp” />
</action>
</action-mappings>
この設定ファイルにより、/loginActionというパスにリクエストが来た場合にLoginActionクラスが呼び出されること、そしてその処理結果に応じてwelcome.jspまたはerror.jspに遷移することが定義されます。
このように、StrutsではMVCアーキテクチャを採用しており、それぞれの役割が明確に分離されています。これにより、コードの可読性、再利用性、メンテナンス性が向上しています。
生産性の向上
Strutsフレームワークは、その設計と機能によって開発者の生産性を高める多くの特性を持っています。以下に、具体的な点をいくつか挙げて説明します。
コードの再利用性
StrutsのMVCアーキテクチャは、ビジネスロジック（Model）、ユーザーインターフェース（View）、制御ロジック（Controller）を明確に分離します。このような設計により、各コンポーネントが独立しているため、他のプロジェクトやモジュールで再利用しやすくなります。
カスタムタグライブラリ
Strutsは独自のカスタムタグライブラリを提供しており、これを使うことでHTMLフォームの生成やデータの表示が容易になります。
入力検証
Strutsでは、クライアントサイドとサーバーサイドの両方で入力検証を行う機能が備わっています。これにより、入力値の正確性を確保しながら、コードの量や複雑性を減らすことができます。
配置と設定の簡易化
struts-config.xmlといった設定ファイルを使用することで、アプリケーションの動作を柔軟にカスタマイズできます。この設定ファイル一つで、どのActionクラスがどのJSPページにマッピングされるか、どのようなフォームバリデーションが必要かなどを定義できます。
国際化（i18n）とローカライゼーション
Strutsは多言語対応が組み込まれており、国際化（i18n）とローカライゼーションを容易に行うことができます。これにより、多国籍なユーザー層に対応したアプリケーションを効率よく開発できます。
豊富なドキュメントとコミュニティ
Strutsは歴史が長く、多くのドキュメント、チュートリアル、コミュニティが存在します。これにより、問題解決や新しい機能の追加が迅速に行えます。
世界中で利用されていたフレームワーク
Strutsは、その登場以来、多くの企業や組織に採用されています。その使いやすさ、拡張性、そして堅牢な設計によって、多くの重要なプロジェクトで中心的な役割を果たしてきました。以下に、その普及についていくつかの具体例を紹介します。
企業レベルのアプリケーション
多くの大企業や金融機関は、内部システムや外部向けのWebサービスをStrutsを用いて開発しています。特に、初期のバージョンが登場した2000年代初頭には、JavaのWebフレームワークとしてはStrutsがほぼデファクトスタンダードでした。
オープンソースプロジェクト
StrutsはApache Software Foundationによって管理されており、オープンソースのプロジェクトでも広く採用されています。そのため、世界中の開発者が貢献や利用ができる環境が整っています。
政府・公共機関
Strutsは安全性と信頼性が高く評価されており、多くの政府機関や公共機関でも用いられています。例えば、行政手続きの自動化、公共サービスのオンライン化などに使われています。
教育と研究
多くの教育機関でStrutsが教えられており、研究プロジェクトでもしばしば用いられます。その結果、新たな開発者や研究者もStrutsに容易にアクセスできます。
コミュニティとエコシステム
Strutsは強力なコミュニティとエコシステムを有しています。多くのプラグイン、拡張機能、そしてサードパーティのツールが開発されており、これらが生産性の向上とともに多様なニーズに対応できるよう支えています。
Strutsを活用するデメリットとは
Strutsは成熟したフレームワークですが、いくつかのデメリットも存在します。
セキュリティの脆弱性に問題あり
Strutsは非常に人気のあるフレームワークであり、そのためにセキュリティの脆弱性が見つかると、攻撃者によって大規模な影響を与える可能性があります。過去には、Strutsに重大なセキュリティホールが見つかり、多くの企業やサービスが影響を受けた事例もあります。セキュリティのアップデートがリリースされた場合、速やかに対応する必要があり、これが運用負荷を増加させる可能性があります。
XMLの設定ファイルが多い
Strutsは、多くの機能と設定をXMLファイルで管理します。これにより、プロジェクトが大きくなるにつれて設定ファイルも増加し、管理が煩雑になる可能性があります。特に大規模なプロジェクトでは、これらのXMLファイルが多くなりすぎて、どのファイルが何の設定に対応しているのかを追いかけるのが困難になる場合もあります。
Strutsを使用する上で必要なソフトウェアとは
Strutsを使用する際には、Java Development Kit (JDK) が必要です。また、Webアプリケーションサーバー（例：Tomcat、 Jetty）が必要となります。Strutsのライブラリはプロジェクトに追加する必要があり、Apache MavenやGradleなどのビルドツールで依存関係を管理するのが一般的です。開発効率を上げるためのIDE（例：Eclipse、 IntelliJ IDEA）の利用も推奨されます。
JDK
JDK(Java Development Kit)は、Javaプログラムを開発するためのソフトウェアキットです。Javaコンパイラやランタイム環境など、Javaアプリケーションを開発・実行するためのツールが含まれています。
Strutsアプリケーションを開発するには、Javaソースコードをコンパイルする必要があります。このコンパイル作業はJDKに含まれるjavacコマンドを使用して行います。
Eclipse
Eclipseは、高機能な統合開発環境（IDE）です。Javaをはじめとするさまざまなプログラミング言語の開発をサポートしています。
StrutsのプロジェクトをEclipseで開くと、ソースコードの編集、デバッグ、プロジェクトのビルドなどが簡単に行えます。また、EclipseにはStrutsの開発をサポートするプラグインも提供されており、カスタムタグの補完や設定ファイルのエラーチェックなどが利用できます。
Tomcat
Tomcatは、JavaのWebアプリケーションを動作させるためのサーバーです。Java ServletやJSPのスペックをサポートしています。
Strutsアプリケーションを動作させるためには、Webサーバーが必要です。Tomcatを使用すると、StrutsのアクションやJSPページを動的に実行し、ブラウザからアクセスして動作を確認することができます。
Strutsのインストール方法
Strutsのインストールは簡単に行えます。
必要なソフトウェアのインストール
Java Development Kit (JDK)
StrutsはJavaで動作するため、JDKが必要です。
Oracleの公式サイトからJDKをダウンロードし、指示に従ってインストールします。
サーバー
Strutsアプリケーションを実行するためのサーバー、例えばTomcatが必要です。
Apache Tomcatの公式サイトからTomcatをダウンロードし、インストールガイドに従ってセットアップします。
環境変数の設定
JAVA_HOME
JDKのインストールディレクトリを指す環境変数です。
Windowsであれば、システムプロパティの「環境変数」セクションでJAVA_HOMEをC:\Program Files\Java\jdk_versionに設定します。
CATALINA_HOME
Tomcatのインストールディレクトリを指す環境変数です（Tomcatを使用する場合）。
同様に、CATALINA_HOMEをTomcatのインストールディレクトリ（例: C:\Apache\Tomcat)に設定します。
Strutsをインストールする
Strutsのライブラリと関連ツールを取得
Apache Strutsの公式サイトからStrutsのライブラリをダウンロードし、プロジェクトのWEB-INF/libディレクトリにコピーします。
Strutsの設定ファイルstruts-config.xmlをプロジェクトのWEB-INFディレクトリに配置
struts-config.xmlはStrutsの動作を制御するための中心的な設定ファイルです。このファイル内でアクションやフォーム、フォワード先などを定義します。
Eclipseをダウンロード
Strutsを含むJavaのWebアプリケーションを開発するためには、EclipseのJava EE版が適しています。
・Eclipse公式ダウンロードページにアクセスします。
・”Eclipse IDE for Java EE Developers”のリンクをクリックしてダウンロードします。
・ダウンロードしたファイルを解凍し、適切なディレクトリ（例: C:\Program Files\Eclipse）に配置します。
Eclipseの環境変数を設定する
Eclipseの実行ファイルへのパスを環境変数に追加することで、コマンドラインからも簡単にEclipseを起動できるようになります。
・Windowsの場合、コンピュータのプロパティを開き、「システムのプロパティ」をクリックします。
・「高度なシステム設定」をクリックし、「環境変数」ボタンをクリックします。
・システム変数の「Path」を選択し、「編集」をクリックします。
・新しいエントリとしてEclipseのインストールディレクトリのパスを追加します。
例: C:\Program Files\Eclipse
・OKをクリックして変更を保存します。
「Struts」を扱えるエンジニアの平均年収と具体的な案件とは
平均年収
Strutsを扱うフリーランスエンジニアの平均年収は、比較的高い700〜800万円程となっており、案件の平均単価は、63万円となっています。
現在のStrutsのフリーランスエンジニア向け案件・求人の中では、 単価60万円〜単価70万円の案件掲載数が598件で最も多くなっています。
具体的な案件
①リモート併用｜【Java】3Dプリントサービスのシステムリプレイス&保守業務（バックエンドエンジニア）
・概要：1年をかけてサービスのリブランディング&システムリプレイスを実施するための開発
・仕事内容：Java/Strutsを使用した開発
・必要なスキル：
Javaの開発経験3年以上(SEレベル)
AWS環境下の作業経験
SQL(目的に合わせてクエリを作成できること)の経験
・単価
70万円〜
②【Java/Spring/リモート】化学製品メーカー向け管理システム再構築案件
・概要：化学製品メーカー向けの研究を管理する管理システムの機能改修などの開発
・仕事内容：Java、JavaScript、Oracleでのスクラッチ開発 基本／詳細設計・実装〜単体／結合テスト〜総合テスト
・必要なスキル：
Java開発経験 3年以上
WEBシステムの開発経験
基本設計〜対応可能な方
SpringやSpringBootまたは、StrutsなどのFW経験
・単価
80万円〜
③【Java/週5日】一部上場のグループ会社で働くサーバーサイドエンジニア
・概要：グループ会社のリクルートライフスタイル社のAirプロジェクトの主にサーバーサイドの設計/実装
・仕事内容：顧客(社内)との要件定義 基本設計／詳細設計 製造 単体テスト／結合テスト リリース／移行 ※保守対応含む 各チーム間の調整
・必要なスキル：
Java(frameworkを利用した)でのWebシステム開発経験
Spring、SAStruts、Play、JavaEE等のフレームワーク経験
インターネットWEBサービスの開発、運用経験
複数人でのコードレビュー経験
jUnit等の単体テストコード経験
Git利用経験
・単価
60万円〜
まとめ
いかがでしたでしょうか？
JavaでWebアプリケーションを開発するためのフレームワークとして、Struts（ストラッツ）は非常によく知られています。
Javaで開発されたシステムには長い歴史がありますが、現在でも主流の言語として活躍しています。
Strutsフレームワークを理解することで、既存システムへの大幅な理解や設計に生かすことが可能です。
今回紹介したメリット・デメリットを理解して、新たな学習の1つとしてStrutsを極めて見てはいかがでしょうか？
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