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Juliaに将来性はある?Pythonとの違いも含めて紹介


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Juliaというプログラミング言語について

まずは、Juliaはどのような言語なのか、開発背景をあわせて説明します。

2009年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の3人の開発者によって開発

Juliaは2009年に開発され、2012年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の3名の開発者によって初めて公開されました。その開発者はJeff Bezanson、Stefan Karpinski、Viral Shahです。3名は高レベルな表現力と実行力を備えた新しいプログラミング言語を作るために取り組み、Juliaとして具現化しました。

Juliaの開発はオープンソースで行われ、世界中の研究者や開発者が貢献しています。MIT以外にも、Julia Computingという企業がJuliaの開発とサポートに関与しています。Juliaはその後、科学技術計算やデータ解析の分野で人気を集め、活発なコミュニティとエコシステムを形成しました。

統計処理、科学技術計算、機械学習に強みを持つ

Juliaは統計処理、科学技術計算、機械学習の分野で強みを持っています。

統計処理においては、StatsBase.jlやDataFrames.jlなどのパッケージを使用することで、統計モデリングやデータ解析を簡単に行えます。科学技術計算では早い数値演算や行列計算、信号処理などが得意であり、JuMPやOptim.jlなどの最適化パッケージも充実しています。機械学習ではFlux.jlやMLJ.jlなどのパッケージがあり、ディープラーニングから教師あり・教師なし学習まで幅広い手法に対応しています。

難易度は高いプログラミング言語

Juliaは初心者にとっての敷居は高いかもしれませんが、PythonやC言語などのプログラミング経験のある人にとっては扱いやすい言語です。

柔軟で高水準な表現力を持ち、数値の計算や科学技術計算に特化しています。Juliaの学習には時間が必要ですが、ドキュメントやコミュニティのサポートが充実しているので、活用すると効率よく進められます。

Juliaを使う上での特徴

Juliaは無料のオープンソースの中でもパフォーマンス性、専門性、他言語との連携に優れた言語です。ここでは、Juliaを使う上での特徴を紹介します。

無料のオープンソースである

Juliaは無料のオープンソース言語です。Juliaの公式ウェブサイトから入手できます。公式ウェブサイトでは、最新バージョンのJuliaのダウンロードリンクやインストール手順も掲載されています。JuliaはWindows、Mac、Linuxなどのさまざまなプラットフォームで利用可能です。

動的言語かつ高速なパフォーマンス

Juliaは動的な言語でありながら高いパフォーマンス性がある言語です。JITコンパイラによる効率的なコード生成やベクトル化演算により、数値の計算や科学技術計算においてスピーディーな実行が可能です。

PythonやC言語の関数呼び出しができ、​​外部連携に優れている

JuliaはPythonやC言語の関数呼び出しを直接行うことができるため。既存のPythonやC言語のコードやライブラリを再利用したうえで、Juliaの表現力とパフォーマンスを活かせます。

Julia内でPyCallパッケージを使用することでPythonの関数やライブラリをJulia内から呼び出せます。また、C言語の関数を呼び出すためのCxxWrapやClang.jlなどのパッケージも利用できます。

構文がシンプル

Juliaの構文はシンプルで直感的です。JuliaはPythonのような高水準な表現力を持ちながら、C言語のような効率的なコードの記述ができます。関数呼び出しや変数の定義はPythonに似たシンプルな構文を採用しており、コードの可読性が高いのが特徴です。

Juliaの将来性は?現状の需要と含めて紹介

Juliaは習得難易度や汎用性の問題で他言語に比べてシェアは劣るものの、データサイエンス領域においては根強い人気をキープしています。

Juliaはどのような局面で活躍するのか

Juliaの強みを活かせるのが、主に統計処理や科学技術計算、機械学習、深層学習です。次に、それぞれの分野でJuliaが活躍できる点を深掘りします。

統計処理

Juliaが統計処理の分野で活躍できる理由は、「計算が早くできる点」です。

Juliaで数値の計算が早くできるのは、コンパイル型の言語だからです。コンパイル型の言語では、コンパイル済みのコードをバイナリ形式(機械が読み取りやすい形式)で即座に実行できます。

また、Juliaは統計処理のために設計された統計関数のパッケージが豊富にあるのも特徴です。例えば仮説検定や統計モデリング、回帰分析などの統計的手法を簡単に実装できます。特にStatsBase.jlやDistributions.jlは統計処理に便利で、よく利用されます。

科学技術計算

JuliaのJIT(Just-In-Time)コンパイラとベクトル化演算により、効率的で早い計算が実現されます。JITコンパイラは、プログラムの実行時にコードを動的にコンパイルする仕組みです。JITコンパイラはプログラムを実行する前にソースコードをバイナリコードに変換するため、スピーディーな実行ができます。また、ベクトル化演算は配列やベクトルの要素ごとの演算を一度に実行することで、ループ処理を回避した計算が可能になります。例えば、要素ごとの加算や乗算、三角関数の適用などがベクトル化演算によって効率的に行えます。

さらに、Juliaは多くの科学技術計算に関連するライブラリやパッケージがあるのも特徴です。例えば、LinearAlgebra.jlやDifferentialEquations.jlなど、線形代数や微分方程式の数値解法などの機能を備えたパッケージを使うことで、科学技術計算に対して高度な数値処理ができます。

機械学習・深層学習

Juliaが機械学習・深層学習の分野で活躍できる理由として、専用のライブラリやフレームワークを提供しています。例えば、Flux.jlやKnet.jlなど、人間の脳の構造や機能を模倣した数学モデル(ニューラルネットワーク)の構築や、トレーニングに特化したパッケージがJuliaにはあるため、複雑なモデルの構築や学習が簡単に行えます。

Juliaはまた、他の言語との統合性が高いため、機械学習ライブラリが充実しているPythonやRとの連携も容易です。PythonであればPyCall、RであればRCallといったパッケージを使用すれば、既存のツールやライブラリをJulia内で利用することができます。

PythonとR言語の方が世界シェアが高い

TOIBEが月に一度更新しているプログラミングコミュニティのインデックスによると、2023年6月時点でPythonが1位、Rは17位です。特にPythonはデータサイエンスやAI分野の発展の影響で、長期間1位を独走していたJavaを抑え、2021年から1位にシェア拡大しています。一方、Juliaは27位であり、現在は有名な言語ではありません。

とはいえ、JuliaはPythonやRなどの他言語と連携しやすいのが特徴であるため、例えばPythonやRユーザーであれば、計算に特化したJuliaを学習することで、より効率的で深みがある研究が可能です。

Juliaのフリーランス案件内容と単価で見る将来性

まだ成長途中の言語であるJuliaですが、フリーランス案件の状態はどうなのでしょうか?ここでは、Juliaの具体的な案件や単価について紹介します。

Juliaのフリーランス案件単価はどれくらい?

フリーランススタート公式HPによると、Juliaを扱うフリーランス案件の単価は中央値で95万円です。90万円以上100万円以内の月単価案件がほとんどです。

Juliaのフリーランス案件にはどのようなものがある?

Juliaのフリーランス案件は、主に幅広い業種におけるデータサイエンス分野、またはAI分野に特化した企業での機械学習・ディープランニング案件がほとんどです。

データサイエンス分野の具体的案件としては、例えば「広告効果を予測するための統計手法や、広告予算の配分を最適化する」案件が挙げられます。JuliaやPython、R などを使用したプログラミングの経験があり、大学・大学院で線形代数学、解析学、統計学、確率論についての基礎的理解を学んでいる方におすすめです。週3日勤務で年収380万円以上が目指せます。


JuliaはPythonとR言語と何が違うのか

ここまでJuliaはデータサイエンスやAI開発分野で活躍できる言語であると紹介してきました。ここでは、同じくデータサイエンスやAI開発分野で使用されるPythonやRと、Juliaの違いについて紹介します。

JuliaとPythonの違い

まず、パフォーマンスについてはJuliaが優勢です。Juliaは計算が得意で、JITコンパイラとベクトル化演算により優れたパフォーマンスを発揮できます。一方、Pythonは柔軟性や使いやすさが重視されており、パフォーマンスはそれほど高くありません。

そして構文やエコシステムの観点では、Pythonが優勢です。Pythonの魅力は、シンプルな構文や豊富なライブラリです。また、Pythonは機械学習やデータ解析などの分野で豊富なパッケージが揃っており、サポートも充実しています。一方でJuliaの構文はMATLABやPythonに似た点がありますが、やや難解な部分もあります。

Pythonはユーザーが多いため、グラフ作成に関する情報やサンプルコードが豊富に存在します。一方でJuliaはユーザーがそこまで多くなくPythonほどコミュニティも充実していません。しかし、将来的にはPythonと同じくらい利便性が高くなると期待できます。

JuliaとR言語の違い

Rは統計解析やデータ可視化の分野で長い歴史とパッケージを有していますが、Juliaは計算能力と拡張性を備えており、計算と統計処理の両方に適しています。

実行速度では、RよりもJuliaの方が早いです。Rはソースコードを逐次的に実行する「インタプリタ型」の言語であり、実行速度はJITコンパイラとベクトル化演算があるJuliaに比べて劣ります。

一方、Rにはデータフレームや統計モデリングに特化した構文があり、統計解析が強みです。また、データフレームという柔軟なデータ構造があり、データの整理や操作が容易です。可視化に特化したggplot2パッケージもあるため、美しいグラフの作成が可能です。

一方、JuliaではDataFrames.jlパッケージを使用してデータフレームを操作し、Plots.jlパッケージを使用して簡潔な構文でグラフを作成できます。

Juliaと合わせて習得しておきたい言語とは

Juliaと合わせて習得しておきたい言語について、PythonやRの他にもおすすめのものを紹介します。

JavaScript

JavaScriptはJuliaに比べてWeb開発に特化したフレームワークやライブラリが利用できますが、動的型付け言語のため、バグの発生がしやすいというデメリットがあります。その点、JuliaはWeb開発に特化していないものの、静的型付け言語で安全なコードが書けます。

JavaScriptはWebのクライアントサイドやサーバーサイドで広く使用されている言語です。また、Juliaは計算やデータ処理が得意なため、JavaScriptと組み合わせることで、ブラウザ上での計算やデータ処理を効率的に行うことができます。

JavaScriptの豊富なグラフィックスや可視化ライブラリを活用することで、Juliaで処理したデータを魅力的なグラフやダッシュボードとして表示することができます。例えば、Juliaの計算結果をJavaScriptのD3.jsやChart.jsを使用してブラウザ上に可視化することができます。

JavaScriptは動的なWebアプリ開発に適しており、ユーザーとのインタラクションを実現できます。Juliaで計算や予測を行い、その結果をJavaScriptを介して動的に表示したり、ユーザー入力を受け取ったりもできます。

具体例としては、Juliaで機械学習モデルをトレーニングし、そのモデルをJavaScriptに組み込んでオンラインの予測サービスを提供することも可能です。

Rust

RustはJuliaと比べて、メモリやスレッドの安全性が強い点ではメリットといえます。しかし、コーディングには細かな設定が必要で、開発時間が長い傾向にあります。また、Juliaはプロトタイピングから本番環境まで幅広く活用できる高水準言語である反面、安定性や互換性に関する課題がまだ残っているのが難点です。

RustとJuliaの組み合わせは、高性能な数値処理だけでなく安全性を求める場合や、ネイティブ拡張モジュールの開発、並行処理の実現に役立ちます。

RustもJuliaもパフォーマンスが高い言語です。Rustは早くて安全なシステムプログラミング言語であり、Juliaの計算と組み合わせることで、高性能な数値処理やデータ解析の実行が可能になります。特に、Rustの低レベルな制御とメモリ管理は、Juliaの高度な計算ライブラリとの組み合わせで効果を発揮します。

また、RustはJuliaのネイティブ拡張モジュールの開発に適しています。Juliaは外部ライブラリや既存のC/C++コードを簡単に統合できますが、Rustを使用するとより高度な制御やメモリ安全性を持つモジュールを作成できます。

そしてRustは複数のスレッドから同時にアクセスされても正しく動作できるスレッドセーフな並行処理をサポートしており、Juliaの並列処理と組み合わせることで、大規模な計算やデータ処理を並列化できます。これにより、さらなる高速化やスケーラビリティの向上が期待できます。

具体例としては、Juliaの高レベルな統計解析やデータ処理をRustの低レベルな計算ライブラリと組み合わせることが挙げられます。Rustで高パフォーマンスな計算アルゴリズムを実装し、それをJuliaから呼び出してデータ解析に活用できます。

C++

C++とJuliaと比較すると、ローレベルの制御が可能なため、ハードウェア制御に向いています。しかし、複雑な文法と学習コストが高い点はデメリットです。また、Juliaは高水準言語であり、プロトタイピングから本番環境までC++よりも使いやすいメリットがありますが、ライブラリやツールの選択肢はC++ほど多くありません。

C++とJuliaの組み合わせは、ハイパフォーマンスな計算やデータ処理を行う際に効果を発揮します。

C++とJuliaは、どちらも早い計算とデータ処理が得意です。C++は低レベルな制御や最適化が可能であり、Juliaは動的な言語でありながらスピーディーな実行が可能です。この組み合わせにより、高性能な数値処理やアルゴリズムを実現できます。

また、C++で低レベルな部分や計算を実装し、Juliaで高レベルな処理やデータ解析を行うことができます。両言語を組み合わせることで、効率的な開発と高性能な実行を両立させることができます。

C++の既存のライブラリやコンポーネントをJuliaから利用することもできるため、C++のコードをラップするJuliaのインターフェースを作成し、C++の機能をJuliaの環境で利用することができます。

例えばC++で最適化された数値アルゴリズムを実装したあとで、Juliaから呼び出す方法もおすすめです。C++で処理を行い、その結果をJuliaで解析や可視化することで、効率的な計算と柔軟なデータ処理を組み合わせることができます。

まとめ

今回の記事ではJuliaの言語の特徴や将来性、具体的な案件相場について紹介しました。Juliaを扱えるユーザーはまだ少ない反面、扱えるようになればエンジニアとしての差別化を図れます。また、Juliaと相性の良い他の言語と組み合わせることで、両言語の特徴を生かした開発ができます。Juliaの学習を始めようか悩んでいる方は、コミュニティなどを利用して学習してみてください。

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