インフラエンジニアがAWSを身につけるメリットとは。年収はどれくらい上がる?
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目次
インフラエンジニアにAWSのスキルが求められている背景とは
IT業界では物理サーバーを設置する「オンプレミス型」から、インターネットを通した「クラウド型」への移行が活発化しています。
クラウドサービスの中で、最も高いシェアを占めているのがAmazonが提供しているAWS(Amazon Web Services)です。そのため、インフラエンジニアにもクラウドの知識が求められるようになり、特にAWSの重要度が増しています。
インフラエンジニアを取り巻く業界変化:インフラ環境がオンプレからクラウドへ移行している
クラウドは物理的な機器の設置が必要なく、コスト削減や時間短縮のメリットがあることから導入する企業は着実に増えています。
総務省の「令和3年版情報通信白書」(総務省|令和3年版 情報通信白書|表紙)
によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業は2018年に58.7%、2019年に64.7%、2020年に69.7%と、年々増加しています。
世界的なクラウドインフラ市場のシェアは、Amazon、Microsoft、Googleの3社で65%を占めていて、特にAmazonは約34%で最も大きな割合を占めています。
インフラエンジニアがAWSを身につけるメリットとは
インフラエンジニアにとって、最も大きなシェアを持つAWSの知識を身につけることはメリットが多いです。
AWSは提供しているサービスの数も多いため、業務の幅が広がり、年収アップも期待できるでしょう。
業務範囲が広がり、インフラエンジニアとしての価値が上がる
AWSは200を超えるサービスを提供しています。日本国内でも数十万を超える顧客が利用しているとされています。
多数の企業が導入している状況で、AWSのクラウドサービスを扱えることは、インフラエンジニアとしての価値を高めることに繋がります。
年収が上がる
AWSのインフラエンジニアの年収は500万円〜700万円が一般的で、他のエンジニアよりも高い傾向にあります。
オンプレミス型からクラウド型へ移行する企業が増えているため、AWSを扱えるエンジニアの需要も高まり、企業は優秀な人材を確保するために給与を上げたり案件の単価を上げたりしているからです。
大規模プロジェクトに関わったり、プロダクトマネージャーの経験があれば1000万円クラスの年収も可能になります。クラウド型への移行でマネジメントの経験があり、エンジニアのリーダー的な役割を務められる人材は企業が必要としています。
AWSを利用している企業やサービスが多いため、転職や案件に困らない
クラウドの導入で他の先進国と比べて日本は遅れをとっています。そのため、今後もAWSの導入企業は増えていくでしょう。オンプレミス型も一定数は残ると思われますが、コスト面でメリットが大きいクラウド型が今後の主流となっていきます。
そのため、AWSのニーズは非常に高いと言えます。インフラエンジニアとしてAWSの知識を持っていれば、転職でも強みになりますし、他の企業からヘッドハンティングを受ける可能性もあります。
フリーランスとして独立もしやすい
クラウドは今後も市場として成長が見込まれ、案件が豊富にあるためフリーランスとして独立することもエンジニアの選択肢になります。
技術や知識があるエンジニアであれば、独立した方が案件が増えて年収アップにつなげられるということもあります。
優秀なエンジニアは企業が欲しい人材です。フリーランスの募集案件では単価が100万円から200万円というものもあり、実力次第で契約をつかんで行けば年収は上がるでしょう。
従来のインフラエンジニアの業務とAWSエンジニアの業務の違いとは
では、従来のインフラエンジニアの業務とAWSエンジニアの業務には、具体的にどのような部分に違いがあるのでしょうか。
従来のインフラエンジニアの業務内容とスキル
インフラエンジニアはサーバーやネットワークのインフラ技術を担当する職種です。サーバーやネットワークの設計、構築、セキュリティ対策、運用、保守が主な業務になります。
システム開発の知識
システム開発においては、インフラエンジニアはシステムエンジニアとの連携が求められます。
システムエンジニアがシステムの企画から設計、開発を担うのに対し、インフラエンジニアが担当するのはサーバーやネットワークといった情報システムが稼働するための土台になる部分です。
そのため、システムエンジニアとコミュニケーションを図りながらプロジェクトを進めていくためのシステム開発の知識も最低限は必要になります。
サーバーOSの知識・設計、構築、運用、保守
サーバーの知識はインフラエンジニアには欠かせません。企業によってWindowsやLinuxなど、OSが異なるため、それぞれに応じた知識が求められます。
データベースサーバーやアプリケーションサーバー、Webサーバーなどの選定や設置を担当。サーバーのスペックを選んだり、必要台数を決めて配置や配線、OSの決定など、ITシステムの構成を考える構築業務があります。
運用と保守は、サーバーを安定的に稼働させるために監視し、バックアップやアプリケーションのバージョンアップを適宜行います。トラブルが発生した場合には、システム障害の復旧作業にあたります。
これらはインフラエンジニアの担当領域ですが、サーバーの業務に特化したサーバーエンジニアの担当を置く企業もあります。
ネットワークの知識・設計、構築、運用、保守
ネットワーク導入の際に、ルーターといったネットワーク機器の選定はインフラエンジニアが行います。
世界中で使われているシスコシステムズの機器を扱える必要があります。こちらも設置後の定期的なバージョンアップや、稼働中の監視、トラブル対応が必要です。
セキュリティの知識・セキュリティ製品を扱うスキル
サーバーやネットワークを構築する際に、セキュリティ対策は必須です。システム全般を不正アクセスやサイバー攻撃などから守るファイアウォールなどの設計や実装をインフラエンジニアが担当します。
通信記録からセキュリティが正常に稼働しているかを監視、管理します。
ハードウェアの知識
インフラの土台となるハードウェアは、パソコン、サーバー、ストレージ
、テープ、ネットワークに分けられ、エンジニアにはそれぞれの知識が求められます。
特に機器についての知識が豊富であれば、障害が発生した時の原因究明に役立つことも多いです。
AWSエンジニアの業務内容とスキル
従来のインフラエンジニアと異なり、クラウドを扱うのがAWSエンジニアの特徴です。業務内容と求められるスキルを紹介します。
クラウドサービスの基礎知識
クラウドはインターネットを通じてサービスを提供するもの全般です。
大きく分けて3種類あり、Gmailのようにネットワークを通じて、ユーザーが利用するSoftware as a Service(SaaS)と呼ばれるもの。
プログラマーやシステムエンジニアがインターネット上で開発ができるPlatform as a Service(PaaS)。GoogleのGoogle App Engineなどがあります。
Infrastructure as a Service(IaaS)は、仮想サーバーやインフラをインターネット上で利用できるものです。Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)や、GoogleのGCP(Google Compute Engine)があり、AWSエンジニアに求められるクラウドサービスの知識の大部分がこれにあたります。
AWSに関する基礎知識
AWSは豊富な種類のサービスから必要なものを選べます。Amazon EC2やストレージサービスのAmazon S3など代表的なものの知識は必須です。
この他に代表的なもので、Amazon RDS(Relational Database Service)はAWS上で利用できるRDBMS(Relational DataBase Management System)の1種です。様々なデータベースエンジンを選択できて、保守作業はAWSが行うため、保守や運用は圧倒的に簡単になります。
AWS Lambda(ラムダ)は、サーバーレスアプリケーション用プラットフォームです。利用者がサーバーを管理することなく、アプリケーションを実行できます。
Amazon CloudWatch は、AWSに構築したサーバーやアプリケーションの監視システムです。監視だけでなく、ログを保存するCloudwatch Logs、アラートメールなどで通知ができるCloudWatch Alarm、イベントのアクションを自動化したり予定で実行できるAmazon CloudWatch Eventsといった機能もあります。
従来のインフラエンジニアの業務だったサーバーの選定や機器の設置がなく、AWSは従量課金制のため、事業規模に合ったスペックをオーダーメイドで考える必要があります。
AWSを使ったサーバー設計・構築・保守
クラウド上でAWSを動かすデータベースサーバーやWebサーバーなどを設計し、Amazon EC2を使った仮想サーバーを構築します。
設置後はOSやソフトウェアの定期的なアップデートの保守業務をクラウド上で行います。従来あったハードウェアの監視は必要なくなり、クラウド上で監視と障害対応をします。
オンプレミスからクラウドへのサーバー移行設計
近年はオンプレミス型からクラウド環境へ移行する企業が増えてきています。そのため、オンプレミス型を理解した上で、AWSへサーバーを移行設計するスキルも求められることが多いです。
AWSエンジニアとして取得しておきたい資格とは
インフラエンジニアに求められる知識を評価する基準として、クラウドやAWSに関する資格があります。
CompTIA Cloud +
CompTIA Cloud +は、クラウド全般の基礎知識を認定する国際的な資格です。クラウドの基礎から運用、管理、セキュリティまで幅広く学べます。
CompTIA Cloud+の認定資格は、ITシステム運用における広義なクラウドベースのインフラストラクチャでのスキルを評価します。アプリケーションとデータストレージを展開、最適化、保護するためにクラウドへ移行する際に必要とされるスキルが網羅されています。
CompTIA Cloud+で習得できる複数の製品やシステムの専門知識は、クラウドエンジニアにとって有効なスキルとなります。
CompTIA Cloud+は、米国国防総省指令に承認されたクラウド系の唯一の認定資格であり、IAMレベルI、CSSPアナリスト、CSSPインフラストラクチャサポートの人材に対して活用されています。
CompTIA Cloud+ | INFRASTRUCTURE|CompTIA JAPAN (コンプティア 日本支局)
AWS認定
AWSの公式資格です。AWS上で開発などを行うための知識やスキルを認定するものです。
AWSは基礎のクラウドプラクティショナーから、プロフェッショナルのソリューショナルアーキテクト、専門知識のセキュリティやデータベースなど、レベルに応じて12個に分けられています。
AWSの試験を受けることで、学習によるスキルアップが目指せます。AWSの需要が高まっている中で、取得できれば企業側からエンジニアのスキルに対する信頼を得ることができます。キャリアアップや転職におけるメリットを得られるでしょう。合格者には認定デジタルバッジの付与などがあり、取得することで周囲からもわかりやすい指標となります。
AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
インフラエンジニアとAWSエンジニアの平均年収はどれくらい?会社員とフリーランスそれぞれを紹介
インフラエンジニアでも従来のオンプレミス型とAWSエンジニアでは収入はどれくらいの差があるのでしょうか。会社員とフリーランスの場合に分けて見ていきたいと思います。
会社員のインフラエンジニアの場合
会社員の場合のインフラエンジニアの平均年収は539万円と言われています。
月平均で45万円ほど。正社員の給与分布で最も多いのは518〜597万円の部分です。358〜597万円の割合が多く、高い方では1000万円前後のエンジニアもいるので、勤務先や役職によっては高収入を得ることも可能のようです。
参照:求人ボックス
フリーランスのインフラエンジニアの場合
フリーランスのインフラエンジニアについて見ていきます。
フリーランスのインフラエンジニアの平均年収
インフラエンジニアのフリーランス向けの案件の月額平均単価は68万円、最高単価は165万円というものもあります。
最も割合が多いのは60万円から70万円未満で、50万円から90万円未満という案件が大部分を占めます。
平均単価のものを毎月受注したとすれば年収は800万円強となりますし、単価が高いものを継続的に受注できれば年収1000万円以上も可能と言えます。しかし、最低単価が10万円というものもあるので、まさに実力次第です。
参照:インフラエンジニアのフリーランス求人・案件(全3,128 件)
フリーランスのインフラエンジニアの具体的案件
フリーランスのインフラエンジニアの案件で具体的なものを紹介します。
「O2Oメディア改善PJインフラエンジニア」という案件は月額80万円です。O2Oは「Online to Offline」の略で、オー、ツー、オーです。この案件では、アプリケーションの開発はもちろんのこと、新規技術要素の検証といった付加価値も求められます。
また、「【AWS/週3〜OK】インシュアテック領域で非常に伸びているサービスのインフラエンジニア募集」という案件は月40万円〜というものもあります。保険会社向けと顧客向けの二つのSaaSサービスの開発で、インフラ部分を担うものです。AWSの知識としてRoute53、 EC2/Autoscaling、 EKS、 ELB、 RDS/Aurora、 Lambdaなどを扱えることが職務内容として記載されています。
このほか、「フルリモート可能|【Linux】インフラネットワークエンジニア: IaC(Terraform、 kubernetes)拡張・運用(インフラエンジニア)」という案件は、月額85万円〜となっています。化粧品の製造、販売を手がける企業で、ECサイトやオウンドメディアをクラウド上で稼働させる内容です。Linux系サーバ/NW設計構築経験、IaCでのインフラ構成管理と運用経験が求められています。
フリーランスのAWSエンジニアの場合
フリーランスのAWSエンジニアについて見ていきます。
フリーランスのAWSエンジニアの平均年収
フリーランスのAWSエンジニアの案件で月額平均単価は69万円で、最高単価は200万円となっています。一般的なインフラエンジニアよりも若干高い傾向にあります。
最も割合が多いのは60万円から70万円未満で、一般的なインフラエンジニアと同じ。90万円以上の高額案件の割合が多く、AWSを扱うゲームデバッカーやITコンサルタント、セキュリティコンサルといった求人は単価が高いです。
年収は一般的なインフラエンジニアと同様で受注案件次第ですが、AWSの需要の高まりや求人件数の多さを考慮すると年収も高くなると思われます。
参照:
フリーランスのAWSエンジニアの具体的案件
フリーランスのAWSエンジニアの案件は以下のようなものがあります。
「AWS O2Oメディア改善PJインフラエンジニア」は80万円〜となっています。自社のO2Oコンテンツの改善という内容で、旧CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)から新たなNext.jsのフレームワーク導入を行うものです。3環境以上のAWSを用いた基本的なインフラ環境の構築・運用・保守経験が求められています。
「Azure/AWS/GCP]Web接客ツール設計/構築・運用保守_インフラエンジニア_渋谷駅」は64万円〜です。自社提供のWebサービスのインフラ全般の設計、構築や保守、運用が主な業務です。3年以上のクラウドサーバーの開発、運用または直近のクラウドの経験が求められています。
「【AWS】クラウドインフラエンジニア」という案件は95万円〜となっています。k8s(Kubernetes)を含むインフラ全般の設計・運用・改善、CI/CDプロセスの設計・運用・改善が主な内容で、インフラエンジニアの実務経験とAWSかGCPかAzureの使用経験が求められるスキルです。
AWS案件に強いフリーランス・副業エージェント一覧
それではここからはエンジニアの案件に強いエージェントをご紹介していきます。
エージェントを複数利用することで精神的な余裕も生まれるため、気になるエージェントがあればチェックしてみましょう。
ITプロパートナーズ
最大の特徴は週2日から稼働できる案件を多数掲載していることです。リモートワークなども含めてより柔軟な働き方を実現したい方におすすめです。
エンド直の案件がたくさんあるため高単価案件が多く、週2〜3日の稼働でも十分な報酬を得られます。
また最新トレンドの案件もあるため新しい技術に触れたい方にも向いています。
Midworks
Web系の案件を多数保有しておりWeb系に強いエージェントです。報酬保障や民間保険料の半額負担など福利厚生面が手厚く、独立したての方にも安心です。
目先の案件のことだけでなく今後のキャリアの相談などにも乗ってくれるため、将来的なキャリアパスに悩んでいる方にもおすすめです。
テックビズフリーランス
独立経験のある専属コンサルタントによるサポートを受けることができるため、これから独立を考えている方やフリーランスになりたての方に特におすすめのエージェントです。
税務関連のサポートなども無料で受けられる他、平日夜遅くの時間や土日などでも対応可能なため忙しい方にも便利です。
また都心だけでなく全国の優良案件を多数保有しているため、地方にお住まいの方やリモートで稼働したい方にもおすすめです。
フリーランスポート(Freelance Port)
案件紹介だけでなく、フリーランスエンジニアのブランディングやコミュニティへの参加など総合的なプロデュースのサポートを受けられることが特徴です。
フリーランス・顧客企業共に審査性で需要と共有バランスを適正に調整しているため成果を出せれば再指名などの継続受注も発生します。
フリーランスとして今後働く幅を広げたい方におすすめのエージェントです。
TechStock
2次請けよりも深い案件は基本的にないため、高単価・高報酬案件を多数掲載しています。
17年間の実績があるため他社にはない非公開案件も多くあり、独立直後のサポート体制も充実しています。
また他エージェントと比べて最大の特徴として、報酬が月末締め翌15日払いに対応していることが挙げられます。
報酬の支払いサイトが短いため、報酬を比較的すぐに受け取れることができます。
まとめ
ここまでインフラエンジニアの概要とAWSのスキルが求められている背景を説明しました。
従来のオンプレミス型からクラウド型へ移行する企業が増えている今、需要が多いAWSの知識を身につけることはインフラエンジニアにとってメリットが多いです。オンプレミス型も一定数は必要とされますが、活躍の場を広げるためにはクラウドを扱えた方が良いでしょう。
AWSエンジニアとなれば、企業でも業務内容の幅が広がり、フリーランスとして独立しても、高い単価の案件獲得につながることが期待されます。
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