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フリーランスエンジニアが意外と知らない契約書のチェックポイント

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はじめに

フリーランスエンジニアとして案件を受注し、実務に没頭していると、つい見落とされがちなのが「契約書」の存在です。実装や納期、報酬などの話が先行して、細かな条文や法的リスクに意識が向かないままサインしてしまい、後から思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。法人相手の取引では必ずと言っていいほど契約書が用意されますが、細かい文言を読み飛ばしてしまい、追加料金がもらえなかったり、著作権がすべて譲渡されていたりといった事態が起きがちです。ここでは、契約前にフリーランスエンジニアがチェックしておきたい主要なポイントや、その背景にある法的・実務的リスクについて詳しく解説します。案件を円滑に進め、不要なトラブルを避けるための指針として活用いただければ幸いです。

契約形態と基本的な注意点

準委任・請負・派遣の違い

準委任契約の特徴

フリーランスエンジニアが多くの案件で締結するのが「準委任契約」です。これは、企業から委任を受けて業務を行い、その対価として時間単価や月額報酬を得る形となります。大きなメリットとして、実装範囲が明確でなくても契約が結びやすく、納品物の完成義務がないため、要件変更などにも柔軟に対応できます。企業にとっても、必要な期間やスキルを持つエンジニアを確保しやすい利点があるわけです。

ただし、時間単価契約の形だと、エンジニアがパフォーマンスをどれだけ上げても報酬が増えにくい場合がある点には注意が必要です。また、どこまでの範囲が追加料金なしで対応すべき業務なのか曖昧になりやすいため、契約書でスコープや対応時間をしっかり明記しておきましょう。稼働時間の管理方法(実労働時間か、日割りなのかなど)も確認が欠かせません。

請負契約のポイント

請負契約は、成果物の完成を約束し、それに対して報酬を受け取る仕組みです。納品物の品質や仕様をめぐって、契約書に詳細が書かれているほどエンジニアにとっても安心です。完成して検収が完了すると報酬が得られる形になるため、スケジュールや仕様変更が起きた場合の対応範囲や、追加料金のルールなどを細かく決めておかないと、損をする可能性が高いです。

請負契約のメリットは、自分の作業効率が高ければ短期間で成果を出して収益を最大化できる点ですが、一方で要件が変わるたびに大きな手戻りが発生するリスクも抱えます。フリーランスエンジニアとしては、契約書に「追加要件が発生した場合は別途見積もりを行う」といった条文を盛り込み、作業範囲を厳格に定めるのが賢明です。

派遣契約との違い

いわゆる「派遣」の形態は、派遣法が適用され、エンジニアが派遣先の指揮命令を受けながら働くというものです。フリーランスエンジニアの場合はあまり該当しないかもしれませんが、就業実態が派遣に近い(企業常駐で直接指示を受けて働くなど)契約だと、偽装請負と見なされるリスクもあります。契約書には「指揮命令を誰が行うか」「納品物に対する責任はどこにあるか」などが明文化されているはずなので、このあたりをチェックすることで、法的リスクを避けることができます。

報酬形態と支払い条件

固定報酬か時給・日給か

契約書には報酬の形態が必ず明記されていますが、フリーランスエンジニアの案件では「週○日勤務で月額○○万円」といった定額制か、準委任で時給×実働時間の形が多く見られます。また、請負だと「機能Aの実装で○○万円」など、成果物ベースの報酬設定になるかもしれません。
いずれの形態でも、追加要件や仕様変更があった場合に報酬をどう扱うかを確認しておくことが重要です。契約書に「追加要件は別途見積もり」と書かれていないと、無償で追加作業をする羽目になるリスクがあります。時間単価であれば、支払条件(週単位、月単位の請求など)やタイムシートの取り扱いを明確にしておきましょう。

支払いサイトと遅延リスク

報酬の支払いサイト(たとえば月末締め翌月末払いなど)が契約書でどのように定義されているかも見逃せない点です。フリーランスにとってキャッシュフローは生命線なので、支払いが遅れても金利や延滞損害金が発生しない契約だと、クライアント都合で支払いが遅れたときに泣き寝入りするしかないこともあり得ます。
可能であれば「支払い遅延が○日を超える場合、年○%の遅延利息を課す」といった文言が入っているか確認し、なければ交渉することも考えましょう。ただし実務上、遅延利息を本当に適用するケースは多くはありませんが、抑止力として契約書に記載があるだけでも安心度が違います。

著作権と守秘義務に関する条項

ソースコードの所有権

譲渡か使用許諾か

フリーランスエンジニアが作成したソースコードやドキュメントの著作権を誰が持つのかは重要なポイントです。契約書で「本契約に基づき作成された成果物の著作権はクライアントに譲渡される」と明記されている場合、エンジニア自身が再利用できなくなる可能性があります。ライブラリやツールとして汎用的に使える部分まで譲渡してしまうと、別の案件で流用する際に問題が生じることもあります。
一般的には、アプリ本体の著作権をクライアントに譲渡する一方で、汎用ライブラリなどエンジニアが独自開発した部分は使用許諾に留める形が望ましいです。契約書に曖昧な表現があれば、改修や再利用を制限されないか注意して読み、必要があれば修正を求めましょう。

ノウハウと再利用ポリシー

フリーランスエンジニアとしては、PoCなどで得た知見や一部の機能を別のプロジェクトで活かしたい場合も出てきます。契約書によっては「このプロジェクトで得られた技術的ノウハウや開発手法を他プロジェクトに展開することを禁止する」といった厳しい条項があるかもしれません。
クライアントが競合他社との契約を嫌がる場合もあるため、競業避止義務が設定されていることもあり得ます。あらかじめどの程度の情報やソースコードが再利用禁止なのかを理解し、エンジニアとして開発成果をどこまで汎用化できるのか確認する必要があります。明確に取り決めがない場合は、口頭での合意だけでなく書面(メールでも可)で再利用の可否を記録しておくと安心です。

NDA(秘密保持契約)と罰則

開発中の情報取り扱い

企業のサービスや技術情報、ユーザー情報などを扱う場合、NDA(Non-Disclosure Agreement、秘密保持契約)が含まれることが一般的です。契約書で「本契約に基づき開示された情報を第三者に漏らしてはならない」「契約終了後も○年は秘密を保持する」といった項目が定められていないか確認しましょう。特に、自分のポートフォリオとして作品を公開したい場合、その範囲が契約違反に該当しないか注意が必要です。
もしNDAに違反すれば、損害賠償請求を受けるリスクがあり、フリーランスとしての信用を失うことにもなりかねません。プロモーション目的でSNSやブログにプロジェクトの進捗を載せるときは、クライアントの許諾を得るか、機密情報を含まないよう十分に注意しましょう。

損害賠償の範囲と上限

契約書によっては、NDAに違反した場合の損害賠償が「エンジニアの報酬をはるかに超える莫大な金額」となっていることもあります。こうした不均衡な契約だと、万が一のトラブルで個人資産や事業継続が困難になる恐れがあります。できれば「損害賠償請求の上限は契約報酬総額まで」とか「故意や重大な過失に限定する」といった形でリスクを限定する文言を交渉するのが理想です。
ただし、小規模クライアントや明確な賠償上限を設けないケースもあり、交渉次第ではクライアントが難色を示すかもしれません。その場合は、自分で保険(業務災害補償や賠償責任保険など)に加入してリスクヘッジする選択肢も考えられます。

実務面での落とし穴と対策

追加要件や仕様変更の扱い

スコープ外作業の定義

特に請負契約で開発する場合、最初の仕様書に書かれていない要件が後から出てくることはよくあります。追加要件が発生しても正式な変更契約を結ばずにエンジニアがサービスで対応してしまうと、それが常態化してダラダラとスコープ外作業が増える可能性があります。結果的に労力が増えるのに報酬が変わらないという最悪の状況を避けるには、契約書に「スコープ変更の場合は別途交渉」「変更管理プロセスを適用」という条文を盛り込むことが大切です。
フリーランスエンジニアが軽い気持ちで「少しなら対応できますよ」とやってしまうと、次第に「これもやってくれませんか?」と要求がエスカレートするケースも見受けられます。自分の稼働限界を意識しつつ、追加作業の見積もりをシビアに行う姿勢を持ちましょう。

時間制と見積もり

準委任契約なら、追加要件が出ても時間単価が増えれば報酬が増える形なので問題ないと考えがちですが、実際にはクライアント側が「それは契約内の作業の範囲だ」と言って支払いを拒むケースもあります。時間制の場合も、契約書に明確なスコープや相談フローが書かれていなければトラブルが起こる可能性は充分にあるのです。
「月○○時間を超える作業は別料金」などの条文が設定されていれば、追加作業が発生したときに時間超過分を請求しやすくなります。契約書にそうした文言がないなら、合意を取るためのミーティングや文書化を徹底することが求められます。

契約期間と更新

自動更新の有無

契約期間の定めがある場合、契約書に自動更新の条項が含まれているかどうかを確認しましょう。何も意識せずに期限がきても自動更新され、解約したいタイミングを逃すというケースが起こるかもしれません。逆に、エンジニア側が続けたいのに契約が終了してしまうリスクもあるため、更新方法を明確に把握しておく必要があります。
フリーランスエンジニアとしては、契約終了や更新の通知期限(例えば1カ月前までに書面で通知など)を理解しておき、早めにクライアントと今後の方針を話し合う習慣をつくるとスムーズです。更新時に報酬アップの交渉を行うチャンスでもあります。

中途解約や違約金

契約途中でクライアントの都合で案件が打ち切られる場合や、エンジニアがやむを得ず辞退する場合も考えられます。こうしたトラブルに備え、違約金や解約金の取り扱いをチェックし、必要なら変更交渉を行いましょう。
特にプロジェクトが長期化するほどリスクが高まるので、例えば「クライアント都合で契約を終了する場合は残りの期間の報酬の○%を支払う」という条文を盛り込む案も検討できます。フリーランスエンジニアが急に離脱することがクライアントに損害を与える場合もあるため、相手からペナルティを課される可能性も含め、契約書を十分に読むことが重要です。

まとめ

フリーランスエンジニアが見落としがちな契約書のチェックポイントは多岐にわたりますが、スコープや支払い条件、著作権・機密保持などの基本を理解しておくだけでも大きなリスクを回避できます。特に追加要件や変更管理の取り決め、支払いサイトや遅延対応、契約終了時のルールなどは、後々トラブルになる確率が高い項目なので、契約前に丹念に確認し、必要であれば修正や追記を交渉することが大切です。
また、エージェント経由だとしても契約書を鵜呑みにせず、自分自身でも読んで理解する姿勢が不可欠です。高い報酬や自由度を求めてフリーランスの道を選んだ以上、法的リスクを正しく把握し、クライアントとの契約を公正で安心できるものにすることが欠かせません。契約書の知識を身につけておけば、追加案件や長期契約をスムーズに獲得しやすくなるだけでなく、突発的なトラブルにも落ち着いて対処できる信頼感あるエンジニアとして評価されることに繋がるでしょう。

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この記事を書いた人

TAJIMARU
TAJIMARU /ライター

海外、コスメが好きな東北人。2015年に世界一周一人旅をしたアクティブ女子。 コスメECの運営業務に従事後、独立し。現在は、取材を中心にフリーランスWEBライターとして活動中。

この記事を監修した人

草島亜久斗
草島亜久斗 /監修者

大学在学中、FinTech領域、恋愛系マッチングサービス運営会社でインターンを実施。その後、人材会社でのインターンを経て、 インターン先の人材会社にマーケティング、メディア事業の採用枠として新卒入社し、オウンドメディアの立ち上げ業務に携わる。独立後、 フリーランスとしてマーケティング、SEO、メディア運営業務を行っている。

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