SpringBootとは?メリットやデメリット、具体的な案件例も合わせて紹介
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目次
はじめに
従来のJava開発では、Spring Frameworkを利用するのが一般的でした。
しかし、「Spring boot」がリリースされて以降、Spring Frameworkの利便性は大幅に向上しています。
本記事では、Spring bootの基本からメリット、デメリット、さらに具体的な案件例までを網羅的に解説しています。
最後までお読みいただければ、Spring bootを用いた開発の全体像が掴めるだけでなく、フリーランスとして活用する際の具体的な知識も短時間で理解可能です。
<この記事を読むとわかること>
- Spring bootの基本的な概要と歴史、特徴
- Spring bootとSpring Frameworkの違い
- Spring bootを使うことのメリットとデメリット
- フリーランスとしてのSpring boot案件の具体例と平均単価
Spring bootとは?
Javaの開発を担当したことがある方なら、一度は「Spring Framework」という名前を聞いたことがあるでしょう。
Spring Framework(単にSpringとも呼ばれる)とは、Javaを利用したアプリケーション開発において、最も多く使用されているフレームワークです。
日本企業でも、現在では当たり前のように浸透しているフレームワークですが、2004年にリリースされた古いフレームワークであるため、利便性に問題も生じてきました。
そこで新たに登場したのが「Spring boot」と呼ばれるフレームワークです。
ここでは、Spring bootとは一体どういったフレームワークなのか、基本的な情報を解説します。
Spring bootの概要
<Spring bootの基本情報> | |
開発言語 | Java |
リリース年 | 2014年 |
開発元 | Pivotal Software(現在はVMwareが所有) |
主な特徴 |
・スタンドアロンで実行可能なアプリケーションの作成 ・豊富な自動設定 ・組み込みHTTPサーバーのサポート ・Spring Frameworkの機能を容易に利用 |
用途 |
・Webアプリケーション開発 ・RESTfulサービス ・マイクロサービスアーキテクチャ ・クラウドベースアプリケーション |
主な依存関係管理 | Maven, Gradle |
ライセンス | Apache License 2.0 |
公式ウェブサイト | https://spring.io/projects/spring-boot/ |
Spring bootは、Spring Frameworkをより使いやすくするために設計されたフレームワークです。
Spring Frameworkは、2004年にリリースされたオープンソースのフレームワークで、依存性注入(DI)やアスペクト指向プログラミング(AOP)などの高度なプログラミング概念を取り入れ、システム開発を簡略化し、コードの再利用を促進しました。
しかし、その多機能性が時には複雑さをもたらし、全ての機能を適切に使いこなすことが難しい点が一つの壁となっていました。
こうした背景の中、Spring bootが登場します。
Spring bootは、Spring Frameworkの便利な機能を維持しながら、設定や初期化のプロセスを大幅に簡素化し、より迅速で直感的な開発を可能にしました。
例えば、Beanの定義やXMLベースの設定など、従来は手動で行う必要があった多くのプロセスが自動化され、開発のハードルが下がっています。
また、Spring bootはアノテーションベースの設定を採用しており、これによりコードがより読みやすく、管理しやすくなったのも特徴です。
さらに、組み込みのHTTPサーバー(例えばTomcatやJetty)をサポートしているため、スタンドアロンのアプリケーションを容易に開発し、デプロイすることができます。
つまりSpring bootは、Spring Frameworkの豊富な機能を活用しつつ、開発プロセスを単純化し、迅速化することで、Javaベースのアプリケーション開発によりアクセスしやすくするフレームワークです。
Spring bootの歴史や特徴
Spring bootは2014年にリリースされたフレームワークです。
この年にはすでにSpring FrameworkがJava開発において広く利用されていました。
しかし、Spring Frameworkは非常に強力で柔軟性が高い一方で、初期設定が煩雑であり、新たにプロジェクトを始める際に時間と労力がかかるという問題がありました。
このような問題を解決するため、Spring bootが登場します。
Spring bootは「convention over configuration」(設定より規約)のアプローチを採用し、デフォルトの設定を自動化して、プロジェクトの初期セットアップを簡素化することに成功します。
これにより、Java開発者は煩雑なXMLベースの設定や複雑な依存関係管理から解放されました。
また、組み込みのサーバー機能を搭載することで、スタンドアロンアプリケーションの開発を容易にし、マイクロサービスアーキテクチャの台頭にも貢献しています。
リリース以来、Spring bootはJavaコミュニティに広く受け入れられ、特にWebアプリケーションやRESTfulサービスの開発において重要な役割を果たしています。
その後のアップデートでは、性能の向上、新機能の追加、セキュリティの強化などが行われ、現在ではJavaベースのアプリケーション開発において欠かせないツールです。
Spring bootで開発されている具体的な事例
では、Spring bootを利用して開発されたものにはどんなものがあるのでしょうか。
以下に、具体的な事例をいくつか紹介します。
事例①Netflix
Netflixは、技術的な複雑さの低減、技術的負債の削減、アプリケーションの起動時間の短縮、開発者の生産性向上、コスト削減、および脆弱性のパッチ適用のためにSpring boot 3を採用しています。
Netflixは、2010年代初頭にクラウドインフラストラクチャの要件として効率性、信頼性、拡張性、およびセキュリティを重視していました。
しかし、適切な代替案がなかったため、Netflixは内製ソリューションを開発しています。
Spring bootフレームワークを採用したことで、これらの要件を満たすことができたと発表しています。
Spring Dataによるデータアクセス、Spring Securityによる複雑なセキュリティ管理、Spring Cloud AWSを通じたクラウドプロバイダーとの統合など、多くの利点を提供しているようです。
事例②eBay
世界最大級の越境ECサイトを提供するeBayもSpring bootを採用しています。
eBayのような大規模eコマースプラットフォームの運営には、迅速かつ効率的に新しいサービスや機能を開発、デプロイすることが重要です。
Spring bootは、コードの量を減らし、開発プロセスを単純化することができるため、複雑なシステムを持つeBayにとっては、効率性と保守性の向上につながる結果となったようです。
また、データベースやキューサービスとの容易な統合、組み込みHTTPサーバーの利用など、Spring bootの提供する様々な機能もeBayの技術的要求に対応しています。
しかし、Spring bootは特定の規約やパターンに従うことを強く推奨するアプローチであるため、開発者のコントロールが限定される問題点も指摘されています。
また、未使用の依存関係が含まれることでアプリケーションのロード時間が増加する可能性があることが一つの問題点となっているようです。
事例③Trivago
Trivagoは、ユーザーがさまざまな予約サイトを比較して最適なホテルの価格を見つけられるオンラインホテル検索サービスです。
Trivagoは、ウェブアプリケーション開発の時間を短縮し、効率を高めるためにSpring bootを採用しています。
これにより、Trivagoは大量のユーザーの問い合わせと多くのホテル予約サイトからのデータを効率的に処理できるようになっています。
特に、Spring bootのマイクロサービス設計は、リアルタイムでホテルの価格や空き状況を更新するというTrivagoのニーズに合致した可能性が高いです。
Trivagoは、Spring bootの採用により、旅行業界での競争力を保ちつつ、迅速かつ効率的なサービスを提供することが可能になりました。
Spring bootとSpring Frameworkの違いは?
Spring FrameworkとSpring bootは、名称が似ているため混同されがちですが、それぞれ独立したフレームワークであり、特徴や使用目的も異なります。
まず、Spring Frameworkは、Javaのエンタープライズアプリケーション開発を支援するためのフレームワークです。
それに対し、Spring bootはSpring Frameworkの使いづらい点を解消することを目的としたフレームワークです。
例えば、Spring bootは自動構成機能が豊富なので、多くのデフォルト設定を用意することで、プロジェクトの初期セットアップを大幅に簡素化します。
<Spring bootの自動構成機能の例>
- データベース接続の自動設定
クラスパスに基づいてデータベース接続を自動的に設定
- 組み込みサーバーの自動設定
Tomcat, Jetty, Undertowなどの組み込みHTTPサーバーを自動的に設定し起動
- Spring MVCの自動設定
WebアプリケーションのためのSpring MVCコンポーネント(ビューリゾルバ、メッセージコンバーターなど)を自動設定
- セキュリティ設定の自動化
Spring Securityがクラスパスにある場合、基本的なセキュリティ設定を自動的に提供
- プロパティの自動検出
application.propertiesやapplication.ymlファイルに記述された設定値を自動的に検出し、利用可能にする
- ロギングの自動設定
ロギングシステム(例えばLogbackやLog4j2)を自動的に設定し、ログ出力をすぐに開始できるようにする
また、組み込みサーバーのサポートにより、独立したアプリケーションとして簡単に実行できる点も、開発プロセスをスピードアップする要因の一つです。
そのため、Spring Frameworkは大規模でより複雑なアプリケーションの開発の際に有用で、Spring bootは小〜中規模の開発に向いています。
Spring bootで開発を進めるメリットとデメリットとは
Spring bootはすでに広く普及しており、多くの企業でも採用されています。
では、Spring bootで開発を進めるメリットはどのようなところにあるのでしょうか。また、デメリットは存在しないのでしょうか。
以下に、Spring bootで開発を進めるメリット・デメリットについて詳しく解説します。
Spring bootで開発を進めるメリット
Spring bootで開発を進めるメリットは以下の5つです。
- メリット①スピード感のある開発が可能になる
- メリット②多くの設定が自動化されている
- メリット③MavenやGradleを用いた依存性の管理が簡単である
- メリット④様々なプラグインと統合できる
- メリット⑤プロパティの管理が容易である
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
メリット①スピード感のある開発が可能になる
Spring bootを使用する最大のメリットの一つは、開発プロセスにおけるスピード感の実現です。
例えば、Spring bootでは、組み込みのTomcat、 Jetty、 UndertowなどのHTTPサーバーを提供しており、別途サーバー環境のセットアップが不要です。
これにより、ローカル開発環境やプロトタイピングフェーズでの迅速なテストとデバッグが可能になります。
また、Spring bootのスターターパッケージは、必要な依存関係を自動的に管理し、開発者が必要とするライブラリを容易に導入できるようにしてくれる点も嬉しいところです。
このスピード感は、特にスタートアップや短期間でのプロジェクト配信が求められる環境において重要な利点です。
また、市場の変化に迅速に対応するために、アジャイル開発プロセスや継続的インテグレーション(CI)/継続的デリバリー(CD)とも相性が良いといえるでしょう。
メリット②多くの設定が自動化されている
Spring bootのもう一つのメリットは、多くの設定が自動化されている点です。
Spring bootは、「規約より設定(Convention over Configuration)」のアプローチに基づいており、開発者が通常直面する煩雑な設定作業を大幅に削減します。
例えば、データベースの設定、MVCの設定、セキュリティ設定など、多くの基本的な設定は、Spring bootが自動的に処理してくれます。
この自動構成のアプローチにより、開発者は複雑なXML設定ファイルやアノテーションベースの設定に関わることなく、すぐに開発を始めることが可能です。
例えば、データソースの設定は、Spring bootがクラスパス上のJDBCドライバーを検出し、適切なデータベース接続を自動的に設定することで簡略化されます。
このような自動化は、特に新しいプロジェクトを始める際や、プロトタイピングを行う際に大きな利点です。
設定に関する時間と労力を削減することで、開発者はアプリケーションのコア機能の開発に集中できるようになり、生産性の向上に寄与します。
メリット③MavenやGradleを用いた依存性の管理が簡単である
Spring bootの3つ目のメリットは、MavenやGradleを用いた依存性の管理が簡単である点です。
これは、開発者がプロジェクトの構成とメンテナンスを効率的に行うのに役立ちます。
Spring bootは、スターター依存性という概念を導入しています。
これらのスターターパッケージは、関連するライブラリ群を一つの依存性としてまとめて提供します。
例えば、”spring-boot-starter-web”はSpring MVC、Tomcat、JSON変換ライブラリなど、Webアプリケーションを開発するのに必要なすべてのコンポーネントを含んでいます。
スターターを使用することで、開発者は個々の依存性を細かく指定する必要がなく、関連するライブラリを一括で管理できます。
MavenやGradleといったビルドツールとの統合もスムーズです。
これらのツールを使用することで、依存性の解決、プロジェクトのビルド、テストの実行などが自動化されます。
また、Spring bootは依存性のバージョン管理も簡略化します。
Spring bootには、バージョンに対応する依存性のセットが定義されているため、互換性の問題に悩まされることが少ないです。
開発者は、プロジェクトの”pom.xml”や”build.gradle”ファイルに、単にSpring bootのスターター依存性を指定するだけで、関連するライブラリ群が適切なバージョンで自動的に取り込まれます。
メリット④様々なプラグインと統合できる
Spring bootの4つ目のメリットは、多様なプラグインやサードパーティのライブラリとの統合が容易である点です。
Spring bootは、広範なSpringエコシステムとシームレスに連携する設計になっており、多くの既存のSpringプロジェクトやライブラリと簡単に統合できます。
例えば、Spring Data、Spring Security、Spring Cacheなどのプロジェクトは、Spring bootアプリケーションにおいて簡単にセットアップし使用することができます。
<Spring bootの主なプラグイン>
- Spring Security:アプリケーションのセキュリティを強化するためのプラグイン
- Spring Data JPA:データベースアクセスを簡素化するためのJava Persistence APIの実装
- Spring Data REST:RESTfulサービスを構築するためのプラグイン
- Spring Batch:バッチ処理のためのフレームワーク
- Spring Cache:キャッシュ機能を提供するプラグイン
- Spring Cloud:分散システムのパターンを簡単に実装するためのフレームワーク
- Spring Kafka:Apache Kafkaとの統合をサポートするプラグイン
- Spring AMQP:高度なメッセージング処理のためのプラグイン
- Spring Web Services:SOAPベースのウェブサービスの開発を支援するプラグイン
- Spring Session:セッション管理を強化するためのプラグイン
- Spring boot Actuator:アプリケーションの監視と管理をサポートするプラグイン
- Spring boot DevTools:開発時の生産性を高めるためのツール
これらのプラグインを利用することで、データアクセス、セキュリティ、キャッシングなどの機能を迅速かつ容易にアプリケーションに組み込むことが可能です。
この柔軟な統合能力は、開発者が必要とする特定の要件に応じてアプリケーションをカスタマイズするのに非常に有効です。
メリット⑤プロパティの管理が容易である
Spring bootにおける5つ目のメリットは、プロパティの管理が容易であることです。
Spring bootでは、アプリケーションの設定を外部化することが可能です。
これは、”application.properties”もしくは”application.yml”ファイルを通じて行われます。
これらのファイルは、アプリケーションの各種設定値を一箇所に集約し、簡単に管理できるようにするためのものです。
データベースの接続情報、サーバーのポート番号、セキュリティ設定、その他のカスタムプロパティなど、アプリケーションに必要なさまざまな設定を、これらのファイルに記述することができます。
さらに、Spring bootはプロファイル機能が優秀なので、異なる環境(開発、テスト、本番など)ごとに異なる設定を適用することも可能です。
これにより、同一のアプリケーションコードを異なる環境に柔軟に適応させることができ、環境依存の設定を簡単に切り替えることができます。
プロパティの外部化は、アプリケーションの設定変更をコードの変更なしに行うことを可能にし、デプロイメントプロセスを簡素化します。
これは特に、クラウドベースのアプリケーションやマイクロサービスアーキテクチャにおいて重要です。
Spring bootで開発を進めるデメリット
Spring bootで開発を進めるデメリットは以下の3つです。
- デメリット①理解していないとカスタマイズが難しい
- デメリット②メモリの使用量が大きくなる場合がある
- デメリット③場合によってはデバックが複雑
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット①理解していないとカスタマイズが難しい
Spring bootを使った開発においてデメリットの1つ目は、「理解していないとカスタマイズが難しい」という点です。
Spring bootは、「規約より設定(Convention over Configuration)」の原則に基づき多くのデフォルト設定を提供し、迅速なアプリケーション開発を支援します。
これは開発のスピードを大幅に向上させる一方で、内部の動作原理を十分に理解していないと、カスタマイズが困難になることがあります。
Spring bootの自動設定は、多くの標準的なシナリオでうまく機能しますが、プロジェクトの特定のニーズに合わせてこれらの設定を変更する必要がある場合、その方法は必ずしも明白ではありません。
例えば、組み込みサーバーの設定、データベース接続、セキュリティ設定などのカスタマイズを行う際、Spring bootの内部動作について深い理解が必要となります。
このため、Spring bootを使用する際は、単に便利な機能を利用するだけでなく、その背後にある原理や構成方法についても理解を深めることが重要です。
デメリット②メモリの使用量が大きくなる場合がある
Spring bootを使用した開発のもう一つのデメリットは、アプリケーションのメモリ使用量が大きくなる場合があるという点です。
Spring bootは、多数の自動設定と組み込み機能を持っています。
これらの機能は使用の容易さと迅速な開発を可能にしますが、それと引き換えに、アプリケーションの起動時のメモリ消費が増加する傾向が高いです。
例えば、Spring bootアプリケーションは、必要ない機能やライブラリも含めてロードすることがあります。
これは、フレームワークが提供する「オールインワン」のアプローチに起因します。
また、Spring bootアプリケーションのデフォルト設定では、適切なメモリ管理やチューニングが必要な場合も多いです。
アプリケーションのスケールアップに伴い、メモリリソースに対する要求が増加し、最適化が必要になることは覚えておきましょう。
デメリット③場合によってはデバックが複雑
Spring bootを利用した開発における3つ目のデメリットは、特定の状況においてデバッグ作業が複雑になる可能性があるという点です。
Spring bootの主な特徴の一つは、アプリケーション設定の自動化です。
この自動化により、開発者は多くの設定作業から解放されますが、この一種の「魔法」のような挙動が、問題の特定と解決を困難にすることがあります。
例えば、自動設定により、特定のビーンが予期せぬ方法で構成されたり、アプリケーションの起動時に隠れたエラーが発生することがあります。
また、多層的な抽象化とSpring bootの提供する便利な機能が複合することで、実際にどの部分で問題が発生しているのかを突き止めるのが難しくなることも多いです。
このように、Spring bootでのデバッグは、アプリケーションの複雑さとフレームワークの自動化の度合いによっては、特に難しい作業になることがあります。
そのため、Spring bootを使いこなすためには、フレームワークの内部機能に関する深い理解と、適切なデバッグ技術の習得が重要です。
Spring bootで稼げる?フリーランス案件例と一緒に紹介
さて、ここまでSpring bootに関する機能的な部分に焦点を当てて解説してきました。
しかし、現役のエンジニアの方にとっては「どれくらい稼げるのか?」という点は非常に気になる点でしょう。
ここでは、Spring boot案件の平均単価と具体的な案件例についていくつかご紹介します。
Spring bootの平均単価
エンジニアスタイルの調査によると、2024年1月時点でSpringのフリーランス案件における月額平均単価は「67万円」となっています。
Javaのフリーランス案件の平均単価が「65万円」であることと比較すると、少々高い報酬が期待できるようです。
また、単価60万円〜70万円の案件が最も多く、案件数は4,664件にのぼります。
これは、Springを用いたプロジェクトにおいて、この単価帯が市場での標準的な報酬レンジであることを示唆しています。
単価の推移も見てみると、2020年9月から2024年1月までの期間で、平均単価はおおむね60万円台から70万円台で推移しています。
このことから、Springのフリーランス案件は現在需要が上がっていることも推察されます。
Spring bootの案件例
Spring bootの案件は非常に多いですが、ここではいくつかをピックアップしてご紹介します。
案件例①大手家電量販店ECサイト再構築案件
この案件は、Java、Spring、jQueryを使用して大手家電量販店のECサイトの再構築を行う案件です。
APIおよび画面の基本設計以降の工程が求められており、フロントエンドとバックエンドの両方の開発経験が必要です。
また、オブジェクト指向の概念を理解し、Tomcatの構築や運用経験があることも重視されています。
報酬に関しては単価60万円からとされており、市場平均に近い水準です。ただし、具体的な要件や業務の難易度によっては、交渉次第で変動する可能性もあります。
この案件のレベルとしては、Java/SpringおよびjQueryでの開発経験、基本設計以降の経験、ウォーターフォール開発経験が必要とされていることから、初級から中級レベルのエンジニア向けの案件といえます。
総合的に見ると、この案件は一定の経験とスキルを持つエンジニアにとっては十分に魅力的であり、特に大規模なECサイトの再構築に関心がある場合には良い機会となるでしょう。
案件例②飲食店向けセルフオーダーサービスのサーバーサイド開発案件
この案件は、SpringbootとKotlinを用いたAPIの設計、実装、テスト、運用が主な職務内容です。
データベースはMySQLを使用し、フロントエンド開発者やディレクターと連携しながら要件調整を行います。
また、スクラムベースでの開発プロセスの進行と改善も業務範囲内です。
報酬に関しては、単価80万円からと設定されており、報酬は平均よりも高い案件です。
チームでのWebアプリケーション開発経験、Springを使ったアプリケーションの設計・実装・運用経験、テストコードの作成、コードレビュー、データベース設計、モニタリングとパフォーマンス改善など、広範囲にわたる技術スキルが求められます。
また、Git/GitHubを用いたバージョン管理やスクラムでの開発経験も必要とされているため、中級から上級レベルのサーバーエンジニア向けといえます。
案件例③貿易システムコーディングからテスト案件
この案件は、貿易システムの詳細設計から開発、単体テスト、内部結合テストに至る工程を担当するシステム開発プロジェクトです。
使用技術としてはJava、JavaScript、TypeScriptが挙げられており、フレームワークにはSpring、Springboot、Vue.jsが利用されます。
そのため、フロントエンドとバックエンドの両方のスキルが求められる案件です。
報酬に関しては、単価が100万円からと設定されています。これは、Springのフリーランス案件の月額平均単価を大きく上回る金額です。
また、Java、JavaScript、TypeScriptでの開発経験、さらにSpringやVue.jsなどのフレームワークを用いた開発経験も要求されているため、この案件は上級レベルのシステムエンジニアやフロントエンジニア向けといえます。
特に詳細設計からテストに至る一連の工程に携わるため、技術的な深さとプロジェクトにおける広範な知識が必要とされます。
貿易システムという特定の業界に特化したプロジェクトであるため、この分野への興味や経験があるエンジニアにとっては特に良い機会といえるでしょう。
Spring boot開発において知っておきたい「IDE」とは
最後に、Spring boot開発に携わるのなら知っておきたい用語があります。
それが「IDE(統合開発環境)」です。
以下では、IDEについて詳しくご説明します。
IDEとは
IDE(統合開発環境)とは、アプリケーション開発を容易にするために設計されたソフトウェアツールのセットです。
ソースコードエディター、ビルド自動化ツール、デバッガーなどが含まれ、これらが一つのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)で統合されています。
IDEの利用により、開発者は複数のツールを個別に設定し統合する手間を省き、迅速に新しいアプリケーション開発に着手できます。
Spring boot開発において使われる代表的なIDEは以下の通りです。
- IntelliJ IDEA
JavaとSpring boot開発に最適化された高機能IDE。コード補完、リファクタリング、データベースツールなどの機能が特徴。
- Eclipse
オープンソースで広く使われるIDE。Spring boot用のプラグインが提供されており、カスタマイズが可能。
- Spring Tool Suite (STS)
EclipseベースのIDEで、Spring開発に特化しています。Spring bootアプリケーションの管理に特化した機能がある。
- Visual Studio Code (VS Code)
軽量で拡張性が高いエディタ。JavaやSpring bootの拡張機能を追加することで、IDEとしての機能を提供する。
IDEの選択は、個々の開発者の好みやプロジェクトのニーズによって異なります。
高度な機能を求める場合はIntelliJ IDEA、カスタマイズ性を重視する場合はEclipseやSTS、軽量で拡張性を求める場合はVS Codeが適しています。
Spring Tool Suiteのインストール手順
Spring開発に適しているとされているのが「Spring Tool Suite (STS)」です。
ここでは、Spring Tool Suite (STS)のインストール手順をご紹介します。
(※Windows向けのSTS4のインストールを前提としています。)
手順①公式サイトからSpring Tool Suiteをダウンロード
まずは、Spring公式ウェブサイトにアクセスしましょう。
ダウンロードページを下にスクロールし、「Download STS4」というボタンをクリックしてダウンロードを開始します。
(※使用しているOSに対応するバージョンのダウンロードリンクをクリック)
手順②ダウンロードファイルの解凍
次に、ダウンロードしたファイル(通常はZIP形式)を選択し、解凍します。
ファイル名は「spring-tool-suite-4-x.x.x.RELEASE-e4.9.0-win32.win32.x86_64.zip」(xはバージョンにより異なる)となっています。
解凍先はCドライブ直下が一般的ですが、他のディレクトリでも問題ありません。
解凍すると「sts-4.x.x.RELEASE」というフォルダが作成されます。
フォルダを開いて正しく解凍されていることを確認しましょう。
手順③STSの起動と設定
解凍が完了したら、STSを起動します。
解凍した「sts-4.x.x.RELEASE」フォルダ内にある「SpringToolSuite4.exe」をダブルクリックしてSTSを起動してください。
初回起動時には、ワークスペース(プロジェクトファイルを保存するディレクトリ)の場所を設定するよう求められる場合があります。
また、必要に応じてSTSの設定をカスタマイズします。
例えば、フォントサイズやテーマの変更、プラグインの追加などが行えます。
手順④プロジェクトの作成またはインポート
STSが起動したら、新しいSpring bootプロジェクトを作成するか、既存のプロジェクトをインポートすることができます。
「Spring Tool Suite 4 Launcher」というダイアログが表示されるので、ここでワークスペース(アプリケーションのソースファイルや設定ファイルを保存するフォルダ)を選択してください。
また、デフォルトの場所をそのまま使用しても問題ありません。
最後に、「Launch」ボタンを押すとSTSが起動し、STSのメイン画面が表示されるので、以上で操作は完了です。
まとめ
本記事では、Javaの軽量フレームワーク「Spring boot」について、その概要、特徴、メリット、デメリット、そして具体的な案件例を通じて深く掘り下げてきました。
Spring bootは、迅速な開発サイクルと広範な機能性により、多くの開発者に選ばれていますが、その一方で理解とカスタマイズにはある程度の知識が必要です。
マイクロサービスやクラウドベースのアプリケーションの需要が高まる中、Spring bootのようなフレームワークはさらにその重要性を増していくことが予想されます。
また、フリーランスとして活躍する開発者にとって、Spring bootは重要なスキルセットの一部となる可能性が高いです。
読者の皆様には、この記事を通じてSpring bootの基本的な理解を深め、自身のプロジェクトやキャリアにおいてこの知識を役立てていただければ幸いです。
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