フリー ランスが「勤務先名」を記入する場合どうすれば良いか。具体的な例と合わせて紹介
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目次
フリーランスが勤務先情報記入を求められるのはどんな時か
フリーランスの皆さんはどのようなときに「勤務先」の記入を求められるかご存じでしょうか。ここではどのような場合に、「勤務先」の記入を求められるのか、具体例をご紹介します。
履歴書、職務経歴書
フリーランスでは仕事に応募した際に、クライアントから履歴書や職務経歴書を求められます。履歴書はご自身のプロフィールを伝えるもの、職務経歴書はこれまでの実績をアピールする書類です。この時にはこれまでの経歴として、ご自身の勤務先を記載することになります。
例えば、履歴書では以下のように書くとよいでしょう。
- 開業届を出している場合
開業届を出すということは、事務処理の面で信頼につながります。開業届を税務署に出したことがわかるように「開業」という言葉を使うとよいでしょう。
記載例:〇〇年〇月 個人事業主として開業(「屋号:××」)
ちなみに活動を停止した場合には以下のように書きます。なお、開業届を出した場合には廃業届を税務署に提出しましょう。
記載例:△△年△月 一身上の理由により廃業
- 開業届を出していない場合
開業届を出していない場合には「開業」ではなく、「従事」や「活動」と記載しましょう。
記載例:〇〇年〇月 個人事業主として活動
ちなみに活動を停止した場合には以下のように書きます。開業していないので「廃業」ではなく、「活動停止」としましょう。
記載例:△△年△月 一身上の理由により活動停止
役所での書類手続き
役所での提出書類で勤務先の情報が必要になるのは、主に確定申告のときです。
確定申告の書類では、事務所所在地、事務所の電話番号、屋号といった項目への記入が求められます。
フリーランスの場合、事務所所在地や事務所の電話番号はご自身の住所、電話番号を記載しましょう。ただし、別で事務所を確保していて、そこで仕事を行っている場合には事務所の住所、電話番号を利用することもできます。
また、屋号に関しては通常は開業届を税務署に提出したときに決めますが、開業届を提出時にまだ決めていない場合や決めた屋号を変更したい場合には、確定申告時に登録したい屋号を書きましょう。確定申告も税務署で行うため、確定申告の屋号を最新の情報として税務署側で反映してもらえます。
クレジットカードや賃貸の申込み用紙
クレジットカードや賃貸の申込や住宅ローンの申請など民間企業に提出する書類においても、勤務先の情報を求められる場合があります。書類に記載するときには屋号を記載するとよいでしょう。屋号を取得していない場合には個人名を記載しても構いません。
ただし、クレジットカードの申込においては個人事業主と無職の違いを明確にするという点で屋号の存在が審査で有利に働く可能性があります。したがって、クレジットカードの審査に不安がある場合には事前に屋号を定めておいた方が良いでしょう。
フリーランスが「勤務先」を記入する時は、屋号や個人名
フリーランスが「勤務先」を記入する時は、クライアント先ではなく屋号や個人名を利用するのが一般的です。ただし、場合によってはクライアント先の情報を利用できることもあります。
同じようにフリーランスが記入する「勤務先」の住所や電話番号も基本的には屋号や個人名、あるいは個人の住所や電話番号を利用しましょう。以下に具体的な例を紹介しますので参考にしてください。
住所を求められた場合はどうするのか
フリーランスの方がクライアント向けの書類などの作成時に勤務先の住所を求められたら、どうしたらよいのでしょうか。大きく以下の4つのパターンに分かれます。
- 勤務先が自宅の場合
勤務先が自宅の場合には自宅の住所を記載するようにしましょう。ただし、ここで困るのは名刺です。名刺は不特定多数の方に配ることも多いですが、会社員時代には名刺に会社の住所を載せていたと思いますので、住所を書かないということには違和感を覚えると思います。この場合、特に名刺に住所を書く必要はありません。住所はご自身の重要な個人情報なので取り扱いには慎重になるべきです。ただし、郵便物が届かないなどの弊害もあるので、必要な場合はクライアントに直接連絡する、バーチャルオフィスを利用するなどの方法を取ると良いでしょう。
- フリーランスと会社員を兼務している場合
フリーランスと会社員を兼務している場合、クレジットカードや賃貸、住宅ローンの申請には勤めている会社の名称・住所を利用するとよいでしょう。フリーランスや個人事業主は収入面が安定していない職業と見なされているため、実際には月々20万ぐらいの収入をコンスタントに得ていたとしても、信用は低くなりがちです。あえて不利な選択をせずに会社員として申請することで、信用度が高くなり審査を通過する可能性が高くなります。
また、フリーランスの場合、地方銀行やフラット35を利用しないと住宅ローンが組めなくなってしまう危険性もあります。地方銀行やフラット35は金利が高くなりがちなので、持ち家派の人は会社員の間にローン審査を通しておいてもよいでしょう。
- 契約先の会社に出向している場合
フリーランスエージェントを活用して仕事を請け負った場合には、ほとんどが出向として扱われることになります。出向の場合には給与を支払う会社(出向先)の住所を記載しましょう。クレジットカードを申し込む場合には、クレジットカード会社から在籍確認の電話がかかってくる可能性がありますので、事前に出向先の会社に在籍確認の電話がかかってくる可能性がある旨を連絡しておきましょう。
- 自宅以外に事務所を持っている場合
自宅以外に事務所を持っている場合は事務所の住所を利用しましょう。事務所の住所を利用すると郵便物などは登録した事務所の住所に届くことになります。事務所の住所を使うときは、実際の仕事も事務所で行うように心がけましょう。
フリーランスとして常駐している場合は?
フリーランスとしてクライアント先に常駐している場合にはどうなるのでしょうか。その前に、まずクライアント先で仕事をする方法として常駐と出向があり、それぞれの意味を整理しておきましょう。
- 出向
フリーランスエージェントを利用して契約した場合には、このタイプになります。エージェントを活用することになるので、案件を豊富に確保しており、仕事が安定しやすいですが、エージェントに支払う手数料がかかります。
- 常駐
自らクライアント先や他の企業に営業をかけ、自ら契約することでプロジェクトに参画する形式になります。自ら営業をかけなければならない分、出向に比べて安定しませんが、報酬の交渉が可能なため、高収入が狙えます。
常駐型の場合、たとえ1つのクライアントとのみ契約をしていて、クライアント先に常駐していたとしても、勤務先にクライアントの名称や住所を使うことはできません。なぜなら、クライアントとは業務委託契約は結んでいても、雇用契約を結んでいないからです。その場合には自宅の住所や事務所の住所などを使用するようにしましょう。
フリーランスは屋号を持つべきか
役所での書類手続きのところで少し出てきた「屋号」。フリーランスも「屋号」を取得するべきでしょうか。結論から言うと、「屋号」は持っていて損もなく、様々なメリットが得られるので取得しておくべきでしょう。なお、「屋号」を正式に使用するためには開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)が必要になります。開業届を税務署に提出することで以下のようなメリットも得られるので、フリーランスの方はぜひ検討してみてください。
- 青色確定申告ができる
開業届を出すことで青色確定申告が利用できるようになります。青色確定申告では最大で65万円の特別控除を受けることができ、翌年の所得税や国民健康保険料などを節税することができます。正規の簿記の原則に従って会計処理をしなければならない等、白色確定申告に比べ手間がかかりますが、特別控除の金額を考えると青色確定申告はするべきでしょう。
- 赤字を繰り越すことが可能
青色確定申告を出した場合には3年間まで赤字を繰り越すことが可能です。前年が赤字の場合、今年の収入と相殺することで余計な税金を支払わなくて済みます。フリーランスは収入が不安定なことが多いため、このような制度は有用と言えるでしょう。
参考URL:開業届を出すメリット・デメリットと提出方法について
フリーランスが屋号を持つメリット
取得は必須ではないですが、様々なメリットを受けられる「屋号」。ここからは「屋号」を設定することのメリットを5つ説明します。
対応可能な仕事をアピールできる
屋号を事業内容と関連付けた分かりやすい名称にすることで、営業先やクライアント側はその名称を見ただけで、どんなことができるフリーランサーなのか、どんなことに強みを持っているのか、が分かるようになります。例えば、フリーランスエンジニアの場合なら「〇〇物流システム」とすれば、物流系に強いシステムエンジニアであることが分かります。他にもフリーランスデザイナーの場合なら「△△Webデザイナー」、「△△グラフィックデザイナー」とすることでWebサイト系のデザインをメインに扱っているデザイナーであることが分かります。
このように自身のスキルに合っている適切な屋号を定めることで、営業先やクライアントに自身の仕事内容をすぐに分かってもらえ、後続の話し合いや交渉がスムーズに進みます。
屋号付き口座の開設で資金管理がスムーズになる
フリーランスになると確定申告を行い、きちんと納税するためにも適切な資金の管理は欠かせません。しかし、資金の管理にご自身の個人名の口座を利用していると、個人利用の資金と交じってしまう場合や個人利用の支出と業務利用の支出を区別できなくなってしまう場合があります。そうすると適切な資金管理ができずに確定申告の記入に手間取ったり、確定申告に不備が発生して脱税と見なされ、追徴課税を受けたりするリスクがあります。
屋号を取得していれば、屋号名で銀行口座の開設が可能となるため、口座を明確に分けて使用することが可能です。資金管理が容易になることで、確定申告がスムーズになり、意図しない脱税などのリスクを防ぐことが可能です。
事業への愛着・熱意がより高まり、相手に伝わる
人間は名前を付けることでそのものに対して愛着が湧く生き物です。ペットであれ、人形であれ、何かしらに名前を付けて可愛がった経験がある人は多いのではないでしょうか。それは仕事においても同じです。名前を真剣に考えて、ご自身のお気に入りの名前(屋号)で開業届を税務署に提出する。そうなったら、その名前に愛着や誇りをもって、この名前を汚したくない、この名前を消したくないと考え、より一層真剣にご自身の事業や仕事に取り組む方も多いのではないでしょうか。
このように自らの事業や仕事に真剣に取り組む姿勢は営業先のお客様やクライアントにも伝わることでしょう。また、真剣に取り組むことで多くの経験や実績も得られるはずです。その結果、「この人は短期間で様々な経験やスキルを身に着けている熱意のある人だ」、「これまでの当社で常駐して働いてもらっていたが、素晴らしい成果を残してくれた」と思ってもらえ、営業先のお客様やクライアントとのやり取りをスムーズに進めることができるようになるでしょう。
顧客からの信頼を得やすい
名刺に単に「〇〇」と書かれている場合と「△△Webシステム 〇〇」と書かれている場合、どちらが信用できそうでしょうか。多くの人は△△Webシステムと書かれていた方が、その人のできることが明確になり、信用できるのではないでしょうか。同じように自身の対応可能な案件やポートフォリオを掲載するWebサイトでも屋号を利用して何ができるかをアピールした方が信用を得られるでしょう。
他にも、屋号を取得していると屋号入りの金融口座(屋号+個人名)を開設できます。案件を完了したり、サービスを提供したりしたことで得た報酬や代金をお客様から入金してもらう際にも屋号が入っているとお客様は安心するでしょう。また、企業の中には屋号入りの金融口座しか受け付けていない可能性もあります。
知名度を高める際に役立つ
屋号は多くのフリーランスと一目で差別化ができるところです。屋号がご自身のスキルや仕事内容を適切に表しており、自分の仕事に対して明確に説明できれば、営業先のお客様やクライアントにも覚えてもらえるでしょう。
お客様に覚えてもらうことで、その時には仕事に結びつかなくとも何か新たな案件が発生したときに声をかけてもらえるかもしれません。屋号を広めてもらうことで仕事を獲得するチャンスが広がります。
また、個人向けのビジネスをフリーランスとして行っている場合にも印象的な屋号と適切なサービスを提供することで口コミが広がりやすくなります。セルフブランディングを行う際にも屋号は大切になってくるでしょう。
まとめ
ここまでフリーランスが勤務先情報を記入するケース、記載する勤務先情報の内容、屋号を取得するメリットを紹介しました。
特に勤務先に常駐しているフリーランサーは勤務先に記入する内容に戸惑うことも多いのではないでしょうか。ぜひ、参考にしてください。
屋号は個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)を税務署に提出することで簡単に取得でき、ご自身の仕事のモチベーションアップやビジネスの機会を広げるのにとても役に立ちます。セルフブランディングを行い、実績を上げることで法人化も見えてくるでしょう。
これまで活躍していたフリーランスの方も、これからフリーランスになろうとしている方もぜひ屋号の取得を検討してみてください。
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