フリーランスの所得税が発生するのはいくらから?計算方法ステップと4つの支払い方法を紹介
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目次
はじめに
フリーランスになったばかりだと、所得税やさまざまな税金が一度にやってきて、どの税金をいくら払えばいいのかわからない人も多いと思います。
正しい税金の知識がないまま確定申告をしていると、知らないうちに本来払わなくていい税金まで払っている状態になり、節税ができず資金不足に陥るかもしれません。
この記事では、フリーランスの人に向けて、所得税をはじめとする税金の種類や、計算方法を解説します。
正しく所得税を計算して、うまく節税しながら最低限の税金を払う方法がわかりますので、最後までぜひ読んでみてください。
そもそも所得税とは
所得税とは、フリーランスなどの個人が1月1日から12月31日までの1年間で得た「所得(もうけた利益)」に対して、国に支払う税金です。
所得税は、1年間の所得合計が48万円を超える場合に支払い義務が発生します。所得に応じて納付する所得税の金額がいくらなのか、確定申告で国に申告しなければなりません。
また、2037年までは所得税と別に、東日本大震災支援のための「復興特別所得税」も課せられています。「復興特別所得税」は、最終的な所得税を決める「基準所得税額」の2.1%です。
所得税の詳しい計算方法は、記事後半で解説します。
フリーランスが所得税以外に支払うべき具体的な税金
フリーランスが所得税以外に支払う税金には、以下の5種類があります。
- 住民税
- 個人事業税(該当しない人もいる)
- 消費税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
それぞれの税金について詳しく解説するので、どのような税金があるのかあいまいな人はぜひチェックしてみてください。
住民税
住民税とは、フリーランスなどの個人が都道府県や市区町村に支払う税金です。納期は6・8・10・翌1月の月末で、「県民税」「市民税」などはまとめて住民税と呼びます。
住民税は前年度の所得に対して課される税金で、確定申告をしていれば手続きなどをする必要はありません。年間所得が一定金額を下回るときは、減額や免除の制度も使えます。
住民税は、課税所得(所得のうち、税金がかかる対象となる金額)の10%を支払う「所得割」と、所得の高低に関係なく4,000円支払う「均等割」の合計です。
2024年までは東日本大震災支援のため、年間1,000円の「復興特別税」もプラスされます。
住民税は、43万円以上所得がある人が支払うものです。
所得が43万円以上48万円未満の人は、「所得税は払わなくていいが、住民税は払う義務がある」状態になるので、所得税と住民税の支払い条件を混同しないよう注意しましょう。
個人事業税(対象業種のみ)
フリーランスなどの個人が、事業所がある都道府県に対して納める地方税が「個人事業税」です。
個人事業税は所得が290万円以上ある人に課せられ、事業の種類によって3%~5%の税がかかります。住民税と同じで確定申告をしていれば手続きの必要はなく、納めるのは年に2回、8月と11月のタイミングです。
個人事業税は、フリーランス全員に課されるわけではありません。個人事業税の対象として定められている「法定業種」に自分の事業が該当しなければ、払わなくてよいものです。
たとえば、フリーランスに多い職業のうち、プログラマーやシステムエンジニアは非課税でも、Webデザイナー・イラストレーターなどは「デザイン業」として5%の個人事業税がかかる場合があります。
詳しい対象業種・税率は東京都主税局『法定業種と税率』に載っているので、一度チェックしておきましょう。
消費税
消費税とは、モノやサービスなどを売り買いするときに支払う税金を指します。コンビニなどで買い物したときに支払うものと同じです。
フリーランスとしての消費税は、前々年の売上が1,000万円を超えた場合に支払います。消費税は所得税と同様自分で確定申告をしなければならず、3月末までの申告・納税が必要です。
自分が経費などで何か買った際に支払った消費税を、二重に取られることはありません。
たとえば消費税が10%で、売上金額が1500万円、仕入れや費用に800万かかった場合を考えてみます。
支払うべき消費税として確定申告するのは、売上時に受け取った消費税150万円-仕入れ時に支払った消費税80万円=70万円です。
消費税は支払い額が大きいので、売上が1,000万円以上ある場合は、普段から少しずつ消費税分のお金を取っておきましょう。
※2023年10月1日から新たに「インボイス制度」が導入されるため、売上が1,000万円に満たないフリーランスでも、消費税の納税義務が生じます。
詳しくはこちらの記事で解説していますので合わせて読んでみてください。
国民健康保険料
国民健康保険料とは、保険制度を利用するために市区町村に支払う地方税です。会社と保険料を半分ずつ負担する会社員と違い、フリーランスは保険料を全額自分で支払う必要があります。
国民健康保険料は、前年度の所得に対して各自治体が定める料率を掛けた金額で、6月~翌3月までの計10回、毎月もしくは一括での納付が可能です。
国民健康保険料は、確定申告で所得税を申告するときに節税対象(控除)となります。
国民年金保険料
国民年金保険料とは、所得の高低に関わらず、みな同じ額を毎月支払う保険料です。金額は国が毎年定めています。
会社員は厚生年金から自動的に国民年金保険料が引かれますが、フリーランスは納付書を使って自分で納めなくてはいけません。
収入が少なくて国民年金保険料を支払えない場合は、免除や納付時期に猶予を設けてくれる制度もあります。何も手続きしないまま滞納を続けると、将来受け取る年金が減ってしまうので注意が必要です。
国民年金保険料も、国民健康保険料と同様に確定申告のときに控除されます。
フリーランスの所得税を計算するステップを紹介
ここでは、フリーランスの所得税をどのように計算するのか詳しく紹介します。
用語の意味が理解できれば難しいものではないので、計算方法は簡単です。
① 収入と所得を明確に
まずは、「収入」と「所得」を明確に分けましょう。
収入とは全体の売上、所得は「収入-経費」で計算できます。
収入500万円、経費100万円だった場合は、500-100=400万円が所得です。
経費とは、パソコン代や事務用品代、ネット回線費用など、基本的には「収入を得るためにかかった費用すべて」を指します。
② 課税所得を計算
所得が分かったら、次は「課税所得」を計算します。
所得税は所得すべてに対してかかるわけではなく、「所得-所得控除」で求められる「課税所得(税金がかかる対象となる金額)」に対してかかる仕組みです。
所得控除とは、経済力が十分でない人に適用することで節税できるよう定めた項目のこと。さまざまな種類があるので、以下にフリーランスが当てはまりやすい所得控除をまとめました。
【所得控除の例】
控除の名称 | 控除対象・金額 |
基礎控除 |
・所得が2,400万円以下で、確定申告を行ったすべての人 ・48万円控除 |
青色申告特別控除 |
・青色申告(複式簿記)で確定申告を行った人 ・10万円か65万円控除 |
医療費控除 |
・年間10万円以上の医療費がかかった世帯 ・10万円を超えた分の医療費を最高200万円まで控除(保険金等で補てんされた分は除く) |
社会保険料控除 小規模企業共済等掛金控除 |
健康保険や年金、企業共済などについて、保険料や掛け金を全額控除 |
生命保険料控除 |
・民間の生命保険や個人年金などに加入している人 ・年間支払額に応じて2~4万円控除 |
寄附金控除 (ふるさと納税も含む) |
・国や自治体、特定NPO法人などに寄附した人 ・寄附金額を控除(上限:所得金額の40%) |
配偶者控除 配偶者特別控除 |
・所得48万円以下の配偶者がいる人 ・最高38万円を控除 ・納税者本人の所得が1,000万円以下であれば、配偶者の合計所得金額によって配偶者特別控除を適用できる場合もある |
扶養控除 |
・所得48万円以下の家族(親・子など)がいる人 ・扶養家族1人につき38~63万円控除 |
個人型確定拠出年金 |
・金融商品を運用して60歳以降に受け取るため、月々掛け金を積み立てている人 ・積み立てる額は全額控除 |
自分がどの控除対象であるかをきちんと確認することで、課税所得を減らして節税ができます。
③ 税率に応じて所得税を計算
課税所得が分かったら、税率を掛け算して所得税を出します。
日本は課税所得が大きいほど課税率が上がる「累進課税制度」をとっており、課税所得に以下の税率を掛けることで「基準所得税額」を出すことが可能です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円以上~330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円以上~695万円未満 | 20% | 42万7,500円 |
695万円以上~900万円未満 | 23% | 63万6,000円 |
900万円以上~1,800万円未満 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円以上~4,000万円未満 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
課税所得が400万円の場合、上の表にのっとって計算すると、400×20%=80万円が「基準所得税額(税の基準額)。2037年までは基準所得税額の2.1%が「復興特別所得税額」として課されるため、80万円×2.1%=16,800円も追加されます。
2037年までは、「基準所得税額+復興特別所得税額-控除額」が所得税を求める計算式なので、この例の場合は800,000円+16,800円-427,500円=389,300円が所得税額です。
さらに、売上から引かれている源泉徴収税額控除などの「税額控除」がある場合は差し引き、最終的な納付額が決まります。
所得税の計算方法をまとめると、以下の通りです。
- 収入-経費=所得
- 所得-各種所得控除=課税所得
- (課税所得×税率)+復興特別所得税額-控除額=所得税額
- 所得税額-各種税額控除=最終的な納税額
所得控除と税額控除がややこしいので、間違えないように注意してください。
所得税はいつ払う必要があるのか
ここでは、所得税を払うタイミングや納付手段をご紹介します。
納付期限は確定申告の期限と同様(3月15日)
所得税の納付期限は、確定申告の期限と同じ3月15日です。確定申告期間が始まる2月16日から納められます。
近年はインターネットを使って確定申告が提出できるので、そのまま納税ページから所得税を支払うことも可能です。
払い方は4種類
フリーランスが所得税を払う方法は4種類あります。
現金で納付するケース
所得税を現金で納める場合、以下の3か所で支払えます。
- 管轄税務署の窓口
- 金融機関
- コンビニ
税務署の窓口や金融機関では、納付書を持参すればそのまま現金で支払えます。コンビニ支払いは所得税の納付額が30万円以下の場合にのみ利用可能で、納付書のバーコードを読み取ることで支払いが可能です。
口座振替で納付するケース
所得税を口座振替にしたい場合は、期限内に「振替依頼書」を提出すれば引き落としができます。振替依頼書は、国税の電子システム「e-Tax」にてオンライン提出が可能です。
クレジットカードで納付するケース
所得税をクレジットカード決済で納付したい場合は、インターネット上で納められます。
国税庁のホームページや「e-Tax」、確定申告書の作成コーナーから納付が可能です。
クレジットカードの決済手数料はかかりますが、インターネットで確定申告をしてそのまま納付までできるので、手続きが簡単に終わります。
電子納付を行うケース
所得税を電子決済で納付する場合は、以下の2通りがあります。
ダイレクト納付
事前に「ダイレクト納付利用届出書」を提出することでできる納付方法。
e-Taxを利用して確定申告をしたと同時に指定の銀行口座から引き落とされる(もしくは期日指定で納付できる)
インターネットバンキング
事前に「開始届出書」を提出することでできる納付方法。
登録方式か入力方式いずれかを選択し、インターネットバンキングで納付できる
フリーランスに所得税が発生する分岐点
フリーランスに所得税が発生するのは、所得が48万円を超えた時点からです。所得税の基礎控除で48万円までは差し引かれるので、所得が48万円以下の場合は確定申告をする義務はありません。
「収入-費用」で求められる所得が48万円を超えたら確定申告をして、所得税を納めましょう。
仮に収入が500万円で経費が470万円だった場合は、500-470=30万円の所得なので、所得税は発生しません。
フリーランスは源泉徴収についても押さえておこう
フリーランスの所得税を考えるときに、重要なのが源泉徴収です。
報酬から源泉徴収された金額は税額控除の対象になるので、よく理解しておいてください。
そもそも源泉徴収とは
源泉徴収とは、フリーランスの人が払う所得税を、クライアント側が報酬からあらかじめ差し引いて、代わりに国に納税してくれる制度のことです。
源泉徴収は給与や報酬を支払う側に法律で定められた義務で、フリーランスと業務委託契約をしている場合もクライアント側に徴収義務が発生します。
源泉徴収はざっくりとした計算で報酬から引かれているので、確定申告をして源泉徴収額が多いとわかった場合には還付金として戻ってきます。
フリーランスの報酬で源泉徴収の対象になるものは?
フリーランスの報酬で源泉徴収の対象になるものは、国税庁により以下と定められています。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
引用:国税庁サイト
ライターや講師、士業やスポーツ選手・芸能人・ホステスなどはみなフリーランスです。
フリーランスの人に業務を委託する場合は、報酬を支払う側が源泉徴収する義務があります。フリーランスが請求書を発行する際は、源泉徴収額を記載する欄を作っておくと確定申告などの際に役立つのでおすすめです。
源泉徴収された金額は確定申告で必ず申告する必要がある
源泉徴収は、あらかじめ報酬から所得税が天引きされているのと同じです。確定申告の際に申告しないでいると、源泉徴収と課税所得にかかる税で、同じクライアントからの売上(報酬)に対して二重に所得税を支払うことになります。
確定申告をすることで所得税の二重支払いもなくなり、源泉徴収されすぎていた場合は還付金が戻ってくることもあるので、必ず申告しましょう。
新しいクライアントと契約を結ぶ際には、源泉徴収されているかどうかを確認することが重要です。
まとめ
ここまで、フリーランスが支払う所得税や支払い方、その他の税金や源泉徴収などについて解説してきました。
フリーランスは税金の手続きをすべて自分でやる必要があるので、節税をするためにも正しい税金の知識をもっておくことは大切です。
所得控除や税額控除を上手に使えば所得税を抑えられ、現代ではインターネットで簡潔に納付もできます。
所得が48万円を超えたらきちんと確定申告をして、漏れなく、無駄なく正しい税金を納めてください。
- フリーランスで所得税を払う必要があるのは収入が48万円以上の人
- フリーランスが払う所得税以外の税金は5種類
- 所得控除と源泉徴収(税額控除)を理解して、上手に節税することが大事
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