個人事業主は生計を一にしない家族への給与を経費にできる?具体例やメリットを詳しく解説
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目次
はじめに
個人事業主が家族に給与を支払う際、経費として計上できるのか気になりませんか?
本記事では、生計を一にする家族と生計を一にしない家族に分けて、具体例や手続き、メリットを詳しく解説します。
<この記事を読むメリット>
- 家族への給与が経費になる条件がわかる
- 青色申告と白色申告の違いがわかる
- 生計を一にしない家族のメリットがわかる
- 生計を一にする家族の具体例がわかる
- 扶養控除を受けるための条件がわかる
最後までお読みいただければ、税務処理のポイントが明確になり、税負担の軽減方法が理解できます。さらに、国民健康保険料の節約方法や扶養控除の活用法もわかります。
税金対策に役立つ情報が満載なので、これを機に税金に関する疑問を解消し、個人事業主としての税務処理を最適化しましょう。
家族への給与は経費にできる?
個人事業主は事業にまつわるさまざまな出費を経費として計上できるので、事業の規模によっては一般的な会社員よりも税金を安く抑えることができます。
しかし、経費にできるのはあくまでも「事業に関係のある出費」のみです。
では、家族が従業員として働いている場合、家族に支払う給与は経費として計上できるのでしょうか?
結論からいうと、家族への経費は経費として認められます。
しかしながら、いくつか注意事項もあるので以下で詳しくみていきましょう。
生計を一にする家族の場合
個人事業主と家族が生計を一にしている場合、家族への給与は経費として認められますが、青色申告の届出と青色事業専従者給与に関する届出書が必要になってきます。
また、高額すぎる場合は経費として認められない場合もあります。
青色申告の届出と青色事業専従者給与に関する届出書が必要
生計を一にする家族に給与を支払う場合、まず青色申告をしていることが前提です。
青色申告をしている個人事業主は、「青色事業専従者給与」として家族への給与を経費に計上することができます。
しかし、そのためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。
この届出書は、給与を経費に算入しようとする年の3月15日までに提出しなければなりません
青色申告についても説明しておくと、青色申告とは、日本の個人事業主や法人が所得税や法人税を申告する際に利用できる制度の一つです。
青色申告を行うことで、いくつかの税制上の特典を受けることができます。
青色申告の詳細についてはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ合わせてお読みください。
高額すぎる給与は認められない場合も
青色事業専従者給与を利用する際に注意しなければならないのは、支払う給与の金額です。
給与は、業務に対する対価として適正な金額である必要があります。
具体的には、他の従業員に支払う給与と比較して不相当に高額な場合、その超過部分は経費として認められないことがあります。
税務署は、支払われた給与が業務の内容に見合っているかをチェックします。
そのため、家族に支払う給与が業務内容や他の従業員の給与と比較して適正であることを証明できるようにしておくことが重要です。
生計を一にしない家族の場合
生計を一にしない家族に給与を支払う場合は、手続きが簡単になります。
手続き不要で経費にできる
この場合、給与を経費として計上するための特別な届け出は必要ありません。
例えば、独立して生活している子供や、別居している両親などが該当します。
生計を一にしない家族への給与は、基本的に他の従業員に対する給与と同様に取り扱われます。
つまり、事業に従事している対価として適正な給与を支払っている限り、その給与を経費として計上することが認められます。
このように、生計を一にしない家族に対して給与を支払う場合は、特別な手続きなしで経費として計上できるため、比較的簡単に処理することが可能です。
生計を一にしない家族とは?
先述したように、個人事業主が家族に対して給与を支払っている場合、生計を一にしているかしていないかで手続きの簡便さが変わってきます。
では、この「生計を一にする」とは、具体的にどういう家族のことを指すのでしょうか?
生計を一にする家族の要件
「生計を一にする」とは、日常生活の費用を共同で負担し、経済的に一体となっている状態を指します。
具体的には以下の要件が該当します。
1.同居または別居の有無に関わらない
同じ家で生活している場合だけでなく、別居している場合でも生活費の送金が行われていれば「生計を一にする」と見なされます。
例えば、単身赴任中の夫が家族に生活費を送金している場合などです。
2.生活費を共有している
生活費を共にしていることも重要です。
同じ財布で生活費を負担している場合や、別々に暮らしていても生活費や学費などを送金している場合がこれに該当します。
3.経済的依存関係にある
経済的に一方が他方に依存している関係があることが必要です。
例えば、子供が独立して一人暮らしをしているが、親から仕送りを受けている場合などです。
生計を一にする家族の範囲
「生計を一にする家族」と一言でいっても、家族の在り方はさまざまな形が考えられます。
そのため、生計を一にする家族の範囲についても知っておきましょう。
生計を一にする家族の範囲は以下の通りです。
1.六親等内の血族
六親等内の血族とは、曾祖父母や曾孫までを含む広範な親族関係を指します。もちろん、祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫なども含まれます。
2.三親等内の姻族
三親等内の姻族とは、配偶者の親や兄弟姉妹、その子供たちまでを含む範囲です。
具体的には、義父母、義祖父母、義兄弟姉妹、配偶者の甥姪などが含まれます。
3.配偶者
法律上の婚姻関係にある配偶者も、もちろん生計を一にしているとみなされます。
なお、内縁関係の配偶者は一般的には含まれませんが、税制上の取り扱いによっては内縁関係の配偶者も「生計を一にする」とみなされる場合があります。
生計を一にしない家族の具体例
ここまで、「生計を一にする家族」の具体的な要件と範囲について解説しましたが、いまいちピンと来ない方も多いでしょう。
こういった税務関係の法的文書は、かなり専門的な用語で綴られているので、一般人には理解しづらくなっています。
そこでここからは、わかりやすいように具体的な事例をもとに「生計を一にしない家族」と「生計を一にする家族」はどういったものかみていきましょう。
同じ建物で暮らしているが家計は別々
近年では、同じ建物で暮らしてはいるものの、生計は別々といったケースも多いです。この場合は基本的に「生計を一にしない家族」とみなされます。
例えば、二世帯住宅に住んでいる場合を考えてみましょう。
両親とその子供夫婦が同じ建物内で暮らしているが、それぞれ独立した生活を送っている場合、両親と子供夫婦は別々に家計を管理するのが一般的です。
このような場合、両親と子供夫婦は同じ建物に住んでいても、経済的には独立していると見なされます。
そのため、税法上「生計を一にしない家族」として扱われます。
事実婚や同棲をしている
事実婚や同棲をしているカップルは、法律上の婚姻関係にはないため、「生計を一にする家族」とは見なされません。
例えば、長期間にわたり一緒に暮らしているが、正式な婚姻届を提出していないカップルの場合、「生計を一にしない」とみなされます。
他にも、事実婚や同棲中のカップルが家計を完全に別々に管理している場合、それぞれの収入で家賃や生活費を個別に支払っている場合が多いので、こちらも「生計を一にしない」とみなされます。
なお、この場合は銀行口座も別々にしている必要があります。
ただし、事実婚の場合でも実質的に経済的な依存関係があると判断される場合には、特定の控除が適用されることもあります。
子供が自立して別世帯で生活している
子供が成人し、独立して別世帯で生活している場合、「生計を一にしない家族」として見なされます。
例えば、大学を卒業し就職した子供が一人暮らしを始め、自分の収入で生活費を賄っている場合などです。
このような場合、親からの経済的な援助を受けていない限り、子供は親とは別の経済単位として扱われます。
つまり、親が定期的に仕送りをしていない場合や、子供が自分の収入で家賃、光熱費、食費などをすべて負担している場合、税法上「生計を一にしない」と見なされます。
なお、子供が親からの仕送りに強く依存している場合は、状況に応じて「生計を一にする」と見なされることもあるため、税務署に確認することが重要です。
両親が年金で生活している
両親が年金で生活しており、子供からの仕送りを受けていない場合、「生計を一にしない家族」として扱われます。
例えば、年金を主な収入源として生活している両親が別居している場合、子供からの経済的援助を受けていなければ、両親は独立した経済単位として見なされます。
この場合、両親は自分たちの年金収入で生活費を賄っているため、子供と「生計を一にする」とは言えません。
ただし、両親が生活費を賄えない状況にあり、子供が定期的に仕送りを行っている場合は、「生計を一にする」と見なされる可能性があります。
生計を一にする家族の具体例
次は、「生計を一にする」家族の具体例をみていきましょう。
子供が別世帯で暮らしているが仕送りをしている
子供が別世帯で生活しているが、親から定期的に仕送りを受けている場合、「生計を一にする家族」と見なされます。
例えば、大学を卒業して就職した子供が一人暮らしをしているものの、生活費の一部を親からの仕送りで賄っているケースです。
この場合、親が子供の生活費や学費などを定期的に送金しているため、経済的に依存関係があると見なされます。
税法上、「生計を一にする」と判断されるため、親は子供を扶養家族として申告することができます。
また、子供が自分の収入で生活費を全て賄えない場合や、生活費の大部分を親からの仕送りで補っている場合も、「生計を一にする」と判断されることが多いです。
夫が単身赴任で妻子とは別居している
夫が単身赴任をしており、妻子とは別居している場合は、一見生活費を別々にしているように思えますが、「生計を一にする家族」として扱われます。
例えば、夫が仕事の都合で他の都市に単身赴任している場合、妻子は元の住居に残って生活しているケースです。
この場合、夫が家族に生活費を送金しているため、経済的な一体性が維持されています。
夫婦間や親子間で生活費の負担が行われているため、別居していても「生計を一にする」とみなされます。
なお、生活費の送金を証明するために、銀行の振込明細書や送金記録を保持しておくことが重要です。
生計を一にしない場合のメリット
このように、「生計を一にする」と「生計を一にしない」はさまざまなケースが考えられるため、注意が必要です。
では、「生計を一にする」とみなされる場合とみなされない場合では、何か税制上のメリットはあるのでしょうか?
ここからは、それぞれのメリットについてご紹介します。
国民健康保険料が安くなる可能性
国民健康保険料は、加入者の所得に基づいて計算されるため、生計を一にしないことで保険料が安くなる可能性があります。
生計を一にしない場合、それぞれが独立して所得を申告することになります。
各個人の所得が分散されるため、所得割の部分で計算される保険料が低くなる可能性が高いです。
また、生計を一にしないことで世帯人数が減るため、均等割や平等割の部分も減少します。
例えば、親と子が別世帯として扱われる場合、それぞれが個別に保険料を支払うことになりますが、場合によっては全体として支払う保険料が少なくなることがあります。
なお、個人事業主の国民健康保険の詳細についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
生計を一にする場合のメリット
続いて、「生計を一にする」場合のメリットについてみていきましょう。
扶養控除を受けられる
個人事業主が家族と生計を一にすることで得られる最大のメリットの一つは、「扶養控除」を受けられることです。
扶養控除とは、所得税の計算において扶養親族の人数に応じて所得から控除される制度で、結果的に税金の負担が軽減されます。
例えば、16歳以上の親族や配偶者の親族が扶養親族として認められた場合、一人あたり38万円の控除が適用されます。
これにより、課税対象となる所得が減少し、納税額も減ることになります。
扶養親族が多いほど控除額も増えるため、税負担を大幅に軽減することが可能です。
なお、扶養控除を受けるためには扶養親族の年間所得が48万円以下であること、生計を一にしていることなどの条件を満たす必要があります。
これらの条件をクリアすることで、個人事業主は税制上の大きなメリットを享受できるのです。
扶養親族の条件
扶養控除を受けるためには、扶養親族がいくつかの条件を満たしていなければなりません。
16歳以上であること
扶養控除を受けるためには、扶養親族が16歳以上であることが必要です。
これは、税法上、扶養親族として認められる年齢が16歳以上に設定されているためです。
例えば、高校生や大学生の子供が扶養親族として認められ、扶養控除の対象となります。
16歳未満の子供は税法上の扶養親族としては認められないため、控除の対象にはなりません。
あなたの親族の場合は6親等内、配偶者の親族の場合は3親等以内であること
扶養親族として認められるためには、親族関係が一定の範囲内にある必要があります。
具体的には、あなた自身の親族であれば6親等内、配偶者の親族であれば3親等内であることが条件です。
<あなたの親族の場合(6親等内)>
- 1親等:父母、子
- 2親等:祖父母、孫、兄弟姉妹
- 3親等:曾祖父母、曾孫、おじ、おば、甥、姪
- 4親等:高祖父母、玄孫、いとこ、甥姪の子
- 5親等:高祖父母の親、おじおばの孫、いとこの子
- 6親等:高祖父母の祖父母、おじおばの曾孫、いとこの孫
<配偶者の親族の場合(3親等内)>
- 1親等:配偶者の父母
- 2親等:配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹
- 3親等:配偶者の曾祖父母、配偶者の甥姪
この範囲内であれば、扶養親族として認められ、扶養控除の対象となります。
生計を一にすること
扶養親族は、あなたと「生計を一にしている」状態でないといけません。
ここまで何度も説明してきたように、同居している場合や、別居していても生活費や学費を送金している場合などがこれに該当します。
同じ家で暮らしている場合はもちろん、遠方に住んでいる家族に定期的に仕送りをしている場合も「生計を一にする」と見なされるのが一般的です。
この条件を満たすことで、扶養親族として認定されて扶養控除を受けることができます。
なお、生計を一にしていることを証明するために、送金記録などが必要になることもあります。
扶養を受ける人の合計所得金額が48万円以下(年収103万円以下)であること
扶養親族として認められるためには、その親族の年間合計所得金額が48万円以下であることが必要です。
具体的には、給与収入の場合は年収103万円以下であることが条件です。
この基準は、扶養親族が自立して生活できるだけの収入を持たないことを示すために設けられています。
例えば、アルバイトをしている学生や、パートタイムで働く親族がこの条件に該当します。
所得が48万円を超える場合、その親族は扶養親族として認められず、扶養控除を受けることができません。
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まとめ
本記事では、個人事業主が家族に給与を支払う際に経費として計上する方法や、そのための手続き、メリットについて詳しく解説しました。
個人事業主が家族に給与を支払っている場合、家族との生計関係によって異なる対応が求められるので、適切な手続きを行うことが重要です。
個人事業主にとって、家族への給与を経費として計上できることは、税負担を軽減する大きなメリットです。
ただし、税法は毎年新しいものが追加されたりまたは変更されたりします。
そのため、今後も税法の変更や新しい制度に注目し、最適な税務処理を行うことが求められます。
本記事を通じて、個人事業主の皆さんが税金対策を効果的に行い、事業の健全な運営に役立てていただければ幸いです。
「エンジニアスタイルマガジン」では、今後もこういったフリーランスエンジニアにとって役立つ最新情報を随時お届けいたします。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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