SREにオススメな7つの資格と差別化できるスキルとは
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目次
SREという職種が生まれた背景とは
まずはSREという職種が生まれた背景について解説していきます。
SREが生まれた背景・求められている背景
以下のような背景が考えられます。
大規模なシステムの運用課題
近年、テクノロジー企業や大規模なオンラインサービスは、膨大なユーザーベースとデータを持つようになりました。これに伴い、システムのダウンタイムや障害が発生した際の影響も大きくなりました。このような状況下で、システムの信頼性や可用性を維持するための新しいアプローチが求められました。
DevOpsの限界
DevOpsは開発と運用の連携を強化するアプローチとして注目されましたが、具体的な実践方法やツール、指標などが明確に定義されていない点が課題となっていました。SREは、DevOpsの抽象的な概念を具体的な実践や指標に落とし込む方法として考案されました。
Googleの実践からの学び
SREはGoogleでの実践から生まれました。Googleは大規模なシステムを持ち、高い信頼性と新機能の迅速なリリースが求められていました。このバランスを取るために、SREという新しい役割とアプローチが導入されました。
自動化と標準化の重要性
手動の運用作業はエラーが発生しやすく、スケーラビリティにも限界があります。SREは、運用タスクの自動化と標準化を中心に据え、これによりシステムの信頼性を向上させることを目指しています。
ビジネス価値の向上
システムのダウンタイムや障害は、ビジネスに大きな損失をもたらす可能性があります。SREは、システムの信頼性を確保することで、ビジネス価値を最大化することを目的としています。
総じて、SREは現代のIT環境におけるシステムの複雑さ、変動性、およびビジネスへの影響を考慮して、より信頼性の高い、効率的なシステム運用を実現するためのアプローチとして生まれ、求められています。
SREとインフラエンジニアの違い
それぞれ解説します。
SRE(Site Reliability Engineering)
SREは、Googleが提唱した役職で、システムの信頼性やスケーラビリティを確保することを主な目的としています。
具体的には、システムのダウンタイムや障害を最小限に抑えるための自動化や監視の強化を行います。
例えば、あるWebサービスが突然のトラフィックの増加によりダウンした場合、SREはその原因を特定し、将来的な同様の問題を防ぐためのシステムの改善や自動スケーリングの導入を行います。
また、SREは「エラーバジェット」という考え方を取り入れ、システムのダウンタイムの許容範囲を定義し、それを超えないように運用を行います。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、物理的なサーバーやネットワーク、クラウドリソースなどのインフラストラクチャを設計、構築、運用する役職です。
具体的には、新しいサーバーの導入やネットワークの設計、クラウドサービスの選定と導入などを行います。
例えば、新しいアプリケーションのリリースに伴い、データベースのパフォーマンスが要求される場合、インフラエンジニアは適切なデータベースサーバーの選定や設定、ネットワークの最適化を行います。
要するに、SREはシステムの信頼性を中心に、インフラエンジニアはインフラストラクチャの物理的・論理的な側面を中心に活動します。しかし、現代のIT環境では、これらの役職の境界は曖昧になりつつあり、多くの企業では両方の役割を兼ね備えたエンジニアが求められています。
SREの5つの役割
SREの5つの役割について解説していきます。
組織のサイロ化を削減・改善
SREは、開発チームと運用チームの間のギャップを埋める役割を果たします。
具体的には、開発チームが新しい機能を迅速にリリースする一方で、運用チームはシステムの安定性を確保することを重視するため、両者の間に摩擦が生じることがあります。
SREは、このような摩擦を最小限に抑えるために、両者のコミュニケーションを促進し、共通の目標を設定します。
例えば、エラーバジェットの導入により、開発と運用の間で許容されるエラーの範囲を共有し、それを超えないように協力することが求められます。
ツールと自動化
SREは、手動の作業を最小限に抑えるために、ツールの導入や作業の自動化を積極的に進めます。
例えば、システムの監視ツールを導入して、異常を自動的に検出し、その結果を通知する仕組みを構築します。
また、デプロイメントの自動化ツールを使用して、新しいバージョンのアプリケーションを迅速かつ安全にリリースするプロセスを確立します。
緊急インシデント対応
緊急インシデント対応: システムに障害が発生した場合、SREは迅速に対応し、原因を特定して修復します。
具体的には、障害の発生を検出するための監視ツールを使用し、障害の原因を追跡するためのロギングシステムを導入します。
また、障害が発生した場合の対応手順を事前にドキュメント化しておき、迅速な対応を可能にします。
変更管理
SREは、システムの変更を管理し、その影響を最小限に抑える役割を果たします。
例えば、新しいバージョンのアプリケーションをリリースする前に、ステージング環境でのテストを徹底的に行い、本番環境での影響を予測します。
また、変更のロールバック手順を事前に準備しておくことで、問題が発生した場合に迅速に対応できるようにします。
ITインフラストラクチャ管理
ITインフラストラクチャ管理: SREは、ITインフラストラクチャの設計、構築、運用を担当します。
具体的には、システムのスケーラビリティや耐障害性を確保するためのアーキテクチャの設計や、クラウドリソースの適切な選定、ネットワークの最適化など、システムの安定性を確保するための様々なタスクを実施します。
SREには資格が必要?
SRE (Site Reliability Engineering) の役割は、システムの信頼性、スケーラビリティ、およびパフォーマンスを確保することに重点を置いています。この役割は、深い技術的知識と経験を必要とするため、資格はその能力の証明として非常に有用です。
SREが資格を獲得する5つのメリット
SREが資格を獲得する5つのメリットについて解説していきます。
スキルの証明になる
資格は、特定の技術やツールに関する知識とスキルを持っていることの公的な証明となります。例として、Certified Kubernetes Administrator は、Kubernetesの運用に関する深い知識と経験を持っていることを示す資格です。このような資格を取得することで、雇用者やクライアントに対して自身の専門性を明確に示すことができます。
資格手当が出る
多くの企業は、従業員が新しいスキルや知識を習得することを奨励しています。そのため、資格を取得した際には、資格手当やボーナスを提供する場合があります。例えば、大手IT企業では、AWSやGCPの資格を取得すると、数十万円の資格手当が支給されることがあります。
クラウドなどの開発・運用に関する知識を体系的に身につけられる
資格試験の学習は、その分野における最新のベストプラクティスや技術トレンドを追う絶好の機会となります。例えば、AWS Certified Solutions Architect の資格を取得する過程では、AWSの各種サービスやアーキテクチャ設計のベストプラクティスについて深く学ぶことができます。
年収アップにつながる
資格は、給与交渉や転職活動の際の強力な武器となります。特に、クラウドやディープラーニングなどの需要の高い分野の資格を持っていると、平均的な年収よりも高い給与を提示されることが一般的です。
キャリアアップにつながる
資格は、専門的なキャリアパスを示す指標としても機能します。セキュリティ専門家やデータエンジニアなど、特定の分野に特化した役職を目指す際に、関連する資格を持っていることは大きなアドバンテージとなります。
SREの資格を選ぶ際に知っておきたい3つのポイント
SREの資格を選ぶ際に知っておきたい3つのポイントについて解説していきます。
初心者は難易度の高い資格は選ばず、汎用的な資格から学習する
SREに関連する資格は多岐にわたり、それぞれの資格には異なる難易度や専門性があります。初心者がいきなり高度な資格を目指すと、学習のハードルが高くなり、挫折のリスクが高まる可能性があります。
例えば、クラウド技術に関する資格を考えると、AWS Certified Solutions Architect – Associateは、AWSの基本的なサービスやアーキテクチャの知識を問う初級の資格です。
これに対して、AWS Certified DevOps Engineer – Professionalは、DevOpsの専門的な知識や経験を要求される上級の資格です。
初心者は、まずAssociateレベルの資格から取り組むことで、基礎をしっかりと身につけることができます。
取得した先で、その資格がどのように役立つかを考える
取得した先で、その資格がどのように役立つかを考える: 資格を取得する目的は、単に資格を持っていること自体ではなく、それを活かしてどのように自分のキャリアや業務に貢献できるかを考えることが重要です。
例えば、現在の職場やプロジェクトでKubernetesの導入や運用を検討している場合、Certified Kubernetes AdministratorやCertified Kubernetes Application Developerのような資格を取得することで、具体的な業務の中でその知識やスキルを活かすことができます。
需要の高い・トレンドになっている資格を選ぶ
需要の高い・トレンドになっている資格を選ぶ: IT業界は常に変化しており、新しい技術やツールが次々と登場しています。そのため、現在のトレンドや需要を考慮して資格を選ぶことが重要です。
例えば、近年、マイクロサービスアーキテクチャやコンテナ技術が注目されているため、DockerやKubernetesに関する資格は非常に需要が高まっています。
また、クラウド技術の普及に伴い、AWSやAzure、GCPの資格も引き続き人気があります。トレンドを把握するためには、業界のニュースや情報、求人情報などを定期的にチェックすることがおすすめです。
SREは取得しておきたい2つのベース資格
SREは取得しておきたい2つのベース資格について解説していきます。
基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験は、情報技術の基礎知識を問う国家試験です。
試験内容は、プログラミングの基礎、ネットワーク、データベース、ハードウェア、アルゴリズムなど、ITの幅広い領域にわたります。
具体的には、C言語やJavaを用いたプログラムの読解や、リレーショナルデータベースの正規化、OSの役割や機能、ネットワークのプロトコルやトポロジなどの問題が出題されます。
SREとしては、システムのトラブルシューティングや最適化を行う際に、これらの基礎知識が非常に役立ちます。
- 試験日:2023年3月15日(水)10時より
- 料金:7,500円
- 公式サイト:基本情報技術者試験(FE)
応用情報処理技術者試験(AP)
応用情報処理技術者試験は、情報技術の応用知識を問う国家試験で、基本情報技術者試験よりも一段階上の難易度となっています。試験内容は、システム開発のプロセスや手法、プロジェクトマネジメント、高度なプログラミング技術、セキュリティ、ネットワーク設計など、実務でのIT活用に関する深い知識が求められます。
具体的には、アジャイル開発やウォーターフォールモデル、ITガバナンス、クラウドコンピューティングの特徴や利点、セキュリティ対策の手法などが出題されます。SREとしては、システムの安定運用や改善提案を行う際に、これらの応用知識が必要となります。
- 試験日:4月の第3日曜日あたり(春期試験)、10月の第2日曜日あたり(秋期試験)
- 料金:7,500円
- 公式サイト:応用情報処理技術者試験(AP)
Linux技術者認定
Linux技術者認定は、Linux OSに関する知識や技術を証明する資格です。具体的には、Linuxのインストールや設定、システム管理、ネットワークの設定、セキュリティの設定など、Linux環境での実務経験が問われます。
例えば、LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、国際的に認知されているLinux技術者認定の一つで、初級から上級までの3レベルの試験があります。SREとしては、多くのシステムがLinux環境で動作しているため、Linuxの深い知識や技術は必須となります。
- 試験日:随時実施
- 料金:16,200円(レベル1・2)、32,400円(レベル3)
- 公式サイト:Linux技術者認定
SREにオススメしたい資格
SREにオススメしたい資格について解説していきます。
EXIN DevOps Professional
EXIN DevOps Professionalは、DevOpsの原則と実践に関する深い知識と理解を証明する資格です。
DevOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の連携を強化し、ソフトウェアのリリースと運用を迅速かつ効率的に行うためのアプローチです。この資格を取得することで、CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)のツールや手法、インフラストラクチャの自動化、テスト戦略、監視とロギングの実践に関する知識を持っていることが証明されます。
具体的な例として、JenkinsやDockerを使用した自動デプロイの設定や、Kubernetesを用いたコンテナオーケストレーションの最適化などのスキルが求められます。SREとしては、システムの安定性と効率性を向上させるための実践的な知識がこの資格を通じて得られます。
- 試験日:2024年05月20日~2024年05月21日、2024年07月24日~2024年07月25日
- 料金:176,000円
- 公式サイト:EXIN DevOps Professional
Cisco Certified DevNet Associate
Cisco Certified DevNet Associateは、Ciscoのネットワーク技術とソフトウェア開発のスキルを組み合わせた新しい資格です。
この資格は、ネットワークの自動化やAPIの利用、アプリケーションの開発とデプロイ、セキュリティの実装など、ネットワーク技術者とソフトウェア開発者の間のギャップを埋めることを目的としています。
具体的には、Ciscoのネットワーク機器のAPIを使用して、ネットワークの設定や監視を自動化するスキルが求められます。SREとしては、ネットワークのトラブルシューティングや最適化を効率的に行うための実践的な知識がこの資格を通じて得られます。
- 試験日:随時実施
- 料金:33,600
- 公式サイト:Cisco Certified DevNet Associate
LinuC
LinuCは、Linuxの知識と技術を証明する日本の資格です。
この資格は、初級から上級までの3レベルの試験があり、Linuxの基本的な操作からシステム管理、ネットワークの設定、セキュリティの設定など、幅広い知識が問われます。
具体的には、シェルスクリプトの作成や、ApacheやNginxなどのWebサーバーの設定、iptablesやfirewalldを使用したファイアウォールの設定などのスキルが求められます。SREとしては、Linux環境でのシステムの安定運用やトラブルシューティングのスキルがこの資格を通じて向上します。
- 試験日:随時実施
- 料金:16,500円
- 公式サイト:LinuC
クラウドサービスの認定資格(AWS・Azure・GCP)
クラウド技術は現代のITインフラの中核を成しており、SRE(Site Reliability Engineering)としての役割は、これらのクラウド環境でのシステムの信頼性や効率性を確保することに重点を置いています。以下は、SREとしてのキャリアを強化するための主要なクラウドサービスの認定資格に関する詳細です。
AWS(Amazon Web Services)
AWSは、クラウドコンピューティングの分野でのリーダーとして広く認識されています。AWS Certified Solutions Architect – Associateは、AWSの基本的なサービスとアーキテクチャの知識を証明する資格です。
具体的には、高可用性、コスト効率、セキュリティを考慮したシステムの設計や構築の能力を評価されます。例えば、EC2やS3などの基本的なサービスを使用して、耐障害性の高いWebアプリケーションのアーキテクチャを設計するスキルが求められます。
- 試験日:随時実施
- 料金:16,500円
- 公式サイト:AWS Certified Solutions Architect
Azure(Microsoft Azure)
Azureは、Microsoftのクラウドプラットフォームで、多くの企業がビジネスアプリケーションを実行するために使用しています。
Azure Solutions Architect Expertは、Azureのサービスを使用して、スケーラブルで信頼性の高いアプリケーションやデータソリューションを設計・実装する能力を証明する資格です。
具体的には、Azureの仮想マシンやストレージ、ネットワークの最適な設定や、Azure Active Directoryのようなセキュリティサービスの適切な利用方法などが評価の対象となります。
- 試験日:随時実施
- 料金:21,103円
- 公式サイト:Azure Solutions Architect Expert
GCP(Google Cloud Platform)
GCPは、Googleが提供するクラウドサービスで、データ分析や機械学習などの先進的なサービスを提供しています。
Professional Cloud Architectは、GCP上でのソリューションの設計、開発、管理を行う能力を証明する資格です。具体的には、Google Kubernetes EngineやBigQueryなどのサービスを使用して、高性能でセキュアなアプリケーションやデータソリューションを設計・実装するスキルが評価されます。
- 試験日:実施会場ごとに異なる
- 料金:$200
- 公式サイト:Professional Cloud Architect
SREとして差別化できるスキル
SREとして差別化できるスキルについて解説していきます。
ミドルウェアやWebアプリケーションなどの開発経験
SREとしての役割は、システムの安定性や効率性を確保することですが、ミドルウェアやWebアプリケーションの開発経験があると、問題の原因を特定しやすくなります。
例えば、Webアプリケーションのレスポンスが遅い場合、開発経験があれば、データベースのクエリの最適化やキャッシュの利用方法、アプリケーションのアーキテクチャの問題点など、具体的な原因を迅速に特定し、適切な対応を行うことができます。
大規模サービスの開発、運用経験
大規模なサービスを運用する際には、トラフィックの増加やデータの増加に伴う様々な問題が発生します。
例えば、Black FridayやCyber Mondayなどの大規模なセール時に、サイトがダウンしてしまうと、大きな損失となります。大規模サービスの運用経験があると、このようなピーク時のトラフィックにも対応できるようなスケーラビリティのあるシステム設計や、障害発生時の迅速な対応策を持っていることが期待されます。
クラウド構築・運用スキル
近年、多くの企業がクラウドへの移行を進めており、AWSやAzure、GCPなどのクラウドサービスのスキルは非常に価値があります。
例えば、AWSのEC2やRDSを使用して、高可用性のあるシステムを構築した経験や、GCPのBigQueryを使用して大量のデータを高速に分析した経験などは、SREとしての価値を高めます。
オペレーション自動化・効率化の経験
システムの安定性を確保するためには、ルーチンワークや手動のオペレーションを極力減らすことが重要です。
例えば、AnsibleやTerraformを使用して、インフラのコード化や自動デプロイを行った経験、JenkinsやGitLab CIを使用してCI/CDパイプラインを構築した経験などは、SREとしての効率的なオペレーションを実現するための重要なスキルとなります。
監視・モニタリング環境の構築
システムの障害やパフォーマンスの低下を迅速に検知し、対応するためには、効果的な監視・モニタリング環境の構築が不可欠です。
例えば、PrometheusやGrafanaを使用して、システムのメトリクスを収集し、ダッシュボードで可視化した経験や、ELKスタック(Elasticsearch, Logstash, Kibana)を使用して、ログの集約と分析を行った経験などは、SREとしての高度な監視・モニタリングスキルを持っていることを示します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、SREにオススメな7つの資格と差別化できるスキルとはについて解説してきました。
SREは、Googleが提唱した役職で、システムの信頼性やスケーラビリティを確保することを主な目的としており、システムのダウンタイムや障害を最小限に抑えるための自動化や監視の強化を行います。
これらの業務を行う上でこの記事で紹介してきた資格は非常に有用といえます。
自分が作業する業務内容、現場の状況によってもどの資格が有効になるかは異なるため、ご自身でも一度調べてみることをおすすめします。
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