SREは知っておきたいツール一覧をカテゴリ別に紹介
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目次
SREという職種が生まれた背景と役割とは
SREという職種が生まれた背景と役割について解説していきます。
SREが生まれた背景・求められている背景
SRE、またはSite Reliability Engineeringは、特定の技術的課題に対処するためにGoogleによって生み出されたものです。近年のデジタルトランスフォーメーションの波に乗り、多くの企業がデジタルサービスを提供するようになりました。
例として、Eコマースの巨大プラットフォームやSNSサービスなどが挙げられます。これらのサービスは、24時間365日、何千万、何億というユーザーにサービスを提供し続ける必要があります。
このような背景の中、従来のシステム運用手法では、高い信頼性と効率性を両立させることが難しくなってきました。
特に、新しい機能の迅速なリリースと、その機能がもたらす予期せぬ問題や障害への対応が求められる中、SREのアプローチが必要とされるようになりました。
SRE と DevOps の違い
SREとDevOpsは、両者ともに開発と運用のギャップを埋めるためのアプローチとして注目されていますが、そのアプローチの方法や焦点が異なります。
DevOpsは、開発と運用の連携を強化し、迅速なリリースと高いサービス品質を実現するための文化や哲学として捉えられています。
一方、SREはGoogleの具体的な経験から生まれた、信頼性を確保しつつ迅速に新機能をリリースするための実践的な手法として位置づけられています。
具体的には、SREはサービスの信頼性を数値的な指標、例えばエラーレートやダウンタイムの時間などのSLI(Service Level Indicator)を設定し、これを達成するための具体的なタスクや自動化を推進します。
一方、DevOpsはより広範な視点で、組織全体の文化やプロセスの変革を目指しています。
このように、SREはDevOpsの理念を具体的な実践として取り入れ、システムの信頼性を確保するための具体的な方法論を提供しています。
SREがプロジェクトを成功させる上で必要なこと
SREがプロジェクトを成功させる上で必要なことについて解説していきます。
SREの重要性と役割を明確にする
SRE(Site Reliability Engineering)の役割は、システムの信頼性、可用性、パフォーマンスを最適化することです。
具体的な例として、ある大手Eコマース企業がブラックフライデーのような大規模なセールイベントを控えている場合、サイトのダウンタイムは大きな損失をもたらす可能性があります。
このような状況でSREの役割は、事前にシステムのストレステストを行い、ピーク時のトラフィックに耐えられるかを確認することです。また、万が一の障害発生時には迅速に対応し、原因を特定して修正することも求められます。
このように、SREの役割と重要性を明確にすることで、プロジェクトの成功に直結するタスクを効果的に実行することができます。
SREチームのビジョンを設定する
ビジョンは、チームが目指す方向性や目標を示すものです。
例えば、SREチームのビジョンとして「99.99%のサービス可用性を実現し、ユーザーに最高のエクスペリエンスを提供する」と設定することが考えられます。
このビジョンをもとに、具体的なKPIや目標を設定し、それを達成するための戦略やタスクを洗い出すことができます。
ビジョンが明確であれば、チームのメンバー全員が同じ方向を向いて努力することができ、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
自動化の機会を見逃さない
SREの主要な目標の一つは、ルーチンワークの自動化を通じてシステムの信頼性を向上させることです。
例として、定期的に行われるバックアップ作業や、システムのヘルスチェック、ログの分析などが挙げられます。これらのタスクを手動で行うと、ヒューマンエラーや作業の遅延が発生するリスクが高まります。
しかし、これらのタスクを自動化することで、作業の効率化やエラーのリスクを大幅に削減することができます。
そのため、SREは日常の業務の中で自動化の機会を常に探し、それを実現するためのツールやスクリプトの開発に取り組むことが求められます。
SREが使用する4つの一般的ツール
SREが使用する4つの一般的ツールについて解説していきます。
コンテナオーケストレーター
コンテナオーケストレーターは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイメント、スケーリング、運用を自動化するためのツールです。
具体的な例として「Kubernetes」が挙げられます。例えば、Eコマースサイトがセールイベント中に大量のトラフィックを予想する場合、Kubernetesを使用して、必要に応じてサービスを自動的にスケールアップ・ダウンさせることができます。
また、ノードの障害が発生した場合でも、自動的に新しいノードにサービスを移行させることでダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このように、コンテナオーケストレーターはSREの業務を大幅に効率化し、システムの信頼性を向上させる役割を果たします。
オンコール管理ツール
オンコール管理ツール オンコール管理ツールは、システムの障害や異常が発生した際に、担当者に迅速に通知するためのツールです。
具体的な例として「PagerDuty」や「Opsgenie」が挙げられます。例えば、金融サービスのバックエンドシステムでデータベースの障害が発生した場合、PagerDutyを使用して、データベースの管理者やSREチームにリアルタイムでアラートを送信することができます。
これにより、障害の発生から復旧までの時間を大幅に短縮することができます。また、オンコールスケジュールの管理やエスカレーションポリシーの設定など、障害対応のワークフローを効率的に管理する機能も提供されています。
インシデント対応ツール
インシデント対応ツールは、システムの障害やセキュリティインシデントが発生した際の対応を支援するツールです。
具体的な例として「JIRA Service Management」や「ServiceNow」が挙げられます。例えば、オンラインゲームサービスでサーバーの障害が発生した場合、JIRA Service Managementを使用して、障害の詳細情報や対応状況をリアルタイムで共有することができます。
また、障害の原因分析や復旧手順のドキュメント化、関連するタスクのトラッキングなど、インシデント対応の全プロセスを一元的に管理することができます。これにより、SREチームは迅速かつ効率的に障害対応を行うことができます。
設定管理ツール
設定管理ツールは、大規模なシステムの一貫性と信頼性を維持するための鍵となるツールです。これは、数百台、あるいは数千台のマシンを手動で管理するのではなく、ソフトウェアを使用してこれらのマシンを一元的に管理することが、持続可能で効率的であるという考えに基づいています。
設定管理ツールを使用することで、SREはシステムの状態を一貫して維持し、変更を迅速かつ確実にデプロイすることができます。これにより、開発チームから頻繁な更新があっても、ソフトウェアアプリケーションの信頼性を維持することが可能となります。
また、設定管理ツールは、システムの変更履歴を追跡し、問題が発生した場合に原因を特定しやすくする機能も提供しています。
SREは知っておきたいプロジェクト管理ツール
SREは知っておきたいプロジェクト管理ツールについて解説していきます。
JIRA
JIRAは、Atlassian社が提供するプロジェクト管理および課題追跡ツールです。SREチームが日常的に取り組むタスクの管理や、インシデント対応の進捗追跡に役立ちます。
例えば、あるWebサービスでパフォーマンスの低下が発生した場合、JIRAを使用してその問題を「課題」として登録し、関連する情報や対応状況をリアルタイムで共有することができます。
また、JIRAのダッシュボード機能を活用することで、複数のプロジェクトやタスクの進捗状況を一覧表示し、優先順位や期限に基づいてタスクを整理・管理することができます。
さらに、JIRAはAPIを提供しており、自動化ツールや監視システムと連携して、自動的に課題を登録するなどのカスタマイズが可能です。このように、JIRAはSREチームが効率的に業務を進めるための強力なサポートツールとなります。
Pivotal Tracker
Pivotal Trackerは、アジャイル開発を中心としたプロジェクト管理ツールです。SREチームが新しい機能の開発や改善タスクを進める際に、タスクの進捗管理やチームのコラボレーションをサポートします。
例えば、システムの自動化を強化するための新しいツールの開発プロジェクトがある場合、Pivotal Trackerを使用してそのプロジェクトの「ストーリー」や「タスク」を登録し、開発の進捗を可視化することができます。
また、Pivotal Trackerの特徴的な機能として「バーンダウンチャート」があり、これを利用することでプロジェクトの進捗状況や完了予定日を一目で確認することができます。さらに、コメント機能や通知機能を活用することで、チームメンバー間のコミュニケーションをスムーズに行うことができます。
このように、Pivotal TrackerはSREチームがプロジェクトを効率的に進めるための有効なツールとなります。
SREは知っておきたい開発・ソース管理ツール
SREは知っておきたい開発・ソース管理ツールについて解説していきます。
GitHub
GitHubは、ソフトウェア開発者がソースコードをホスティングし、バージョン管理を行うためのプラットフォームです。Gitという分散バージョン管理システムをベースにしており、開発者はリモートリポジトリにコードをプッシュしたり、他のリポジトリからコードをクローンすることができます。
具体的な例として、SREが新しい機能やバグ修正を行う際、GitHubの「ブランチ」機能を使用して、メインのコードベースから分岐した独自の作業スペースを作成します。作業が完了したら、その変更を「プルリクエスト」としてメインのコードベースに統合することを提案します。
このプロセスを通じて、チームメンバーはコードの変更をレビューし、フィードバックを提供することができます。また、GitHubは「Actions」というCI/CD機能も提供しており、コードの変更がリポジトリにプッシュされるたびに自動的にテストやデプロイを行うことができます。
Subversion
Subversion(通常、SVNとして知られている)は、集中型のバージョン管理システムであり、多くの開発者が一元的なリポジトリでソースコードの変更を追跡するために使用します。
具体的な例として、SREがシステムの設定ファイルやスクリプトの変更を行う際、Subversionを使用してその変更履歴をリポジトリにコミットします。他のチームメンバーは、このリポジトリから最新のコードをチェックアウトして作業を行ったり、過去のバージョンを参照することができます。
また、Subversionは「ブランチ」と「タグ」の概念を持っており、特定のリリースや機能の開発を分岐して管理することができます。
Subversionの主な特徴として、アトミックコミット(一連の変更がすべて成功するか、すべて失敗するかのどちらか)や、ファイルやディレクトリの名前変更、移動が履歴を保持したまま行える点が挙げられます。
SREは知っておきたいCI / CDツール
SREは知っておきたいCI / CDツールについて解説していきます。
Jenkins
Jenkinsは、オープンソースのCI/CDツールであり、自動化されたビルド、テスト、デプロイメントのプロセスを実現するためのスタンダードとして広く採用されています。SREがシステムの安定性や効率を追求する中で、Jenkinsはその中心的な役割を果たします。
例えば、新しいコードがリポジトリにプッシュされるたびに、Jenkinsは自動的にそのコードをビルドし、テストを実行し、問題がなければ本番環境にデプロイします。
また、Jenkinsのプラグインエコシステムは非常に豊富で、Dockerの統合やKubernetesとの連携、さまざまな通知ツールとの統合など、多岐にわたるタスクを自動化することができます。
このような柔軟性と拡張性により、SREはJenkinsを使用してカスタマイズされたCI/CDパイプラインを構築し、システムの信頼性と効率を向上させることができます。
CircleC
CircleCIは、クラウドベースのCI/CDサービスであり、GitHubやBitbucketといったリポジトリとシームレスに統合され、コードの変更ごとに自動的にビルドやテストを実行します。
SREが迅速にフィードバックを受け取り、問題を早期に検出するために、CircleCIはその高速な実行環境と簡単な設定が魅力となります。
例えば、.circleci/config.ymlという設定ファイルをリポジトリに追加するだけで、ビルドやテストのプロセスを定義し、CircleCIがそれを自動的に実行します。また、DockerやKubernetesとの統合、カスタムワークフローの定義、パラレル実行によるビルド速度の向上など、SREが求める高度な機能もサポートしています。
このように、CircleCIはSREが効率的かつ迅速にCI/CDプロセスを実現するための強力なツールとなります。
その他SREは知っておきたいツール
その他SREは知っておきたいツールについて解説していきます。
Rake
Rakeは、Rubyのビルドツールであり、タスクの自動化ツールとしても使用されます。SREがシステムの設定やデプロイメントを自動化する際に、Rakeタスクを定義して一連の手順をスクリプト化することができます。
例えば、データベースのマイグレーションやバックアップ、ログのローテーションなどの定期的な作業をRakeタスクとして定義し、自動実行することができます。
また、RakeはDSL(ドメイン固有言語)を使用してタスクを定義するため、読みやすく、メンテナンスも容易です。SREがRubyの環境で作業する際、Rakeはその効率的な作業をサポートする強力なツールとなります。
JFrog
JFrogは、ソフトウェアのリリース管理やバイナリリポジトリの管理をサポートするツール群を提供しています。中でも「Artifactory」は、バイナリリポジトリマネージャとして知られ、SREがソフトウェアの成果物や依存関係を一元的に管理する際に役立ちます。
例えば、マイクロサービスの各コンポーネントやDockerイメージ、ライブラリなどをArtifactory内でバージョン管理し、必要に応じて取得・デプロイすることができます。これにより、一貫性のある環境構築や迅速なデプロイメントが可能となります。
Apache Maven
Apache Mavenは、Javaのプロジェクト管理とビルド自動化ツールです。SREがJavaベースのアプリケーションやシステムのビルド・デプロイを行う際に、Mavenを使用して依存関係の管理やライフサイクルの管理を効率的に行うことができます。
例えば、特定のライブラリのバージョンを指定して依存関係を解決したり、テストやパッケージング、デプロイメントなどの一連のビルドプロセスを自動化することができます。
XebiaLabs
XebiaLabsは、エンタープライズ向けのDevOpsおよび継続的デリバリーソリューションを提供しています。SREが大規模なインフラや複雑なアプリケーションのデプロイメントを効率的に行う際に、XebiaLabsのツールを使用してプロセスの自動化や可視化を実現することができます。
例えば、マルチクラウド環境でのアプリケーションのデプロイメントや、複数のミドルウェア・サービス間の依存関係の管理など、複雑なタスクを一元的に管理・実行することができます。
Teraform
Terraformは、HashiCorpが開発した「Infrastructure as Code」ツールであり、クラウドリソースのプロビジョニングと管理を自動化するためのものです。
SREがインフラストラクチャの変更や拡張を行う際、Terraformを使用すると、コードベースでインフラを定義・変更・適用することができます。
具体的な例として、AWSのEC2インスタンスやRDS、GCPのCompute EngineなどのリソースをTerraformの設定ファイルに記述し、terraform applyコマンドを実行することで、これらのリソースを自動的に作成・更新することができます。
このように、Terraformを使用することで、SREはインフラの変更を迅速かつ確実に行うことができるようになります。
Ansible
Ansibleは、自動化ツールの一つで、設定管理やアプリケーションのデプロイ、タスクの自動化などを行うことができます。SREがシステムの設定やアップデートを一貫して行う際、Ansibleの「Playbook」という設定ファイルを使用して、複数のサーバーに対して一括で操作を行うことができます。
例えば、Webサーバーの設定変更やセキュリティパッチの適用などをAnsibleのPlaybookに記述し、一度のコマンドで複数のサーバーに適用することができます。このように、Ansibleを使用することで、SREはシステムの管理を効率的に行うことができます。
Kubernetes
Kubernetes(通常、K8sとも呼ばれる)は、コンテナオーケストレーションツールであり、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するためのものです。
SREがマイクロサービスアーキテクチャを採用する際、Kubernetesを使用すると、サービスのスケーリングやローリングアップデート、サービスの発見と負荷分散などのタスクを自動化することができます。
例えば、トラフィックの増加に応じて自動的にサービスのインスタンスを増減させる、または新しいバージョンのアプリケーションを段階的にデプロイするといったことが、Kubernetesの設定ファイルを使用して簡単に行うことができます。
Mesosphere
Mesosphereは、大規模なデータセンター環境やクラウド環境でのリソース管理とサービスのオーケストレーションを行うためのプラットフォームです。
SREが大規模なインフラストラクチャを管理する際、Mesosphereを使用すると、物理的なリソースを仮想的なリソースプールとして統合し、アプリケーションやサービスのデプロイメントを効率的に行うことができます。
例えば、大量のデータを処理するバッチジョブやリアルタイムのストリーミング処理など、異なるタイプのワークロードをMesosphere上で効率的にスケジューリングし、リソースの使用率を最大化することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はSREは知っておきたいツール一覧をカテゴリ別に紹介してきました。
多くのツールが利用されているため、用途に応じて使用するツールを選択していく必要があります。
前提知識を持つことでより適切な利用ができるため、この記事をきっかけに他のツールについてもご自身で一度確認してみてください。
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