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【2023年最新】フリーランスエンジニアが開業届を出すメリットとデメリットは?提出するタイミングを紹介

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そもそも開業届とは何か

開業届とは、事業の開始を税務署に申告するときに届け出る書類のことです。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業届を税務署に出すことで事業主との認定を受けることとなります。

開業届の提出対象者は、以下の所得を生ずべき事業を開始した方となります。

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 山林所得

このうち、フリーランスで稼ぐ収入は主に事業所得にあたるため、開業届の提出対象者となるのです。

本記事では、フリーランスや副業ワーカーの方が開業届を出すメリットとデメリット、開業届を出すタイミングや提出方法まで解説しています。これからフリーランスを目指す方や、すでにフリーランスで稼いでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。

フリーランスは開業届を出さなくてもいい?

これからフリーランスとして稼ぐ予定がある、もしくはすでに個人で一定の収入を得ているといった際に、開業届を出す必要がないのか気になる方もいるでしょう。ここでは、フリーランスが開業届を出す必要性について解説していきます。

フリーランスは開業届を出さなくても罰則はない

開業届は所得税法で「事業開始から1か月以内に提出しなければならない」とされています。しかし、実際には開業届を出さないことによる罰則はありません。

とはいえ、所得税法で定められている以上は開業届を提出しておくのが無難だといえるでしょう。また、単なる儀式的行為ではなくさまざまな利点もあるため、それらをチェックしておくとよいでしょう。

フリーランスは開業届を出していなくても確定申告は必要

開業届を出さなくても確定申告は当然必要になります。事業所得などの収入があれば納税の義務があるためです。

また、開業年度の事業収支をまとめて確定申告すると開業届と同様の扱いになるため、開業届を出さない方もなかにはいるでしょう。

フリーランスエンジニアが開業届を出すメリットとは

フリーランスエンジニアが開業届を出すメリットは、以下の6つです。

  1. フリーランスとしての自覚が生まれ、身が引き締まる
  2. 青色申告で確定申告ができる
  3. 小規模企業共済に加入できる
  4. 屋号付きの事業用銀行口座が作れる
  5. 補助金・助成金の申請ができる
  6. 証明書の役割をしてくれる

事業主となることでさまざまなメリットが享受できます。以下、詳しく解説していますので参考にしてみてください。

フリーランスとしての自覚が生まれ・身が引き締まる

開業届を提出する行為は、フリーランスとして生きていくことを公的に宣言することになります。そのため、フリーランスとしての自覚が生まれて身が引き締まる思いがするでしょう。

フリーランスは、一定の給料や福利厚生などを会社が担保してくれていたサラリーマン時代とは違い、金銭面も責任もすべて自分自身に降りかかります。そのため、フリーランスで生きていくには一定の覚悟がいるでしょう。開業届の提出は一種の儀式となるため、自分の覚悟を固める機会として捉えることができます。

青色申告で確定申告ができる

開業届の提出後は、青色申告で確定申告ができるようになります。確定申告には、白色申告と青色申告の2種類がありますが、青色申告では「青色申告特別控除」が受けられるのがメリットの1つです。具体的には、最大で65万円までの控除が受けられます。

また、フリーランス(個人事業主)であれば最大3年間赤字を繰り越して所得税額を差し引くことができます。さらに経費計上できる幅も増えるといったように多くのメリットが享受できるでしょう。

小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済とは、国の機関である「中小機構」が運営する制度のことです。具体的には、小規模の企業経営者・役員・個人事業主などに向けた退職金制度となります。

この制度の趣旨は主に「廃業したときの生活支援」や「再建の支援と社会保障の不備の補充」が目的です。フリーランスには、会社員のような退職金や社会保険などの福利厚生がないため、小規模企業共済に加入することで一定の支援が受けられるでしょう。

小規模企業共済に加入すると、以下の3つのメリットがあります。

  • 月々の掛金は、加入後も増減可能である
  • 共済金の受取り方法は一括と分割を選べる
  • 低金利の貸付制度も利用できる

この他にもさまざまな制度が用意されています。詳しくは「中小機構のホームページ」にて確認できますので、あわせてご覧ください。

屋号付きの事業用銀行口座が作れる

屋号付きの事業用銀行口座が作れるのもメリットの1つです。開業届の提出前は、個人名義の銀行口座しか持てないため、個人と仕事の入出金管理を分けるのに余計な手間がかかっていたとしても、事業用銀行口座があることで管理がしやすくなります。

また、クライアントに振込口座を伝えるときも個人名義の銀行口座より屋号付きの口座名義の方が信用度が高いため、ビジネスにおいてプラスに働く側面もあるでしょう。

補助金・助成金の申請ができる

国や地方公共団体は、事業主を支援するために補助金や助成金の制度を設けています。開業届の提出後は事業主として認められるため、これらの申請が可能になるでしょう。

ただ、補助金や助成金を受給するには、内容に応じてさまざまな要件をクリアしていなければなりませんが、開業したばかりのフリーランスでも申請できるものもあります。特に、資金繰りに気を使うことが多い開業時こそ、これらの制度を利用するメリットがあるといえるでしょう。

ちなみに、まだ確定申告を行ったことがない事業主が申請するときは、申請書類とあわせて開業届の控えが必要になります。開業届の控えは、事業主であることの証明書としてさまざまな場面で求められるため、大切に保管しておきましょう。

証明書の役割をしてくれる

証明書の役割をしてくれるのもメリットの1つといえるでしょう。事業主として認められるため事業融資が受けられる、公的な証明書として利用できるなどがあります。

例えば自宅を事務所にしている方は、屋号があることで自宅の家賃を一部経費として認められることもあります。これも開業届を出しているからこそ可能となるのです。他にも、事業主として認定されることにより対外的な信用が得られるのは大きいでしょう。

一方でフリーランスエンジニアが開業届を出すデメリットは?

フリーランスエンジニアが開業届を出すデメリットについても解説します。

具体的には以下の4つです。

  1. 記帳の義務が発生する
  2. 失業保険がもらえなくなる
  3. 社会保険の扶養を出なければならなくなるケースがある
  4. 廃業する場合に廃業届を提出する必要がある

これらのデメリットを把握しておくことでリスク回避に繋がります。それでは詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。

記帳の義務が発生する

開業届の提出後に青色申告を選択した場合、記帳の義務が発生します。取引記録を複式簿記で記帳していった上で、毎年決算書を仕上げなければなりません。それにより帳簿の作成と管理の必要も出てきます。つまり事業主になるということは決算処理が発生するということです。

このように、記帳の義務や決算書といわれても簿記や会計のことが分からない方には難易度が高いと感じるかもしれません。しかし、現在はクラウド会計ソフトが低額で普及してきていますので、決算書の作成や申告書の作成まで税理士に依頼せずに行うことも可能になってきています。いずれにしても、事業主になると決算処理が発生するということを理解しておきましょう。

失業保険がもらえなくなる

開業届を出すことで失業保険がもらえなくなる場合があるため注意が必要です。

失業保険の受給要件の1つに「退職後に次の就職先を探していると認定されているとき」と定められているため、開業届を出していると失業にはあたらないという判断をされる場合があります。仮に事業所得がなかった場合でも開業していれば同様の判断がなされます。

したがって、副業ワーカーや現職の退職を予定している方で将来失業保険の受給を考えている場合は、開業届を出すタイミングを慎重に見極める必要があるでしょう。

社会保険の扶養を出なければならなくなるケースがある

本業で社会保険に加入している方は、開業届を出すことで扶養を出なければならなくなるケースがあるため注意が必要です。扶養を出ると国民年金と国民健康保険に移行しなければならないため、自分で保険料を納める義務が発生します。

扶養の範囲は現在加入している健康保険組合などによってそれぞれになるため、開業届を出す前によく確認しておきましょう。

廃業する場合に廃業届を提出する必要がある

個人事業主が廃業する場合には、廃業届を提出する必要があります。廃業届の提出を忘れると「無申告加算税」がかかり、そのときは余計な税金を払わなければなりません。

もし廃業届の提出を忘れてしまっていた場合は、気づいた時点ですぐに廃業届を提出しましょう。また、廃業届を出していない限りは事業を継続しているときと同じように税務署から確定申告の書類が届くため、すぐ対応することをおすすめします。

なお、廃業届の提出期限は「廃業した日から1か月以内」と定められています。

フリーランスエンジニアが開業届を出すタイミングと提出方法は?

ここでは、フリーランスエンジニアが開業届を出すタイミングと提出方法を解説していきます。開業を決めた際には必須の手続きですので、以下を参考にしてみてください。

開業届の提出方法

開業届を提出する方法は、以下の3パターンあります。

  • e-Taxを利用したPDF形式による届け出
  • 郵送での届け出
  • 税務署に出向いて手渡し

提出方法によって注意点が異なりますので、そちらに着目しつつご覧ください。

e-Taxを利用したPDF形式による提出

開業届はe-TAXを利用したPDF形式による提出が可能です。税務署に出向かずにオンライン上で手続きできることがメリットです。

e-TAXを利用するには、マイナンバーカードやICカードリーダライタが必要となり、前もって以下の準備が必要です。

  • 利用者識別番号の取得
  • 電子証明書の取得
  • e-TAXソフトのインストール

これらの準備ができたら事前にインストールしたe-TAXソフトで開業届を作成し、e-TAXで開業届を送信します。その後税務署に開業届のデータが届いたお知らせがメッセージボックスに受信されると手続きは完了となります。

e-TAXでは開業届の控えが取得できませんが、送信データと税務署から返信されたデータの2枚をセットにしておけば開業届の控えと同じ効力がある書類となります。

郵送

郵送での手続きも可能です。税務署に出向く必要がないため効率的な手続き方法の一つです。ただし、郵送の場合は書類の不備があった場合に郵便物の往復に時間がかかるため、郵送前に入念な確認をしましょう。

また、個人情報などの重要な書類を同封しなければならないため、追跡可能な書留やレターパックなどでの送付をおすすめします。

なお、郵送する際は以下の書類を送付する必要があります。

  • 開業届
  • 開業届の控え
  • 返信用封筒・返信用切手
  • マイナンバーがわかる書類
  • 本人確認できるもの(運転免許証・パスポートなど)
  • 青色申告承認申請書

これらを管轄の税務署に送付すると、後日受領印が押された開業届の控えが送られてきます。開業後は、事業主であることを証明するために開業届が必要になる場面が出てくるため、受け取ったら大切に保管しておきましょう。

開業届の用紙は「国税庁のホームページ」から取得できますのでご活用ください。

国税庁:個人事業の開業・廃業等届出書

税務署での手渡し

開業届は税務署で手渡しすることも可能です。直接持参することで、万が一記入漏れなどがあった際にすぐ手直しできることがメリットです。税務署での受付時間は平日の8時30分から17時となります。

提出のタイミングや期限はある?

開業届の提出時期は「事業を開始してから1か月以内」と所得税法で定められています。ただ実際には、提出が遅れても罰則はありません。とはいえ、ここまでも解説してきたとおり所得税法で定められている以上は開業届を提出しておくのが無難です。また、単なる儀式的行為ではなくさまざまな利点もあるため、それらを確認しておきましょう。

青色申告を希望する場合は、原則として開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を出す必要があります。一部例外として、開業した日が1月1日から1月15日の場合は3月15日が提出期限となります。また、白色申告から青色申告に変更する際は、青色申告承認申請書を青色申告を予定する年度の3月15日までに提出しなければなりません。

この青色申告承認申請書は、1日でも提出期限から遅れると税務署に受け取ってもらえないため、次に申請できるのが1年後になってしまいます。青色申告を希望する際は提出期限に注意して必ず提出しましょう。

開業届の提出先

開業届の提出先は、納税地に設定した住所に該当する税務署となります。住所地を管轄する税務署の場所は、国税庁のホームページにて確認できますので、事前にチェックしておきましょう。

提出の際に必要な持ち物

開業届を出すときには以下5つの持ち物が必要です。

  • 開業届出書(個人事業の開業・廃業等届出書)
  • 印鑑
  • マイナンバーがわかるもの
  • 本人確認書類
  • 青色申告承認申請書

書類を忘れると開業届を受理されないため、入念に確認しておきましょう。

まとめ

今回は、フリーランスエンジニアの方が開業届を出すメリット・デメリット、開業届を提出するタイミングや提出方法について解説してきました。

開業届を出すことで、税金の控除が受けられることや補助金・助成金の申請が可能になるなどの金銭面のメリットの他、事業主として認められることによる社会的信用が得られるなどさまざまな利点があるでしょう。

開業届を出さなかったとしても特に罰則はありませんが、事業主であることを示す大切な届け出となりますので、提出期限に注意しながら適切に手続きしましょう。

  1. 開業届とは、事業の開始を税務署に申告するときに届け出る書類のこと
  2. 開業届を出すことで税金面、社会的信用の面、その他さまざまな場面でメリットがある
  3. 開業届の未提出での罰則はないが、事業主の証明として大切な届け出である
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